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東芝不正会計問題(その3) [企業経営]

東芝不正会計問題については、このブログの6月30日、7月9日に取上げ、第三者委員会の報告を待っていたが、20日に報告書が公表され、この2日間は新聞でも大きく報じられた。そこで今日は(その3)として取上げたい。

まずは、以前も紹介したことがある闇株新聞の16日付け「だんだん問題が大きくなる東芝の「不適切会計」」のポイントは以下の通り。
・各種の報道は、マスコミが独自取材で掲載できるような記事ではなく、全て「周囲」が意図をもってリークしたものばかり。周囲とは金融庁(証券取引等監視委員会を含む)に東京証券取引所、それに東芝に1兆9000億円も貸し込んでいる銀行などのこと
・東芝の「不適切会計」が発覚したころの「周囲」が明らかに東芝に配慮して穏便に何事もなかったように収束させるとの方針が、7月8日ころからハッキリと変化
・東芝はこれまで経団連会長(2人)や上場を控えた西室・日本郵政社長らを輩出している名門企業であり、日本有数の原発メーカーでもあるからです。1兆9000億円も貸し込んでいる銀行も含めて「問題を大きくすべきではない」との配慮が働いていたはず
・東芝の「不適切会計」が世間に認識されたのは5月8日に「第三者委員会設置」「業績予想の修正(正確には業績予想の取消)」などがIRされたときですが、この時点では「不適切会計」が存在するのは一部の社内カンパニーだけで(具体的には佐々木副会長の影響下にある社会インフレ事業だけで)、その損失も500億円程度
・それで「粉飾決算」という言葉をマスコミに使わせず、有価証券報告書の提出の2ヶ月遅延など「そんなのありなの?」と言いたくなる大甘措置を認めていました
・7月に入ってから風向きが変わった最大の理由は、第三者委員会に東芝の対立する各陣営から積極的な情報が提供された(要するに活発なタレこみ合戦が行われた)ため、さすがに第三者委員会としても「玉虫色の報告書で済ますことができなくなった」からでしょう
・そうすると今まで東芝に配慮していた「周囲」は、よく調べたら東芝が悪いことがわかったとの状況証拠を積み上げ、万が一にも責任を問われないようにしなければなりません。7月8日以降の一連の報道は、「周囲」の方針がそのように変化していく状況をきれいに裏付けています
・「不適切会計」が「粉飾決算」に格上げになることはなく、刑事事件化も上場廃止もありません。東芝は、当局と銀行が送り込む取締役が過半数を占める「半占領企業」になってしまうだけです
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1473.html

次に、22日付け日経ビジネスオンラインの「東芝不正会計、本当の責任者を出せ!悪いのは田中社長だけか」のポイントを紹介しよう。
・まさか名門・東芝の中枢で、不正会計を見て見ぬふりし、「悔い改めたい」という現場の良心を踏みつぶす。もう、すっかりアウトである。どこが「不適切な会計」なものか。立派な「不正会計」ではないか
・カメラに向かって深々と頭を下げる田中社長の写真の何と日本的なことか。米欧では「謝罪より補償」である
・「報告書には2012年度の期末、残り3日の時点で、佐々木さんから『120億円の上積み』を要請されたとあります。その時、田中社長はなぜ、ノーと言えなかったのですか」と質問したところ、再びの沈黙。田中社長の顔は紅潮。「大変申し訳ないが、回答は差し控えたい」
・そうですか。差し控えますか。では我々も追及を続けることといたしましょう。1500億円もの利益水増しが、いったい誰の命令により、どんな手口で実行されたのか。その償いを誰がすべきか。田中社長。辞任されても暑い夏は、まだまだ続きますぞ
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/280248/072100005/?P=1

第三には、22日付け日刊ゲンダイ「1562億円水増し 粉飾疑惑の「東芝」経営陣は逮捕されないのか」のポイントを紹介したい。
・歴代3社長は、引責辞任することで「司直」の手から逃げ切るつもりだ。しかし、決算の粉飾はレッキとした犯罪
・第三者委も東芝寄りのスタンスで、上田廣一委員長(元東京高検検事長)は「個別に検討すれば不正とみられるものもあった」としたものの、刑事事件に発展する可能性について「調査範囲外のことなので答えるのは難しい」と言葉を濁した
・東芝は「証券取引等監視委員会」による行政処分だけで、一件落着にするつもりだ。実際、上場廃止も回避され、刑事事件にも発展しないという解説が流布
・何と、「東芝の不正経理は赤字隠しが目的ではない。企業体質が原因だから、指示や共謀が明確でなく事件化は難しい」という。しかし、トップが「チャレンジしろ」と部下に不正経理を指示したことが明らかになっているのに、おとがめなしで済まされるのか
・過去にはカネボウが2000億円、ライブドアが53億円、オリンパスが1100億円の「粉飾決算」で立件され、経営陣が次々に逮捕
・郷原信郎弁護士(元東京地検検事)、「会計処理上の問題は不正をはたらいた認識の有無が問われるため、法律に抵触するかの判断は難しい。手掛かりをどう明らかにするかが第三者委の腕の見せどころですが、299ページにも上る報告書は中身がスカスカ。なぜ無理な利益目標を押し付けたのか、なぜ監査法人による歯止めが利かなかったのか。真相が何ひとつ明らかになっていない。東芝も第三者委も、幕引きありきで動いている印象です。これで決着すれば、企業はやりたい放題です」
・意外にも東京地検は、ヤル気満々のようだ。告発状が出されれば、受理し、捜査に動く態勢だという。「この数年、東京地検は大きな事件を何も手掛けてこなかった。政治資金規正法に問われた小渕優子氏も、麻薬を密輸したトヨタ自動車のジュリー・ハンプ元常務役員も、立件しなかった。このままでは、地検は何をしているのかという声が広がりかねない。国民は納得しない。ここで東芝本社を強制捜査し、歴代社長3人を立件すれば、東京地検の存在意義を見せられる。実際、1500億円の不正会計は問題です。東芝は『有価証券報告書』に故意に虚偽記載している。金融商品取引法違反に問えるはずです」(法務省関係者)
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161998

闇株新聞の指摘はさすがに鋭く、うなづかせられる点が多い。郷原信郎弁護士は他社の第三者委員会の委員長も務めただけに、大甘の報告書への指摘は鋭い。
日刊ゲンダイの東京地検の姿勢に関連しては、15日の日経新聞は「東芝 課徴金処分へ 監視委虚偽記載と判断」との観測記事を出している。監視委員会や金融庁は刑事告発までする気はなく、課徴金処分で済まそうとしていたのが、風向きが変わったのか、今のところ不明である。海外のメディアや市場関係者の関心も高いので、「ケジメ」を付けないと恰好がつかなくなった可能性もあるが、今回に限っては東京地検は「待ちぼうけ」を喰らわされる可能性の方が強いのではなかろうか。
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