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アジアインフラ投資銀行(AIIB)関連情報:安倍首相の「セキュリティ・ダイヤモンド構想」 [外交]

アジアインフラ投資銀行(AIIB)に関連して、今日の日経新聞は、日中財務対話が6月上旬に行われる見込みと報じた。恐らく、対話を通じてAIIBの透明性の問題がある程度クリアされたと強弁して、6月末の調印には参加するのではなかろうか。
今日取り上げるのは、安倍首相の「セキュリティ・ダイヤモンド構想」である。私が愛読している宋文洲氏のメルマガ4月3日号に「AIIBの参加遅れは財界人のせいか」のなかで、安倍首相が「中国を包囲するダイヤモンド構想」を提唱したとあった。メルマガの内容はともかく、この構想についてはうろ覚えの記憶しかなかったので、改めて調べたみたところ、その内容のみならず、日本国内での報道体制について愕然とした。
この構想は、安倍首相が政権発足直後の2012年12月27日に発表した「アジアの民主主義 セキュリティ・ダイヤモンド構想」である。これは、チェコに本部を置く世界の言論サイトProject Syndicateに英文でのみ発表され、マスメディアもあえて積極的に取り上げようとしなかったので、ほとんどの日本人はその論文の内容も表題も知らないという代物。フリージャーナリストの岩上安身氏が下記サイトで、『「破綻した「アジア基軸(Pivot to Asia)」と「セキュリティ・ダイヤモンド構想」 AIIB不参加で孤立を深め、それでも米国に追従する「政治哲学」なき安倍政権の愚』と題して、『「南シナ海は「北京の湖」となっていくかのように見える」と、中国の脅威を過剰なまでに煽り、「オーストラリア、インド、日本、米国ハワイによって、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイヤモンドを形成」して、中国を南シナ海から排除すべきだ、と主張」。米国の「Pivot to Asia(アジア基軸=日本などのアジア諸国と連携して中国をおさえこみ、アジアでの米国覇権を狙う戦略)」という外交戦略を鵜呑みにして、そのいわば「下半身」に相当する軍事戦略の一部を担いますよと、しゃしゃり出てみたお調子者の下手な作文に過ぎない。ここには政治哲学はまったく欠落』と厳しく批判。
下記サイトの中の参照リンクくは、有料会員限定なのであえて登録して見ることまではお薦めしない。http://iwj.co.jp/wj/open/archives/241742

論文の英語版の下記リンクは、英語で登録すれば、無料で読むことができる。
https://www.project-syndicate.org/commentary/a-strategic-alliance-for-japan-and-india-by-shinzo-abe
原文では、上記の諸国の他にも、英、仏、マレーシア、シンガポール、ニュージーランドにも参加を呼びかけている。この構想は、安全保障政策上のものとはいえ、経済面のAIIB問題では、呼びかけられた国々で設立メンバーとして参加しなかったのは結果的に日米だけとなった。
この構想の示された安倍首相の姿勢は問題外。まさか、親中派も多い米議会演説で持ち出すような暴挙まではしないと信じたい。また、構想を正面から報道しようとしない日本のマスコミの姿勢も、官邸からの暗黙の指示があったにせよ、極めて問題だ。たまたま取り上げても、産経新聞の2014年9月2日付け「安倍首相の「安保ダイヤモンド構想」、対中抑止へ完成間近」(下記)といったちょうちん記事しかないのは情けない限り。
http://www.sankei.com/politics/news/140902/plt1409020009-n1.html
出るのはため息ばかりなり。
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