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雪国まいたけのTOB問題 [企業経営]

昨日の日経新聞夕刊は、雪国まいたけに対して米大手投資ファンド、ベインキャピタルが2月から実施していたTOB(株式公開買付け)が成立、ベインの全額出資理会社が発行済み株式数の約78%を保有する筆頭株主になった。雪国まいたけの経営陣も、創業家の影響力排除を狙い、ベインによるTOBに賛同と報じた。この問題については、「闇株新聞」(以下のURL)が詳しいが、その他の報道も含め時系列的に整理すると以下の通り。
雪国まいたけは、きのこ製造大手で、1983創業、東証2部上場企業である。問題の発端は、叩き上げのワンマン創業者社長に対し、2013年6月にある役員が「不正会計」を内部告発したこと。証券取引等監視委員会が「驚くほど素早く」反応、8月と10月に立ち入り検査に入り、決算を「粉飾」と断定。11月には社内調査委員会報告も受け、創業者社長が退任、イオン元専務の星名氏が社長に就任するが、2014年6月の総会では創業者が「役員一斉交代」させるという上場企業では前代未聞の出来事。社長兼会長にホンダ元専務の鈴木氏が就任。2015年2月にベインキャピタルがTOBを発表。同日、第四銀行など取引銀行が、貸出の担保となっていた同社株式について担保権実行を創業家に通知。これにより昨日のTOB成立という結果に。
このように一見したところ、「不正会計」を行っただけでなく、後任の社長の首を次々にすげ替える創業家に対する、サラリーマン経営者、取引銀行、投資ファンドの「コンプライアンス確立」をめぐる争いが、無事、決着と見える。ただ、「闇株新聞」は、それほど単純ではなく、TOB発表と担保権実行通知の間で、インサイダー抵触の可能性、担保権実行の妥当性など問題を孕んでいるが、事実上のお墨付きを与えてきた金融庁が問題にする可能性は少ないだろう。さらに、取引銀行が貸出をしたTOB資金などの回収可能性も問題と指摘。「ハゲタカファンドに売り渡した」との批判には与するものではないが、担保権実行については、不良債権化していた期間や度合い、その間の銀行と創業家のやり取りなどが分からない第三者には妥当性を判断し難い。ただ、保有株を担保に借入した創業者が、返済を遅延したため、担保処分され、今回の結果を招いたことは「身から出たサビ」との見方も可能。今後については、創業者の協力なくして円滑な生産が可能か、再上場も可能か、など不明な点も多い。取引銀行の貸出は、リスクが高いLBO(レバレッジド・バイアウト)融資になっただけに、従来よりもリスクは大きくなった。かなりの問題含みの案件であり、今後の動向は大いに注目される。

なお、明日から金曜日は大学での講義があるので、原則として休むつもりである。
闇株新聞のURLは以下の通り
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1387.html
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1388.html
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1399.html

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ふーちゃん

創業家は大塚家具でも問題を起こしたね。
そういう暴走を防ぐようにできないのかな?
by ふーちゃん (2015-04-10 14:02) 

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