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アジアインフラ投資銀行(AIIB)参加問題をめぐる官庁の「情報操作」 [外交]

アジアインフラ投資銀行(AIIB)参加問題をめぐって、検証記事が連日のように新聞紙面を賑わせるようになった。日経新聞も「迫真」欄で14日以降、連載中だ。14日には中国の日本に対する水面下の働きかけを報じた。15日には『中国側が昨年、日本に有利な参加条件を打診してきたとき、首相側近は財務省などに検討を促した。しかし「『G7からの参加は絶対にない』との報告」(政府高官)。参加に慎重な米国との関係などを考え「日本が参加しない前提で情報を分析」との反省が官邸にはある。「失敗だった」。首相周辺がそれに気づいたとき、主導権はすでに中国に移っていた』と、官邸すら財務省・外務省に対し不信感を抱いている雰囲気すらにじませた内容だった。
他方、自民党も4月1日から外交部会や財務金融部会などの合同会議で参加の是非について遅まきながら議論を始めたようだが、これは官邸や両省が創設メンバーとなる3月末までは「おとなしくしていろ」と抑えていたためであろう。
もともと、AIIBについては昨秋以降の日経新聞での報道で見る限り、発足計画を伝えた10月25日の報道でも資本金、本部などを報じただけで、肝心の「創設メンバーとなる参加申し込み期限の3月末」には触れてない。英国やその後の独仏伊の参加時にも触れず、この期限に触れたのは、なんと本年3月25日に政府の参加見送り決定を報じた時だったように思う。さらに、日経新聞はよくファイナンシャル・タイムズ紙の記事を転載するが、このブログの3月26日で伝えた前日付けのAIIB関連記事は、日本政府へ遠慮したためか完全に黙殺された。
今回のAIIB問題について日本の報道が、当たり障りのなくなったことの「小出し」の連続であったのは、新聞記者の不勉強もさることながら、主なニュースソースである官邸や財務省・外務省の姿勢によるところが大きいように思われる。無論、外交交渉では水面下の動きまで伝える必要はないが、期限も含めた全体像についてはもっと早くから報じるべきだったろう。陣笠政治家や経済産業省、経済界などから参加への圧力が強まることを恐れた故の「情報操作」と言えなくもない。
知る必要がある最小限の者のみに知らせる「ニード・トゥ・ノウの原則」は諜報の世界では意味があるが、民主主義の国家運営では「最小限」の範囲に止めるべきだ。AIIB参加問題で「由らしむべし知らしむべからず」的な「情報操作」をした両省と官邸のみならず、それを許した政治家、マスコミも責任重大であろう。
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山田

さみだれ的に報道される理由がようやく分かった。全く、同館だが、nice!ボタンを押せないのは困ったもの。
by 山田 (2015-04-17 14:00) 

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