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シャープ再建問題 [企業経営]

今日はシャープの再建問題を取上げよう。同社の再建策については、15日付けの日経新聞が「シャープ、最終赤字2223億円 前期、国内3500人を削減」と題して、概ね以下のように厳しく伝えている。
・2014年度の最終損益は、液晶工場の減損など構造改革を織り込んだため、2223億円の赤字。
・2017年度までの新中期経営計画には、国内約3500人の希望退職や大阪の本社売却などスリム化による固定費削減などを盛り込む
・資本金を現行の1218億円から5億円に大幅減資し、累積損失を一掃
・資本増強のため、メインバンク2行が合計2000億円の借入金を優先株に振り替え(デット・エクイティ・スワップ:DES)、両行が出資する企業再生ファンド、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズも、250億円の優先株を引き受け
・液晶頼みで、 「稼ぐ力」手つかず、成長軌道が見えず

日経新聞は、17日には「増資シャープ 消えぬ懸念 新規資金入らず財務脆弱、収益力回復まったなし」と題して、概ね以下のように一段と厳しく伝えている。
・株価は177円と2012年12月以来の安値を更新(18日現在では169円)
・自己資本比率は3月末の1.5%から5%強に若干上昇するとはいえ、減損処理などを実施する前の昨年末の10%台には届かない。有利子負債は3月末の9742億円から7742億円に減るにすぎず、なお高水準
・新規に入る資金は投資ファンドの250億円のみ。主要行からは債務が資本に振り替わるだけ
・追加融資も得られなかっただけでなく、主要行からの5100億円の協調融資の契約期限は16年3月末まで。社債残高は600億円あり、16年9月から償還が順次始まる。メインバンク2行以外の金融機関からの借入金も17年3月期以降、段階的に返済するよう求められているもよう
・カギを握るのは本業の稼ぐ力だが、回復するかは不透明だ。18年3月期の営業損益を1200億円の黒字と、前期(480億円の赤字)から急回復させる計画。ただ、液晶などの競争が激しいにもかかわらず増収を前提としており、計画を疑問視するアナリストは多い

また、18日の東洋経済オンラインは、「シャープ"延命策"には課題が山積している ニューマネーの不足が決定的」として、メインバンク2行などが取得する優先株の条件について詳しく分析、2005年のゼネコン・フジタの再建策では、その2年前の再建策でメインバンクが取得した優先株が、全額無償償却となった例を挙げて、今回もそうなる可能性があることを示唆。
http://toyokeizai.net/articles/-/69965

シャープの再建問題をめぐっては、4月に産業革新機構に1000億円の出資を要請しているなどの観測記事も出たが、産業革新機構は東芝、日立、ソニーの中小型液晶部門を統合して設立されたジャパンディスプレイに既に出資。ジャパンディスプレイはシャープの競合相手でもあることから、シャープへの出資は利益相反になるため消極的と伝えられた。もともと、ジャパンディスプレイ設立時には、機構の参加への誘いをシャープが断った経緯も。
また、減資をめぐっては、当初は1億円にして中小企業としての税制上の特典を得ようとしたが、政府の批判を受けて断念し、5億円にした経緯。
さらに遡れば、2013年春に、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との資本提携の流産などもあった。
今回の決着に、経済産業省らの「日の丸」へのこだわりが、どの程度影響していたのかは不明だが、もはや「日の丸」へのこだわりなどは捨て去るべきだろう。今度こそ、上手くいって欲しいものだが、客観情勢は極めて厳しいようだ。

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