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北朝鮮による日本人拉致問題 [外交]

今日は北朝鮮による日本人拉致問題を取上げよう。

先ずは、元外交官の天木直人氏が7月4日付け同氏のブログに記載した「報道から読み取る拉致問題に関する日本政府とメディアの背信」を紹介しよう。
・政府の発表から一夜明けたきょう7月4日の主要紙を読んで、あらためて日本政府とメディアの出来レースを確信した。
・私がそう思う第一の理由は、今度の北朝鮮側の通報について、政府の正式な発表はなく、ただ政府がそういったということが、当たり前のようにどの報道でも画一的に流されている異様さだ。「北朝鮮は2日夜、中国・北京の大使館ルートを通じ、調査結果の報告に対して『今しばらく時間がかかる』と連絡してきた」 これがすべての報道が一様に報じている北朝鮮側の通告「事実」だ。
・おかしくはないか。これほどの重要な通告を受けながら、なぜ安倍首相やその代理である菅長官が記者会見を開き、その第一報を発表しなかったのか。さもなければ交渉の責任者である岸田外相が発表しなかったのか。
・そういうことが一切なく、日本政府がそう言ったということだけが垂れ流され、既成事実化してる。
・二つ目の理由は、この突然の公表の裏には、北朝鮮側と日本側の間で頻繁にやり取りが重ねられていた事を既にメディアは知っていたということだ。
・きょう7月4日の日経新聞が書いている。 日朝関係筋によると、これまで月に一回のペースで非公式協議が続けられており、6月にはそれが加速して複数回接触していたと。 日本側から外務省の伊原純一アジア大洋州局長と小野啓一北東アジア課長、北朝鮮から特別調査委員会の幹部が出席していたと。
・その場で北朝鮮側は終戦前後に亡くなった日本人の遺骨や、戦後の帰還事業で北朝鮮に渡った日本人配偶者に関しては報告できると伝えたが、日本側は拉致問題の報告が最重要との立場を伝達したようだと。
・これこそが一年前の合意の食い違いであり、その後一年間、平行線をたどったままだったという動かぬ証拠である。
・さらにまた、おなじくきょうの7月4日の毎日新聞が書いている。 実は、特別調査委員会設置から1年となるのを前に、政府は北朝鮮がすでに調査報告を行わなくても交渉を継続する方針を固めていたと。 日本側は6月時点で北朝鮮側にその交渉継続の意向を伝え、6月末に外務省の伊原局長が中国国内で北朝鮮高官と非公式協議を開催していたと。
・一方の北朝鮮側も「対話継続」の思惑は日本側と一致していると。 こうした日朝の思惑の一致を背景に、政府は昨年10月以来開催されていない公式の政府間協議再開の検討を進めていると。
・9月の安倍首相の自民党総裁選再選を控え、対北朝鮮強硬論が出てくることを北朝鮮側に説明していたと。日本の政局までも絡んだ手の内を、ここまで北朝鮮側に教えていたのだ。
・もっと驚くのは、すでに政府発表前の7月3日の紙面で、産経新聞が次のように書いていたことだ。すなわち、政府は7月1日、北朝鮮による拉致被害者らの再調査再開から1年となる4日までに、北朝鮮から回答がない場合にも制裁強化は見送る方針を固めたと。複数の政府高官が明らかにしたと。
・これを要するに、すべては日朝間の出来レースだったということだ。  それがわかっていながらメディアはとぼけて大げさに報道した。
・すなわち政府は4月3日、北朝鮮側から再調査結果の報告延期の通報があったと発表したと。それに対して日本政府は、「遺憾だ。あらためて速やかな通報を求める」とすかさず申し入れたと。
・壮大な茶番である。 すべては日本側の都合だ。 これは私の言葉ではない。 政府発表の一報を聞いた蓮池透さんが私に寄越した言葉である(了)
http://new-party-9.net/archives/2035

次に、12月10日付け週刊朝日「一部制裁解除した安倍政権の失策 拉致問題解決のウルトラCは」を紹介しよう。
・北朝鮮の若き最高権力者、金正恩の暴走が止まらない。一部制裁解除と引き換えに約束した拉致問題の再調査も反故。安倍政権は一杯食わされた格好だ。解決のウルトラCは? クライシスが迫る北朝鮮の現状をジャーナリスト・石高健次が取材した。
・安倍晋三首相自らが、ぶら下がり会見でストックホルムでの日朝政府間協議で合意がなり、北朝鮮が拉致被害者ら行方不明日本人の再調査を約束したと発表したのは、昨年5月29日。 「拉致問題全面解決への第一歩と期待したい」の言葉から始まった協議は、北朝鮮の報告書提出期限が過ぎた今も何ら進展を見せていない。
・膠着の原因は何なのか。私は、外務省による交渉とは別ルートで官邸に入った情報に乗ってしまったことではないかと考えている。
・外務省の対北交渉の基本的な考えは、「北朝鮮が拉致被害者など再調査を約束した時点では制裁を緩めない。受け取った報告を吟味し中身があるとなって初めて一部解除する」(政府関係者)というものだった。
・それが一転、再調査開始と同時に制裁一部解除となった。ところが協議を進めると何も出てこなかった――。
・実は過去に、日朝交渉の重大局面で日本政府が前のめりになるような情報が北朝鮮から投げられていた。 あの金丸訪朝の直前、1988年、石岡亨さん(政府認定拉致被害者)から、有本恵子さん(同)の写真同封で「事情があって平壌にいる」との手紙が実家に来ている。また、87年には能登沖で漁に出て行方不明になっていた3名のうち寺越外雄さんから24年ぶりに手紙が北朝鮮から身内に送られている。
・さらに2002年小泉訪朝の際も、半年ほど前から「有本恵子さん生存」という噂が聞こえてきた。首脳会談当日、時事通信は「有本恵子さん生存、帰国へ」と速報までしている。 
・つまり、北朝鮮は、拉致問題で日本側が前のめりになるようなイイ話を撒(ま)き、交渉に臨んではそれ以外のものを出して経済援助なりを引き出そうというのが常套手段なのだ。
・膠着状態を受けて、このところ、「一部解除した制裁を元に戻せ」、あるいは「さらに強化すべき」との声が上がっている。
・経済制裁について言えば、やるなら徹底してやる、つまり「チキンレース」のような覚悟でやるならば、それは効果があるだろう。経済制裁の究極のところは、貨物船の出入りを止める海上封鎖、さらに自衛隊が怪しい船舶に乗り込む臨検だ。これを北朝鮮に対して行えば、交戦状態になるのは必至だ。しかし、現在の憲法上の制約だけでなく、国民の一般的な意識からしても、これはできない。
・かといって、制裁を強化したところで、過去8年間で北朝鮮が困り果て拉致被害者を出してこなかったわけで、効果の検証もしっかりやらずに強化したところで、また同じ年月が流れるのではと危惧する。なぜなら、北朝鮮指導者は、食料が窮乏し、90年代半ば以降280万人ともいわれる餓死者が出ても“平気”だったのだから。また、国の血液といえる重油は、中国からのものは、核・ミサイル開発のために減ったようだが、途絶えてはいない。現在はイラン、ロシアからも入っているようだ。
・次に特殊部隊。つまり武力で救出せよとの声が最近聞こえてくるので、敢えて言うのだが、拉致被害者がどこでどのように生存しているかの確たる情報もなく投入することなどできない。安倍首相も7月の安保関連法案をめぐる国会審議で「残念ながら考えられない」と述べている。
・これは、拉致発生を容易にしてきたことにも通じるが、アメリカのCIA(中央情報局)やDIA(国防情報局)のような諜報機関が日本にない以上、武力に頼ることはできない。
・わが国は若狭湾沿岸に14基の原発が集中するというリスクを背負う。万一、北朝鮮のミサイルまたは工作船からのロケット砲が、この一つを破壊し、放射性物質が琵琶湖に降り注いだならば、近畿の千数百万人は水を飲めなくなる。
・拉致被害者を救出する方法だが、あるフランス人ジャーナリストが私に語ったものだ。北朝鮮と親交の深い、第三国の諜報機関員(複数)をカネで抱き込む。彼らは、長年にわたり北朝鮮に駐在したか往来してきた者たちだ。その機関員たちが目にかなう北朝鮮の諜報機関員をカネで抱き込み、被害者を脱北させる――。全員救出まですべては秘密裏に行う。北朝鮮は当然そういうことに神経を尖らしているだろうが、わかった上での行動だ。
・以上のように考えていくと、現時点で日本という国は、結局、話し合いで解決するしか道はないことになる。その場合、私は、拉致被害者以外の行方不明日本人や日本人妻の里帰りなどについても、同時並行で前へ進めるべきだと考える。もちろん、国の不作為のために泣いている人たちに人道上の優劣はない。ただし、見返りの経済援助はせず、必要経費のみ支払う。
・様々なパイプでやり取りをすることで拉致被害者につながる真正情報が入ってくる可能性が出てくる。  北朝鮮の幹部たちは、「いつ自分が粛清されるかわからない」という疑心暗鬼が強くなり秩序基盤はどんどん緩んでいるからだ。
・同時並行で進めると、拉致被害者の生存者まで死んでいると騙されるのではと指摘する声がある。徹底したDNA鑑定や歯型確認など科学的主義を貫く。空白の時間を費やすよりは、慎重かつ毅然とそうした行動への戦術を固めてほしいと願う。
http://dot.asahi.com/wa/2015120900054.html?page=1

第三に、12月22日付け日刊ゲンダイ「「戦略見えない」 安倍政権の拉致交渉に蓮池透氏怒り爆発」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・安倍政権よ、やっているフリはやめよ――。拉致被害者家族連絡会元副代表の蓮池透氏が21日、外国特派員協会で会見。北朝鮮による拉致被害者、蓮池薫さんの兄は、一向に進展しない政府の拉致交渉に怒りを爆発させた。
・「拉致問題を踏み台にして総理になったのだからしっかり対応すべきだ」と透氏は安倍にそう注文をつけると、返す刀で「『あらゆる手段を尽くす』と言っていますが、具体的な戦略はまったく見えてこない」とぶった切った。
・日本政府が認定する12人の拉致被害者に関する再調査の最新動向は、21日付の朝日新聞が報じたばかり。11月中旬から今月中旬にかけて、日朝の政府関係者が中国で計3回の非公式協議を行ったが、北朝鮮側の「8人死亡、4人は入国していない」という従来の主張は覆らず。事態の進展はなかったという。
・北朝鮮が再調査の特別調査委を設置したのは昨年7月。報告期限は「1年程度」だったが、先送りに先送りを重ね、すでに1年半が経過しようとしている。日本がなめられているのは明らかだ。蓮池透氏は会見でこうも言った。
・「安倍政権がやっていることは13年前と同じで、なんの進歩もない。安倍さんは『任期中に(拉致問題を)解決する』と言うなら、画期的な方法を取ってほしい。『(拉致被害者)1人に10億円出せ』という日本の政治家もいる。そういう“禁じ手”を考えてもいいと思う」
▽信頼できるのは小泉元首相と田中均氏の2人のみ
・透氏の怒りはホンモノだ。今月18日には「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」を出版。拉致問題で安倍自身がよく語っている“武勇伝エピソード”がウソだらけだったことを暴露している。
・「透氏は小泉純一郎元首相、田中均元外務審議官の2人以外、信頼できる政府関係者は皆無だったと言っています。安倍首相とは無役の時代から知り合いで、可もなく不可もない関係だった。しかし、首相になってからは口だけで何もしない安倍さんに対し、次第に怒りを募らせていったようです」(出版関係者)
・横田めぐみさんの父・滋氏も今月、「(交渉の)やり方を変えるべきだ」と訴えている。無策な安倍外交をいつまでも続けるわけにいかない。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/172192/1

拉致問題はなんとなく「手垢がついた」感じがして、これまで取上げてこなかったが、安部首相がいつまで経っても「ほおかぶり」しているので、今日取上げた次第である。横田夫妻がまだ元気なうち内に、帰国を実現させたいと誰しも」願っているとは思うが、現実は厳しそうだ。それにしても、昨年の再調査開始時の政府の情報操作やメディアの報道は、希望を抱かせてからハシゴを外すという無責任極まるものといえよう。
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