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クール・ジャパン戦略をどう考えるか(続報) [経済政策]

4月6日のこのブログで、「クール・ジャパン戦略をどう考えるか」を取上げたが、今日はその続報である。
まずは、6月4日付けダイヤモンド・オンラインに、フリージャーナリストの中島恵氏が寄稿した 「メディアが煽る「日本礼賛」ムードを中国人はどう見ているのか?」を紹介したい。そのポイントは以下の通り。
・テレビや書籍で「日本礼讃」が繰り広げられている。中国人の友人は「来日して25年以上になりますが、最近の日本人を見ていてつくづく感じるのは、すっかり自信を喪失し、余裕がなくなっているということです。こんな日本人の姿を見るのは初めてです」
・中国人さえも心配する自信を取り戻せない日本人の姿。在日20年の中国人女性は「私、本当に悔しいんです。日本はこんなに資源がなくて面積も小さいのに、日本人はコツコツと努力して、これほどまでに立派な国をつくり上げたでしょう?でも残念ながら、今の日本ではあの頃の活気をあまり感じられません。日本人の中には、様々な思いが交錯しているのではないかと思います」
・領土問題や歴史認識問題を通じて、周辺国との関係がギクシャクしていることが、知らず知らずのうちに日本人に強いストレスを与え、そのストレスを取り除きたいという世論を反映して、メディアで「日本礼讃」番組や書籍が増加していったことは、確かだと思う
・中国人が日本のよいところを素直に認め、日本を誉めたり、うらやましいと思ったりしたことに対して、「まんざらでもない」気持ちを持った。それは必ずしも日本を優位に立たせ、日本人の自尊心をくすぐるという類の「煽った」ものではない。「そうか。私たちは認められているんだ」という、ほっと胸をなで下ろすような、心を落ち着かせる作用が、「爆買い」報道にはあった
・一部のメディアでは「日本礼讃」ブームに対して、「謙虚なことを美徳とする日本人は一体どこへ行ってしまったのか?」と日本人の自信過剰や自己満足を憂う声がちらほらと出始めたが、このような懸念を報じるメディアが出てくる様子を見ていて、筆者は日本がまだ日本らしさを失わず、日本社会は“健全”であると感じた
・日本で「日本礼讃企画」がここまで広がった背景には、やはり中国・韓国との軋轢が関係しているだろう
・日本人は、近隣諸国との関係で言えば、歴史認識について十分に語れるだけの歴史をしっかり学んでこなかった側面もある。日中の経済的な立場が逆転し、中国が頻繁に持ち出すようになった歴史・領土問題を前にして、日本人の多くは反論できず、立ちつくしている。国内では閉塞感に苛まれ、経済的には中国に圧倒され、その差が広がっていくのでは、という恐れがある
・それに加えて、中韓の傲慢なふるまいが、東アジアのムードを悪化させている。自分たちを守りたいと思うあまり、中韓に限らず、異質なものを排除しようとする「負の原動力」が働いているのが、今の日本で起きている現象だと思う
・筆者はこのような「負」の現状がずっと続くとは思えない。「日本礼讃」の風潮を「どこかおかしい」「なんとなく恥ずかしい」と思っている日本人が少しずつ声を上げ始めているという流れからもわかる通り、あまりにも急激に発展した中国のパワーに押されつつも、日本人が日本を過大や過小に評価するのではなく、徐々に冷静になって寛容さを取り戻し、「等身大」で現状を受け止めることができるようになってきているのではないか、と感じているからだ
・「日本礼讃企画」は日本にとって1つの通過点だったのであり、日本人が本来持つ謙虚な姿勢へと少しずつ戻っていく調整段階だったのではないか。中国人がこれだけ日本を認めてくれているように、「自画自賛」ではなく「等身大の自信を持つこと」こそ、今の日本に必要なことではないか
http://diamond.jp/articles/-/72572

次に、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューに石倉洋子・一橋大学名誉教授が連載している記事のうち、6月25日付けの「「日本われぼめ症候群」の深層 デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)×石倉洋子【特別対談7】」のごく一部のポイントだけを紹介しよう。なお、アトキンソン氏については4月6日のこのブログでも発言を紹介した。
・話題の「おもてなし」。皆さん「世界最高」と胸を張るけれど、世界最高のおもてなしがあるのに、なぜ訪日客が1300万人しかいないのでしょうか。フランスは年間8473万人、スペインは6000万人、イギリスは3100万人
・日本は、外国からの訪問者数で他国より劣っているのに、世界最高という話が一人歩きして、その感覚で語りたがる
・京都の外国人訪問者数は190万人ですが、ロンドンは1600万人、パリは1500万人です。なのに「京都は世界一の観光地」という、揺るぎない自信を持っています。そんな素晴らしい所なら訪問客がロンドン並みにあって良いはずなのに、190万人しかいないのはなぜか、という声は上がりません。世界から見れば「非常識」なのに、内輪で褒め合っているだけ
・アニメにしても、「クール・ジャパンの先陣を切るのはアニメ」というのには、非常に違和感を持っていました。そうしたら、先日、アニメ界で著名な方がこう言うのです。「日本のアニメと漫画はずっと前から世界中で売れていた。いまさらクール・ジャパンに結びつけられるのは余計なお世話だ」。なるほどな、ですよ
・「お・も・て・な・し」は上から目線で押しつける発想。自分たちが「これが一番だ」と言うのは傲慢。「これが一番」という評価は相手(他者)がするもの。相手の事情はお構いなしに一方的な宣言で悦に入る。「私は謙虚です」と本気で言う人はいませんよね。でもそう言っているようなもの
・「私たちの素晴らしいサービスを受けられて、あなた幸せでしょう」と相手の感想を聞く前から決めつけている、典型的な上から目線
・茶道でも、「客三分、亭主七分」というのですが、お茶会の楽しみは亭主が主で、亭主が用意した趣向を理解できるのがよい客、できない人は二度と呼ばない。相手をもてなすより、自分がしたいようにすることのほうが大事
・“うつ病国家”からの脱却が必要。マイナス思考が強くて、何も変えたがらないというのはうつ病の特徴です。支持・不支持はさておき、少なくとも民主党政権の時は全部マイナス思考で、朝から晩まで「あれはダメ」「これもダメ」と言われているようでした。「2位じゃダメですか」は本質的な話ではあるけれど、それを政治家や社長が言ってはいけないでしょう。2位が実力値だとしても、やはりトップに立つ人はプラス思考で上を目指さなければ社会も会社もなり立ちません
http://www.dhbr.net/articles/-/3344

中島恵氏の寄稿内容は、中国人の見方はごく一部で、殆どは氏自身の見方ではあるだが、私が感じていた違和感をズバリ解いてくれた。アトキンソン氏のような知日派外国人の見方は、日本人には気づかない点を数多く指摘してくれる点でも大いに参考になる。
明日は、金曜日なので休みとしたい。土曜日にご期待を。
タグ:中島恵 日本人 テレビや書籍で「日本礼讃」 メディアが煽る「日本礼賛」ムードを中国人はどう見ているのか? クール・ジャパン戦略 自信を喪失し、余裕がなくなっている ・領土問題や歴史認識問題 周辺国との関係がギクシャク 日本人に強いストレス ストレスを取り除きたいという世論 私たちは認められているんだ ほっと胸をなで下ろすような、心を落ち着かせる作用 「爆買い」報道 日本人の自信過剰や自己満足を憂う声 日本がまだ日本らしさを失わず、日本社会は“健全” 日本礼讃企画 中国・韓国との軋轢が関係 歴史認識について十分に語れるだけの歴史をしっかり学んでこなかった 日本人の多くは反論できず、立ちつくしている 国内では閉塞感に苛まれ 経済的には中国に圧倒 その差が広がっていくのでは、という恐れがある 中韓の傲慢なふるまい 異質なものを排除しようとする「負の原動力」 「等身大」で現状を受け止める 1つの通過点 謙虚な姿勢へと少しずつ戻っていく調整段階 石倉洋子 「日本われぼめ症候群」の深層 デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)×石倉洋子【特別対談7】 世界最高のおもてなし 訪日客が1300万人しかいない 外国からの訪問者数で他国より劣っているのに、世界最高という話が一人歩きして、その感覚で語りたがる 京都の外国人訪問者数は190万人 、ロンドンは1600万人、パリは1500万人 「京都は世界一の観光地」という、揺るぎない自信 世界から見れば「非常識」なのに、内輪で褒め合っているだけ アニメ 日本のアニメと漫画はずっと前から世界中で売れていた。いまさらクール・ジャパンに結びつけられるのは余計なお世話 お・も・て・な・し 上から目線で押しつける発想 自分たちが「これが一番だ」と言うのは傲慢 「これが一番」という評価は相手(他者)がするもの 相手の事情はお構いなしに一方的な宣言で悦に入る 私たちの素晴らしいサービスを受けられて、あなた幸せでしょう 典型的な上から目線 茶道 客三分、亭主七分 お茶会の楽しみは亭主が主 亭主が用意した趣向を理解できるのがよい客 相手をもてなすより、自分がしたいようにすることのほうが大事 “うつ病国家”からの脱却が必要 マイナス思考が強くて、何も変えたがらない
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