憲法改正問題(続き) [国内政治]
今日は経済政策の問題を取上げるつもりだったが、午後に受信したメールで、ジャン・ユンカーマン監督の『映画日本国憲法』がWEBで5月7日まで公開されたと知り、急遽、取上げることにした。この作品は、内外の多くの人間へのインタビューやニュースフィルムを交えたドキュメンタリー、全部で1時間20分と長い。そこで、注目されるポイントをその凡その開始時間(分、秒)を示した上で、紹介したい。特に、55:40からの5チャマーズ・ジョンソン氏の第9条と謝罪問題の関係についての指摘、8:26からのバン・チュソイ氏の謝罪問題についての指摘は強烈。
(5:45、ジョーン・ダワー:歴史家、MIT教授)日本の理想は、非軍事的アジアの模範として武力行使なき問題解決のモデルになることだった。アメリカは軍国主義に変貌したので、”普通の国”と捉えるべきではない。
(16:29、日高六郎:社会学者、元東大教授)日本側の自主憲法案は2つ。政府の憲法問題調査委員会の案の他にも、国民の平等、差別廃止、拷問の禁止などが盛り込まれた民間の憲法研究会の案があり、GHQも後者を読んだ。マッカーサーは、政府案をポツダム宣言の考え方を無視したものと一蹴、GHQに草案作成を指示。
(27:45、ジョーン・ダワー)マッカーサー憲法だが、日本政府の意見も多く反映。国会で熱心に審議され、国民から広く支持され定着。冷戦激化、朝鮮戦争勃発で、米国は日本の再軍備を望み、憲法改正の圧力をかけた。マッカーサーは、平和の尊さ、もろさを痛感、戦争をしてはいけないと知り抜いていた。軍事国家日本のイメージを覆すべく、戦争放棄と人権、主権在民をまとめて盛り込めば、世界の尊厳を集めることが出来るだろう。
(36:39、ダグラス・ラミス:元海兵隊員、除隊後は日本に住む、元津田塾大教授)日本政府側からすれば、憲法により権限を制限されたと感じているだろうが、日本国民への押し付けではない。第9条を非現実的とする人が内外で増えているが、20世紀の歴史が示すところは、2億人もの命を奪ったのは国家であり、巨大な軍事力は安全を保障しないということ。
(45:05、チャマーズ・ジョンソン:政治学者、元カリフォルニア大教授、元CIA顧問)米国は世界132カ国に725以上の基地。基地ネットワークによる新しい帝国の形態。あんな小さな沖縄には基地が38もあり、50年間にわたり反抗が続いている。これが「基地帝国主義」執筆のきっかけ。国防総省のネオコンの誇大妄想を信じたブッシュに、小泉は従順に派兵。イスラム社会のいつまでも消えない怒りを買った。これは絵に描いたような外交の完全なる失敗。
(55:40、同)日本は第二次大戦中の侵略をドイツのようには謝罪してないと批判を受けている。憲法第9条は日本の謝罪に代わる意味があったが、その放棄は謝罪の否定。中国全土の人々や東南アジアの華僑や朝鮮半島に人々の間で、戦後日本をめぐる問題が再燃。
(58:26、バン・チュソイ:作家・映画監督)満州事変があった平頂山村では3000人の村民が殺されたが、日本人は平頂山村の名前すら知らない。これが日本人の戦争認識。都合の悪い過去をかたくなに隠蔽。中国には”如何に腹が立とうが謝る相手は許せ”という文化や考え方がある。日本はまるで正反対、悪いことをしても謝らず、蓋をしてシラを切る。非を認めないばかりか、中国側の作り話だという。中国では反日感情が吹き荒れている。
(1:07:10、ハン・ホング:韓国聖公会大学教授)アジア各国が日本への不信感をかろうじて抑えて来られたのは第9条のおかげ。その構造が崩れれば、韓国、北朝鮮、中国、ロシアの軍部増強を招く。日本の若い世代と同様に、韓国の若い世代も歴史をよく知らない一方で、政府が主導する膨張的な民族主義に影響されている。
(1:11:53、ノーム・チョムスキー:MIT教授)国連憲章は、世界平和を実現するために、国際問題における武力の行使や威嚇を排除しようとした。この規定は理に適っているが、アメリカが忌避するなど殆ど守られてない。しかし、これは世界市民が自国の政府に強いるべき規範。なのに日本はそこから遠ざかろうとしている。
(1:15:17、チャマーズ・ジョンソン)日本人は憲法をもっと誇りに思うべき。日本は再軍備に必要な労働力がないから、どうせ軍事大国にはなれない。
https://www.youtube.com/watch?v=N1gQtnDvMfM&feature=youtu.be
冒頭に紹介したようにWEBでの公開は5月7日までなので、それまでにご一覧頂きたい。最後のチャマーズ・ジョンソン氏の指摘は、日本の右派への強烈な皮肉といえよう。バン・チュソイが指摘した「平頂山村」での虐殺は私も初めて知った。南京事件も真相は不明とされ、いまだに存在を否定する向きもある。日本軍は敗戦時に一切の証拠書類を燃やしてしまったので、公式記録がないとして事件の存在を否定することは出来ない筈。チャマーズ・ジョンソン氏が「9条は謝罪の代わりになっていた」との指摘も新鮮で、その放棄は謝罪の否定となることも、日本のマスコミはもっと取上げるべきだろう。
(5:45、ジョーン・ダワー:歴史家、MIT教授)日本の理想は、非軍事的アジアの模範として武力行使なき問題解決のモデルになることだった。アメリカは軍国主義に変貌したので、”普通の国”と捉えるべきではない。
(16:29、日高六郎:社会学者、元東大教授)日本側の自主憲法案は2つ。政府の憲法問題調査委員会の案の他にも、国民の平等、差別廃止、拷問の禁止などが盛り込まれた民間の憲法研究会の案があり、GHQも後者を読んだ。マッカーサーは、政府案をポツダム宣言の考え方を無視したものと一蹴、GHQに草案作成を指示。
(27:45、ジョーン・ダワー)マッカーサー憲法だが、日本政府の意見も多く反映。国会で熱心に審議され、国民から広く支持され定着。冷戦激化、朝鮮戦争勃発で、米国は日本の再軍備を望み、憲法改正の圧力をかけた。マッカーサーは、平和の尊さ、もろさを痛感、戦争をしてはいけないと知り抜いていた。軍事国家日本のイメージを覆すべく、戦争放棄と人権、主権在民をまとめて盛り込めば、世界の尊厳を集めることが出来るだろう。
(36:39、ダグラス・ラミス:元海兵隊員、除隊後は日本に住む、元津田塾大教授)日本政府側からすれば、憲法により権限を制限されたと感じているだろうが、日本国民への押し付けではない。第9条を非現実的とする人が内外で増えているが、20世紀の歴史が示すところは、2億人もの命を奪ったのは国家であり、巨大な軍事力は安全を保障しないということ。
(45:05、チャマーズ・ジョンソン:政治学者、元カリフォルニア大教授、元CIA顧問)米国は世界132カ国に725以上の基地。基地ネットワークによる新しい帝国の形態。あんな小さな沖縄には基地が38もあり、50年間にわたり反抗が続いている。これが「基地帝国主義」執筆のきっかけ。国防総省のネオコンの誇大妄想を信じたブッシュに、小泉は従順に派兵。イスラム社会のいつまでも消えない怒りを買った。これは絵に描いたような外交の完全なる失敗。
(55:40、同)日本は第二次大戦中の侵略をドイツのようには謝罪してないと批判を受けている。憲法第9条は日本の謝罪に代わる意味があったが、その放棄は謝罪の否定。中国全土の人々や東南アジアの華僑や朝鮮半島に人々の間で、戦後日本をめぐる問題が再燃。
(58:26、バン・チュソイ:作家・映画監督)満州事変があった平頂山村では3000人の村民が殺されたが、日本人は平頂山村の名前すら知らない。これが日本人の戦争認識。都合の悪い過去をかたくなに隠蔽。中国には”如何に腹が立とうが謝る相手は許せ”という文化や考え方がある。日本はまるで正反対、悪いことをしても謝らず、蓋をしてシラを切る。非を認めないばかりか、中国側の作り話だという。中国では反日感情が吹き荒れている。
(1:07:10、ハン・ホング:韓国聖公会大学教授)アジア各国が日本への不信感をかろうじて抑えて来られたのは第9条のおかげ。その構造が崩れれば、韓国、北朝鮮、中国、ロシアの軍部増強を招く。日本の若い世代と同様に、韓国の若い世代も歴史をよく知らない一方で、政府が主導する膨張的な民族主義に影響されている。
(1:11:53、ノーム・チョムスキー:MIT教授)国連憲章は、世界平和を実現するために、国際問題における武力の行使や威嚇を排除しようとした。この規定は理に適っているが、アメリカが忌避するなど殆ど守られてない。しかし、これは世界市民が自国の政府に強いるべき規範。なのに日本はそこから遠ざかろうとしている。
(1:15:17、チャマーズ・ジョンソン)日本人は憲法をもっと誇りに思うべき。日本は再軍備に必要な労働力がないから、どうせ軍事大国にはなれない。
https://www.youtube.com/watch?v=N1gQtnDvMfM&feature=youtu.be
冒頭に紹介したようにWEBでの公開は5月7日までなので、それまでにご一覧頂きたい。最後のチャマーズ・ジョンソン氏の指摘は、日本の右派への強烈な皮肉といえよう。バン・チュソイが指摘した「平頂山村」での虐殺は私も初めて知った。南京事件も真相は不明とされ、いまだに存在を否定する向きもある。日本軍は敗戦時に一切の証拠書類を燃やしてしまったので、公式記録がないとして事件の存在を否定することは出来ない筈。チャマーズ・ジョンソン氏が「9条は謝罪の代わりになっていた」との指摘も新鮮で、その放棄は謝罪の否定となることも、日本のマスコミはもっと取上げるべきだろう。
タグ:ジャン・ユンカーマン監督 映画日本国憲法 ジョーン・ダワー 日本の理想 非軍事的アジアの模範 武力行使なき問題解決のモデル 日高六郎 自主憲法案 憲法問題調査委員会 憲法研究会 マッカーサー 国会で熱心に審議 国民から広く支持され定着 戦争放棄と人権、主権在民 世界の尊厳 ダグラス・ラミス 20世紀の歴史 2億人もの命を奪ったのは国家 チャマーズ・ジョンソン 基地帝国主義 ネオコンの誇大妄想 小泉は従順に派兵 イスラム社会のいつまでも消えない怒りを買った 外交の完全なる失敗 第二次大戦中の侵略 謝罪 第9条 謝罪に代わる意味 放棄は謝罪の否定 バン・チュソイ 満州事変 平頂山村 日本人の戦争認識 都合の悪い過去 隠蔽 中国側の作り話 反日感情 ハン・ホング 韓国、北朝鮮、中国、ロシアの軍部増強 膨張的な民族主義 ノーム・チョムスキー 国連憲章 武力の行使や威嚇を排除 アメリカが忌避 世界市民が自国の政府に強いるべき規範 再軍備に必要な労働力がない 軍事大国にはなれない
2015-05-05 21:20
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1時間以上の動画を見る余裕はなかったが、要約があったので大助かり。本当に深刻な問題で、我々もよくフォローしていかねばならないと感じた。貴重な内容をありがとうござおました。
by 佐藤 (2015-05-08 14:17)