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日経新聞のファイナンシャル・タイムズ(FT)紙買収(その1)主にメディア論的観点から [メディア]

今日は、日経新聞のファイナンシャル・タイムズ(FT)紙買収を(その1)として、主にメディア論的観点から取上げている記事を紹介したい。

先ずは、7月24日付け東洋経済オンライン「日経によるFT電撃買収は、うまくいくのか わずか2カ月で大型買収を決めた事情とは?」のポイントを紹介しよう。
・リリース発表直後、FT編集室は騒然となったという。急なニュースであったことと、日本の新聞社に買われたことで、勤務場所の移動があるかどうかが懸念。FTの編集の独立性が失われるのではないかという懸念も
・FTグループのジョン・リディング会長は「編集権の独立権問題は交渉の中で重要な位置を占めた」として、保障されることを確約。127年の歴史を持つFTの発行部数(紙と電子版)は73.7万部。有料購読者の70%が電子版の購読者だ。5年前は24%だった。2012年に電子版の購読者が紙版の購読者を上回った。紙版の発行部数は過去10年で半減し、最新の数字では21万部(英ABC)。電子版は急速な勢いで伸び、現在は50.4万部(前年比で21%増)。ウェブサイトへのトラフィックの半分がスマートフォンやタブレットによる
・FTは1888年、銀行家ホレイショ・ボトムリーが「正直な金融家と尊敬できる仲買者」のために、「ロンドン・フィナンシャル・ガイド」として創刊。当初は4ページ組みで、名前を「フィナンシャル・タイムズ」に変更。ロンドンの金融街(シティー)向けの新聞で、4年前に創刊されていたライバル紙フィナンシャル・ニュースと競争関係。紙面をピンク色にしたのは1893年で、ほかの経済・金融紙と差をつけるため。1945年、競合関係にあったフィナンシャル・ニュースと合併。執筆陣はニュース紙から、名前とピンク色の紙面はFTからもらった
・FTは経済、金融を中心としているものの、政治、国際、社会、文化、論説といった幅広い分野の記事を掲載する。英国を含む欧州では経営幹部ともなれば、経済、政治のみならず、テクノロジー、アート、音楽、ワイン、旅、健康的なスポーツ、社会貢献活動など広いテーマについて知っていることが重要。FTは経済・金融専門紙であることに加え、世界中にいる知識層向けの高級紙=クオリティー・ペーパーでもある
・「FTがなければ、コメントできない」(No FT, No Comment)は著名な宣伝文句
・日本で相当する新聞を探すとすれば、誰もが真っ先にあげるのが日経だが、日経とFTは新聞文化が異なる。FTなどの「高級紙=クオリティー・ペーパー」は社会の中の一定の知識層を対象にしており、部数が非常に少ない。日本のように「1部でも多く、あらゆる種類の層の人に、という部分では勝負していない
・また、「権力に挑戦するジャーナリズム」が英国の新聞の場合はデフォルトの姿勢だ。日本は是々非々での「挑戦」であり、必ずしもデフォルトではない
・オリンパスの不正を報じない日本のメディア。ガーディアン紙は社説記事「メディアのグローバル化はFTにとって良いニュース」の中で、東芝の不正会計の話に触れ、日英の金融スキャンダルについての考え方の違いを挙げる。日本ではこのようなスキャンダルで「大体が犠牲者はいないと見られがちだが、英米では株主の利益を重要視し、正確な情報を与えられなかった株主が犠牲になったと考える」
・損失隠しスキャンダルがあったオリンパスも例に。このスキャンダルをスクープ報道したのはFTだったとし、日経は「報道が避けられなくなるまで、報じなかった」。日本の大手メディアのジャーナリズムが「腐敗しているのではないが、敬意を表する」傾向があるのに対し、アングロサクソン系はそうではなく、「何物にも敬意を表さない」。日英のジャーナリズムの立ち位置は異なるが、「それぞれの新聞社の文化の良い部分がお互いに影響を与えあうだろう」としている
・ジャーナリズムの面からも期待が大きい。英国の新聞記者なら誰でもやっているツイッター使いや、ウェブサイト上のブログ執筆、国際的なリーク情報を基にした調査報道、ソーシャルメディアに上がってくる生情報の検証スキル、大事件が発生したら、記者2−3人がことの経緯をどんどん綴ってゆく「ライブブログ」など、英語圏のジャーナリズムで盛んに行われている手法が日本に直に入ってくれば、これは相当おもしろい。経営としては難題が多そうだが、ジャーナリズムの観点からは、久方ぶりに日本の"村社会"に大きな刺激をもたらすことは間違いない
http://toyokeizai.net/articles/-/78135

次に、選択8月号の「日経新聞「FT買収」の大きな誤算 効果乏しき「高値摑み」の重荷」のポイントを紹介しよう。
・記事の質、記者の見識、世界的な知名度、影響力など殆どの面で日経はFTの足元にも及ばず
・シナジーといっても、記事交換やデジタル販売ノウハウ以外は具体的には全く見えない
・取上げた記事については、日経、朝日は1面トップ、読売は1面だが3段と冷静、電子版は「おまけ」扱い。日経、朝日はFTのデジタル・ファースト方針に関心
・日経はFT、朝日はニューヨーク・タイムズ(NYT)への経営参画のチャンスを長く狙ってきた。80年代にピアソンが日経にFTを400億円で打診したが、日経マグロウヒルがマグロウヒルから持分買取り360億円で余裕なく断念
・メディアのデジタル技術は、半年後には業界に共通、1年後には誰でも出来てしまう。FTがデジタル技術で先端を走っているとみる専門家はあまりいない
・「グローバル化」への危険な幻想。FTがアジアでしっかりした取材網を持っている訳ではない。中国報道はそれなりに評価高いが、ウェブでFT中国版展開していることもあり、「当局に媚びたピンぼけの記事も少なくない」。まして東南アジアやインドなどこれからの成長地域のカバーは弱い。アジアは日本のメディアノホームグラウンド
・日経社内では英語公用語化への恐怖も。FT買収時の経済教室は日経への警告に溢れていた。数年後には成果が出ないことがはっきりしてくるだろうが、多くの日本企業が海外M&Aの失敗のなかでグルーバル化してきたことを考えれば、これもひとつのチャレンジではあろう

このブログでは、日本のマスコミの姿勢について、3月19日、4月2日、5月26日、5月30日、7月19日と度々、取上げ、批判してきた。上記の東洋経済の記事の指摘のように、英国のメディアも同じように批判的に見ているようだ。日経は日本国内でこそ地位は高いが、世界的にみた知名度は低い。FTを合併しても、海外での日経新聞自体の評価が高まる訳ではない。今後、日経からFTに何名かが出向するようだが、そうした交流深化などを通じて、FTの「ツメのアカでも煎じて」、日経がレベルアップしてほしいものだ。
明日は、買収の経済効果的観点を中心にみていきたい。
タグ:オリンパス 選択 80年代 東洋経済オンライン 日経新聞のファイナンシャル・タイムズ(FT)紙買収 メディア論的観点 日経によるFT電撃買収は、うまくいくのか わずか2カ月で大型買収を決めた事情とは? 編集権の独立権問題は交渉の中で重要な位置 FTの発行部数(紙と電子版)は73.7万部 有料購読者の70%が電子版の購読者 経済、金融を中心 、政治、国際、社会、文化、論説といった幅広い分野の記事 経営幹部ともなれば テクノロジー、アート、音楽、ワイン、旅、健康的なスポーツ、社会貢献活動など広いテーマについて知っていることが重要 世界中にいる知識層向けの高級紙 No FT, No Comment 日経とFTは新聞文化が異なる 日本のように「1部でも多く、あらゆる種類の層の人に、という部分では勝負していない 、「権力に挑戦するジャーナリズム 英国の新聞の場合はデフォルトの姿勢 日本は是々非々 東芝の不正会計 日本ではこのようなスキャンダルで「大体が犠牲者はいないと見られがちだが、英米では株主の利益を重要視し、正確な情報を与えられなかった株主が犠牲になったと考える」 をスクープ報道したのはFT 日経は「報道が避けられなくなるまで、報じなかった」 アングロサクソン系 何物にも敬意を表さない 日経新聞「FT買収」の大きな誤算 効果乏しき「高値摑み」の重荷 記事の質、記者の見識、世界的な知名度、影響力など殆どの面で日経はFTの足元にも及ばず ・シナジーといっても、記事交換やデジタル販売ノウハウ以外は具体的には全く見えない 日経はFT 朝日はニューヨーク・タイムズ(NYT)への経営参画のチャンスを長く狙ってきた ピアソンが日経にFTを400億円で打診 日経マグロウヒルがマグロウヒルから持分買取り360億円で余裕なく断念 FTがデジタル技術で先端を走っているとみる専門家はあまりいない 「グローバル化」への危険な幻 アジアは日本のメディアノホームグラウンド 日経社内 英語公用語化への恐怖
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