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新安保法制(その6) [国内政治]

今日は、衆院特別委で、安保法案が与党単独で可決され 明日にも衆院通過の見込みとなった。この問題について、前回の6月27日に続いて、今日はその6として取上げたい。

まずは、最近の世論調査である。7月14日付け日刊ゲンダイ「相次ぐ不支持逆転…安倍首相はそれでも強行採決できるのか」のポイントを紹介しよう。
・NHKと朝日新聞が13日発表した世論調査でも内閣の支持・不支持が逆転。NHKでは安倍内閣を「支持しない」が43%を占め、「支持する」の41%を上回った。朝日でも「支持しない」が42%に増え、「支持する」の39%を超えた。日本テレビや毎日新聞でも「反安倍」が優勢
・不支持が増えたのは、安全保障関連法案をめぐる強引な国会運営への反発だ。安倍首相は「私も丁寧に説明し、国民の理解も深まってきている」と強弁しているが、世論は真逆。NHKの調査では安保法制整備について「大いに評価」「ある程度評価」は32%にすぎず、「あまり評価せず」「全く評価せず」が61%の半数超え。朝日でも「賛成」が26%に対し、「反対」は56%に
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161757/1

次に、審議時間が110時間を超え、戦後6番目の長さになったと、7月13日のNHKニュースが報じたが、これによれば、日米安保条約(S35)136時間。社会保障と税の一体改革(H24)129時間、沖縄返還関連法(S46)127時間、政治改革関連法(H5)121時間、郵政改革関連法(H17)120時間、安全保障関連法(H27)110時間である。憲法違反の疑いもある戦後安保法制の抜本的見直しであれば、もっと審議に時間をかけるのが当然で、110時間を超えたことは単なる口実に過ぎないといえよう。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150713/k10010149501000.html

第三に、7月14日付けダイヤモンド・オンラインで保守派の国際関係アナリストの北野幸伯氏が寄稿した 「「安保関連法案」で安倍総理が犯した2つのミス」のポイントを紹介しよう。
・ 安倍首相は4月の米議会での「希望の同盟演説」で「戦略的勝利」をしたが、「2つの失敗」で再び苦境に陥った
・1つ目の失敗は、「この夏までに、成就させます」と安倍総理が米国に「約束」
・2つ目の失敗は、「中国との関係改善」。日本に猜疑心を覚えた米国 「二階訪中団」が裏目に
・強行採決すれば祖父と同じ道? 安倍総理が危機を脱出する方法(故・岸信介元首相は1960年5月、「新安保条約」を強行採決。しかし、2ヵ月後には総辞職
・安倍総理に出来ることは、強行採決を見送り、米国には「約束は守れないが、私が総理を続投しなければ大変なことになる」と主張すること
http://diamond.jp/articles/-/74860

第四に、7月13日付け日刊ゲンダイが掲載した法大教授の山口二郎氏による痛烈な批判記事「安倍首相は劣情で国民を道連れにするな」のポイントを紹介しよう。
・憲法学者の「違憲表明」に耳を貸さないばかりか、「学者に平和は守れない」とケンカを売った安倍政権に「このケンカは買うしかない」と立ち上がった
・権力者にとって批判的なメディアと学者というのは目障りですからね。さまざまな形で攻撃してくるのは当然ですが、戦後史くらいはちゃんと勉強して欲しいですね
・自民党は岸信介政権まで憲法改正と再軍備を目指し、普通の軍隊を持とうとしていた。戦前回帰の野望を隠さぬ権力者に我々の大先輩にあたる学者たちが立ち上がり、批判し、その議論にメディアと国民も呼応して、60年安保という戦いが巻き起こった。自民党も高まる批判の声を聞き入れざるを得なくなり、結局、岸首相は退陣に追い込まれた
・1960年を境に自民党は生まれ変わった。それが戦後史の常識。岸的な復古主義の右翼政党から、合理的かつ近代的な保守政党にモデルチェンジ。批判に耳を傾け、軌道修正を図った。事実上、憲法改正を棚上げし、専守防衛や集団的自衛権の行使を禁じるという平和国家路線にシフトしたのも、60年以降
・一党優位時代の自民党の方が謙虚でした。自分の分からないことは他人の知恵を借りながら、国を統治する。視野の広さと懐の深さを持ち合わせていました。違う意見のやつを力ずくで押さえつけたら、独裁になるという緊張感もありましたね。戦後史の節目節目で学者や野党の批判に耳を傾け、軌道修正を図ったからこそ、自民党は長期政権を築いてこれたのだし、ベトナム戦争でも日本は戦渦に巻き込まれずに済んだ
・3年半の野党暮らしを経て再び政権の座についてから、自民党の劣化は目に余る。選挙に勝ったのだから、自分たちは何をやってもいいと開き直り、やりたいことは全部やらせてもらうという態度を隠そうともしない。 政党内でのバランス感覚が崩れ、トップの独裁色が強まっていきます。ましてや、今のトップは批判を許さぬ人ですからね……
・国立大の人文社会系学部を廃止しようとしているが、文科系の学問の目的のひとつは、権力と正義の識別を教え、強者にも臆せず批判できる知識を磨き上げること。世の中を批判的に見る人物の一掃が狙いだとしたら、秦の始皇帝の焚書坑儒やナチスの焚書、ポルポトの知識人大虐殺に匹敵する歴史的蛮行
・今の政治家たちは本当に子どもじみている。安倍首相だけじゃなく、取り巻きたちも皆、幼稚。戦争がどれだけ悲惨なのか、というリアリティーを全く感じ取ることができない。それでいて安保法制は「自衛隊にリスクはない」とか「国民の安全を高める」とか、よくも言えたものです。百田尚樹のヨタ話に同調して沖縄県民をおとしめる政治家たちも、臆病ないじめっ子です
・安保法制の原動力は、外務省と安倍首相、2つの劣等感
・外務省の劣等感とは、湾岸戦争のトラウマ。日本は普通の軍隊を持っていないから、国際社会で軽んじられるという思い込み。日本は本来、国連安保理の常任理事国になれる大国なのに、軍隊を持たないばかりに発言権を与えられていないという偏った見方。外務省のメーンストリームほど、そうした偏向が根深い。勝手に劣等感を抱いた外務省幹部が、安保法制の筋書きを描いている
・安倍首相の劣等感とは、やはり祖父を何としても超えたいというグランドファザー・コンプレックス。安倍首相は一族内ではお利口サンではないから、幼い頃から周囲にバカにされてきた。その積年の恨みを祖父を超えることで晴らしたい。祖父がやりたくても出来なかったことを実現することでね。そんな個人的な劣等感と、武力行使を放棄した戦後日本に対する劣等感とが、安倍首相の心の内でぴったり融合しているような印象
・日本最大の右翼組織「日本会議」に連なる人々(首相もその一人)は、武力を放棄した戦後日本に劣等感を抱いている。 アメリカにこんな憲法を押し付けられたから日本は半人前の国になってしまった、そんな劣等感が戦後の保守勢力に脈々と受け継がれてきた
・集団的自衛権には実質的な必要性がない。安倍首相と外務省のメンツというか感情的な話だけ。我が国を取り巻く安全保障環境が悪化したというなら、アフリカや中東に自衛隊を送るのは愚の骨頂。日本が手薄になってしまう
・安倍首相をつき動かしているのは劣情。参加しなくてもいい戦争に進んで参加し、無駄に敵をつくっていけば、いつか必ず日本の国内でもテロが起きますよ。安倍首相が劣情を抱くのは勝手ですが、国民を道連れにするなと言いたい
・国会の多数を握った側が何をやっても許されるのは、民主主義とは言えない。昔の自民党ならある程度、議論して国民も反対、野党の異論にも理があるとなれば継続審議。マトモな法案に仕上げてから出直したものです。今の自民党は民主主義を健全に進める常識さえ失っています
・しかし、大幅会期延長はリスクもはらむ。広島・長崎の原爆記念日、そして8月15日の頃には平和を望む世論は高まる。70年談話などを契機に安倍首相の歴史認識を危ぶむ声が国際的に強まり、支持率と不支持率が逆転する展開になれば、政権もそう簡単に安保法制を通せません
・安倍政権は、なりふり構わず学者を潰しにかかっているのだから、戦うしかない。私は論文を書くより国会前で演説する方が楽しい性格ですからね。学者は今、仲間内の議論より、社会に意見を発信し、権力と戦うべき時です。若い世代が発言し始めたことは心強いことです
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161575/1

山口二郎氏の批判はよく練られ痛烈。
今回、強行採決に踏み切った理由の1つに「60日ルール」があるとされる。参議院が60日以内に議決しない場合には、否決されたとみなして、衆議院で2/3以上の多数で可決できるというもの。今後は、参議院の良識ある審議に期待する他ないが、「60日ルール」が効くようにスケジュールされているので、それにも余り多くを期待できないかも知れない。
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