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熊本地震(その1)建築基準法の欠陥、直下型への備えを、激甚災害指定の遅れ [国内政治]

今日は、熊本地震(その1)建築基準法の欠陥、直下型への備えを、激甚災害指定の遅れ を取上げよう。

先ずは、建築&住宅ジャーナリストの細野透氏が4月18日日経Bpnetに寄稿した「【熊本地震】東海大の学生アパートを倒壊させた「地域係数Zの悲劇」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽大地震の度に指摘されてきた建築基準法の欠陥
・「熊本地震」では多数の被害者が出ているが、特に心が痛んだのは、東海大学阿蘇キャンパス近くの学生向けアパート5棟が倒壊して、何名かの学生が死傷したことだった。私は、悲劇を招いた一因は、建築基準法が定める「地震地域係数Z」に欠陥があったためと推測している。
・この欠陥は、震度7クラスの大地震、すなわち1995年の阪神・淡路大震災、2007年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災などの度に繰り返し指摘されてきた。しかし、建築基準法を管轄する国土交通省住宅局建築指導課は、長期間にわたってこの欠陥を放置し続けてきた。
・そして、4月14日に発生した震度7の前震(M6.5)、16日に発生した震度6強の本震(M7.3)に襲われた地域は、「地域係数Z」の欠陥によって、不運にも建物被害が増大したと推測される。
・まず産業技術研究所「活断層データベース」のデータを引用して、地震の概要を押さえておこう。
・1枚目は九州各地を走る活断層の図である。今回の地震では、熊本市の東部から南部にかけて走る、「布田川断層帯」および「日奈久断層帯」が主な震源になっている。
・2枚目は前震、本震、余震の主な震源地である。このうち前震は、図では速報値のM6.4となっているが、その後M6.5と修正された。また本震は、図では速報値のM7.1となっているが、その後M7.3と修正された (18日7時にダウンロード)。
▽熊本県の地震地域係数Zは震度7での倒壊を「容認」
・さて、「地震地域係数Z」とは何か。建物を新築する場合、建築基準法が定める「新耐震基準」に従って耐震設計を行う。そのとき、地震によって建物に作用する「地震力」を、次の式で計算する。 「地震力」=「地震地域係数Z」×「標準地震力」  ここで、「標準地震力」とは、「震度6強から弱い震度7程度の地震力」を意味する。また「地域地震係数Z」には次のような意味がある。
 (1) 地域係数Zが「1.0」であれば、作用する地震力は、「震度6強~弱い震度7の地震力」になる
 (2) 地域係数Zが「1.2」であれば、作用する地震力は、「一般的な震度7の地震力」になる 
 (3) 地域係数Zが「0.8」であれば、作用する地震力は、「弱い震度6強の地震力」になる 
・このように、地域係数Z「1.0」を境目にして、「1.0未満」の場合には建物は弱い地震にしか耐えないし、「1.0以上」の場合には建物は強い地震にも耐えるという設計方法になっている。 さらに詳しく分析する。
 【ケース1──地域係数Zが0.9または0.8の熊本県】 地域係数Zが「0.8」であれば、建物は弱い震度6強の地震にしか耐えないし、地域係数Zが「0.9」であれば、建物は震度6強の地震にしか耐えない。 すなわち、震度7での倒壊を「容認」しているのに等しい。また、震度6強の地震であっても、余震が繰り返して発生すると、建物は倒壊する恐れがある。 建築専門家以外は知らないと思われるが、熊本地震に襲われている熊本県や大分県は、実は地域係数Zが0.9または0.8なのである。
 【ケース2──地域係数Zが1.0以上の場合】 建築基準法とは別に住宅品確法という法律がある。この品確法では地域係数Zの数値は1.0、1.25、1.5の3種類に分かれている。
  (1) 「耐震等級1(建築基準法と同程度の強度)」を目標にする場合、係数Zを1.0とする
  (2) 「耐震等級2(建築基準法の1.25倍の強度)」を目標にする場合、係数Zを1.25とする
  (3) 「耐震等級3(建築基準法の1.5倍の強度)」を目標にする場合、係数Zを1.5とする
 ひと口に震度7といっても、弱い震度7、普通の震度7、強い震度7などに分かれている。強い「震度7」に確実に耐えようとする場合、すなわち震度7の本震に耐え、さらに震度6強や震度6弱などの余震群に耐えようと思うなら、地域係数Zは1.0以上が必要なのである。 実際問題として、東海地震の発生が予想されている静岡県は、建築基準法の規定では不十分として、「静岡県内に建設される建物に関しては、地震地域係数Zを1.2とする」独自の規準を導入している。
 【ケース3──地域係数Zが0.7の沖縄県】 地域係数Zが「0.7」であれば、建物は震度6弱の地震でも耐えられないと思われる。換言すれば、建築基準法は、沖縄県の建物は震度6弱で倒壊してもいいと「容認」しているのである。
・建築基準法は第1条で次のように述べている。「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」。 しかし地域係数Zが「0.7」なら、震度6弱に耐えられないかもしれないので、「最低の基準」以下ということになる。これでは沖縄県を差別しているのに等しいのでないか。
▽地域係数Zのお手本は「河角マップ」
・地域係数Zは、1952年(昭和27年)7月25日の「建設省告示第1074号」で、初めて定義された。その根拠になったのは、河角廣博士が日本建築学会の機関誌『建築雑誌』(1951年4月20日号)に発表した、論文「わが國における地震危險度の分布」に添付したいわゆる「河角マップ」だった。
・河角博士はまず「日本古来の大地震分布図」を作成した。地震の震源とそのエネルギー(マグニチュード)を、日本地図に書き込んだのである。 次に、今後も過去と同様のペースで地震活動が生じると仮定して、各地域ごとにA「75年間」、B「100年間」、C「200年間」に発生する予想地震の加速度 (単位はガル)を計算。その結果を50ガルごとに等高線で表示した。
・この河角マップをお手本にして、1952年版の「地震地域係数Z」が決まった。 図では、地域係数Zが「1.0」の地域は、おおむね3大都市圏の周辺に限られる。これは、当時の地震学で震度に関する詳しい情報を把握できたのは、一部の地域に限られたための措置だったとされる。
・その「悪しき象徴」になったのが九州で、地域係数Zは一律に「0.8」となっている。すなわち震度6強の地震が発生する可能性は皆無に等しいのだから、建物の耐震強度は震度6弱に耐える程度でいいと判断されたことを意味している。
・ここに建築基準法、あるいは同法を管轄する国交省住宅局の失敗が、如実に現れている。詳しい情報が分からないのであれば、安全を期する意味で地域係数Zには「1.0」を確保するのが、リスクコントロールの原則である。しかし、当時の国交省住宅局はその原則を無視して地域係数Zを「0.8」に引き下げ、耐震性が弱い建物ができるように仕向けたのである。
▽3種類の地域係数Zと国交省住宅局の恥ずべき怠慢行為
・地震地域係数Zは大きく1952年(昭和27年 )版、1980年(昭和55年)版、2007年(平成19年)版の3種類がある。
・2回目の1980年版では、九州の地域係数Zは「0.8」から引き上げられて、「0.8」の地域と「0.9」の地域に2分された。そして熊本県と大分県は、一律に「0.9」になったため、耐震性が少し向上した。
・しかし、1972年(昭和47年)に本土に復帰した沖縄県は、地震に関する情報が少ないとして、地域係数Zは全国で最低の「0.7」とされてしまった。長い間、米軍の占領下で苦労した沖縄県への配慮は、皆無に等しいのである。
・次に、「国土交通省告示第597号」(平成19年5月18日)によって改定された、3回目の2007年(平成19年)版の「地震地域係数Z」を示す。 当時は、2005年11月に発生した、姉歯元建築士による耐震偽装事件の後始末に追われていた時代で、その一環として2007年6月に改正建築基準法が施行されたのだが、「地震地域係数Z」に関しては微調整が行われた程度だった。
・しかし、これは「国交省住宅局の恥ずべき怠慢行為」として、強く非難されなければならない。それは、「地震地域係数Z」のお手本になった河角マップはその後、劇的な進歩を遂げていたからである。 熊本県の地域係数Zは「0.9」と「0.8」の地域に分かれている。そして「熊本地震」の余震の震源は4月17日(日)になって、「0.8」地域の八代市の方向に移動し始めたのである。
▽河角マップの劇的な到達点「全国地震動予測地図」
・河角マップの劇的な到達点とは何か。政府の地震調査研究推進本部が作成した「全国地震動予測地図」である。そこには、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を計算した、「確率論的震動予測地図」が掲載されている。
・そのうち最新の2014年版の全国地図と、九州の拡大地図を引用する。 全国地図は5色に塗り分けられ、黄色、薄いオレンジ、濃いオレンジ、赤色、濃い赤色と変化するにつれて、「震度6弱以上」の揺れに見舞われる確率は高まっていく。
・九州の拡大地図を見ると、熊本市およびその東部と南部には確率が26~100%の「濃い赤色エリア」があり、その周辺を確率が6~26%の「赤色エリア」が取り巻いている。 これは今後30年間に「震度6強以上」の揺れに見舞われる確率である。熊本市およびその東部と南部には確率が6~26%の「赤色エリア」が取り巻いている。
・この予測地図を産業技術研究所「活断層データベース」の前震・本震・余震マップと重ね合わせると、ほぼ重なり合っているのが分かる(再掲)。 すなわち、国交省は河角マップを引き継いだ「全国地震動予測地図」をお手本にして、地震地域係数Zを全面的に改定すべきだったのである。
▽シンクタンク「東京財団」の建築基準法批判
・国交省が2007年版「地震地域係数Z」を制定した翌々年、すなわち2009年2月には、シンクタンク「東京財団」の研究会が、「建築基準法の耐震基準には本質的な欠陥があるので、これを改正すべきである」という趣旨の注目すべき提言(リンク先はPDFファイル)を行っている。
・研究会のメンバーは岩井克人東京大学教授、村松幹二駒澤大学准教授、神林龍一橋大学准教授、清水剛東京大学准教授、佐藤孝弘東京財団政策研究部研究員の5人。提言は3項目から構成されている。1は「悪名高い建築基準法第1条の改正」、2は「最低基準の標準規準への転換」、3は「耐震等級の表示義務」。
・そのうち提言2ではこう述べている。 「現行法の最低基準が要求しているのは、『震度6強の地震が来ても倒壊しない(建物の中にいる人は死なない)』ことである。しかし、これでは余りにも、耐震強度が弱すぎる。もっとゆとりを持たせて、『弱い震度7の地震で倒壊しない』あるいは『強い震度7の地震でも倒壊しない』程度の耐震基準に改めるべきである。
・これを地震地域係数Zで表現すると、熊本県では少なくても「1.2」に引き上げなければならない、という意味になる。
・それでは、係数Zを「0.8」から「1.2」に引き上げるためには、建築費はどの程度アップするのだろう。強さが1.5倍になるのだから、コストも150%にアップするのだろうか? いや、そんなことはない。提言書15ページでは、研究論文を引用して、「コストの増加率はせいぜい3~5%程度に過ぎない」と説明している。
・既に述べたように、東海地震の発生が予想されている静岡県は、建築基準法の規定では不十分として、「静岡県内に建設される建物に関しては、地震地域係数Zを1.2とする独自規準を導入」している。その際に、「建築費がアップしたことにクレームを唱えた人はいない」とされる。つまり静岡県民は、東海地震の震度7に耐えるために、必要な投資であることを理解していたのである。
・結論を述べる。 国交省住宅局は地震地域係数Zに欠陥があることを知りながら、政府の地震調査研究推進本部が作成した「全国地震動予測地図」を無視し、またシンクタンク「東京財団」の研究会が作成した提言も無視して、地域係数Zの欠陥を放置。その挙げ句に東海大学の学生向けアパート5棟の倒壊に象徴される悲劇を招いた。
・国交省住宅局に欠陥を改善する能力がないのだから、各都道府県が防災先進県とされる静岡県を見習って、独自に地震地域係数Zを改善していくべきではないか。
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/sj/15/150245/041800042/?P=1

次に、4月19日付けJBPress「熊本地震を教訓に直下型への備えを急げ 「東名と東海道新幹線が危ない」と埼玉大・角田教授が警告」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・4月14日午後21時26分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し、その28時間後の4月16日午前1時25分に同じく熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生した。 気象庁はこの地震を「平成28年熊本地震」と命名した。気象庁が地震に命名するのは5年前のいわゆる東日本大震災以来である。
・マグニチュード3.5以上の余震の数は、2004年の新潟県中越地震の際の記録を上回り、1995年(いわゆる阪神淡路大震災)以降の内陸や沿岸で発生した地震で最多となった。 熊本県で発生した今回の地震は「活断層」で起きたとされている。最近100万年ぐらいの間に変位したことが認められる断層のことを活断層と呼ぶが、日本には2000以上の活断層があり、全国どこでも大きな地震が起こる恐れがあると言われている。
▽地球の中を移動する熱エネルギー
・筆者は『地震の癖──いつ、どこで起こって、どこを通るのか?』(講談社)等の著者である角田史雄(つのだ・ふみお)埼玉大学名誉教授に4月17日午後に電話したところ、「活断層を動かしたものが何かを考える必要がある」とのコメントをいただいた。 角田氏は「2014年10月の御嶽山噴火後に『信濃川地震帯』でマグニチュード6~7クラスの地震が今後数カ月以内に発生する」と予測したことを以前コラムで紹介した(2014年11月22日に「信濃川地震帯」内の長野県北部の白馬村でマグニチュード6.7の地震が発生した)。
・角田氏は、プレートテクトニクス理論に代わる「熱移送説」を提唱していることで知られる。 熱移送説の中で主役を務めるのは熱エネルギーの伝達である。その熱エネルギーは、地球の地核(特に外核)からスーパープルーム(高温の熱の通り道)を通って地球表層に運ばれ、その先々で火山・地震活動を起こすというものである。
・火山の場合、熱エネルギーが伝わると熱のたまり場が高温化し、そこにある岩石が溶けてマグマと火山ガスが生まれると、そのガス圧で噴火が起きる(マグマとは約1000度に溶けた地下の岩石のことであり、この高温溶融物が地表へ噴出したのが溶岩である)。
・地震の場合は、硬いが脆い岩層の地下岩盤が熱エネルギーによる膨張で割れることにより発生する。つまり熱エネルギーが通ることにより断層が活断層になるのである。
・角田氏によると、南太平洋(ニュージーランドからソロモン諸島にかけての海域)と東アフリカの2カ所から、地震や火山の噴火を引き起こす大本の熱エネルギーが地球表層に出てくるという。日本の地震や火山噴火に関係あるのは南太平洋の方である。
・南太平洋から出てきた熱エネルギーは、西側に移動しインドネシアに到達すると3つのルートに分かれて北上する。3つのルートとは、(1)スマトラ島から中国につながるルート(雲南省では地震が相次いでおり、2008年5月に発生した四川大地震もこれに該当する)、(2)マリアナ諸島から日本につながるルート、(3)フィリピンから台湾を経由して日本につながるルート(今回の地震に関連するルート)、である。
・角田氏はさらに「噴火と地震の発生場所がほぼ変わらない」と指摘する。地球の内部構造は環太平洋火山・地震帯が約10億年も不変であることが示すとおり、高温化する場所や岩盤が割れやすい箇所はほとんど変わらない。そのため、熱エネルギーが移送されることによって生じる火山の噴火地点や地震が起こる場所は不動だという。
・角田氏は「熱エネルギーは1年に約100キロメートルの速さで移動する」ので、インドネシアやフィリピンで地震や火山の噴火が起きた場合、その何年後に日本で地震や火山の噴火が起きるかがある程度予測できるとしている。 こうした一連の火山・地震過程を角田氏は「VE過程」と名付けており、このような熱エネルギー移送のルートや周期、日本各地の地域特性から「地震や火山の癖」を読み解こうとしている。
▽熱エネルギーはまだ熊本、大分の地中に滞留している
・角田氏は今回の地震について、次のように解説する。 「今回の地震の性質は、2004年10月に発生した中越地震(マグニチュード6.8)と同様の火山性地震である。中越地震の場合、2001年に浅間山と新潟焼山で火山活動が活発になり、その熱エネルギーが北上して中越地域で地震を引き起こした。
・今回の地震でも2013年8月に鹿児島県桜島の昭和火口で大規模な噴火が発生し、2014年に入ると霧島火山帯の新燃岳で火山性地震が発生していた。霧島火山帯から宮崎県沖合の日向灘は地震多発地帯であることに加え、今回の地震の規模が中越地震よりも大きい(移動している熱エネルギーが大きい)と推定されるため地震活動が沈静化するにはしばらく時間がかかりそうだ。
・中越地震の約3年後の2007年7月に中越沖地震(マグニチュード6.8)が発生したように、放出されず滞留している熱エネルギーにより、数年後に熊本・大分県で大規模な地震が再び発生する可能性がある。
・今回の地震を引き起こした熱エネルギーは、(1)中国地方の日本海沿岸地域、(2)瀬戸内海地域、(3)四国の太平洋沿岸地域(南海トラフ)の3つのルートに枝分かれして東方に移動するため、今後、これらの地域で地震が発生する可能性が高い。南海トラフでは熱エネルギーの移動が遅いため熱が溜りやすく、それだけ巨大地震が発生しやすい」
▽伊豆・相模地域で大規模な直下型地震が発生する
・角田氏が「2017年から2018年にかけて、伊豆・相模地域でかなり大規模な直下型地震が発生する」とかねてから警告しているのは気になるところだ。 角田氏は、(2)のルートの線上にある小笠原諸島の西之島(東京の南約1000キロメートルに位置する)の海底火山が2013年11月に噴火し、 2014年10月に八丈島(東京の南約287キロメートルに位置する)東方沖でマグニチュード5.9の地震が発生したため、この熱エネルギーが2017年から2018年にかけて伊豆・相模地域に到達することになると予測している。
・角田氏によると「首都圏でマグニチュード6以上の大きな地震が発生する前に、マグニチュード3~5クラスの地震が次々と起きる」というが、4月14日午後8時58分に東京23区を震源とする地震(マグニチュード3.6)が発生している。
・また、「マリアナから伊豆諸島へのVE過程の活動期の間隔は約40年である」という点も留意すべきだろう。約40年前の1978年1月14日に伊豆大島近海地震(マグニチュード7.0、震源の深さは0キロメートル、死者・行方不明者26名)が発生している。さらにその約40年前の1930年11月26日には、北伊豆地震(マグニチュードは7.3、震源の深さは不明、死者・行方不明者272名)が発生している。
▽「国の大動脈」は守れるか
・今回の地震で、九州を南北に貫く2つの大動脈が寸断された。 JR九州は4月19日、今回の地震で九州新幹線の設備上の損傷が熊本県を中心に約100カ所に上ったことから、「修復には相当の時間がかかり、運行再開の時期は見通せない」ことを明らかにした。 また、福岡と鹿児島を結ぶ九州自動車道も盛土法面が崩落するなどの被害が生じて通行止めとなり、復旧の見通しは立っていない。倒壊した家屋の状態は阪神淡路の場合と同様である。
・今回の地震で改めて明らかになったように、日本の地震防災は横揺れには強いものの、縦揺れの対策が遅れている。したがって伊豆地域で今回のような地震が発生すれば、阪神・淡路大震災の二の舞となることが予想される。
・阪神高速道路は、砂などが埋まった化石谷の上に建てられたため、直下型地震特有の「ドスン揺れ」でもろくも倒壊してしまった。山陽新幹線も高架橋が桁ごと落ちたり、トンネルの内壁が剥落するなどの深刻の被害が出た。首都圏南部も阪神・淡路地域と似た地盤でできており、地震の震源が浅いという共通点がある。  伊豆・相模地域を通る東名高速道路や東海道新幹線の備えは大丈夫だろうか。2020年の東京オリンピックを前に、東海道新幹線と東名高速道路という「国の大動脈」が大打撃を受けることは絶対に避けなければならない。
・東日本大震災以降、巨大な海溝型地震(津波)対策ばかりがクローズアップされるきらいがあったが、今回の地震により改めて直下型地震の恐ろしさを痛感した。
・地震のメカニズムについてはさまざまな理論や研究があるが、いまだに正確な予測は実現できていないのが現状だ。だが、どれだけ用心してもしすぎることはない。角田氏のような理論があることも踏まえ、国を挙げて一刻も早く直下型地震に関する抜本的対策を講ずるべきである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46628

第三に、4月19日付け日刊ゲンダイ「安倍政権の震災対応に激怒 蒲島熊本県知事「強気」の源泉」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・14日夜の熊本地震「前震」の発生からすでに5日が経過。安倍政権による激甚災害の指定が遅れている。安倍首相は18日の国会で「早期に指定したい」と明言したが、19日の閣議でも指定を見送った。
・激甚災害は、地方自治体が実施する復旧事業の見込み額が一定基準を超えた場合に政府が指定、復旧事業への国の補助率がカサ上げされる。ちなみに、東日本大震災では当時の菅政権が発生翌日には激甚災害の指定を閣議決定していた。
・前震の発生直後に熊本県の蒲島郁夫知事が早期指定を求めたところ、安倍政権はその要求をはねつけた。16日の「本震」発生でやっと方針を改めたとはいえ、腰が重すぎる。ひょっとして、安倍官邸と蒲島知事との間で確執でもあるのか。
・「熊本県の財政事情は決して悪くない。財政の健全性を示す実質公債費比率も14年度は13%と、早期健全化基準の25%まで、まだまだ余裕がある。財政出動を抑えたい政府にすれば、激甚災害の指定範囲を震源地近くの益城町や南阿蘇村など小さな自治体に絞り、残る地域の復興は県に任せたいはず。県全域の指定を求める蒲島知事とは当初からボタンが掛け違っていた」(官邸事情通) 
▽異色の経歴の持ち主
・被災者にとって心強いのは、蒲島知事の鼻っ柱の強さだろう。安倍政権のズサンな震災対応に「現場の気持ちが分かっていない」と一喝。全国の首長が一斉に自民1強体制になびく中、ここまで政権に筋を通そうとする知事は珍しい。
・蒲島知事は1947年生まれ。熊本の県立高校を卒業後、農協に就職。農業研修生として渡米後にネブラスカ大に入学した異色の経歴の持ち主だ。その後、ハーバード大大学院で博士号を取得して帰国すると筑波大で教壇に立ち、97年には東大法学部の教授となった。
・08年3月に61歳で東大を退職し、同年の熊本県知事選に出馬。無所属ながら自民の支援を得て、圧勝した。PRキャラ「くまモン」の使用料ゼロ戦略で、1000億円超の経済効果をもたらしたことでも知られる。
・「先月末の県知事選では事実上の与野党相乗りとなり、ぶっちぎりで3選を果たしたばかり。政権への強気発言の源泉には圧倒的な選挙の強さがあるのでしょう。ただし、知事就任後は『アジアとつながる』をモットーに中国を繰り返し訪れるなど、従来から官邸とは必ずしも同じ方向を向いてこなかった。それだけに、今回の政権批判を機に妙な反感を買わないかと心配です」(地元政界関係者)
・安倍首相とは真逆のタイプだけに、被災地を預かる学者知事はこれ以上、嫌われないといいのだが……。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/179751/1

細野氏の専門的な指摘は、いつもながら参考になる。地域係数を用いること自体はそれなりに合理性があるが、九州は詳しい情報が分からないので低目の0.8にしたというのは、確かに「リスクコントロールの原則」を度外視した暴挙である。しかも、大元の「河角マップ」が劇的に進歩したり、東京財団から改善提言が出たのに、無視し続けた責任は重大だ。地域係数を引上げても、コストアップは極く僅かなのであれば、なおさらである。
プレートテクトニクス理論が確立した理論だと思っていたら、角田氏の「熱移送説」もあることを初めて知った。直下型地震特有の「ドスン揺れ」は、確かに破壊力が大きそうだ。直下型への備えも強化してほしいものだ。
熊本県の蒲島知事は、異色の経歴で、安部首相との「相性」はよくはなさそうだ。しかし、激甚災害の指定範囲を狭めたい官邸と、県全域の指定を求める知事の綱引きで、指定が未だにたなざらしになっているとは困ったことだ。昨日付けの日経新聞によれば、来週にも指定とのことで、河野防災相は「できれば連休前に指定」と表明。「連休前」などと平然と表明する神経も理解できないが、新聞もこうした「不可思議な遅れ」の問題を取上げれば、官邸へのプレッシャーになる筈だ。しかし、一般の新聞にこうした期待を抱くだけ無駄なのだろうか。
最後になったが、一刻も早い被災者の生活の安定と復興を願ってやまない。
タグ:欠陥 静岡県 日刊ゲンダイ JBPRESS 激甚災害 東日本大震災 全国地震動予測地図 西之島 細野透 日経BPnet 今回の地震 熊本地震 (その1)建築基準法の欠陥、直下型への備えを、激甚災害指定の遅れ 【熊本地震】東海大の学生アパートを倒壊させた「地域係数Zの悲劇」 建築基準法の欠陥 地震地域係数Z 地域係数Zが0.9または0.8の熊本県 「0.8」であれば、建物は弱い震度6強の地震にしか耐えない 「0.9」であれば、建物は震度6強の地震にしか耐えない 震度7での倒壊を「容認」しているのに等しい 震度7の本震に耐え、さらに震度6強や震度6弱などの余震群に耐えようと思うなら、地域係数Zは1.0以上が必要 地震地域係数Zを1.2とする」独自の規準を導入 のお手本は「河角マップ」 国交省住宅局の恥ずべき怠慢行為 河角マップはその後、劇的な進歩を遂げていたからである 「東京財団」の建築基準法批判 余りにも、耐震強度が弱すぎる。もっとゆとりを持たせて、『弱い震度7の地震で倒壊しない』あるいは『強い震度7の地震でも倒壊しない』程度の耐震基準に改めるべきである コストの増加率はせいぜい3~5%程度 熊本地震を教訓に直下型への備えを急げ 「東名と東海道新幹線が危ない」と埼玉大・角田教授が警告 地球の中を移動する熱エネルギー 『地震の癖──いつ、どこで起こって、どこを通るのか?』(講談社 角田史雄 「熱移送説」を提唱 噴火と地震の発生場所がほぼ変わらない 熱エネルギーは1年に約100キロメートルの速さで移動 熱エネルギーはまだ熊本、大分の地中に滞留 鹿児島県桜島の昭和火口で大規模な噴火 霧島火山帯の新燃岳で火山性地震が発生 数年後に熊本・大分県で大規模な地震が再び発生する可能性 伊豆・相模地域で大規模な直下型地震が発生する マリアナから伊豆諸島へのVE過程の活動期の間隔は約40年 直下型地震特有の「ドスン揺れ」 伊豆・相模地域 東海道新幹線と東名高速道路 安倍政権の震災対応に激怒 蒲島熊本県知事「強気」の源泉 激甚災害の指定が遅れている 復旧事業への国の補助率がカサ上げされる 発生翌日 激甚災害の指定を閣議決定 熊本県の蒲島郁夫知事が早期指定を求めたところ 安倍政権はその要求をはねつけた 腰が重すぎる 激甚災害の指定範囲を震源地近くの益城町や南阿蘇村など小さな自治体に絞り、残る地域の復興は県に任せたいはず 県全域の指定を求める蒲島知事とは当初からボタンが掛け違っていた 異色の経歴の持ち主 従来から官邸とは必ずしも同じ方向を向いてこなかった
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