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アジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加問題(第三報) [外交]

本日付けの人民日報社の人民網日本語版によれば、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーの最終的な確定は4月15日までかかるが、一応の締切り期限の3月31日夕方段階では46カ国が申請したとのこと。米中の板挟みで迷っていた韓国やオーストラリアも参加。本日付けの日経新聞は3面で「日本の対処、後手に 英の参加誤算 6月末までに再判断」と題して、「情報収集や中国との交渉を主導した財務省は首相官邸に「G7から参加はない」と伝えていた。「日本が参加した場合の利点を十分に議論していなかった」(首相周辺)。経済産業省や首相官邸の一部にはビジネス界の要望を踏まえた参加容認論も浮上。しかし、4月下旬に米国訪問を控える安倍晋三首相は日米同盟を優先」と裏面の混乱ぶりを伝えている。
ここから垣間見えるのは、変化してゆく事態を客観的に分析するよりも、一旦決めたスタンスに拘泥する組織的な硬直性である。このブログの20、21日で取上げた孫崎亨氏は、「日本の「情報と外交」」PHP新書2013.1で、「我が国は戦前も戦後も一貫して外部環境の客観的把握に失敗しつづけてきた。日中戦争の長期化、ノモンハン事件、三国同盟(松岡外相が米国の強い反発を誤認)、真珠湾攻撃(米英の誘導に乗った)。これらの失敗に共通しているのは、相手の脅威を過小評価して自己の能力を過大評価する傾向」と指摘(一部省略)。わが国の中枢部がこうした宿痾(しゅくあ)から依然として抜け出せていないようだ。ただ、考えてみれば、日本の組織は民間企業も含めPDCAをやる場合でも、「過去の評価・総括」は出来るだけ表面的なことで済ませ、将来の明るい戦略を描くことに集中しがちだ。無論、「過去の評価・総括」を深く行うと、傷つく人間も出て、組織がまとまり難くなると言った面もあることは事実。しかし、「過去の評価・総括」を深く行うことで、同じ過ちに陥ることは回避できる可能性も高まる筈だと思う。第二次大戦での日本軍の戦略上の失敗を扱った野中郁次郎らの名著「失敗の本質」は、多くの人間が読んだ筈だが、そこで示された教訓を自らに引き寄せて考えず、他人事として済ませてたことで、同じような失敗を繰り返しているとしたら、困った宿痾と言うほかない。
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