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ブラック企業(その3)“首切りビジネス”、パソナ子会社への「強制出向」 [経済政策]

ブラック企業については、3月24日に取上げたが、 今日は (その3)“首切りビジネス”、パソナ子会社への「強制出向」 である。

先ずは、3月15日付け日刊ゲンダイ「安倍政権の基準厳格化もザル “首切りビジネス”は止まらない」を紹介しよう。
・不要な社員を退職させて助成金で儲ける「首切りビジネス」が横行しつつある。政府は4月から助成金の支給基準を厳格化する方針だが、“首切り自由化”の流れは止まらない。安倍政権は「1億総活躍」どころか、「1億総リストラ」社会へ向け、ひた走っている。
・厳格化のきっかけは、製紙大手・王子HDのリストラ策が衆院予算委などで問題視されたこと。王子は人材大手・テンプスタッフの“首切りマニュアル”に基づき退職勧奨を行っていた。その後、テンプに手数料を支払い、不要な社員の再就職支援を依頼。支援を依頼した時点で10万円、再就職完了後は、国から社員1人当たり最大60万円の「労働移動支援助成金」を受け取っていた。要するに、助成金の受給をあて込んだビジネスモデルである。
・厚労省は助成金の支給について、来月1日から「会社側が退職を強要しなかったか本人に確認し、申請書類に明示させる方針」を決めた。行き過ぎたリストラで、人材会社が“不当に”儲けるのを防ぐ目的だが、厚労省関係者は「実効性はゼロに等しい」とこう話す。
・「社員が退職を強要された事実を証明しようとしても、会社から『そんな事実はない』と突っぱねられるのがオチです。最終的には裁判で争うことになりかねません。しかし、一般の会社員に、そこまでの経済的余裕も時間的余裕もないでしょう。結局、泣き寝入りするしかありません」 
・実際、王子HDの進藤清貴会長は先月22日の会見で、“首切りビジネス”との批判に対し、「制度にのっとってやったものであり、退職勧奨が違法というわけでもない」と話していた。監督官庁の塩崎厚労相も今月11退職を強要しなかったか本人に確認し、申請書類に明示日の衆院厚労委で、王子HDとテンプスタッフの問題について「個別の事案へのコメントは控える」と、明確な答弁を避けた。
・日刊ゲンダイ本紙は、テンプスタッフが「貴社人員適正化施策実施のご提案」と銘打った“首切りマニュアル”を入手。「最近の実施例」として、退職に追い込んだ社員数を誇らしげに記している。大手化学企業や大手小売企業、中堅製造業などの企業で、退職同意人数は計272人に上る。退職勧奨がさまざまな業界で横行しているのが実態だ。この問題を国会で徹底追及している民主党の山井和則議員はこう言う。
・「王子HDとテンプスタッフの“首切りビジネス”は許し難いことです。ところが、塩崎大臣や王子HD、テンプスタッフも問題を明確に認めようとしません。これがおとがめなしならば、首切りが“自由化”されたも同然。日本にいる約6400万人の労働者は、将来的に路頭に迷うことにもなりかねません。今後もしっかりと追及しなければなりません」
・このご時世、一度首を切られれば再就職は難しい。「1億総リストラ」社会の到来が間近に迫っている。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/177220/1

次に、4月1日付け同紙「相次ぐ告発 パソナ子会社への「強制出向」戦慄の一部始終」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・本紙の元に、人材最大手・パソナ子会社の「日本雇用創出機構」が、株主である大手製薬会社の「ローパー(ローパフォーマー)社員」の“追い出し”に手を貸していたとの告発がドンドン寄せられている。45歳以上の社員を対象とした早期退職者募集で“圧迫面談”が横行。最後まで拒み続けた数十人はナント、パソナ機構への“強制出向”をいきなり命じられたという。冷酷なリストラの内情を探った。
▽「これが最後通告」とパンフレット渡され
・この製薬会社では昨年秋から、リストラ対象となった社員と所属長との個別面談が、幾度となく繰り返された。初回の面談で所属長から開口一番、「割増退職金を受け取り、会社を辞めてほしい」と言われた社員もいたという。
・複数の関係者によると、社員が拒んでも、所属長からは「君の居場所はない」「今の成績で会社に残るのは厳しいと思うよ」「会社に残っても今までやっていたような仕事は任せられない」などと、気持ちを踏みにじるような言葉が延々と続く。社員が「辞めたくない。どんな部署に異動になっても頑張りたい」と伝えても、「45歳を過ぎて今さら何ができるの?」「辞めた方が君の将来のためになるよ」と取り付く島もなかったというのだ。
・こんな“圧迫面談”が5回、6回と繰り返されれば、そりゃあ心が折れて退職に応じる社員が出てくる。それでも拒み続けた社員には、さらなる追い打ちが待っていた。
・再び複数の関係者によると、年明け以降も拒み続けていた社員の面談相手は人事担当に交代。社員の訴えを一通り聞いた後、急に「これが最後の通告です。4月1日から日本雇用創出機構に出向してください」と一言。あとは機構のパンフレットを手渡され、まずは業務内容の説明会への参加を強制されたという。
・実際に“圧迫面談”に耐え兼ね、退職に応じた社員によると、「出向を命じられた社員らの“業務”とは、半年間にわたる職探し」だという。
・「同様の手口で別の人材会社に“出向”を命じられた方は、泣いて『辞めたくない』と訴えたそうですが、うつ病になり再就職どころではなくなってしまったといいます。仮に再就職先が見つかっても、収入は半減。派遣やパートなど、不安定な仕事に就くしかないのが実態です。家庭をお持ちの方ならば、住宅ローンや子供の養育費、進学費はどうなるのか。塩崎厚労相は国会で、退職を拒否した方を人材会社に出向させるケースについて『不適切』と明確に答弁しました。今回のケースは『不適切』のど真ん中ストライクでしょう。徹底的に追及していきます」(この問題を国会で追及する民進党の山井和則議員)
・こんな不条理が許されていいのか。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178410

第三に、翌2日付けの同紙「本紙追及 パソナ子会社への「強制出向」急遽取り消しの怪」を紹介しよう。
・大手製薬会社が、退職勧奨に応じない社員に対し、人材大手・パソナグループ子会社「日本雇用創出機構」への“強制出向”を命じていた問題。日刊ゲンダイ本紙の追及もあってか、両社に怪しい動きだ。4月1日付の出向命令が、直前で急遽取り消されたというのだ。
・製薬会社では、昨秋から45歳以上の社員を対象とした早期退職者の募集が行われた。一部で横行していたという“退職強要”まがいの面談に屈することなく、応募を拒み続けた数十人の社員は日本雇用創出機構への出向が決まり、“再就職先探し”を強いられるハズだったが、一体何があったのか。
・複数の関係者によると、3月下旬に製薬会社側から出向対象の社員に対し、電話やメールなどで「出向取り消し」の連絡があった。理由については「日本雇用創出機構からの要請」とのことで、社員らは他部署への「異動」扱いになった。出向予定日の1、2日前に会社内でも公示されたという。
・「パソナ側は、今回の問題が国会やメディアで大きく取り上げられたことを懸念し、機構への出向を取り下げざるを得なかったようだ」(厚労省関係者)
・何とかクビがつながったとはいえ、社員らの境遇は不条理そのものだ。 再び複数の関係者によると、「異動」後の社員らの業務は、やはり“再就職先探し”なのだという。何としてでも解雇したいという製薬会社側の強い意志の表れだ。
・製薬会社に事実関係を問い合わせると、広報担当者は「適法に早期退職を行っていると認識している。お答えすることはできない」。パソナグループも、「個別企業のご利用に関しては回答申し上げることができません」(広報室)とダンマリだった。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178656

そもそも「労働移動支援助成金」の制度自体に重大な欠陥があるため、「退職を強要しなかったか本人に確認し、申請書類に明示」させる程度の基準厳格化をしたところで、たしかに「実効性はゼロに等しい」。“首切りビジネス”で、人材派遣会社に「濡れ手に粟」の儲けをさせ、雇用している企業にはリストラを促進させ、対象となる社員らにはつらい思いをさせるだけでなく、その生活基盤を奪うような「不正義」が堂々と行われているとは、とんでもないことだ。
製薬会社での「“圧迫面談”が5回、6回と繰り返されれば、そりゃあ心が折れて退職に応じる社員が出てくる」、応じない社員にはパソナ子会社の「日本雇用創出機構」への「強制出向」が待っており、再就職支援活動はみかけだけというのでは地獄だ。
「日本雇用創出機構」への「強制出向」は、問題化したので撤回したというのは、一応、日刊ゲンダイと民主党の山井和則議員のささやかな「お手柄」ともいえるが、塩崎厚労相発言が決め手だろう。しかし、代わりに同社の別部署で“再就職先探し”に追われるのでは、対象となる社員にとっての厳しさは、基本的には何ら変わっていないといえよう。
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