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中国での日本人拘束問題 スパイ(?) [外交]

今日は、いまだに真相が不明の中国での日本人拘束問題 スパイ(?) を取上げよう。

まずは、スパイ説を否定する立場の11月2日付けZAKZAK「【矢板明夫の目】中国で拘束の日本人は本当にスパイだったのか?」のポイントを紹介したい(▽は小見出し) 。
・9月末から10月初めにかけて、中国の遼寧省、浙江省、北京市などの各地で、4人の日本人がスパイ活動を行ったとして、中国当局に拘束されたことが次々と判明した
・「日本の情報機関である公安調査庁から情報収集の依頼を受けた」などと供述したとの報道もあるが、4人はいずれも素人の民間人で、本当に中国でスパイ活動を行ったかどうかについて、疑問視する国内外の専門家が多い。今回の日本人拘束は反日色を強める習近平政権による外国人排除、日本たたきのための新しい外交カードの可能性もある
▽前例なく冤罪の声も
・9月末、一部の日本メディアが「2人の日本人がスパイ容疑のため中国で拘束された」と報じたことを受け、中国外務省報道官はすぐに定例記者会見でその内容を認め、「2人に対する逮捕手続きが完了した」と発表した
・その後、産経新聞の取材で、逮捕されたのは神奈川県大和市のNGO関係者の男性(55)と、愛知県稲沢市の男性会社員(51)だったことが判明した。2人はいずれも5月に拘束されていたが、翌6月には、札幌在住の団体役員の男性(60代)が北京で、東京在住の日本語学校経営者の女性(50代)が上海で、それぞれ中国の国家安全警察に拘束されたことも明らかになった
・日本の情報機関は第二次世界大戦後に占領軍によって解体され、その後、公安調査庁や内閣調査室などが新たにつくられたが、国内の過激派の動きを監視することが中心で、外国からの情報収集に関しては、法整備も人材育成も大幅に遅れており、予算も少ないとされる。情報戦が弱い立場にある日本が、外国に“スパイ”を送り込み摘発された前例はほとんどなく、「冤罪(えんざい)ではないか」との声が日本の専門家の間で上がっている
▽いずれも素人の4人
・関係者によると、逮捕された神奈川県の男性は元脱北者、母親が日本人で父親は北朝鮮の出身だという。幼少時に両親とともに北朝鮮に渡り、約10年前に東京のNGO団体の助けで帰国した。一旦就職してパチンコ店員となったが、北朝鮮に残る妹のことを心配して、数年前から中朝国境を頻繁に行き来するようになった。日本や韓国のメディアと情報交換をしていることなどから、以前から中国の公安当局からマークされていたとみられる
・同じく逮捕された愛知県の男性は、地元の中国人が経営する調査・人材派遣会社に所属しており、中国の浙江省によく渡航していた。男性が拘束された浙江省の平陽県では、昨年から大きな空軍施設の建設が始まっている。男性が軍事愛好者との情報もあることから、中国の共産党関係者は「男性は軍事管理区域などに進入、または、撮影したことが『スパイ行為』に認定された可能性がある」と指摘した
・一方、拘束された札幌在住の男性は元航空会社の職員で、定年退職後、日中交流の仕事に従事し、日中間の人材派遣の公益団体を立ち上げるなど、日中友好人士の一人に数えられている
・また、東京在住の女性は帰化した元中国人で、経営する日本語学校の学生募集のため、頻繁に中国を訪れていた
・以上の4人はいずれも情報分野の素人で、中国の国家機密を探知できる社会的な立場にもいない。仮に公安調査庁などの情報機関の関係者と接触があったとしても、一般的な情報しか持ち合わせていないことから、国際的な常識からはいずれもスパイといえる人物ではなかった
▽新たな反日のネタに
・共産党関係者によれば、この4人の摘発は習近平政権による外国人排除の動きの一環だという。中華民族の偉大なる復興などナショナリズムをあおるスローガンを掲げる習政権は、投資目的以外の外国勢力が中国国内に入ることを阻止することに力を入れている。こうした事情を背景に、外国の民間人に“スパイ”とのレッテルを貼って摘発することが最近急増している
・昨年夏には中朝国境付近でキリスト教を布教しながらコーヒーショップを経営するカナダ人老夫婦を「軍事機密窃取」の容疑で拘束し、カナダとの間で外交トラブルになっている。今春には、ビジネスツアーで広東省を訪問した米国人女性企業家をもスパイ容疑で摘発した
・外国人の中で、日本人が特に狙われやすいといわれる。9月の抗日戦争勝利70周年の軍事パレードが終了したことから、習政権による日本たたきのネタが切れかかった頃、スパイ事件がはじけた。中国の官製メディアはこれらの事件を大きく報道した。国民の日本に対する反感をあおり、新たな反日の材料にしているようだ
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20151102/frn1511021540009-n1.htm

次に、日本の当局との関係を示唆したやや古い記事として、10月7日付け日刊ゲンダイ「邦人2人拘束 安倍官邸は中国との“裏取引”に応じるのか?」を紹介しよう。
・中国で日本人2人が「スパイ容疑」で拘束された事件。5月に拘束された2人は、いずれ起訴される可能性が高い。 遼寧省の中朝国境付近で拘束された神奈川県在住のA氏(50代男性)は、日本の公安調査庁の協力者。一方、浙江省で拘束された愛知県在住のB氏(50代男性)は、公安調査庁の元職員だった
・菅官房長官は「我が国はスパイを送ったことは絶対にない」と全面否定しているが、2人が現地で情報収集活動をしていたことは間違いなさそうだ
・この先、2人はどうなるのか。「スパイ罪」が適用された場合、懲役10年以上の判決を下されるケースがほとんど。最悪、死刑もあり得る
・「いま想定されている展開は3つあります。1つは、最後まで安倍政権が『スパイを送ったことはない』と主張をつづけ、結果的に2人が重罰に処されるケースです
・2つ目は、スパイだったことは認めるが、公安調査庁が勝手にやったことで政府は知らなかったと釈明するケース。この場合は、日本政府が交渉し、軽い刑で済まされるでしょう
・3つ目は、水面下で“取引”するケースです。習近平政権は、2人の罪を問わない代わりに、中国政府がつくった国際金融機関『AIIB』への日本の参加を要請してくるとみられています」(霞が関関係者)
・習近平政権は、2人を人質として最大限に利用する方針。問題は安倍政権がどう応じるか
・「日本政府は中国サイドと取引するつもりはありません。ただ、2人が公安調査庁と近かったことは事実。日本政府が知らぬ存ぜぬを押し通し、その結果、重い刑が下された場合、2人の家族から“真相”を暴露されるリスクがある。拘束されている2人が裁判でどんな証言をするかも分からない。中国政府の要求次第では、話し合いに応じざるを得ないかも知れません」(政界関係者)
・ 「国民の生命と幸せを守る」と安保法案を強行成立させた安倍政権は、拘束されている日本人2人を助けるのか
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/165264/1

第三に、第二と同様の立場の記事として、10月15日付け週刊文春「日本人スパイ拘束事件 公安調査庁の情報はなぜ中国に筒抜けだったのか」のポイントを紹介しよう。
・「公安調査庁始まって以来の大失態、徹底した箝口令がしかれている」(警察関係者)
・公安調査庁の協力者だった(遼寧省で逮捕された脱北者は06に帰化。浙江省で逮捕された人材派遣会社の経営者は月20万円の報酬。3人目の元航空会社社員は中国に非常に近い人物。ダブルエージェントだった可能性もあるが、日本側情報機関の協力者)
・中国側は以前から情報を摑んで泳がせていた。それぞれ、異なる支局で運営。一元的に管理しているのは、東京の本庁総務部。そこから情報が漏れたのであれば、とんでもない事態。同庁は「公安調査庁において、民間人を外国に送りこんでいわゆるスパイ活動を行わせるようなことはしていない」と否定

第四に、11月5日付けの週刊文春「「日本人スパイ」が「電極拷問」を受けている!安倍首相はなぜ見捨てるのか」のポイントを紹介しよう。
・遼寧省で拘束された55歳の脱北者で帰化後にパチンコ店勤務。浙江省で拘束、51歳、人材派遣会社経営。上記2人が公安調査庁の協力者。北京市内で拘束、69歳、元大手航空会社勤務で日中間ビジネス。上海で拘束された50代女性、日本語学校幹部
・4人とも公道を歩行中、拉致連行。3人は暴力的扱い受けなかったが、1人は高圧電極で拷問。身体に痕跡が残るので、帰国困難、悲劇的結末も
・官邸は、官房長官が初めにスパイ行動を完全否定したため、外務省任せに。完全な初動ミス。欧米では「インテリジェンスに関する全てについて我が国はコメントしない」と応じ、水面下で交渉。官房長官に報告を上げるべき情報機関のトップが海外出張中で、官邸としての対応策を固める前に会見に臨んだため
・サイバー攻撃で日本政府内のデータベースから情報を抜き取られた恐れ。国際社会では、自国民が他国に人権を蹂躙されている状態は、”戦争”状態と呼ぶ

どうも冒頭のZAKZAKの産経新聞の記者は、当局の説明を真に受けて通り一遍の説明で記事を書いたとしか思えない。
やはり、二番目以降が真相に近いのだろう。訓練を受けたスパイとまでは言えないにしても、「協力者」であった可能性が高そうだ。「高圧電極で拷問」など身の毛がよだつが、あり得る話だろう。
それにしても、四番目の記事が指摘する情報機関や首相官邸のミスは、信じられないようなお粗末さだ。しかも、「スパイ行動を完全否定したため、外務省任せに」とは、何たる無責任さだろうか。
しかも、「サイバー攻撃で日本政府内のデータベースから情報を抜き取られた恐れ」も、お粗末の極み。極秘情報はネットから外しておくのが常識で、情報セキュリティのレベルの低さを露呈
英米やロシアのエスピオナージ(スパイ)の世界では、「スパイ交換」で決着を図るところだろうが、日本には中国側のスパイは多数いても、逮捕もされず、大手を振っているような状況では、そうした決着は期待できない。
日本政府がこのまま黙殺を続けるとすれば、安保法制にあれだけ熱を上げた割には、肝心の自国民保護には冷淡だったと、海外からも馬鹿にされることになろう。
野党やマスコミもしっかり追及することで責任を果たすべきだ。
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