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日経新聞のファイナンシャル・タイムズ(FT)紙買収(その2)主に買収の経済効果的観点、その他の論点から [メディア]

今日は、昨日に続いて日経新聞のファイナンシャル・タイムズ(FT)紙買収を(その2)として、主に買収の経済効果的観点、その他論点から取上げよう。

先ずは、7月24日付けロイター「コラム:FT買収する日経とサントリーの共通点」のポイントを紹介したい。
・日本以外の国から見れば、こうした巨額買収は理解するのが難しい。採算が取れるようには思えないというのがその主な理由だ。土壇場で日経が独アクセル・シュプリンガーや米ブルームバーグを追い抜くことができた理由もそこにある
・映画スタジオからゴルフコースやロックフェラーセンターに至るまで、1980年代以降に繰り返されてきた日本企業による破滅的な海外買収も、そうした懐疑的な見方を強める結果に終わった
・日本での見方は全く異なるものだ。国際的に広く通用する製品もなく、縮小する一方の国内市場において、FTやビーム社などの買収はやや遠い将来を保証することを意味する
・それ故か、日本企業による海外企業の買収案件は今年、すでに約500億ドルに上る。日本の長期的計画と、欧米の資本市場を支配する短期的な考え方との間には違いがあるということだけでは、すべてを説明できない。成長後の英メディアに営業利益の35倍を支払い、その帳尻を合わせるというのは困難だ
・人口動態はとりわけ、グローバル市場への確たるルートを持たない日本の一流企業にとっては心配の種となっている。今年の12月で創立140年を迎える日経ほど、こうした課題に直面している企業はないだろう。日本で圧倒的な部数を誇る経済紙である日経は、縮小し続ける国内市場への投資が大半を占め、そのリスクにさらされている。日経の発行部数約300万部というのは米ウォールストリート・ジャーナル紙による米普及率の3倍超に当たるが、日本の市場が縮小し続ける限り、これ以上は望めない。日経の昨年の売上高は約3000億円で、2011年とほぼ変わらない。営業利益は前年比9%減の167億円だった
・FTには名声があり、はっきりとしたブランドイメージがある。同紙のグローバルな内容に意義があるだけでなく、インターネットの共通言語が英語であるという点も大きな意味を持つ
・確かに、一般的な投資基準ではかるなら、今回の買収額はまるで幻覚を起こさせるようだ。筆者の同僚のジェニファー・サバ氏が指摘しているように、他の欧州系メディアの株価は調整後営業利益の10─15倍で取引され、平均は12倍だ。2013年にワシントン・ポスト紙を買収した米アマゾン・ドット・コムのベゾス CEOもこれほど気前良くはなかった。東京や大阪でのFT購読増加に多少は貢献するかもしれないが、経済的打撃を和らげるシナジー効果もほとんどない
・欧米のCEOならここでキャリアが終わってしまいかねない。しかし、日本の消費者に依存する企業であれば当たり前のことだ。日本たばこの英ギャラハー買収や、ソフトバンクの米スプリント買収を考えてみてほしい。明治安田生命保険が米生保グループのスタンコープ・ファイナンシャル・グループを50%という破格のプレミアムを乗せて50億ドルで買収することに合意したのも、恐らくこれで説明がつく。明治安田生命と同様、日経も非上場企業だ
・男性優位ですべて日本人で占められる経営陣は、自分たちと従業員への答えしか持たないようだ。何も手を打たないよりは浪費することを選んだ。同社を日本のジレンマとみるならば、これは全く驚きではない
http://jp.reuters.com/article/2015/07/24/column-ft-nikkei-suntory-idJPKCN0PY15K20150724?feedType=RSS&feedName=jp_column&virtualBrandChannel=13487&utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_term=JP%20Daily%20Mail&utm_campaign=JP%20Daily%20Newsletter%202015-07-27

次に、8月3日付けJBPress「日経のFT買収に覚える“いやな既視感” 巨額M&Aの成否の分かれ目とは?」のポイントを紹介したい。
・はっきりとした戦略が見えない今回の買収劇
・日本経済新聞とFTはあまりにも違いすぎる。一部のメディアは買収価格が高すぎると指摘しているが、高いか安いかといえば、割高であることは間違いない。FTの年間利益は46億円であり、現時点における事業収益から買収金額を回収するためには、35年の歳月が必要となる。この買収で日経全体の売上高や利益が倍増するような効果が得られなければ、財務的にはとても採算が合わないだろう
・日立はハードディスク事業を大型買収したものの、基本的な戦略が曖昧だったことで十分な成果を上げられなかった。こうしたケースは他にも多く、東芝の原子力事業の買収もその典型
・東芝不正会計問題の発端は、超大型M&A?。ウェスティング・ハウス(WH)社の買収が本質的に大きなシナジーを発揮しにくい取り組みだったのだとすると、M&Aを実施しても、思った程の業績を上げられないという事態に陥ってしまうのは時間の問題
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44422

この他の論点の1つに、日本のメディアの株式非公開という閉鎖性がある。英米では大手新聞社の親会社は全て株式上場が、日本のメディアは株式非公開。唯一公開していたニッポン放送は、フジサンケイグループを事実上支配、2005年2月、ライブドアが敵対的買収を仕掛けたが、その後、業務提携することで和解。2006年にはライブドアが有価証券報告書の虚偽記載事件(「国策捜査」)で立件され、破綻に追い込まれた。結局、日本のメディアの閉鎖性は守られる結果となった。
あと1つの論点は、日経新聞で相次いだ株主OBとのトラブルである。
・2003年1月、新聞協会賞受賞歴のあるベンチャー市場部長の大塚将司氏が、鶴田社長に対し、子会社での手形乱発問題や女性スキャンダルで取締役解任を提案するメールを部長クラス以上に送付したが、更迭された
・2007年2月には広告局社員によるインサイダー取引事件で株主代表訴訟が提起された、棄却
・2009年2月には、OB社員が日経の株式を作家の高杉良氏に譲渡しようとしたが、最高裁は日経の共栄会が1株100円で買い戻す社内ルールを有効とした
当時、日経新聞は紙面ではコーポレート・ガバナンス強化の必要性を謳いながら、自社の問題では余りに「オソマツ」と揶揄されたのも、記憶に残るところである。
今回の買収での“いやな既視感”が、杞憂に終わることを念じたい。
タグ:最高裁 ライブドア ロイター 破綻 ニッポン放送 明治安田生命保険 心配の種 人口動態 JBPRESS 株主代表訴訟 スタンコープ・ファイナンシャル・グループ 日経新聞のファイナンシャル・タイムズ(FT)紙買収 買収の経済効果的観点、その他論点 コラム:FT買収する日経とサントリーの共通点 こうした巨額買収は理解するのが難しい 採算が取れるようには思えない 1980年代以降 日本企業による破滅的な海外買収 懐疑的な見方を強める結果に 日本での見方は全く異なる はやや遠い将来を保証することを意味 買収案件は今年、すでに約500億ドル 日本の長期的計画 欧米の資本市場を支配する短期的な考え方 違いがあるということだけでは、すべてを説明できない 営業利益の35倍を支払い、その帳尻を合わせるというのは困難 グローバル市場への確たるルートを持たない日本の一流企業 FTには名声があり、はっきりとしたブランドイメージ 一般的な投資基準 今回の買収額はまるで幻覚を起こさせるようだ 欧州系メディアの株価 調整後営業利益の10─15倍で取引 平均は12倍 経済的打撃を和らげるシナジー効果もほとんどない 日本たばこの英ギャラハー買収 ソフトバンクの米スプリント買収 50%という破格のプレミアム 何も手を打たないよりは浪費することを選んだ 日経のFT買収に覚える“いやな既視感” 巨額M&Aの成否の分かれ目とは? はっきりとした戦略が見えない今回の買収劇 日本経済新聞とFTはあまりにも違いすぎる 割高であることは間違いない 買収金額を回収するためには、35年の歳月が必要 日立はハードディスク事業を大型買収 十分な成果を上げられなかった 東芝の原子力事業の買収もその典型 東芝不正会計問題の発端 ウェスティング・ハウス(WH)社の買収 日本のメディアの株式非公開 唯一公開 ライブドアが敵対的買収 業務提携することで和解 有価証券報告書の虚偽記載事件(「国策捜査」)で立件 日経新聞で相次いだ株主OBとのトラブル 大塚将司 鶴田社長 子会社での手形乱発問題や女性スキャンダル 取締役解任を提案するメール 広告局社員によるインサイダー取引事件 OB社員 日経の株式 作家の高杉良氏に譲渡 日経の共栄会が1株100円で買い戻す社内ルールを有効とした 紙面ではコーポレート・ガバナンス強化の必要性 いやな既視感
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