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原発問題 [経済政策]

原発再稼働問題については、7月8日、23日に取上げたが、今日は原発そのものの問題について取上げよう。

6月1日の日経新聞夕刊は「30年度の電源構成 原発比率20~22%案を決定 政府、3年ごとの見直し明記」と題して、総合資源エネルギー調査会の専門委員会で大筋了承、一般から意見を募った上で、7月にも正式決定と伝えた。現在のところ、最終決定の報道はないが、概ね原案通りになる可能性が高いだろう。

これに関連して、7月7日付け週刊エコノミスト「時代遅れの「ベースロード電源」 世界はもっと柔軟な系統運用」のポイントを紹介しよう。
・ベースロードとは、海外では「一定の比率で所与の期間を通じて供給される、或いは必要とされる電力の最小の量」、日本では「発電コストが低廉で安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源」とされ、原子力、石炭火力などが相当
・現在では世界的に、ベースロード電源議論はタブーに。ドイツやフランスでは、原発ですら、夜間にいくつかを定格出力の30-50%まで絞る負荷に応じた可変運転が日常化。消滅の要因は再生エネルギーの導入(再生エネは短期限界費用が安いため、市場では優先的に落札)。日本のような固執は電力市場の軽視

次に、8月1日の日経新聞は「東電元会長ら強制起訴へ 検察審議決、原発事故「回避できた」」を伝えた。これに関連して、6月20日付け日刊ゲンダイの「社内文書で「津波対策は不可避」 決定的になった東電の“人災”」のポイントを紹介したい。
・東京電力が、東日本大震災の前に「津波対策は不可避」との文書を作成。6月18日、東京地裁で行われた福島第1原発の事故をめぐる株主代表訴訟の口頭弁論で、明らかになった
・東電が2008年9月の会議で使った社内文書。「地震及び津波に関する学識経験者のこれまでの見解及び、地震調査研究推進本部(推本)の知見を完全に否定することが難しいことを考慮すると、現状より大きな津波高を評価せざるを得ないと想定され、津波対策は不可避」と結論づけている。文書は機密性が高いとして、会議後に回収
・東電は震災前、三陸沖巨大津波の可能性を示した政府の推本の予測を受け、独自に検討。08年3月ごろまでに、従来の想定を上回る最大15.7メートルの津波を試算していたことが判明。東電はこれまで「試算の域を出ず、設計上の対策に使えるものではなかった」と説明
・今回、社内文書が発覚したことで、東電は震災が起こる2年半も前から危険性を把握していたにもかかわらず、津波対策を行わず“放置”してきたことになる。原告側は「東電は不可避の対策を先送りしたことを自白している」「回収予定の文書だから記載されたもので、東電の本音を示している」などと指摘
・原告の代理人である海渡雄一弁護士は、「津波対策を行うとなったら、お金はかかるし、原発をしばらく止めなければいけなくなる。東電側はそれを嫌い、工事を決断することができなかったんだと思います。耐震バックチェック(耐震性を再評価する作業)を続けながら、古い原発を耐用年数まで使い終わった後に、津波対策の工事をやろうとしていたのではないでしょうか」
・工事費をケチって対策を怠っていたのだとしたら、完全に“人災”
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160949/1

電源構成での原発比率がどう決まるにしても、その背景に時代遅れの「ベースロード電源」の考え方への固執があるとすれば、問題である。
検察審での東電元会長らの強制起訴決定には拍手したい。上記の社内文書などはあっても、現実の裁判では立証のハードルは相当高いだろう。裁判の結果には期待できないとしても、裁判の過程で東電側の対応が白日の下に明らかになることは大いに意義があるだろう。
タグ:原発再稼働問題 原発問題 日経新聞 30年度の電源構成 原発比率20~22%案を決定 政府、3年ごとの見直し明記 総合資源エネルギー調査会 週刊エコノミスト 時代遅れの「ベースロード電源」 世界はもっと柔軟な系統運用 ベースロードとは 海外では「一定の比率で所与の期間を通じて供給される、或いは必要とされる電力の最小の量」 日本では「発電コストが低廉で安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源」 原子力、石炭火力などが相当 世界的に、ベースロード電源議論はタブーに ドイツやフランスでは、原発ですら、夜間にいくつかを定格出力の30-50%まで絞る負荷に応じた可変運転が日常化 消滅の要因は再生エネルギーの導入 日本のような固執は電力市場の軽視 東電元会長ら強制起訴へ 検察審議決、原発事故「回避できた」 日刊ゲンダイ 社内文書で「津波対策は不可避」 決定的になった東電の“人災” 東京電力 東日本大震災の前に「津波対策は不可避」との文書を作成 2008年9月の会議で使った社内文書 津波対策は不可避 三陸沖巨大津波の可能性を示した政府の推本の予測 08年3月ごろまでに、従来の想定を上回る最大15.7メートルの津波を試算 東電は不可避の対策を先送りしたことを自白 回収予定の文書だから記載されたもので、東電の本音を示している
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