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「国境なき記者団」の報道の自由度ランキングの低さ [メディア]

昨日は、最後の部分でマスコミの姿勢を批判したが、今日は「国境なき記者団」の報道の自由度ランキングの低さを取上げよう。
日本のランキングは今年も低下、61位と不名誉な記録を更新。これを、3月4日付けのYahooニュースで、日本大学大学院新聞学研究科教授の福田充氏が「「報道の自由度」ランキング、日本はなぜ61位に後退したのか?」と題して解説しているので、そのポイントを紹介しよう。
・「国境なき記者団」は、世界の報道の自由や言論の自由を守るために、1985年にパリで設立された世界のジャーナリストによるNGO。活動の中心は、世界各国の報道機関の活動と政府による規制の状況を監視することであり、その他にも、世界で拘束された記者の解放や保護を求める運動や、戦場や紛争地帯で危険に晒された記者を守る活動など、幅広い活動を展開
・世界各国の報道機関と政府の関係についての監視と調査の結果をまとめた年次報告書が「世界報道自由度ランキング」。2002年から開始、世界180か国と地域のメディア報道の状況について、メディアの独立性、多様性、透明性、自主規制、インフラ、法規制などの側面から客観的な計算式により数値化された指標に基づいたランキング。つまり、その国のメディアの独立性が高く、多様性、透明性が確保されていて、インフラが整備され、法規制や自主規制などの規制が少ないほど、メディア報道の自由度が高いとされる指標
・国際的には、フィンランド、ノルウェー、デンマークなどの北欧諸国がランキングの上位
・アメリカやイギリス、フランスといった先進国は、その時代情勢によって10位代から40位代の中間よりやや上位を推移
・中国や北朝鮮、ベトナム、キューバといった社会主義諸国のランキングは170位代前後を推移し、常に最下位レベル
・日本のランキングは2002年から2008年までの間、20位代から50位代まで時代により推移。民主党政権下の2009年から17位、11位とランキングを上げたが、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の発生の後、2012年に22位、2013年には53位、2014年には59位、2015年にはついに過去最低の61位(ちなみに韓国60位、台湾51位)
・日本の順位が下がった理由のひとつは、福島第一原発事故に関する電力会社や「原子力ムラ」によって形成されたメディア体制の閉鎖性と、記者クラブによるフリーランス記者や外国メディアの排除の構造
・戦争やテロリズム、大震災や原発事故などの危機が発生時に、その情報源が政府に集中することにより、「発表ジャーナリズム」という問題が発生。政府が記者会見で発表した情報をそのまま鵜呑みにして報道する姿勢
・同様に戦場や被災地など危険な地域に自社の記者を派遣しないで、フリー・ジャーナリストに依存する「コンプライアンス・ジャーナリズム」の問題も重要。メディアとしての企業コンプライアンスによって、危険な地域に自社の社員を派遣できないという状況から、危険な地域に入るのはフリー・ジャーナリストばかりになるという構造的問題
・特定秘密保護法の成立により、戦争やテロリズムに関する特定秘密の存在が自由な報道の妨げになるという評価
・日本が置かれる国際状況や、日本国内の政治状況が大きく変化している現在こそ、日本のメディア、ジャーナリズムに自浄作用と改革が求められている
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150304-00000004-wordleaf-pol&p=1

他方で、長谷川幸洋氏は、3月6日付け現代ビジネスで「日本に報道の自由はあるのか? おそらく、ない。しかし特定秘密保護法のせいでも安倍政権のせいでも、ない」として、引下げの契機になった日本人ジャーナリストたちが起こした特定秘密保護法の廃止を求める訴訟を取上げ、その極端な姿勢を批判。なお、下記リンクは2頁目以降は有料登録となるので引用できず
http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/42381

報道の自由度ランキングの全体像は以下リンク。
http://index.rsf.org/#!/index-details

長谷川幸洋氏の批判は全体を読んでないので、コメントし難いが、1頁目の最後で『安倍政権が「かつてのドイツ・ナチ体制下における授権法のように、安倍政権が憲法の枠の外で独裁体制を築く可能性さえある」とまで述べている。こうなると「おい、おい大丈夫か」と言いたくなる』と批判しているが、提訴したジャーナリストたちは、麻生大臣の発言を踏まえて主張したものと考えれば、批判は的外れと言えるのではなかろうか。
「発表ジャーナリズム」についてはやむを得ない面があるとはいえ、多面的に取材する努力を怠っているとしか思えないような「タレ流し」報道も目立つ。福島第一原発事故の際に、いち早くメルト・スルーの可能性を指摘した大前研一氏の主張を殆ど無視して、東電や政府の発表、原子力ムラの学者の解説のみに頼って報道した姿勢は「お粗末」だった。
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