SSブログ

日銀の異次元緩和政策(その11)マイナス金利導入参考情報(浜田宏一氏見解、高田創氏見解(世界大恐慌再来の不安)) [経済政策]

昨日に続いて、日銀の異次元緩和政策(その11)マイナス金利導入参考情報(浜田宏一氏見解、高田創氏見解(世界大恐慌再来の不安)) である。いずれも、マイナス金利導入前の記事だが、参考になる点が多いので、取上げる次第である。

先ずは、アベノミクスのブレーンとして、異次元緩和政策を支えたイェール大学名誉教授・内閣官房参与の浜田宏一氏が、1月26日付け東洋経済オンラインのインタビューに答えた「「金融緩和を止めてはならない」 止めてしまえば元の木阿弥になってしまう」を紹介したい(▽は小見出し、Qは記者の質問、Aは浜田市の回答)・
▽日本経済の成長には何が必要か
Q:年初からの世界的な株価の急落はようやく収まったようですが、事実上、株式や不動産などの価格上昇に依存するアベノミクスには逆風です。「量的・質的緩和を軸とする日銀の金融政策も限界に差し掛かっている」との指摘があります。
A:アベノミクスはしっかりと前進しており、日本経済は正しい方向に向かっている。2008年のリーマンショック後、FRB(米連邦準備制度理事会)だけでなく、イングランド銀行など世界の主要な中央銀行は大胆な金融緩和に踏み切った。にもかかわらず、日本だけが中途半端な金融政策を実行していたため、大不況を招いてしまった。アベノミクスによって2013年に登場した黒田東彦総裁は、大胆な金融緩和によって円安が進み、日本経済を苦しめていた需要不足解消に努めたことで、初期のアベノミクスは大成功を収めた。
 だが金融緩和によってこれ以上需要だけを増やそうとしても、日本経済をさらによくするのは難しい。また欧州危機や「チャイナショック」などもあり、金融緩和をしてもアベノミクスの初期のように劇的な成果を上げるのは難しくなっている。今は日本経済の構造改革を進め、供給力を増やすように持っていくことが大事だ。
 たとえば、ハーバード大学のデール・W・ジョルゲンソン教授などは日本の農業やエネルギー、小売り、運輸などの業種での生産性の低さなどを指摘、問題が多いとしている。
 また、日本の経済政策は中小企業を中心にいかに救うかに腐心しているが、いかに生産性の低い企業を退出させるかが大事だと説く。いわば「3本の矢」や「新3本の矢」による成長戦略も重要だが、「(問題があるところに)1000本のはりやおきゅうをほどこして丹念に治していくというイメージだ。
 しかも、ジョルゲンソン教授は単に「構造改革をせよ」と言うだけでなく、構造改革をする際の為替レートなど競争力の条件なども示しており、非常に刺激を受けた。
▽金融緩和をやめてしまったら、「元の木阿弥」
Q:金融政策が、アベノミクスの初期ほど効かないとすると、日銀は現在のような金融緩和策を変更すべきでしょうか。しかもこのまま国債を買い続けていると、日銀が買おうとしても国債の売り手がいない「札割れ」の状況が遠からずやってきます。
A:私がこうして構造改革の話をすると、かねてから金融緩和を重視した経済政策に異論を唱えている人々は「浜田教授はだいぶ大人になってきたようだ」と喜び、一方で金融緩和論者は「弱気になったのか」と怒り出す人もいるようだ。
 だが、私が言いたいのは、「金融緩和はこれからも必要」ということだ。もし、今金融緩和をやめてしまったら、日本経済は再び需要不足に陥り、失業が増えてしまう。これでは日銀がせっかく緩和をしたにもかかわらず、途中でやめてしまった時代に逆戻り。元の木阿弥になってしまう。
 現在は残念だが、まだ労働者の賃金が上昇しているとは言えない状態だ。これは本当に労働力がひっ迫していないか、あるいは正規労働者と非正規労働者の二重構造問題などが考えられる。だから積極的に賃金を上げ、生産性の低い企業に退出を促すのが官邸の考え方。私は、賃金を先にあげてしまうと企業のコスト増となりかねないため、一時的に実質賃金が下がっても先に物価を上げて企業の有利にしておくほうが雇用が継続し、需要も増えると考えるが、そこはいろいろな意見がある。
 日銀が買う国債が不足する「札割れ」の状況などは技術的な問題で、日銀が打つ手がないわけではなく、いろいろな手段がある。たとえば外債を買ってもいい。
 もちろん、「外債購入は為替操作などにあたる」といった指摘もあり、国際金融畑でならした黒田総裁がそうした政策に踏み切るかどうかはわからない。また、各市場の厚みの問題などもあり、どんな市場で働きかけても、副作用が増えることは覚悟しなければならないのも事実だ。
▽明るい米国経済の将来、中国経済に大減速の不安
Q:昨年末にFRBは利上げに踏み切りました。米国経済の今後をどう見ていますか。また利上げは新興国などからマネーを吸い上げることにもなります。
A:米国経済の今後については、楽観的に見ている。米国は移民の文化が色濃く残っており、労働力は国外から供給され続け、つねに競争させられる。その意味では、人口動態が落ち着いた成熟した先進国とは言えないかもしれない。こうした点が、米国経済が上向きになっている一つの原因でもある。
 私などもいまだに空港に降り立つと扱いが荒く、一つの荷物になったような気持ちにさせられるくらいだ。確かにオバマ大統領の移民政策もうまくいっているとは言えないし、任期の前半、医療保険問題でかなりの勢力を使い果たしてしまった。だが、それでも低所得者層に一定の恩恵があったと言える。
Q:米国の金融政策が富の二極化に拍車をかけたという批判があります。
A:金融緩和によって、分配の不平等が避けられるのかはわからない。だが、イエレンFRB議長は金融業界に厳しい規制が必要だという態度を示しつつ、「資産の買い取りなどの金融緩和政策は金持ちを助けるだけだ」という批判に対しては、「それは事実ではない。私たちの政策は、長期金利を下げ、消費の回復を助けるものだ」と反論した。
 著者の考えがまとめられた『2020年世界経済の勝者と敗者』(ポール・クルーグマン・浜田宏一共著、講談社)は1月26日発売(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)  彼女は私と同じトービン教授(ノーベル経済学賞受賞、2002年没)の弟子だ。トービン教授はつねに一般国民の生活を重視することを教えたが、彼女は師の教えに忠実であり、彼女の金融行政には社会的正義の視点がある。共和党系の議員やその影響下にある一部のFRBの幹部の中には金融引き締めを主張する「タカ派」もいるが、今後はイエレン議長の社会的正義を重視する態度がより重要になるだろう。
Q:今後の不安の芽は、やはり中国経済でしょうか。
A:中国経済の底力は認めるが、2015年の貿易総額は6年ぶりに減少、輸出は前年比2.8%の減少となっている。この状態で本当にプラス成長を維持できているのだろうか。
 また、年初から上海株のサーキットブレーカーが発動して、すぐにそれを引っ込めてしまうなど、中国の一連の政策を見ていると、習近平主席をとりまくブレーンについても、本当に経済の専門家なのか疑わしい。昨年夏に起きたいわゆる「チャイナショック」がもう一度起こるかもしれない。
 ただ、中国経済の規模は大きい。私は「ゲーム理論」に従って、日本はさまざまな戦略を立て、共存共栄ができるよう手立てを考えるのが賢明な方策ではないかと考えています。
http://toyokeizai.net/articles/-/101990

次に、みずほ総研チーフエコノミストの高田創氏が1月27日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「世界大恐慌再来の不安に日本はどう対処するか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽「第4局面」のリスクシナリオ浮上 “世界同時不況”再来への不安
・昨年来、筆者の抱く基本シナリオは、2000年代以降の世界経済の長期にわたるバランスシート調整の「第3局面」、新興国問題を抱える局面にあるとの認識であった。2016年を展望し、先進国は緩やかな改善を見込むが、新興国は下振れリスクを内包する局面にあるとした。
・バランスシート調整の3局面は、図表1にまとめてきた。第1局面として2000年代以降、先進国の民間セクターの過度な信用拡張の反動が、2007年のサブプライム危機、2008年リーマンショックにつながった。第2局面は、第1局面の危機に対処した財政拡大により、2009年以降、先進国で債務問題が生じた。
・第3局面は、先進国のバランスシート調整が第2局面の先進国自らの対応では収まらず、新興国の信用拡張によって対処されてきたことによる。新興国が新たなバランスシート調整を迎える局面に入ったとの認識だ。第3局面では「端境期」とし、牽引役の交代シナリオ、新興国の減速と先進国の回復シナリオとしてきた。
・しかし、今年新たなリスクシナリオ、「第4局面」が浮上した。新興国が深刻なバランスシート調整にあるなか、先進国もバランスシート調整が長引き、世界連鎖不況に陥ることだ。唯一の牽引役である米国が利上げで失速し、世界に牽引役が不在となる「世界水没(金利マイナス)」の不安、極端には世界同時不況再来である。年初来の世界的株安はそうした悲観シナリオへの不安による面が大きい(図はリンク先を参照)。
・筆者は今から4年前、2012年に、『20XX年世界大恐慌の足音』 と題する本を著したことがある。これは、先の段階論で言えば、「第1局面」を前提とし、日米欧のバランスシート調整が同時に生じた環境下、世界経済戦争が生じている「新重商主義」の局面にあるとの問題提起であった。その認識は今日も変わらない。
・以下の図表2は、歴史的に振り返り、深刻なバランスシート調整の局面で生じやすい国際的な環境を示す。ブロック化の観点では、欧州はブロック化し、中国も新シルクロード計画で自らの経済圏を確保しようとし、米国はTPPで影響力を確保しようとしている。通貨面では「金利水没」に至る超金融緩和で実質的な通貨戦争が続いている。同時に政治面でも各国で不満が高まっている。
▽危機シナリオは回避できるのか 世界同時調整への今日的処方箋とは
・こうした危機シナリオからの回避にはどうしたらいいのだろうか。
・1930年代の世界大恐慌のときは、世界各国の緊張が軍事的衝突である第二次世界大戦という極めて悲劇的な結末を招いた。戦後の国際的な枠組みはその教訓から戦争の悲劇を極力回避しようとしたものだった。1930年代以降の大恐慌の後を振り返れば、当時、通貨競争で先んじた国家が回復を先導し、同時にソ連やドイツのように国家主導での財政政策を拡張した国の回復が早かった。
・今日、軍事的側面を捨象しつつも、いかに回復を実現できるかの英知が世界に問われる。そこでは、まず、先進国が回復を確実にすべく、財政も含めた成長率底上げを行うことだ。G20の世界では、2014年からブリスベン行動計画で成長率の2%底上げが謳われてきたが、実現できていなかっただけにその実効性が改めて問われる。G7やG20の場で、各国の景気底上げが財政政策の活用も含めて議論されやすいのではないか。
・金融の面でも、米国は利上げによる失速不安を払拭すべく、成長に軸足を置いて利上げ姿勢を抑制することになるだろう。同時に、先の図表2における「フロンティア」を求める動きは、地域的な拡張ではなく、技術やテクノロジーの面でのフロンティア、新技術開発での新たな市場ができることが理想である。また、フロンティアとした地域では、新興国のなかでもバランスシート調整に陥っていない新たな国に期待をかけることも重要だ。
▽追加緩和、消費増税先送り、景気対策──日本は「2014年3点セット」の復活も
・2016年前半の経済政策は、アベノミクス第2ステージの政治日程のなかで考える必要がある。同時に、2016年前半は、2014年後半に類似した政策パッケージが検討される可能性がある。
・2014年後半の政策3点セットをまとめたのが図表3である。金融面では、2014年10月30日のハロウィン緩和で黒田バズーカ第2弾が飛び出した。政治面では、2015年10月に予定されていた消費増税が先送りされ、解散総選挙が12月に行われた。財政政策では、3兆円の景気対策を行うべく補正予算策定が打ち出された。
・2016年前半、世界的金融市場の不安定さのなか、アベノミクス第2ステージに踏み出した重要な年との位置付けで、図表3のような3点セットが繰り返される可能性があるのではないか。それらは、第1に日銀の追加緩和、第2は7月の同日選挙も含めた解散総選挙とその「大義」としての消費税先送り、第3は5月後半の日本で開催されるサミットに合わせ日本が先頭で国際貢献の名の下に景気対策を行う、というものだ。
▽日銀は政治日程のなかでカードを切る 1月・3月・4月のいずれかに追加緩和か
・日銀の追加緩和の可能性は、3点セットのなかで検討されよう。すなわち、いかに政策パッケージとして、効果的なタイミングとするかの政治判断、最も有効にカードを切るにはいつがいいかとの判断になるだろう。
・追加緩和にあたっては、2012年1月、当時日銀・白川総裁時代にインフレ目標を政府と共同声明として結んだのと同様、政府との共同声明を新たな形で打ち出すとの選択肢もある。その場合、物価目標に合わせて、賃金目標に近いものも加えられるのではないか。
・同時に、付利の引き下げ等も含め、2018年まで視野に含んだ長期戦の構えに踏み出すことも選択肢となる。昨年の日銀の対応は株式市場にはわかりにくかったが、追加緩和を視野にした準備とみるべきだ。日銀の追加緩和は1月から6月までの政治日程のなかで判断されるだけに、1月・3月・4月のいずれかのタイミングでの緩和カードが切られるのではないか。
http://diamond.jp/articles/-/85243

「金利水没」とは、国債の満期別の利回りがマイナスになった状態を意味。1月27日付けのみずほ総研の緊急レポートの37頁の「世界の金利水没マップ」によると、26日段階でマイナスになっているのは、スイスでは1年から13年まで、ドイツでも6年まで、フランスも5年まで、日本も3年まで(その後、マイナス金利導入で8年までに広がったとのことである)。スペインやイタリアですら2年までマイナスになっている。
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/urgency/report160127.pdf

浜田宏一氏は、もともと、「デフレも円高も財の通貨に対する相対価格、他通貨に対する相対価格の問題だ。これらはフリードマンがよく言った「貨幣的現象」にほかならない」として、通貨面を重視する立場だった。それが、氏がしぶしぶ認めざるを得ないように、構造改革を言い出した。無論、「金融緩和はこれからも必要」とするが、もはや追加緩和までは求めていない。「打つ手がないわけではない」として、提示した例は、国際的批判を招きかねない外債購入だけである。「チャイナショック」のような実物面の要因を持ち出すのも、通貨面重視の立場の修正である。ここまで苦しまぎれの言い訳をするのであれば、自説の誤りを認める方がよほどスッキリするのではなかろうか。
高田創氏が指摘する「世界大恐慌再来の不安」は、とは穏やかではなく、ショッキングだ。この記事でも今後の政策として「付利の引下げ」(今回のマイナス金利導入)を示唆している。「世界の金利水没マップ」は、水没状況の広がりが如実に示されている。やはり、ただならない異常な世界に突入したようだ。
タグ:東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 浜田宏一 高田創 日銀の異次元緩和政策 (その11)マイナス金利導入参考情報 浜田宏一氏見解 高田創氏見解(世界大恐慌再来の不安) アベノミクスのブレーン 「金融緩和を止めてはならない」 止めてしまえば元の木阿弥になってしまう 初期のアベノミクスは大成功 金融緩和をしてもアベノミクスの初期のように劇的な成果を上げるのは難しくなっている 今は日本経済の構造改革を進め、供給力を増やすように持っていくことが大事 金融緩和はこれからも必要 日銀が打つ手がないわけではなく いろいろな手段がある。たとえば外債を買ってもいい 為替操作などにあたる 中国経済に大減速の不安 「チャイナショック」がもう一度起こるかもしれない 世界大恐慌再来の不安に日本はどう対処するか 今年新たなリスクシナリオ、「第4局面」が浮上 新興国が深刻なバランスシート調整にあるなか、先進国もバランスシート調整が長引き、世界連鎖不況に陥ることだ 世界水没(金利マイナス) 実質的な通貨戦争 先進国が回復を確実にすべく、財政も含めた成長率底上げを行うことだ 追加緩和、消費増税先送り、景気対策 日本は「2014年3点セット」の復活も 付利の引き下げ けのみずほ総研の緊急レポート 世界の金利水没マップ デフレも円高も財の通貨に対する相対価格、他通貨に対する相対価格の問題だ。これらはフリードマンがよく言った「貨幣的現象」にほかならない
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0