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孫崎亨、マーティン・ファクラー著「崖っぷち国家日本の決断~安倍政権の暴走と自主独立への提言」(日本文芸社、2015.2)の紹介(2) [外交]

昨日に続いて、「崖っぷち国家日本の決断~安倍政権の暴走と自主独立への提言」(日本文芸社、2015.2)を紹介したい。
第2章「日米・既得権益勢力の策謀  アメリカを牛耳るネオコンとジャパン・ハンドラーズの企み」で私が注目したポイントは、概ね以下の通り(主に孫崎氏、アメリカについてはファクラー氏の指摘)。
・イスラム社会との紛争が極端に過激になったのは、ブッシュ政権が2003にフセイン政権を倒したから
・フセイン大統領は独自の力で、イラクという複雑な民族と宗教を持つ国家をまとめていた。「パンドラの箱」を開けるようにその重石を取ったら、いろいろな紛糾が出てきた。チュニジアのジャスミン革命、エジプトの革命などの流れに乗って、シリアのアサド政権も倒されそうな雰囲気に。中東の諸民族には未解決の問題がたくさんあり、怒りが溜まりに溜まり、それが一気に噴出
・アメリカは長年、1つの規範を持つ国連を中心にやってきた。冷戦終了後に圧倒的な力を持った途端に、受け身だけでなく、積極的に世界を変えていこうという人たちが出てきて、軍事力を使う形で民主化を促進するという流れを選択。ところが、そうした「アメリカモデル」には全ての人たちが賛成する訳にはいかなくなった。そこで、ラムズフェルドは、アメリカは国連のバックアップなしに、個別案件ごとに有志を組めばよいと「有志連合」を出してきた。
・アメリカの安全保障問題では、国防省だけでなく、国土安全保障省(DHS:テロ対策に関連する22の省庁・機関を統合、職員17万人)、民間軍事会社のブラックウォーターなどもオバマに圧力
・オバマ政権はこれまではブッシュ政権時の問題を処理してきたが、シリアへの空爆は自ら招いた問題。アメリカには「安全保障村」がある
・イラク戦争後にパウエルやブレア首相は社会的に制裁され批難を受け、イラク戦争に関った人は安全保障分野から立ち去った。日本では、北岡伸一、故岡崎久彦など推進した人は勢力を失うどころか、伸ばしている。政策の是非より、その方針を取ったらアメリカに歓迎されるというロジックさえできればよい
・「秘密保護法」も「集団的自衛権」も、それが日本のためになるというロジックなど要らず、アーミテージなどアメリカのジャパン・ハンドラーたちに歓迎されるかどうかで決まる
・ジャパン・ハンドラーたちはアメリカでも数少ない。国防省とか国務省の一部分の人たちで、1つの既得権益集団になっている。そのような人たちに操られているだけの日本でいいのか
・日本での海兵隊の規模を縮小させてもいいと考えている議員には、上院軍事委員長・民主党のカール・レヴィン、共和党上院議員のジョン・マケイン、元東アジア・太平洋問題小委員長・民主党のジム・ウェッブなどがおり、海兵隊をハワイやグアムに移転させてもいいと主張
・日本にも既得権益集団に近い権力構造的な組織がある。そのグループに属している人は、そこから離脱したら利益がなくなるので、離脱にものすごい脅威と恐怖を持っている
・彼らは、その集団の政策についても、「原発についてはこう」、「TPPはこう」、「集団的自衛権はこう」という具合に、基本的なコンセンサスを共同認識。彼らのプライオリティー・ナンバーワンは、その組織・枠から出ることは絶対にタブーで、そこに居残ることを常に最優先

第3章「戦争参加への道を拓く安倍外交の正体  日本はアメリカの真意を読み違えている」で私が注目したポイントは、概ね以下の通り。
・アメリカの軍産複合体は日本と中国との緊張を望んでいる。元太平洋局日本部長のケヴィン・メアは、「文芸春秋」2012.10で「日本は尖閣諸島の問題で頑張れ。そしてF-35戦闘機を買いなさい、イージス艦も買いなさい」とまで発言
・ヘリテージ財団のブルース・クリングナーは、2012.11の論文で、「日米関係は2つの理由で強化できる。1つは次の2012.11の総選挙で安倍晋三が政権を取るだろう。安倍が出てくることはまずプラスである」。もう1つは「日本の民衆の中国に対する懸念はアメリカにはプラスになる。日本が中国に不安を持てば持つほど、我々には出来ることがある」
・「ポツダム宣言」では、「日本国の主権は、本州・北海道・九州・四国並びに我等の決定する諸小島に局限されるべし」として、その他のかつての日本の領土は排除。領土問題は「サンフランシスコ講和条約」もその流れで決められている。ところが、日本政府は、この取り決めを認めようとしない
・現在の揉め事は、「北方四島、竹島、尖閣諸島などは日本の固有の領土である」と教科書に書かれ、中学校ぐらいから教えられていることから出発。国際法的には間違っていることを教科書で国民に教えようとしていることが原因
・「竹島棚上げ合意」は日韓国交正常化の5か月前の1965.1に訪韓した宇野宗佑議員と韓国の丁一権首相の間で密約として交わされた。日本側では棚上げ合意は一応知られているが、韓国側では殆ど知らされてない
・それと同じことが、1972.7の田中首相と周恩来首相との「日中国交正常化」やトウショウヘイ時代も「尖閣諸島の棚上げ」措置で展開
・ドイツがナチスの犯罪行為に心から謝罪したという形で、ヨーロッパではとりあえず第二次世界大戦の認識についてコンセンサスが出来た
・アジアの場合、特に韓国や中国では、太平洋戦争やそれ以前の植民地時代の見方が日本とは全く異なる。それどころか、日本国内でもあの戦争は何だったのかというコンセンサスが未だに出来ていない。韓国や中国とも話し合いが出来ず、それぞれの国が平行線をたどって、全く異なる歴史認識でぶつかり会うという繰り返し。韓国や中国の責任も大。両国とも戦後のナショナリズムを作り上げるために、日本を悪役として使っている。日本国内できちんと話し合いをして、国内のコンセンサスを図ることが必要。それさえ出来ずに、外国とのコンセンサスを実現することは大変難しいと思う
・安倍首相の提唱する集団的自衛権の本質は他国防衛。第二次大戦後、集団的自衛権の行使を主張して武力が行使された例は、旧ソ連によるハンガリー侵攻、チェコ侵攻、アフガニスタン侵攻、米国によるベトナム戦争・湾岸戦争初期の武力展開、ヨーロッパ諸国によるアフガニスタン戦争参加など。いずれもその戦争に参加した国の自国防衛とは無縁なものばかり
・自衛権と名前はついているが、「自国防衛の権利」である「個別的自衛権」とは、定義・実態とも異質。ポジティブな言い方をすれば、「集団的自衛権の行使」はグローバルな形で世界平和に貢献することだが、別な形で言えば、「米軍に日本の自衛隊が使われていくシステム」とも言える。集団的自衛権という言葉は国連憲章にある言葉を借用しているが、全く意味の違う形に誤用
・内閣法制局が日本の「憲法の番人」とされてきた背景には、アメリカ経由の憲法がどういう精神で出来ているかを知っているのが、最高裁ではなく、アメリカと交渉して憲法を制定させた内閣法制局だったから
・「集団的自衛権行使」には、元内閣法制局長官の宮崎、大森、坂田の3人が反対

また長くなってしまったので、明日に続けたい。
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