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日本郵政(その9)上場目前の警告 [経済政策]

昨日に続いて日本郵政を、しつこいと言われるのを承知の上で敢えて取り上げたい。

記事の筆者は、小泉純一郎政権時代に郵政民営化の制度設計をした高橋洋一氏(元財務官僚で嘉悦大教授)である。このブログでもたびたび引用している。高橋氏が10月31日付けZAKZAKに寄稿した「【日本の解き方】上場目前にあえて警告 郵政3社には期待できない 個人投資家、ババ引く恐れ」を紹介しよう。
・11月4日に東証に上場する郵政3社の株は、購入希望者が多いと報じられている。郵政株が人気となっている背景は何だろうか。そして、その人気の裏付けとなるべき実力は伴っているのだろうか
・テレビでも、郵政上場のCMが流れているので、ご覧になった方も多いだろう。田舎の一軒家の軒先で、家族とその近隣の人と思われる人々が談笑している。かわいい犬もいる。郵政が上場するらしい、というナレーションが入る。そしてCMの終わりの方で、上場株を販売する証券会社の一覧表が細かい字で出てくる。郵政上場というどぎつい金儲け話が、ほのぼのしたイメージで伝えられている
・このように証券会社がはやしたてているが、郵政株を買おうとする投資家には2種類のグループがあるようだ。1つは上場したらすぐに売り抜けて儲けようとする人。もう1つは政府企業の株だから大丈夫と思う人だ。テレビCMは、後者の投資家の情に訴えているようだ。彼らに郵政株の最終的な受け皿になってもらうつもりだろうか
・筆者は、小泉純一郎政権時代に郵政民営化の制度設計をした。その時は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社を完全民営化する「民有・民営」を進めていた
・ところが、政権交代した民主党は、完全民営化を「改悪」し、政府が株を持つことにした。「官業」への先祖返りだ。この「民営化」は、世界では「民営化」として通用しないだろう
・ちなみに、金融は信用力が重要なので、世界の資本主義国の常識では、金融危機の際の公的管理を除き政府は金融機関の株式を保有しない
・そのうえ、先進国ではまずみられない「親子上場」である。せめて、金融2社が将来的に完全民営化になるのであれば、まだマシだが、先進国からみれば、まるで金融危機で傷んだ公的管理の金融機関である
・それでも、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の金融2社の将来収益が良ければ、まあよしとしよう。しかし、金融2社の将来は明るくない。 というのは、政府が株式の実質的な保有を通じて関与し続けるからだ。政府が関与する企業に魅力を期待する方が間違っている。魅力とは尖ったもので、はじめは万人受けしない。しかし、政府は万人受けするものしか扱えないからだ
・ひとことで言えば、郵政は、世界の基準からみて民間会社ではないので、夢があるはずもなく、面白くない会社だ
・しかも、郵政株は高配当だという。高配当というのは、逆にいえば自社でうまく投資できないから資金を社外流出させるという意味でもある。この意味でも面白くない会社だ
・はっきりいえば、現状では中長期的な値上がりの夢は期待できないと思ったほうがいい。郵政株の最終受け皿になる投資家がババを引かなければいいと思う
・なお、詳しくは、拙著『“まやかしの株式上場”で国民を欺く 日本郵政という大罪』(ビジネス社)を参照していただきたい
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20151031/dms1510311000003-n1.htm

高橋氏が指摘するように、国家の影響が残り続け、「「官業」への先祖返り」、「郵政は、世界の基準からみて民間会社ではないので、夢があるはずもなく、面白くない会社だ」、「高配当というのは、逆にいえば自社でうまく投資できないから資金を社外流出させるという意味でもある」とは言い得て妙だ。
金融2社の政府保有株の割合が50%未満になった段階で、業務を認可制から届出制に移行するというのも、「世界の資本主義国の常識」から外れた非常識である。
こうした多くの問題を孕んだまま上場日を迎えるが、今後とも事態の展開を注視してゆきたい。
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