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タカタのリコール問題(その2) 原因究明は山を越す。問題はリコール対象拡大、損失負担に [企業経営]

タカタのリコール問題については、昨年6月23日に取上げた。今日は、(その2) 原因究明は山を越す。問題はリコール対象拡大、損失負担に である。

先ずは、昨年12月7日付け週刊日経ビジネス「特集 謝罪の流儀」のうちの「今どきの流儀1 事実関係よりトップの姿勢」のポイントを紹介しよう。
・タカタに対し、11月3日、米国の運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が7000万$(85億円)の制裁金と硝酸アンモニウムを使ったインフレーターの生産停止を命令。自動車業界全体で技術面の原因究明中にも拘らず、厳しい処分になった背景には、タカタとの関係に修復できないほどの亀裂。
・会長兼社長の高田が記者会見したのは、リコール開始後7年余り、5秒間頭を下げただけ。トップが公の場で謝罪せず、情報開示にも消極的。そんなタカタにメディア、消費者、当局、議員は不信感を募らせた。
・タカタの対応は、旧来の危機管理の常識に照らせば理はあった。リコールは自動車メーカーが判断するもので、部品メーカーが出るケースは殆どなかった。調査段階ではうかつなことは言えないとの判断も。

次に、本年2月24日付けロイター「タカタ欠陥エアバッグの根本原因特定、主要自動車メーカーの調査で」を紹介しよう。
・自動車メーカー大手10社は、タカタの欠陥エアバッグ問題について、3つの根本的な原因を特定したと明らかにした。
・10社の依頼を受けオービタルATKが実施した調査結果によると、エアバッグ異常破裂の根本原因は、湿気にさらされる状況、設計・製造上の問題、プロペラント(ガス発生剤)としての硝酸アンモニウム使用と判明したという。 乾燥剤を使用していない硝酸アンモニウムのプロペラント、湿気を含む高温の環境下に長期間さらされた状況、インフレーター(ガス発生装置)の組み立てで湿気防止対策が不十分であったことが組み合わさり、破裂を引き起こしたとしている。
・調査は乾燥剤を使用していないインフレーターのみを対象に実施された。タカタは今回の結果について、自社調査、および独フラウンホーファーに依頼した追加調査の結果と整合するとの見解を示した。 米道路交通安全局(NHTSA)報道官は結果を検証しているとコメントした。
http://jp.reuters.com/article/autos-takata-group-idJPKCN0VW2D8

第三に、3月8日付けダイヤモンド・オンライン「タカタ救済1兆円試算に自動車メーカーは及び腰」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・混迷を極めるタカタ製エアバッグのリコール問題。その収束をめぐり、事態はタカタの経営再建を模索する新たなフェーズに入った。
・キックオフは1月29日、タカタが主要取引先の完成車メーカー10社と行った会合だ。 現在までに世界で実施されたリコールの費用の大半は、完成車各社が品質管理費用として一時的に肩代わりしている。米証券ジェフリーズの試算によれば、業界合計で6078億円を計上。タカタの純資産は約1500億円なので、仮にいっぺんに全額請求されると債務超過に陥る。それだけにタカタは会合の場で、完成車各社に費用負担を要請したとみられる。
・ところが、ここで厄介な二つの問題が頭をもたげている。一つは、エアバッグの火薬(インフレータ)の異常破裂について、根本的な原因がいまだに判明していないことだ。 これまでに世界で死者は11人(米国9人、インドとマレーシアで各1人)、負傷者は100人を超えた。各国当局や自動車業界が足並みをそろえて調査・予防措置としてリコールを実施してきたが、因果関係が特定された死者は3人にとどまっているのだ。
・そこで、一刻も早く原因を特定し、責任の所在をはっきりさせるべく、現在は四つの調査が同時進行中だ。(1)タカタが米国で設立した第三者委員会、(2)タカタが委託した独研究所、(3)日米欧の完成車10社の共同調査、そして(4)タカタ製エアバッグを最も多く採用しているホンダの独自調査だ。
・このうち(1)~(3)が、2月に入り立て続けに調査結果を発表。だがその中身はおおむねどれも同じで、主たる要因は高温多湿下での継続的使用による経年劣化というもの。つまり、基本的にはこれまで指摘されてきた内容と何ら変わりがなかったのだ。(4)のホンダによる調査結果も3~4カ月後に出る見込みだが、「他の調査結果とあまり代わり映えしそうにない」(事情に詳しい業界関係者)との声がもっぱらだ。
▽ホンダはきっぱり否定
・さらにもう一つの問題は、リコールの規模がどこまで拡大するか不透明なこと。昨年11月の米当局とタカタの合意により、湿気を吸い取る乾燥剤の入っていないインフレータは、2018年までに回収していくことが決まっている。これを含めると、実に総額1兆円もの費用負担が見込まれる(先のジェフリーズ試算)。
・その上、ここにきて米当局が乾燥剤ありのインフレータについてもリコールの必要性を調査中と取り沙汰されている。
・ホンダは2月24日、「タカタの経営支援は今考えていない」(八郷隆弘社長)とあらためて救済をきっぱり否定。原因が判明せず費用も拡大し続けるとなれば、他の完成車各社も支援に及び腰となりかねない。
http://diamond.jp/articles/-/87411

第四に、やや古いが、昨年11月26日付け日経新聞「異常作動、2000年に認識? タカタ、データ改ざんの疑い 米紙報道」のポイントを紹介しよう。
・同社が少なくとも2000年から異常な作動を把握しておきながらホンダなど取引先にその事実を隠していた可能性。ホンダは3日に「タカタの提出データに改ざんがあった」と発表。隠蔽の疑いが強まれば自動車メーカーによるタカタ製品の不採用の動きがさらに拡大する可能性。米紙WSJ(電子版)が報じた。
・タカタは車メーカーの求めるエアバッグの品質基準を満たしていなかったにもかかわらず、その事実を伏せた試験データをメーカー側に提出。期間は00~10年にわたり、従業員もデータ改ざんの事実を認識。試験データが問題になっている異常破裂にかかわるものかは不明

情報はいまだに断片的なものしかないが、いくら下請の部品メーカーといっても、これでは、「危機管理の最悪の見本の1つ」となりそうだ。「会長兼社長の高田が記者会見したのは、リコール開始後7年余り、5秒間頭を下げただけ」とは、信じ難いことだ。無論、日米の危機管理のコンサルタントなどのアドバイスを受けて、あえてこうした戦術をとっている可能性もなくはないが、どうもそこまでの芸達者ではなさそうだ。
ホンダにまで提出データの改竄をしていたなどの昨年の日経新聞報道も致命的だ。
さらに、リコール対象の拡大、今後の完成車メーカーとの損失負担、などの難題にどう対処するつもりなのだろう。事実上の「死に体」であるだけでなく、今後の損失負担も不透明であれば、民間の事業再生ファンドの手には負えないことになる。しかし、どこかがリーダシップをとっていかないと、解きほぐせないだろう。本来、その役割を期待される大株主のホンダは、データ改ざんの被害を被ったこともあり、支援を否定している。シャープにフラれた産業革新機構さん、如何?
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