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憲法改正問題 [国内政治]

昨日は憲法記念日だけあって、主要各紙が憲法改正についての世論調査結果と、憲法改正問題を社説で取上げていた。世論調査では、日経新聞、朝日新聞、産経新聞とも「改正不要(反対)」が「改正必要(賛成)」を上回る結果となった。なお、読売新聞は3月22日の記事で、同社の世論調査では改正賛成が反対を上回ったと報じた。時系列的にみると、日経新聞では2004以降、「改憲賛成」が上回ってきたのが初めて逆転。朝日新聞では1997以降、「改正必要」が上回ってきたのが昨年、今年と逆転。集団的自衛権議論などの進展で国民の警戒心が呼び覚まされた可能性もある。

社説での憲法改正問題については、改憲派の読売は、「憲法記念日 まず改正テーマを絞り込もう」、産経も「憲法施行68年 独立と繁栄守る改正論を 世論喚起し具体案作りを急げ」としたが、日経は「憲法のどこが不備かもっと説明せよ」と題して、世論調査結果を踏まえ、「現憲法がどんな支障を生んでおり、どう直せばどうよくなるのかがわかる説明をすることが必要」としている。護憲派の朝日は、安倍政権と憲法―上からの改憲をはね返す」と題して、「お試し改憲」論などを批判、『昨年の9条の解釈変更から明文改憲へと向かう自民党の試みは、権力への縛りを国民への縛りに変えてしまう立憲主義の逆転にほかならない。戦後70年。いま必要なのは、時代に逆行する動きに、明確に拒否の意思を示すこと』と主張。

現在の自民党が考えている改憲戦略については、3月22日の時事通信の「9条改正へ4段階論も=改憲全体15~20項目想定」という自民党の船田元氏へのインタビュー記事を紹介したい。二段階論が一般的だが、実務上の観点からはもっと多くなるというもので、注目点は以下の通り。
・4回ぐらい発議して順番にやっていかないと憲法改正は完成しない
・1回の国民投票で賛否を問うのは3、4問。例えば投票所に行くと投票ブースが3カ所あり、1問ずつ投票用紙を渡されて賛成か反対かをマルで囲む。憲法改正項目の一覧表に賛否を書くわけではない。自民党の憲法改正草案は改正部分が100項目ぐらいあるが、全部は無理だ。幾つか選んで重要なものをまとめなければならないが、それでも(改正項目は)15~20にはなるだろう。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015032200069

4月21日の日刊ゲンダイは、「小沢一郎代表&小林節慶大名誉教授「自民党改憲批判」の迫力」と題して、憲政記念館で開かれたシンポジウムのパネリスト、小林節慶大名誉教授、生活の党の小沢一郎代表らの発言を紹介。小沢代表は、集団的自衛権よりも個別的自衛権の拡大解釈の方が問題。小林名誉教授は、「国会などに呼ばれて、そもそも憲法は権力者を縛るものですよ、と言うと、自民党議員は“私はそういう憲法観じゃない”と言う。議論の前提となる知識を共有していない憲法論議はむなしい。これを専門家の横暴というのであれば、向こうはド素人の怠慢だ。船田氏は96条改正に言及しているが、憲法は権力者を縛るもので、権力者とは国会の多数である。その権力者が国会発議の条件を3分の2から2分の1にしようというのは、不見識の極みである」と鋭く改憲派議員を批判。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159209/1

4月28日の日経BPnetは、田原総一朗氏の「日本が目指すべきは「専守防衛」か「普通の国」か」を紹介したい。特に注目されるのは以下のポイント。
・歴代の自民党政権は憲法をうまく利用してきた。米国の参戦要請に対し、米国が押し付けた憲法の制約を断る口実にしたのが、ベトナム戦争時の佐藤首相、イラク戦争時の小泉首相
・「自立」「対米従属」が言われ始めたのは冷戦終結後。日本の「自立」とは何か、議論すべき(放送番組で、「左」の辻元清美と「右」の小林よしのりの意見は「反米」で「自立」という立場で一致。これに対して、現在の保守派と呼ばれる人たちは「親米」「対米従属」の立場
・私は、日本は平和国家であることでしか世界の信頼を勝ち取る道はないと考える。日本は「普通の国」を目指してはいけないと思っている
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/100463/042800010/?P=1

いずれにしても、世論調査がこれだけ揃って改憲に消極的反応を示したことは驚きである。戦後の日本の進路を大きく変える重要な課題に直面しているのに、野党の民主党が護憲、改憲で分裂状態にあることもあって、国会論議に多くを期待できないのは誠に残念でならない。

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佐藤

5日のブログからこれも読んだところ、教えられるところが多かった。
ありがとうございます。
by 佐藤 (2015-05-08 14:20) 

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