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血液製剤大手、化血研での40年以上にわたる不正(その2)「血液製剤利権」の危ない病巣 [社会]

血液製剤大手、化血研での40年以上にわたる不正については、昨年12月10日に取上げたが、今日は (その2)「血液製剤利権」の危ない病巣 である。

選択2016年1月号の「「血液製剤利権」の危ない病巣」のポイントを紹介したい(▽は小見出し)
・不正を40年以上も見落としてきた厚労省の「アリバイ作り」の調査に意味はない。
▽天下り官僚を受入れ
・「厚労省と血液製剤メーカーなどが一体となった「血液ムラ」の独走が全ての原因」(厚労省OB)。 「薬害エイズ訴訟を契機とした「血液製剤の国内自給」という国策が全ての原因」(同)。
・国内の供血者の血液が絶対的に安全という科学的根拠なく、国内メーカーも杜撰。血液製剤を自給に頼る方がむしろ危険。
・厚労省は「薬害エイズ事件を繰り返すな」というスローガンを錦の御旗に、自給を推進。
・「利権」の構図は、日本赤十字社が、善意で集められた原料血漿をメーカーに卸すことで、濡れ手に粟の利益。
・慢性的血液不足も「血液ムラ」に好都合。日赤から卸す原料血液の量を、審議会を使って差配できるから。
・利権はこの他にも、「「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」の審査官やムラに属さない官僚を見下して、やりたい放題」(厚労省現役官僚)。
・血液ムラでは、「血液製剤は高い品質を要求される。だから特別な品質管理が必要」として、PMDAが行う通常の医薬品の審査に加えて、独自の審査を制度化。「承認前検査」と「国家検定」で、共に国立感染症研究所が担当。実際にはお手盛りの検査を加えて無駄に時間をかけているだけ。
・国内メーカーを一堂に集めての説明会など、通常の医薬品とは異なる「護送船団方式」がまかり通る。日本独自の検査や規格は、「非関税障壁」として機能し、他の医薬品と異なり外資メーカーの脅威に晒されることなく商売ができるからだ。
・業界団体「日本血液製剤協会」には、化血研、日本血液製剤機構、日本製薬など中小の企業が名を連ね、厚労省の庇護の下でぼろ儲けに励んできた。化血研の14年度製品売上高は475億円と、世界的血液製剤メーカー、バクスター日本法人の523億円に伍する。化血研の研究開発費は医薬品メーカーとしては少ない76億円、利益率31%。こうした利益の見返りに、血液ムラは厚労省からの天下りを受入れ。日赤の副社長は元次官、血液製剤協会の専務理事もOB。
▽自縄自縛に陥る「血液ムラ」
・「(血液ムラは)自給と安定供給の二兎を追って詰んだ」(血液行政に詳しいジャーナリストの川口恭)。仮に1つの工程で問題が起きると、下流の全工程で問題が波及。今回の問題では、凝固因子の第九因子製剤の抽出工程で無届のヘパリンを使用。この後さらに10種類の成分抽出が控えており、第九因子製剤の製法を変更すると、残りの10種の製剤についても全て変更する必要。化血研だけに責任を被せて火消しに走る血液ムラを解体せずに健全化することは不可能

「血液製剤利権」の危ない病巣は、極めて深いようである以上、単に化血研だけを「スケープゴート」にして済む問題ではなさそうだ。最も責任が大きいんは、化血研ではなく、厚労省であることは上記から明らかだ。
厚労省の黙認なくして、40年以上にわたる不正が続く筈はない。
「薬害エイズ事件を繰り返すな」というスローガンを錦の御旗に、自給を推進した厚労省の巧みさには、脱帽する他ない。行政上の空前の大失態を引き起こしながら、逆手にとって、むしろ利権を大幅拡大させた「焼け太り」の見事さは、今でこそ二流官庁と揶揄されるが、「元内務省」の面目躍如である。
1月9日付け日経新聞によれば、厚労省は、化血研に対し、110日間の業務停止処分としたが、製品の7割超は代替品が無いとの理由で引き続き出荷が認められたようだ。国内メーカーが3法人に限られる血液製剤は、安定供給のために国が製造量や原料となる献血の配分量も決めている「閉鎖的」な業界。ワクチンについても、製法が特異なことなどから主要なメーカーは6法人にとどまり、同様の構図らしい。厚労省は外部有識者を交えた作業部会の初会合を開き、血液製剤とワクチンの製造業界のあり方について議論を始めるらしい。
他の2社では問題がなかったのかも、明らかではないなど、新聞の報道姿勢も消極的だ。
ただ、記事などには触れられてないが、TPPが発効すれば、こうした閉鎖性に穴が開く可能性があるとすれば、せめてもの救いだ。
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