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教育(その2) 広島中3、進路指導による「指導死」問題 [社会]

教育については、2月8日に取上げた。広島中3、進路指導で自殺した事件では、今日、卒業式が行われたようなので、これを、 (その2) 広島中3、進路指導による「指導死」問題 として取上げよう。

先ずは、3月9日付け産経WEST「口頭で伝えられ万引記録誤記、作成の教諭「なぜ間違えたのか覚えていない」 校長は全校集会で謝罪」を紹介しよう(▽は小見出し)
・広島県府中町の町立中学3年の男子生徒(15)が、誤った万引記録に基づく進路指導を受けた後に自殺した問題で、生徒指導会議用の資料を作った教諭が、実際に万引した生徒の名前を別の教諭から口頭で伝えられたのに、誤って男子生徒の名前を記載していたことが9日、分かった。
▽元の電子データを放置…校長「修正する担当者が…考えてなかった」
・学校は9日午前、全校集会を開催。坂元弘校長が不適切な進路指導があったことを生徒に説明し、謝罪した。全生徒にアンケートを実施する。
・会議は別の生徒による万引があった平成25(2013)年10月に開かれた。誤記した教諭は口頭で報告を受けた際にメモを取っていなかった。「なぜ間違えたのか覚えていない」と話している。
・会議の場で間違いが指摘され、出席した教諭らは手元の資料を直したが、校内のサーバーに保存された元の電子データは誤った内容のまま放置された。坂元校長は8日の記者会見で「データを修正する担当者も決まっておらず、考えていなかった」と釈明した。
・生徒の自殺後、当時の教諭らの聞き取りから万引をしたのは別の生徒だったことが判明した。町教育委員会によると、非行事実があった場合、通常は指導教諭が反省文や、保護者の意見などの記録をノートに残すが、このケースは残っていなかった。男子生徒は、1年生の時に万引をしたことがあるとの記録を理由に志望校の推薦を出せないと担任から言われ、昨年12月8日、両親を交えた三者懇談を欠席し、その日に亡くなった。
http://www.sankei.com/west/news/160309/wst1603090051-n1.html

次に、10日付け産経WEST「冤罪型が10件も…広島だけじゃない、繰り返される「指導死」 教育評論家調査」を紹介しよう。
・教諭による不適切な指導が原因で児童・生徒が自殺するケースは「指導死」と呼ばれ、近年表面化するケースが相次いでいる。
・教育評論家の武田さち子さんらの調査では、指導死とみられる児童・生徒の自殺(未遂含む)は平成元年~今年2月に全国で61件確認された。具体的には「他の生徒の前での叱責」や「違反行為の発覚と疑い」などが背景にあったという。広島のケースのように、事実誤認に基づいて自殺に追い込まれた「冤罪(えんざい)型」も10件に上った。
・武田さんは指導死について、「体罰など身体的な暴力よりも、不適切な言動によって精神的に追い詰めることの方が多い」と指摘する。そのため、教諭側に「加害行為をした」という自覚がないまま、漫然と指導を続けてしまうという。
・一方、「『指導死』親の会」の代表世話人、大貫隆志さん(59)は、指導死を「学校内でのパワハラだ」と訴える。 大貫さんによると、広島のような冤罪型のケースでは、(1)否定しても聞き入れてもらえない(2)否定できる雰囲気ではない-場合が多く、生徒は「信じてもらえない」「受け入れてもらえない」と学校での居場所をなくしていくのだという。
・近年、体罰事件が相次いで表面化した影響で、指導死という言葉は社会問題として認識されつつあるが、大貫さんは「指導が子供たちの自殺の引き金になり得ることを、現場の教諭らがリアルな危機として感じていない」と危惧する。
http://www.sankei.com/west/news/160310/wst1603100039-n1.html

第三に、12日付け産経WEST「同級生ら「一緒に卒業したかった」 府中町立中で卒業式 校長号泣「申し訳ない」」の一部を紹介しよう。
・門出の日は、悲しみと怒りに包まれた。3年生の男子生徒=当時(15)=の自殺問題で揺れる広島県府中町立中学校で12日に行われた卒業式。同級生や保護者からは「一緒に卒業したかった」「学校に裏切られた」との声が上がった。同校が作った調査報告書で、問題の責任者と名指しされた坂元弘校長は式後の会見で「申し訳ない」と号泣。担任教諭は「心のことで参加できない」と欠席したという。(以下省略)
http://www.sankei.com/west/news/160312/wst1603120042-n1.html

第四に、10日付けNHK NEWS WEB「中3男子生徒自殺 不適切な進路指導はなぜ?」のポイントを紹介しよう。
・文科省の指導では、こうした事件が発生した場合には直ちに第三者委員会で調査するとしているのに、この学校ではやらずに闇に葬ろうとした。
・自殺した生徒は成績も10番以内、仲間内からも好かれるいい生徒。生徒が1年生のときのことは他の中学校で勤務していた担任は知らず。微妙な問題を廊下の立ち話で確認。
・平成に入って以降の冤罪による指導死が10件もあるが、本来「指導」と「死」はつながる筈がないものが、つながっているところに歪みを感じる
(以下はコメンテーターの教育評論家・小見誠広氏のコメント)
・教師は生徒を育てるのが本分で、高校への推薦に関与すると生徒との間に隔たりが出来てしまうので、推薦などに関与すべきではなく、選抜は高校に任せればいい。
・仮に1年の時に万引きしていたとしても、それを更生させるのが教育の役割なのに、推薦しない理由にするなどもってのほか。
・背景には、学校管理体制の強化。特に2000年代に入ってからは、一般の教師も人事評価で処遇に差がつくようになり、教師の自主性や相互のコミュニケーションが阻害。こうした背景面まで取上げた上で、教育の体制を全面的に見直すべき。

第五に、指導死をまとめたサイト、NAVERまとめ「指導死~教師の行き過ぎた指導がきっかけで、不登校や自殺する子どもが増えている!?」の一部を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽指導死とは?
・一般に「指導」と理解されている教員の行為によって、子供が精神的あるいは肉体的に追い詰められ、自殺すること。
・※指導死の定義
 (1) 一般に「指導」と理解されている教員の行為によって、子どもが精神的あるいは肉体的に追い詰められて自殺すること。
 (2) 指導方法として妥当性を欠くと思われるものでも、その学校でよく行われる行為であれば「指導」ととらえる。(例 些細な行為による停学、連帯責任、長時間の事情聴取・事実確認 など)
 (3) 自殺の原因が「指導そのもの」や「指導をきっかけとした」ものと想定できるもの。(指導から自殺までの時間が短い場合や、他の要因を見いだすことがきわめて困難なもの)
▽背景にある身体の自由を奪う指導
・身体の自由を“人質”に、表面上生徒を屈従させるのが「全員が歌えるようにならないと帰さないぞ」であるなら、精神の自由を“人質”に、おもて向き従わせるのが、反省文の類いだ。
・「俺の言うことがわかったら、帰っていいぞ」 これは〈身体の自由〉を“人質”にとるやり方――。
・「悪いと思っているのだったら、反省文書いて来い」 これは〈精神の自由〉を“人質”にとるやり方だ――。 
・こういう“指導”に何の違和感を覚えない場合は、“指導”内容を次のように言い換えていったらどうだろう。  出典《人質司法》学校版 ~指導死の背景にあるもの~ - JanJanBlog
・「悪いと思っているのだったら、土下座しろ」 「悪いと思っているのだったら、卒業迄、毎日職員室のトイレ掃除をしろ」 「悪いと思っているのだったら、俺に3万円払え」 「悪いと思っているのだったら、オレの靴をなめろ」  こう言われて、土下座したり、トイレ掃除したり、3万円払ったり、靴をなめたりする人は、おとなであればいないだろう。「悪いと心で思うこと」と、そのあとの行為(土下座、トイレ掃除、3万円支払い、靴なめ)に何の関連性もないからである。土下座であれ、トイレ掃除であれ、反省文であれ、子どもにさせることは、家畜が畑の作物を荒らさないように電気ショックを与えて“学習”させるのと同じである。  出典《人質司法》学校版 ~指導死の背景にあるもの~ - JanJanBlog
■行き過ぎた指導による生徒の自殺が増えている(以下省略)
http://matome.naver.jp/odai/2135277621077312101

第一の記事にある先生たちのずさんなやり方には、本当に腹が立った。人間の一生を左右しかねない重大な問題を、これほど粗末、いいかげんに扱っていたとは。廊下で本人に「立ち話」で聞いて、確認を取ったという担任だけでなく、サーバーの記録を修正しなかった先生、推薦拒否事由を過去1年間から3年間に変更した3年担任の会議に出席した先生、さらには校長、いずれも重大な過失を犯した上で、事件を本来の第三者委員会調査によるのではなく、内密にで処理しようとしたには、空いた口が塞がらない。被害者の中3生徒は、きっとおとなしく、先生から廊下聞かれても、その重大性に気づかぬままにいいかげんに答えてしまったのだろう。ご冥福をお祈りしたい。
先生が「忙しく」廊下の立ち話で聞くしか時間がなかったとしても、聞く前にそれが推薦の可否につながる重大問題であると、確認していなかったのだろう。
小見誠広氏の主張は総じてもっともだが、推薦制については、私はあってもいいが、基準を生徒も納得できるような客観的なものにすべきと思う。
こうした指導死の問題は、教育界の閉鎖的体質を踏まえて、もっと本格的に対策を検討すべきだ。
なお、明日13日から16日まで更新を休むので、17日にご期待を!
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