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ソフトバンクの問題点 [企業経営]

今日はソフトバンクの問題点を取上げよう。

同社の株価は他の携帯2社と同様、安倍首相の携帯料金引下げ検討指示(本ブログ9月23日)の影響で下落しているが、同社の株価不振は同業他社比でも際立っている。2年前と比べると約10%マイナスなのに対し、KDDIは約60%プラス、NTTドコモも約30%プラスである。

そこで、安倍発言のだいぶ前ではあるが、5月27日付け闇株新聞「ソフトバンクの問題点 その2」のポイントを紹介しよう。
・先週(5月22日付け:本文にはリンク先あり)同題記事を書いたところ、びっくりするほどたくさんのコメントをいただきました。しかも大半が本誌の主張に批判的なコメントであるため、説明不足だったところはもっと正確に、本誌の主張したいポイントはさらに丁寧に主張するために、追加記事を書くことにします
・まず、通信料の問題と投資の問題をわけて考えないと支離滅裂になるとのコメントをいただきました。 ここは明らかに説明不足だったところで、先週の記事で最も強調したかったところは寡占状態による明らかに割高な通信料で「ぼろ儲け」した利益は、まず国内の利用者に対するサービス向上と「可能な限り」通信料の引き下げで還元すべきということです
・ソフトバンクの2015年3月期決算では、国内の割高な通信料の恩恵が反映されているソフトバンクモバイルの部門収益は5473億円(前年比301億円増加)もありました。 これはもちろんソフトバンクだけが「ぼろ儲け」しているわけではなく、同じく2015年3月期のドコモの純利益は4100億円、KDDIは4279億円もあります
・ドコモとKDDIはソフトバンクほど派手に投資事業を行っているわけではなく、純利益のほとんどが割高な通信料による「ぼろ儲け」だと思われます。つまり3社で1兆4000億円ほど「ぼろ儲け」していることになり、やはり規制に守られた利益がかなり含まれていると考えられます
・トヨタ自動車は1社で2兆円以上も「ぼろ儲け」しているではないか?となるかもしれませんが、少なくともトヨタ自動車はどこにも規制に守られることなく、下請けを含む国内の雇用を守りながら世界を相手に勝負して稼いだ2兆円です。 比較する方が「失礼」です
・次に、ソフトバンクの孫社長は大変に優秀な投資家で、実際にアリババでは8兆円もの含み益を生み出し、成長が期待できるインドに投資することは全くおかしくないとのコメントを多数いただきました
・これもソフトバンクの過去の投資実績にケチをつけているのではなく、この国内の割高な通信料による「ぼろ儲け」を、国内の利用者へのサービス向上や通信料の引き下げを行うことなく、優先して海外投資に使うことは「ちょっと違う」と言いたいだけです
・いくらアリババで8兆円も含み益が出ても、仮に最近投資したインドや中国の新興企業が将来大きな含み益をソフトバンクにもたらしたとしても、日本のソフトバンクの利用者には一切メリットがありません
・つまり「アリババで8兆円も含み益が出たのだから、ソフトバンクの通信料を半分にしてくれ」とも「海外投資を行うなら国内の利用者からのぼろ儲けをつぎ込むな」とも言う筋合いのものではなく、当然に国内の通信料は割高なままであり、国内の利用者からの「ぼろ儲け」は海外投資につぎ込まれます
・それでも投資が成功すれば株価が上昇するからよいではないか?と考えられます。 それは事実ですが、本日(5月26日)のソフトバンクのPBRは3.09倍です。ドコモは1.6倍で、KDDIは2.3倍です
・仮にアリババの含み益の8兆円があるとして(他にもヤフー・ジャパンなどの含み益もあるはずですが、スプリントは相当の減損が必要のはずで差し引きではゼロとして)、税金分等を考慮して半分の4兆円をソフトバンクの資本勘定に加えたとすればPBRは1.3倍となります
・日経平均採用銘柄の平均PBRは1.4倍なので、ソフトバンクの株価はアリババの含み益まですでに反映しているともいえます
・ソフトバンクを上場している投資ファンドと考えれば、投資ポートフォリオの価値よりも(投資ファンドとしての)株価が大きく上回るということはないはずです。 つまり現在のソフトバンクの株価とは、投資ポートフォリオの価値までも収益を上げ続けることを前提とした事業会社の株価として評価してしまっていることになります
・海外投資の是非を考えるまえに、少し冷静になってみる必要がありそうです
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-date-20150527.html

次に、9月13日付け東洋経済オンライン「ソフトバンク、膨らむ借金「11.6兆円」の重圧 フリーキャッシュフローを改善できるか」のポイントを紹介しよう(▽は小見出し)。
・「着実に稼ぐ時期に入った。純有利子負債は2014年度にゼロになり、借金会社のイメージは変わるだろう」。ソフトバンクグループの孫正義社長がこう宣言したのは2009年のこと。だがその後、借金ゼロ宣言を撤回。13年、米国の携帯会社スプリントを1.8兆円で買収するなど、一気に攻めの姿勢に転じた
・結果、積み上がった借金は11.6兆円と、売上高8.6兆円を上回る異様な水準だ。これに対し、事業会社ソフトバンクの藤原和彦CFOは、「さまざまな選択肢のために、いい条件で資金調達している。手元資金を厚くして機動的に対応するのは非常に合理的だ」と言ってのける
▽社債の発行が急増
・買収で借入金が膨らんだほか、過去2年で際立つのが社債の急増だ。2013年度は7740億円、14年度は1.55兆円を調達。たとえば、2014年に発行した5年物の個人向け社債は、金利が1.45%。超低金利下にあって、預金よりも高い利回りを求める投資家から人気を集め、国内で起債すると即座に売り切れる
・さらに今年7月、複数の外貨建て社債を発行、合計5530億円を集めた。うち、10年債の金利はドル建てで6%、ユーロ建てで4.75%。通貨スワップで円に換えたベースの金利は3~4%
・「海外調達にしたのは長期の資金をターゲットにしたから。国内は長くて5年。海外の金利は多少高いが、歴史的に見れば最低の水準」(ソフトバンクグループの後藤芳光財務部長)という理由からだ
・借金を膨らませたのには、スプリントに次ぎ、米国でTモバイルUSの買収を狙っていた側面もある。ただ、2014年夏に買収を断念した後も、アグレッシブに資金調達をした理由は、次の勝負に向けた機動力の確保だけでない。「(調達先が)どれか一つに偏ると交渉力がなくなる」(君和田和子経理部長)との意識も大きいようだ。実際、従来は銀行借り入れが主体だった有利子負債は、6割を社債が占める
・S&P・レーティング・ジャパンの吉村真木子主席アナリストはソフトバンクグループの財務内容について、「社債、借入金、保有株式の売却など、資金調達の手段が多く、財務の柔軟性が高い」と、一定の評価をする。BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストも「資金調達に四苦八苦した過去の歴史は大きい。金利先高感がある中で、長期資金を調達するのは当然」という見方だ
▽キャッシュフロー改善のカギ
・ただ、つねに借金頼み、というわけにもいかない。今後の軍資金を蓄えるという意味で、本来なら、フリーキャッシュフローの改善を図ることが最優先のはず。かつてジリ貧だったボーダフォン日本法人はグループ傘下に入りよみがえった。そして今、キャッシュフロー改善のカギを握るのが、スプリントの再建である
・目下、スプリントは徹底した低価格戦略を推し進めているが、ネットワーク品質でライバルに及ばず、契約獲得ペースも鈍い。4~6月期はTモバイルUSに契約数で抜かれ、4位に転落した。4兆円超の有利子負債を抱えており、ソフトバンクグループの支払利息3665億円のうち、約7割をスプリントが占める。設備投資負担も重く、フリーキャッシュフローもマイナスが続く
・活路が見えにくい中、新たな手法による改善策が示された。8月4日に孫社長はスプリントの決算発表後に行われた電話会議に初めて参加。財務負担の軽減を目的に、リースファイナンス会社を設立することを発表したのだ。同月6日、日本で行ったソフトバンクグループの決算会見で孫社長は、スプリントの社債を増やさず、新株発行による資金調達も行わずに、設備投資と収益改善を進める方針を打ち出している
・前出の藤原CFOは、リースファイナンスについて、「割賦債権の流動化と似た仕組み」と説明する。日本では資金回収を早めるため、携帯電話の割賦販売による債権を流動化し、それを運転資金に活用している。詳細は未定だが、スプリントの場合、ユーザーと結んだ端末のリース契約を債権として、新設会社を使って“資金化”する形になりそうだ
・大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは、「(新会社設立は)キャッシュフロー上はプラス。資金調達能力に乏しい会社には、こうした仕組みが重要。どれだけ現金の支出が減らせるかをチェックしたい」と語る
▽次なる大型買収も?
・孫社長は決算会見で、「スプリントを必ず改善してみせる」と明言し、テコ入れに邁進する姿勢を示した。それから10日余り。孫社長がほれ込んで2014年に迎え入れた、元グーグル幹部のニケシュ・アローラ副社長が「これからのコミットメントを示すもの」として、個人で600億円の自社株買いを行うと発表。その意気込みに市場は驚いた
・スプリント再建の行方は、グループ全体の財務改善のみならず、今後の成長を大きく左右する。ただ、「皆さんより2年先を見ている」という、孫社長。将来の展望が変われば、目線を切り替え、次なる大型買収に打って出る可能性も十分ありそうだ
・アグレッシブな調達で手元資金は2.3兆円。新たな巨額買収の布石か
http://toyokeizai.net/articles/-/83202

ソフトバンクの株価には、最近の中国株暴落による投資先アリババの株価低迷もあるだろうが、闇株新聞が指摘するように、同社は通常の事業会社というよりは「投資ファンド」としての色彩が濃厚なのに、株価が割高だったと考えれば、その調整過程であるともいえるのかも知れない。
なお、同社はインドのネット通販事業へ昨年10月に1兆円投資、本年6月には台湾の電子機器受託生産フォックスなどと合弁で太陽光発電に10年間で総額200億ドル規模を投資するなど、インド向け投資を活発化させている。孫社長の後継者とされるニケシュ・アローラ副社長がインド出身であることから、これらが問題化する心配は余りないと思われるが、今後、注視する必要はあろう。
スプリント再建はいばらの道が予想されるが、アグレッシブな調達で厚くした手元資金を、早くも新たな巨額買収に向けるとした場合には、「もはやついてゆけない」と逃げ出す投資家が増えるのではなかろうか。
タグ:ソフトバンク 株価 トヨタ自動車 東洋経済オンライン 下落 問題点 孫社長 闇株新聞 安倍首相の携帯料金引下げ検討指示 株価不振は同業他社比でも際立っている ソフトバンクの問題点 その2 寡占状態 明らかに割高な通信料で「ぼろ儲け」した利益 まず国内の利用者に対するサービス向上と「可能な限り」通信料の引き下げで還元すべき 3社で1兆4000億円ほど「ぼろ儲け」 規制に守られた利益がかなり含まれている 規制に守られることなく 下請けを含む国内の雇用を守りながら世界を相手に勝負して稼いだ2兆円 大変に優秀な投資家 アリババでは8兆円もの含み益 インドに投資 「ぼろ儲け」を 優先して海外投資に使うことは「ちょっと違う」 ソフトバンクのPBRは3.09倍 ドコモは1.6倍で、KDDIは2.3倍 アリババの含み益 半分の4兆円をソフトバンクの資本勘定に加えたとすればPBRは1.3倍 上場している投資ファンド 投資ポートフォリオの価値よりも(投資ファンドとしての)株価が大きく上回るということはないはずです ソフトバンク、膨らむ借金「11.6兆円」の重圧 フリーキャッシュフローを改善できるか 借金ゼロ宣言を撤回 スプリントを1.8兆円で買収 一気に攻めの姿勢 積み上がった借金は11.6兆円 買収で借入金が膨らんだ 過去2年で際立つのが社債の急増 有利子負債は、6割を社債 資金調達の手段が多く、財務の柔軟性が高い 本来なら、フリーキャッシュフローの改善を図ることが最優先のはず カギを握るのが、スプリントの再建 新たな手法による改善策 リースファイナンス ニケシュ・アローラ副社長 個人で600億円の自社株買い 次なる大型買収に打って出る可能性も十分ありそうだ インドのネット通販事業 1兆円投資 合弁で太陽光発電に10年間で総額200億ドル規模を投資 注視する必要
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