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新安保法制(その5)”自民党よ 私の反論を聞きなさい”3 [外交]

今日は、18、20日に続いて、慶応義塾大学名誉教授で改憲論者として知られる小林節氏が、日刊ゲンダイに「自民党よ 私の反論を聞きなさい」と題して、シリーズで寄稿しているものが12回で終了したので、私が特に重要と考える3つの項目に絞って取上げる。なお、このシリーズは自民党全議員に配布された「『安保法制』一問一答35」なる解説と、これに対する筆者の反論(→以下)。

まずは、18日付けの「<第7回>スパイ防止法がある以上、政府の判断を検証できない」では、以下のポイントを紹介しよう。
・【論点20】[問]集団的自衛権発動のための「新3要件」で定められた「国家の存立が脅かされる事態」を判断するための材料が「特定秘密保護法」の対象となり、政府が、国民に対してその判断の根拠になる情報を知らせずに自衛隊が出動する可能性がある。
[答]今回の法案では、存立危機事態と認定した事情を対処基本方針に明記することになっている。
→特定秘密保護法は、一般国民どころか国会議員にも知らせないための法律。だから、海外における他国間の軍事紛争にわが国があえて介入しようと決断した場合に、その根拠となる情報とそれをもってして、わが国は何をしようとしているのか、の詳細などが公表できるはずがない。だから、「政府に任せろ!」で自動的に戦争が始まってしまう法案
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160875/1

第二に、20日付けの「<第9回>海外で後方支援するのは明確な憲法違反だ」
・【論点23】[問]これまではイラクなど、他国軍を支援する際にはその都度、時限法を制定していたが、今回、恒久法が制定されれば、中東などで戦闘中の米軍の支援にいつでも自衛隊を派遣できるようになる。
[答]そうしたことはできないし、やらない。では、以下のポイントを紹介しよう。
→「我が国の安全に重要な影響を与える事態」であると政府が認定した場合には、必ずしも事前に国会の承認を得ずに、海外で戦闘中の外国軍隊を支援するために自衛隊をいつでも派遣できる。しかも、その「後方支援」なるものは、最前線での戦闘以外、軍隊が戦場で行うことのすべてを自衛隊ができる。つまり、戦争中の友軍に「後方」から合流して戦争に参加。そして、攻撃を受けたら、自衛のために反撃できる。要するに、米国などの戦争に「後方」から参戦できるようになる法案。憲法9条のもと、我が国は自ら戦争を放棄し、軍隊との交戦権を禁じている。その故に自国が攻撃された場合に、自国とその周辺だけを戦場にして自衛隊(第二警察)を用いた反撃(専守防衛)はできるが、海外派兵は禁じられてきたはず。憲法9条はどこへ行ったのか?
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160950

第三に、26日付けの「<第12回>これにて賛成派の論点、すべてを撃破」では、以下のポイントを紹介しよう。
・【論点29】 [問]一内閣の判断で憲法の重要な解釈を変えたことは立憲主義に反し憲法史上の大きな汚点ではないか。
[答]行政府が行政権を執行するために憲法を「適正に」解釈していくことは当然。今回の解釈(変更)は従来の解釈の基本的な考え方を変えるものではなく、立憲主義(憲法の枠の中での政治)に反するものではない。
→行政権を預かる内閣が新政策の策定の際に「憲法がどこまで許すか?」に関する閣議決定を行うことは、内閣として、当然の職務。しかし、今回のように、確立された憲法解釈が新政策の邪魔になるからといって、既述のように説得力のない「解釈」なるものを捏造した所業は、「適正」ではなく、その故に立憲主義に反するものであろう。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161149/1

このシリーズ全体の一覧は下記のリンク
http://www.nikkan-gendai.com/articles/index/news/2163

それにしても、前回20日のブログにも書いたように、国会論戦を見ていると、安部政権側が正面からの回答を避け、真の論争になっていないのは残念だ。ただ、9月27日まで異例の長さの会期延長をしたことで、今後の論議の深まりを期待したい。
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