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アベノミクス(その7)「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返し、上海G20の勝者・敗者 [経済政策]

アベノミクスについては、1月1日に取上げたが、今日は (その7)「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返し、上海G20の勝者・敗者 である。

先ずは、1月4日付け日刊ゲンダイ「「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然」を紹介しよう。
・テレビ朝日系の「朝まで生テレビ!」。「激論!安倍政治~国民の選択と覚悟~」と題した1日放送の番組では、大田区の自民党区議が「建築板金業」と身分を隠し、安倍政権をヨイショするサクラ疑惑が発覚。「今年初のBPO入り番組」とネットで炎上中だが、同じように炎上しているのが、元総務相の竹中平蔵・慶応大教授の仰天発言だ。
・番組では、アベノミクスの「元祖3本の矢」や「新3本の矢」について是非を評価。冒頭、「アベノミクスは理論的には百%正しい」と太鼓判を押した竹中平蔵氏。アベノミクスの“キモ”であるトリクルダウンの効果が出ていない状況に対して、「滴り落ちてくるなんてないですよ。あり得ないですよ」と平然と言い放ったのである。
・トリクルダウンは、富裕層が富めば経済活動が活発になり、その富が貧しい者にも浸透するという経済論だ。2006年9月14日の朝日新聞は〈竹中平蔵・経済財政担当相(当時)が意識したのは(略)80年代の米国の税制改革だった。その背景には、企業や富裕層が豊かになれば、それが雨の滴が落ちるように社会全体に行きわたるとする『トリクルダウン政策』の考え方があった〉と報じているし、13年に出版された「ちょっと待って!竹中先生、アベノミクスは本当に間違ってませんね?」(ワニブックス)でも、竹中氏は〈企業が収益を上げ、日本の経済が上向きになったら、必ず、庶民にも恩恵が来ますよ〉と言い切っている。
・竹中平蔵氏がトリクルダウンの旗振り役を担ってきたのは、誰の目から見ても明らかだ。その張本人が今さら、手のひら返しで「あり得ない」とは二枚舌にもホドがある。埼玉大名誉教授で経済学博士の鎌倉孝夫氏はこう言う。
・「国民の多くは『えっ?』と首をかしげたでしょう。ただ、以前から指摘している通り、トリクルダウンは幻想であり、資本は儲かる方向にしか進まない。竹中氏はそれを今になって、ズバリ突いただけ。つまり、安倍政権のブレーンが、これまで国民をゴマカし続けてきたことを認めたのも同然です」
・こんな男が今も政府の産業競争力会議の議員を務めているなんて、安倍政権のマヤカシがよく分かる。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/172701/1

次に、産経新聞特別記者の田村秀男氏が3月4日付けZAKZAKに寄稿した「【お金は知っている】G20の勝者・中国と敗者・日本 中国に手を貸した財務官僚に呆れた」を紹介しよう。
・先週末、上海で開かれた20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議の共同声明は回りくどく、インパクトに欠けた。だが、よくよく読むと、勝者と敗者が浮かび上がる。前者は中国、後者は日本であり、日本はその中国に手を貸した。ばかばかしい限りだ。
・同声明は英文で1万6000字、一見するとうんざりだが、キーワードは為替変動、資本、金融である。
・ポイント部分は「金融政策のみでは、均衡ある成長につながらない」「我々は機動的に財政政策を実施する」「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得る」「我々はより適時なリスクの特定を含め資本フローをよりよく監視し、各国の経験を踏まえ、巨額で変動しやすい資本フローから生じる課題に対処する上でとり得る政策手段及び枠組みについて現状評価を行い、適切に検証を行う」といったところ。200字程度だ。
・どう読むか。中国は人民元の暴落を食い止めたい。そのためには資本規制を強化する必要がある。ところが、中国は国際主要通貨の集合体である国際通貨基金(IMF)・特別引き出し権(SDR)入りの条件として金融自由化を約束しているので、自ら規制を言い出せない。
・本欄ですでに指摘したように、率先して助け舟を出したのが日本の財務官僚と黒田東彦日銀総裁である。元暴落を恐れる米欧や他の新興国にも、「為替安定」のためなら異論はない。さすがにモロに「資本規制」を認めるとIMFとの約束違反だから避けたが、代わりに規制を意味する「政策手段」を評価さえすればよいことにした。見え見えの官僚式猿知恵だ。こうして北京は安心して外為市場を管理し、元相場安定のために強権を発動してでも株式など資本市場を規制しても文句を言われなくした。
・これで今年10月予定の元のSDR入りの障害はなく、習近平政権は心置きなく国際通貨元を発行し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の原資に充当できる。日本の企業も銀行も元建て決済の受け入れを迫られるだろう。
・日本はどうか。日銀の「マイナス金利」について、米独などが通貨安競争になるとして、強く牽制(けんせい)した。しかも金融偏重は効果がないと決めつけられた。となると、黒田総裁は今月中旬の日銀政策決定会合で、マイナス金利の追加策を打ち出しにくくなった。北京を後押ししたのに、見返りなし。
・他方で、財務省は、財政の出番だとする国際合意によって、緊縮財政と消費税増税を押し通しにくくなった。財務官僚は声明文が日本の財政を縛るわけではないと言い張るが、増税の後遺症で経済がマイナス成長に落ち込んでいる日本が再増税するなら、世界から嘲笑混じりのブーイングを浴びるだろう。
・対照的に、元の安定を心がけ、財政出動にも前向きな中国は、世界から称賛されるという結末が見える。日本の財務官僚の自損行為のせいだ。
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20160304/ecn1603041550002-n1.htm

あれほどトリクルダウン論を強く主張していた竹中氏が、今になって「あり得ない」と手のひら返しとは、あきれるばかりだ。安部政権が、トリクルダウン論に沿って法人税の大幅引下げをしても、企業の内部留保が膨らむだけ。「官民対話」などを通じて、賃上げでの還元を政府が促すという資本主義経済での「禁じ手」を使っても、企業側は馬耳東風を決め込んでいる。ベア率は、不十分だった昨年を大幅に下回ることになりそうだ。
竹中氏は学者というより、やはり「政治家」に近いことを改めて立証したということだろう。
上海G20での、日本の立ち回りは日経新聞では触れてなかったので、この記事で驚かされた。中国側に助け舟を出した日本の財務官僚と黒田日銀総裁は、何を狙ったのだろう。この記事ではその説明がないのが「タマにキズ」だ。それにしても、こうした重大な事実を伝えない日経新聞などの一般のマスコミの姿勢には、改めて腹が立った。
タグ:日刊ゲンダイ (その7)「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返し、上海G20の勝者・敗者 「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然 アベノミクス 朝まで生テレビ! 激論!安倍政治~国民の選択と覚悟~ 竹中平蔵 慶応大教授 仰天発言 トリクルダウンの効果 「滴り落ちてくるなんてないですよ。あり得ないですよ」 企業や富裕層が豊かになれば、それが雨の滴が落ちるように社会全体に行きわたるとする『トリクルダウン政策』 ちょっと待って!竹中先生、アベノミクスは本当に間違ってませんね? 日本の経済が上向きになったら、必ず、庶民にも恩恵が来ますよ 鎌倉孝夫氏 トリクルダウンは幻想 資本は儲かる方向にしか進まない 安倍政権のブレーンが、これまで国民をゴマカし続けてきたことを認めたのも同然 産業競争力会議の議員 田村秀男 ZAKZAK 【お金は知っている】G20の勝者・中国と敗者・日本 中国に手を貸した財務官僚に呆れた G20財務相・中央銀行総裁会議 勝者と敗者が浮かび上がる。前者は中国、後者は日本 日本はその中国に手を貸した 中国は人民元の暴落を食い止めたい 資本規制を強化する必要 国際通貨基金(IMF)・特別引き出し権(SDR)入りの条件 金融自由化を約束 率先して助け舟を出したのが日本の財務官僚と黒田東彦日銀総裁 元暴落を恐れる米欧や他の新興国にも、「為替安定」のためなら異論はない 代わりに規制を意味する「政策手段」を評価さえすればよいことにした 北京は安心して外為市場を管理し、元相場安定のために強権を発動してでも株式など資本市場を規制しても文句を言われなくした 日銀の「マイナス金利」について、米独などが通貨安競争になるとして、強く牽制 日本が再増税するなら、世界から嘲笑混じりのブーイング 元の安定を心がけ、財政出動にも前向きな中国は、世界から称賛されるという結末
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