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安倍政権のマスコミへのコントロール(その2)BPO問題 [メディア]

安倍政権のマスコミへのコントロールについては、前回は5月26日に取上げた。今日は、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会が、政府と自民党が政治介入したことを批判する意見書を11月6日に発表したことで、それへの批判、再批判が起きている。今日は、(その2)BPO問題 として取上げたい。

先ずは、11月7日付け日刊ゲンダイ「BPOが異例の政治圧力批判…安倍自民党とのバトル激化か」を紹介しよう。
・さすがにもう安倍首相と籾井会長もベッタリとはいかない。放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会が6日、NHK「クローズアップ現代」の“やらせ報道”などに関する意見書の中で、政治圧力問題について異例の政権批判を展開。BPOが国や与党に異議を唱えるのは初めてだ
・弁護士でもある川端和治委員長は「政府側からメディアへの活動規制が目立つ中、(番組内容への介入は)問題があると指摘せざるを得ない」と強い危機感をあらわにしたが、もっともだろう
・意見書は、やらせ疑惑浮上後のNHKへの総務省による行政指導や、自民党調査会の事情聴取の他、自民党国会議員による「マスコミを懲らしめる」発言にも触れ、懸念を表明した
・特に高市総務相が厳重注意の根拠とした放送法の条項については「本来放送事業者が守るべき倫理規定である」と指摘。こうした動きは表現の自由を保障する憲法21条に違反する恐れがあると批判した
・当の高市総務相は「行政指導は放送法を所管する立場から必要な対応」「放送法の番組準則は法規範性を有するもの」などと反論したが、いかにも苦しい
・「BPOから『重大な放送違反があった』と指摘された“クロ現”は打ち切りもちらつきますが、ただ、自民党内ではBPOに政府が関与する構想も持ち上がっています。今後、強硬に手を突っ込んでくる恐れがある」(NHK関係者)
・BPOvs自民党のバトルが激化しそうだ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168952/1

これに対し、安部首相らが反論したことに関連して、11月13日付け朝日新聞「BPO委員長、首相らの批判に反論 政治介入に「NO」」のポイントを紹介しよう。
・放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会の川端和治(よしはる)委員長は、朝日新聞のインタビューに応じ、「放送法を根拠にした放送への政治介入は認められない」と改めて主張
・NHK「クローズアップ現代」の放送倫理違反を指摘した委員会の意見書で、政府や自民党を批判したことに対し、安倍晋三首相や高市早苗総務相らから反論が相次いでいた。安倍首相や高市総務相は放送法の規定は行政処分の根拠になる「法規範」だとして、BPOの意見書を批判
・一方、BPOは、放送法は放送事業者が自らを律する「倫理規範」だとして対立。川端委員長は「放送法が倫理規範であるということは、ほとんどの法律学者が認めている」と説明
・一方で、「元々(放送免許の許認可権を持つ)総務省、旧郵政省が行政指導をしてきたのは放送法に法規範性があるという考え方からだから、立場の違いがあることは十分承知」とした。「倫理規範」と解釈する理由について、法が成立した経緯をあげる。「戦前の日本の言論統制に対する反省から、政治権力が直接規制を加えることがあれば、表現の自由を保障する日本の憲法のもとでは問題があるという意識は皆持っていた」。1950年に放送法が国会に上程された際の趣旨説明をあげ、「『放送番組に対する検閲、監督等は一切行わない』と述べていた」と説明。その後、放送法は改正されたが、基本構造は変わっていないという
・2004年の最高裁判決で4条について「放送の自律性の保障の理念を踏まえた上で、真実性の保障の理念を具体化するための規定」と示されていると指摘。BPOは2009年、総務省がBPOの結論を待たずにTBSの番組に厳重注意したことに対し、委員長談話で「懸念」を表明。その後6年間は行政指導が「パタッと止まった」という
・今回の行政指導に「談話を境に出なくなったのに、また出たので非常に懸念を持った。BPOに任せて見守ろうという立場に戻ってほしい」と話す。自民党の事情聴取について安倍首相が「(NHKの)予算を国会で承認する国会議員が事実を議論するのは当然」と反論したことには、「私がコメントする問題ではない」としつつも、「番組の内容によって予算変えるんですかね」と皮肉った。さらに、政府・自民党が介入する場合の問題点を「放送の現場の意欲をそぎ、萎縮させてしまう」と改めて主張

なお、放送法の詳細については、元関西学院大教授で弁護士の宮武嶺氏が同氏のブログEveryone says I love you!で、「放送法に関する最高裁判決と通説の通りだ→BPO委員長、首相らの批判に反論 政治介入に「NO」」の後半部分に掲載してあるので、ここで紹介するのは省略したい。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/c2228be13f4f7172c08986e048093ef3

発端のひとつになったNHK「クローズアップ現代」の“やらせ報道”自体は、BPOも「事実とかけ離れた情報を数多く伝え、正確性に欠けた」と批判したように、”お粗末”極まりないものだが、それは視聴者やBPOが批判すればいいことであって、権力を持つ政府や政権与党が乗り出して政治介入すべきではない筈である。BPOが政治介入についても批判したのは当然であるが、これに安部首相や高市総務相が公然と反論したということは、安部政権のマスコミへのコントロール姿勢を如実に示したものといえよう。安保法制では、国会での参考人の全てが憲法違反とした集団的自衛権を強引に通したことからすれば、この程度のことは「朝飯前」なのだろう。本来、「表現の自由」「報道の自由」を守るべく、この問題をもっと本格的に取上げるべきメディアが、自主規制のためか、事実関係だけの「おざなり」な報道しかしなくなっているのは、さらに由々しい問題と言わざるを得ない。
明日、金曜日は更新を休むので、土曜日にご期待を!
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