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三菱自動車の燃費不正(その1) [企業経営]

今日は、三菱自動車の燃費不正(その1) である。

先ずは、4月21日付け現代ビジネス「三菱自動車「不正」は氷山の一角?自動車業界モラルハザードの実態 人命に関わるレベルのものも」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽再び経営危機に陥る可能性
・三菱自動車は20日、同社製軽自動車4車種で燃費を実際よりもよく見せるためにデータを改ざんしていたと発表した。テスト時にタイヤなどの抵抗の数値を意図的に不正に操作することで、実際の燃費よりも10~15%程度に上乗せしていたという。同社の相川哲郎社長が国土交通省で記者会見し、謝罪した。当面、相川社長は原因究明に注力する考えだが、いずれ社長をはじめとするトップの経営責任は免れないだろう。
・対象車種は三菱「ekワゴン」「ekスペース」と、同社が日産自動車に提供している「デイズ」「デイズルークス」の4車種で、計約62万5000台。三菱と日産は合弁で軽自動車の企画会社を運営している。現在の車種は三菱が中心となって開発したものだが、次モデルでは日産が主に開発を担う。
・日産が次モデル開発に当たり、現行車種の燃費を測定したところ、国土交通省への届出の値とかい離があったため、日産側からの指摘を受け、三菱が社内調査したところデータ改ざんが発覚したという。
・三菱自動車の不正行為は、昨年発覚した独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題と構造が似ている。VWの場合は「ディフィート・デバイス」(無効化機能)と呼ばれる、排ガス試験時のみ有害物質である窒素酸化物(NOx)の排出が抑制される違法な制御ソフトを使い、通常走行では最大で基準値の40倍も排出していた。三菱もテストで不正を行うことで目標値をクリアして虚偽の燃費データを届けていた。
・三菱自動車は過去に2回、大規模なリコール隠しを行ったことでブランドイメージは地におち、経営危機に陥った。三菱東京UFJ銀行、三菱重工業、三菱商事の3社が財務的な支援を行うことで、危機を乗り越え、危機の際に発行した優先株の処理もやっと終わったところだった。
・三菱自動車は今回の不正によって、「業績への影響はどのくらい広がるのか分からない」としているが、ただでさえ不振の国内販売に追い打ちをかけ、再び経営危機に陥る可能性もある。頼みの綱である三菱重工業と三菱商事も、造船事業や資源エネルギー事業の不振などによって、以前のように自動車を支援する余力はないと見られる。
▽大手メーカーエンジニアの告白
・三菱自動車は名門意識が強いからか、危機感に乏しく改革のスピードも遅く、トップ同士の不協和音や、生え抜き社員と専門性を買われて中途採用されたプロ社員との確執などが外部に漏れてきていた。
・また、昨年は、適切な報告を怠ったため新車開発が遅れたとして社員2人を諭旨解雇したため、「開発遅れで懲戒処分とは異例」といった声も業界内では出ていた。社内は暗く、いつもぎすぎすした雰囲気だったという。一向に改善されないこうした組織風土も不正続発の遠因ではないか。
・ただ、VW、三菱自動車と排ガスや燃費のテストの不正が続いたことは、単に企業風土の問題だけの問題では片づけられないのではないか、と筆者は感じ始めている。VWの不正について取材していた際に、ある大手メーカーのエンジニアが筆者にこう語った。 「試験で高い評価を受けた自動ブレーキが搭載されている他社の車を調べたら、試験時だけ効き目がよくなる特別な制御ソフトを利用していることが分かりました」
・これも構造的にはVWや三菱自動車のやったことと近いが、現状では違法行為とはならず、「メーカーのモラルの問題」とそのエンジニアは語っていた。しかし、燃費の不正と違って自動ブレーキの場合は、人命にかかわる問題である。いずれ不正を摘発する法律が今後必要になるのではないか。
・VW問題の時に取材した別のエンジニアは「2008年にVWの新型セダン『ジェッタ』が米国で発売された時に、エンジン制御のシステムを解析したが、不自然な点があった。学会でほとんど新しい発表がないVWの新型エンジンがおかしいというのはエンジン屋の中では公然の秘密だった」と語った。
・日本でも5年前、東京都の調査によって、いすゞ自動車がトラックのディーゼルエンジンで「ディフィート・デバイス」を使用していたことが発覚した。これを受けて3年前から国土交通省はトラックとバスについては不正ソフトの利用を禁じているが、乗用車への利用禁止は見送った。
・穿った見方かもしれないが、エンジニアの中には「どこもやっているので、ばれなければいい」といった感覚を持つ人も出てくる可能性があると、筆者はその時感じた。
▽お客様目線の欠如
・こうした不正が起こる理由には、エンジニアの「お客様目線の欠如」もある。燃費の良さや排ガスのクリーンさといった環境技術が商品力として「武器」になり、環境技術が優れていれば税制も優遇される時代だ。
・しかし、その尺度は市中を走る実走行でのデータではなく、あくまで実験時のデータであり、いわゆる「カタログ燃費」と言われるものだ。メーカーもエンジニアもカタログに載せる数値をよく見せるために、よい実験データを得ようと躍起になる。ここに不正に走る誘惑があるのではないだろうか。
・ところがハイブリッドカーでも、高速道路を走るのか、渋滞道路を走るのかで実燃費は大きく違ってくる。自分が車をどのような用途で使うのか、どのような場所を走るのかをよく吟味せずに「カタログ燃費」を評価して購入している消費者もいることだろう。 そして、購入した後になって、「販売店が言っていた燃費よりも悪い」と気づく人もいるはずだ。結局、この構図はエンジニアやメーカーの自己満足や販売増のために消費者を犠牲にしているということだ。詐欺的行為と取られても仕方ないだろう。
・米国では、実験と実走行のデータにかい離があるのは当然のこととして、カタログには実験データをそのまま記載できない規制がある。一定の係数をかけて実燃費に近い数値を書かなければならない。消費者の力が強い米国ならではの規制だと思うが、日本も見習っていいはずだ。
・また米国の国土交通省に該当する役所では、自動車メーカーのエンジニア顔負けの博士号を持つような専門家がいて、エンジンの構造などにも精通しているため、盲目的にメーカーから提出された資料を通すことはないそうだ。自動車産業は日本の主力産業なのだから、国土交通省にもこうした専門職員がいてもいいが、日本には存在していない。
・VW、三菱自動車と試験のデータ改ざんが発覚したことで、今後、カタログと実走行の数値のかい離の解消を促進するために、試験方法の見直しや世界での共通化が進む可能性がある。自動車はグローバル商品だからだ。さらに不正の取り締まりが法的に強化されるかもしれない。
・これによってメーカーの環境技術への開発投資はさらに増え、世界規模で自動車メーカーの合従連衡を誘発させる引き金にもなるだろう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48496

次に、デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員の山田厚史氏が4月29日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「三菱自と東芝、名門企業を蝕んだ「日本病」の正体」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ゼロ戦の血統にある三菱自動車、からくり儀右衛門の流れを汲む東芝。「技術と信頼」を看板にした名門企業が存亡に危機に立っている。粉飾決算やデータ偽装という信じがたい不正はなぜ起きたのか。
・トップの責任は言うまでもないが、手を染めたのは優秀とされる社員たちだ。東芝では経理・財務の専門家、三菱自動車では開発・検査に関わる技術者。なぜ彼らは不正に走ったのか。
・背後には日本の大企業が突き当たった壁がある。手厚い行政、官民癒着、キャッチアップ型経営、従順な社員。高度成長を支えた日本の美風がいまや災いに転じ、企業を迷走させている。
▽「性能実験部長が指示」は本当か? 三菱自動車、燃費偽装の深い闇
・「ウチは大丈夫かね」。社員やOBが集まるとそんな話が必ず出る、と自動車メーカーの元役員はいう。三菱自動車で発覚した燃費偽装は、他人事ではないらしい。
・リッター〇〇kmと記載される「カタログ燃費」を良く見せるため、自動車メーカーがあの手この手を使ってきた。語り草は1000ccカーでN社がやった燃費対策車。宣伝文句に高燃費を謳うため、馬力は出ないが燃費だけいいエンジンを積んだ車種を特別に作った。業界で問題になり運輸省(当時)の行政指導で燃費対策車は禁止された。
・三菱で偽装が発覚した軽自動車は5度も目標燃費が社内で引き上げられた。ダイハツ「ムーブ」やスズキ「ワゴンR」に見劣りする燃費では市場に出せない、という判断だ。 三菱重工の自動車部が独立した同社は、スズキやダイハツに負けるはずはないという自負心に満ちた経営者が「最高の燃費」を技術者に求めた。
・昨年11月、毎日新聞に「三菱自新SUVの開発遅れ」(11月12日)という小さな記事が載った。軽量化が予定通り進まず2016年に予定した発売が延期された、と指摘し、車両重量が目標に達していないことを役員らに報告しなかった当部長2人を11月1日付で諭旨退職処分したことを報じた。
・すでに軽自動車の燃費偽装が社内で調査されていたころである。主力車種であるSUV(スポーツタイプの多目的車)でも問題が発生していたということだ。車両重量は燃費を左右する重要な要素。軽量化が開発目標に達していないことを担当者は隠し、そのことで新車開発が遅れ、責任を取らされた。諭旨退職とは「クビだが退職金は出る」という処分である。
・三菱自動車の広報は、処分があったことは認めたが、根拠となる事実は「社内人事なので開示できない」と拒んだ。ユーザーや投資家にとって商品や経営を判断する大事な事実だが「お答えできない」の一点張りだ。
・同社では、軽自動車の燃費検査は「性能実験部」が担当する。開発本部に所属するが開発チームとは離れ、車両の出来上がりをチェックする部署。目標未達に責任を問われる立場にはない。「このクルマは不合格」と指摘するのが仕事である。
・データ偽装は当時の性能実験部長が、開発本部長の聴取に対し「私が指示した」と言ったという。本当だろうか。 燃費の基礎データとなる「走行抵抗値」は91年から不正測定が続いていた、と相川社長は会見で認めた。多くの技術者が関与していたはずだ。見て見ないふりをしていたのだろうか。技術畑の相川社長は初代ekワゴン(01年発売)の開発責任者だった。不正測定を知らなかったのだろうか。
・「燃費の差は技術の差」(1980年)という宣伝文句を三菱自動車は使っていた。ギャラン、ランサー、ミラージュなど個性的なクルマを世に送り出し、「経営者は頭が固いが、技術は確か」と業界で評価されていた。三菱のスリーダイヤを誇りに思う技術者たちが、与えらえた目標に届かず、データ偽装や情報隠しに追い込まれていたのなら、悲劇としか言いようがない。
▽高度成長期にはうまく機能していた「空気を読む」が長期停滞で「日本病」に
・日本車が小型車で世界をリードしたのは、品質管理とコストカットに心血を注いだひた向きな技術者を抱えていたからだ。日本社会が分厚い中間層に支えられたように、生産現場は勤勉な中間管理職と真面目な労働者が担ってきた。今はどうだろう。
・三菱では技術の中核・開発部門でモラルの崩壊が起きている。三菱自動車だけのことだろうか。シャープが台湾企業に身売りした電機電子産業もかつてのような元気はない。ソニーの衰退は目を覆うばかりで、パナソニックも韓国のサムスンに太刀打ちできない。家電は世界市場で中国・韓国勢に圧倒されている。成長市場である電機通信では魅力的な新商品はアップルやマイクロソフトにお株を奪われ、日本は部品のサプライヤーとして生き残ろうとしている。
・品質・コストは「改善」で達成できるが、ビックリする新商品を創り出すパワーは「勤勉・真面目」だけでは出てこない。 明治以来、お手本は欧米にあった。戦争に負け、無一文からやり直した日本が、民生品でもう一度「追いつけ追い越せ」を成し遂げたのが高度成長だった。坂の上の雲を見上げながら、一本道を官民一体で歩み、雲を掴んだものの、五里霧中で道が分からなくなった。それが今の日本ではないのか。
・「勤勉・真面目」は日本だけではない。韓国も中国も、日本のお家芸だった「安くて良いもの」をつくるようになった。 我々は「日本病」になっているのではないか。産業革命を起こし世界の工場といわれた英国が衰退して、英国病と言われた時期があったように。
・全社一体となって奮励することで今日に至った大企業ほど、まじめな社員は上司の意向を忖度する。係長は課長になったつもりで、課長は部長、部長は役員のつもりで。言われる前に空気を読むことが有能な管理職とされた。
・欧米を追っている時はそれでよかった。追い越し、お手本を失い、最後の花火大会となったバブルにまみれると、何をしていいか分からなくなった。とりあえず皆がやっているリストラに励む。ヒトと設備を切り、縮小均衡に走った。
・日本は立派な経営者が産業を牽引していたわけではない。焼け跡から企業を起こしたころは本田宗一郎や井深大などベンチャー精神に富む経営者が少なからずいたが、高度成長が終わった80年代になると、大手企業では企画や人事畑など社の中枢を歩んだ優等生が社長に選ばれるようになる。社内の空気が読めて、上司に覚えがいい「お利口さん」がトップに目立つようになった。
・お利口さんの弱点は独創性に乏しいことだ。日本経済が長期停滞に陥ると、判で押したようなリストラが横行する。犠牲になったのは中間管理職と労働者だ。現場は人手不足になったが仕事は多く、多くの職場は、かつてのように「わいわいガヤガヤ」でアイディアを出し合う、という雰囲気ではなくなった。
・「会社に居れば人生設計ができる」という安心のシステムは崩壊し、社員は臆病になった。情報隠し、データ偽装は、空気を読むことを得意とする企業戦士の悲しき不正ではないのか。性能実験部長は開発本部長を忖度したのか、指示を受けたか、どちらかだろう。
▽道を誤った経営者が東芝を「粉飾のデパート」にした
・東芝の粉飾決算も同様である。粉飾のデパートといえるほどあの手この手を考えて、利益を水増しした。西田厚聰元会長、佐々木則夫元社長、田中久雄前社長らの責任は免れないが、粉飾に手を染めた経理の担当者らは、トップの意向を受けて行動したのである。
・具体的な指示がなくても、意が伝わるのが日本の大企業だ。上司が「チャレンジ」と一声言えば、「方法は自分で考えろ」と言われたに等しい部下たちは粉飾の手口を編み出した。
・東芝の場合、誤りの始まりは原発事業で米国のウエスチングハウス(WH)を買収したことだ。法外な値段で買い取り、最終買収額は6000億円に膨らんだ。資産価値を4000億円も上回る買収額は「のれん代」として誤魔化した。「ウエスチングハウスの買収に伴い当社のバランスシートには3507億円ののれん代と502億円のブランド料が計上されている」(東芝広報)。
・のれん代やブランド料は「捕らぬタヌキの皮算用」の資産だ。温暖化対策の切り札は原発という経産省の「原子力ルネッサンス」に乗り、途上国に原発を売るインフラ輸出に活路を求めた東芝は「WHのカンバンがあれば5~6年で原発三十数基は受注できる」と見ていた。これが外れた。
・WHの失敗が経営を圧迫し、「お家の一大事」が優秀な社員を暴走させた。巨額な投資が空けた穴を他部門の利益で埋めなければならない。経理と事業部門の合作で不正会計が日常化した。
・坂の上の雲をめざす一本道なら同調圧力は効果的かもしれないが、道を誤った経営者を忖度し、皆が同調すればどんなことになるか。東芝は身をもって示した。
▽三菱自と東芝を甘やかした「官民一体」がモラル崩壊の温床
・日本病の症状の一つは官民癒着である。東芝も三菱自動車も失敗のタネは政府との関係にあった。
・三菱の燃費データ偽装は国土交通省の緩い監視があって成り立った。国交省は自動車会社が提出するデータを丸呑みする。型式認定を与えているなら市場に出ている車両を買い上げて調べれば分かる。カタログ燃費が実態といかにかけ離れているか。癒着・天下り・緩い監視がメーカーの緊張感を弛緩させ、モラル崩壊の温床となった。
・経産省も同様だ。エコカー減税と称して販売が振るわないメーカーに補助金を注入してきた。省エネ効果があるのかは調べず、メーカーの販売戦略にそって車種ごとの減税を決める。「役所のいうことを聞くかがさじ加減に影響する」といわれている。天下りの受け入れと無関係ではないだろう。
・東芝の不祥事をかばうのも役所だ。WHの買収で原発ビジネスが盛況になるなら「のれん代」も正当化されただろう。3.11の事故を受けて期待した成果が上がっていないなら「のれん代」は減損処理するのが会計原則だ。にもかかわらず東芝は「のれん代の減損は必要ない」と突っぱねてきた。
・踏み切れば、損失に耐えられず経営危機に陥るからか。経産省も金融庁も東京証券取引所も、腫れ物に触るように不明朗な会計処理を黙認してきた。
・さすがの東芝も今度の決算で2600億円の減損処理に踏み切った。グループの宝ともいえる医療機器大手・東芝メディカルを手放し、売却益の一部を当てたものだが、決して十分な処理にはなっていない。 シャープについで東芝まで窮地に陥ればアベノミクスに亀裂が走ることになる。役所は官邸の意向を忖度しているように見える。
・この国に充満する濃厚な空気を読みあい。不利な役回りを避けようと身を固くする官民のもたれ合い。身に災いが降りかかることだけは避けようと、見て見ないふりが横行する中で、日本全体が沈没していく。
http://diamond.jp/articles/-/90446

第三に、「官」の問題に切り込んだ記事として、4月29日付け日刊ゲンダイ「三菱自にお墨付き 天下り“ザル検査”法人の税金ムダ遣い」を「紹介しよう(▽は小見出し)。
・四半世紀もダマす方も悪党だが、ダマされる方も相当にマヌケだ。三菱自動車が長年ゴマカしてきたのは、燃費の計算に使う「走行抵抗」というデータである。
・「あらゆる新車は発売前に、国交省の外郭団体による燃費性能の試験を受けます。試験は回転するローラー台の上で車を走らせますが、実際の路上では空気の抵抗やタイヤと路面の摩擦による『走行抵抗』がかかる。そこでローラーにその分の抵抗を加えて燃費を算出。その数字がカタログなどに記載されます」(自動車メーカー関係者)
・マトモなメーカーなら走行試験を繰り返し、走行抵抗の値を何度も測定。その中央値を外郭団体に申告するが、三菱自は車を走らせもせずに机上でデータを算出するケースもあったという。
・こんなインチキデータを真に受け、「低燃費」のお墨付きを与えていた外郭団体も罪深い。この国で車の燃費試験を独占してきたのは「交通安全環境研究所」なる独立行政法人だ。やはり官僚の天下り先で、14年度には国交省OBが理事職に収まり、年間約1500万円の報酬を得ていた。
・30.8億円に上る年度予算のうち9割以上を国の交付金や補助金、要するに国民の税金に頼っているが、試験に必要なデータの測定はメーカーに丸投げ。任せっきりの態度が「どうせアイツらには見抜けっこない」とメーカー側にも見くびられて、不正の温床となっていったのだろう。
▽「完全に性善説に立っていた」
・「ご指摘の通りです」と殊勝に答えるのは、交通安全環境研究所の広報担当だ。こう続けた。  「燃費性能試験の当日は必ずメーカーの担当者が立ち会いますが、『走行抵抗』の値は、事前の申請書類の様式のひとつとして、記入してもらうだけ。試験といっても合否を問うわけではなく、申告したデータをもとに燃費を算出するのが我々の役目です。チェック体制の不備というより、三菱自の不正発覚までチェックするという意識すらありませんでした。完全にメーカーを信頼し、『性善説』に立っていました」
・こんなマヌケな天下り法人が、いわゆる車検を扱ってきた「自動車検査独立行政法人」と合併、今年4月から「自動車技術総合機構」なる巨大組織に生まれ変わった。理事・監事に収まる国交省OBも5人に増えた。 被害者ヅラは許されないし、三菱自と一緒にユーザーへの補償を負担しても罰は当たるまい。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/180423

現代ビジネスの記事にある「ディフィート・デバイス」は、今回は関係ないが、国交省が乗用車への利用禁止を見送っていたとのことだが、何故だったのだろう。米国のように監督当局に専門家がいれば、いい加減なことはやり難くなるが、日本のように素人揃いの天下り機関が相手なら、メーカーのやりたい放題だ。
なお、燃費の測定には現在はJC08モードが使われているようだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/JC08%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%89
山田氏が東芝も含め名門企業を蝕んだ「日本病」と診断、特に、「高度成長期にはうまく機能していた「空気を読む」が長期停滞で「日本病」に」と指摘しているのは、その通りだと思う。また、「癒着・天下り・緩い監視がメーカーの緊張感を弛緩させ、モラル崩壊の温床となった」も鋭い指摘だ。
日刊ゲンダイの指摘も、いまさらながらではあるが、三菱自動車への処分だけで「お茶を濁そう」とする官に対し、もっと仕組み自体の変革を迫るものだ。
いずれにしても、今回の不正が「氷山の一角」ではなく、三菱自動車だからこそ起こした問題であればいいのだが・・・。
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