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GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の新運用方針 [経済政策]

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)については、このブログの4月15日付け「「官製相場」の増殖」で簡単に取上げただけだった。7月11日付け日経新聞で「公的年金運用、国内債4割下回る 株式増えリスク高まる」と、本年3月末までの運用状況の変化を伝えた。

そこで、今日はGPIFの新運用方針(2014年10月31日公表)そのものについて取上げたい。
まずは、資産運用に詳しい経済評論家の山崎元氏が2014年11月5日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「GPIFの新運用方針を個人投資家はどう読むべきか」のポイントを紹介しよう。
・GPIFの新しい「基本ポートフォリオ」は、国内株式25%、外国株式25%、外国債券15%、国内債券35%と決まった。国内株式で±9%、国内債券は±10%といった間抜けなまでに大きな「許容乖離幅」が設定されているが、株式が内外合わせて50%、外貨建て資産が40%と整理された、覚えやすいポートフォリオ
・今回のGPIFのリスク資産投資の増額は、政府の方針の押しつけによるものであり、安全性と収益性を計算した結果ではない。有り体に言って、公的株価対策への協力の産物
・GPIFと日銀が協力して行う「公的相場操縦」がいよいよ本格的に始動
・GPIFの運用計画の発表資料はプロとして恥ずかしい出来。①政府の長期経済見通しを前提として計画を考える点が、計画を検討した人々にとっては「そうせざるを得ない」ところであっただろうが、気の毒なまでに現実離れ。②運用の目標として、賃金の上昇率に1.7%を加えた「実質的な運用リターン」を目指せ、という厚労大臣の目標提示は、リスクに対する考慮が不足した「無理筋」
・現実離れした想定期間や許容乖離幅 運用の考え方までGPIFに学んではダメ。運用の想定期間が25年というのも現実離れ。運用の想定期間はポートフォリオの調整スピードから決まる。25年を平均的に見通して標準となるポートフォリオを定める、という方法は全く馬鹿馬鹿しい。リスクの目処として「全額国内債券ポートフォリオ」を用いるのも不適切だ。国内債券では賃金上昇率+1.7%をほとんど達成できないので、単に希望する期待リターンのポートフォリオの中からリスクの最も小さなものを選んだだけのポートフォリオ
・「国内債券」に±10%、「国内株式」に±9%、「外国株式」に±8%などと付けられた「許容乖離幅」は、大きすぎて無責任だ。上下にこれだけ異なるポートフォリオは、全く「別物」
http://diamond.jp/articles/-/61476

次に、5月7日付け日刊ゲンダイ「GPIF運用委員を務めた小幡績氏が指摘「国民にリスク説明を」」のポイントを紹介しよう。
・日銀やGPIFが株を積極的に買っているが、それをもって、この相場はGPIFと日銀によりつくられたというのは言い過ぎ。株価上昇の理由は、これまでが安過ぎたこと、アベノミクスが株式市場の悲観論の払拭には成功したこと、大企業を中心に収益基盤が強化されてきたこと。そうした流れに勢いをつけたのが日銀のETF購入とGPIFのポートフォリオ見直し。そういう意味で流れを加速化させた。激しくさせた。そういうキッカケをつくったという表現が適切
・株式に50%というのはハイリスク・ハイリターンを狙う運用手法だが、日本人のテイストとは違う。国民にローリスク・ローリターンでいくのか、ハイリスク・ハイリターンを求めるのか、まず説明して、理解を求める。国民が「それでお願いします」という意思決定プロセスにすることが必要
・世界全体の株式市場に占める日本株の割合からいえば、日本株の割合は数%が妥当。リターンを求めるのであれば、世界の不動産投資、インフラファンドなどいろいろある。長期投資で巨額の資金を動かせる年金資金が上場株を大量に買うのは、投資家としてセンスが悪い。どうしても日本株を買いたい別の理由があるんじゃないかと思わざるを得ない
・世論をミスリードする塩崎大臣の答弁。制度的な維持可能性と運用利回りの問題を切り離して考えるようにするべき。年金制度の維持可能性については、制度として考え、運用は、運用環境から妥当な目標利回りを決めるべきであって、制度の歪みのシワ寄せを運用に持ってこないようにするべき。塩崎大臣は国会答弁で、年金運用の目標利回りを達成できないことがリスクであるという言い方をして、株への投資拡大で、リスクが減るという理屈を述べた。世界にも歴史的にも前例のないリスクの定義。制度破綻のリスクと運用上のリスクは全く別の話なのに、すり替えてしまった。世論をミスリーディングする答弁
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159521

両氏とも安部政権の意向に沿った新運用方針には批判的だが、さらに、私が危惧するのは新運用方針への転換のタイミングである。株安、円高時代に転換していたのであればよかったが、既に株高、円安となった段階で転換したことのリスクの重みをやがて痛感させられることは覚悟すべきと思う。
タグ:日経新聞 GPIF 日刊ゲンダイ 年金積立金管理運用独立行政法人 山崎元 ダイヤモンド・オンライン 「官製相場」の増殖 公的年金運用、国内債4割下回る 株式増えリスク高まる 新運用方針 GPIFの新運用方針を個人投資家はどう読むべきか 間抜けなまでに大きな「許容乖離幅」が設定 リスク資産投資の増額 、政府の方針の押しつけ 公的株価対策への協力の産物 GPIFと日銀が協力 公的相場操縦 政府の長期経済見通しを前提 気の毒なまでに現実離れ 運用の目標として、賃金の上昇率に1.7%を加えた「実質的な運用リターン」を目指せ 厚労大臣の目標提示は、リスクに対する考慮が不足した「無理筋」 GPIF運用委員を務めた小幡績氏が指摘「国民にリスク説明を」 株価上昇の理由 これまでが安過ぎ アベノミクスが株式市場の悲観論の払拭には成功 大企業を中心に収益基盤が強化 流れに勢いをつけたのが日銀のETF購入とGPIFのポートフォリオ見直し 意思決定プロセス 日本株の割合は数%が妥当 年金資金が上場株を大量に買うのは、投資家としてセンスが悪い どうしても日本株を買いたい別の理由があるんじゃないかと思わざるを得ない 世論をミスリードする塩崎大臣の答弁 制度的な維持可能性 運用利回りの問題 切り離して考えるようにするべき 転換のタイミング 株高、円安となった段階で転換したことのリスク
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