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老人ホーム虐待(連続死)問題(その5)犯人元同僚の証言、身売りの舞台裏、事件の背景 [社会]

老人ホーム虐待(連続死)問題については、3月28日に取上げたが、今日は、(その5)犯人元同僚の証言、身売りの舞台裏、事件の背景 である。

先ずは、3月17日付け現代ビジネス「川崎老人ホーム連続殺人犯の元同僚が証言「私が見た"闇"の実態」 分刻みの労働管理、モンスター家族の圧力」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問)。
・神奈川県川崎市の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」での転落死事件で、第一発見者であり、後に窃盗の容疑で同所を解雇された今井隼人容疑者(23歳)が逮捕された。今井容疑者は2014年11月4日未明に、87歳の男性利用者の身体を抱えて転落させ殺害したと供述している。
・この事件を知った時、私は、真冬の深夜に認知症高齢者が120cmの柵を越え、続々と飛び降りるとは到底考えられないと感じた。やはり「Sアミーユ川崎幸町」では常人の想像を絶する事態が起きていたのだ。 さらに同所では転落死事件のみならず、別の介護職員による虐待までもが発覚し、虐待にかかわった男性職員4名を解雇している。この事態から同施設が「人手不足による、介護人材の劣化」だけでは説明がつかない状況に陥っていると直感した。
・今井容疑者が逮捕されてしばらくたった頃、転落死事件担当の某週刊誌記者から「Sアミーユ川崎幸町の虐待で自主退職した元職員を取材しないか?」という連絡があった。 世間を騒がせるほどの事件を起こした施設の現場は、間違いなく荒れている。私はすぐにその元介護職員のところへと向かった。
▽なぜ、虐待をしたのか
・Sアミーユ川崎幸町」の元職員・飯山氏(仮名・37歳)は2015年9月に虐待映像を公表され、自主退職した4人の男性介護職員のうちの1人だ。さらに飯山氏は転落死事件の今井容疑者とはほぼ同時期に入職した同僚でもあった。取材現場に現れた飯山氏は、年齢よりも若く見える、清潔感のある好青年で、礼儀の正しい普通の男性だった。
Q:飯山さんは公表された虐待映像で退職されたうちの1人ですよね。当初は4人の職員の中で、2人は施設に残ったと発表されました。
飯山 僕はナースコールを抜いたことが問題行為となりました。僕は虐待映像を公表されたことが原因ではなく、介護職をすることが精神的に限界だったので休職という形で退職しました。 虐待映像に映っていたのは暴力を奮った人、罵声を浴びせた人、それと僕。暴力を奮ったのは新人で、僕を抜かしてあと2人はベテランの介護士でした。2人とも問題など起こしたことのない、普通の介護職でした。
Q:「介護職をすることが精神的に限界」とはどういうことでしょうか?
飯山 昨年(2015年)の夏あたりにうつ病と診断されました。虐待映像が撮られたのも、その時期です。介護の仕事でいっぱいいっぱいになったことが理由です。入職して最初の1年間くらいは前向きに働いていたのですが、4月あたりからおかしくなりました。それまでは自分の介護が荒くなることなんてなかった。でもその頃は荒くなっているという自覚はありました。
Q:「介護が荒くなる」とは高齢者の状態や気持ちよりも、自分自身の都合を優先することです。認知症介護にはよくあることです。
飯山 普段だったら受け流せることに腹を立てたり。暴言は吐かないし、態度にも出さないけど、溜め込んじゃうって状態で、今までなかった感覚でした。僕はテレビCMのような、温かくてゆっくりとした、相手のスピードにあわせたコミュニケーションというか、人間関係というか――。そういう介護をしたいという理想がありましたが、どんどん理想と現実が離れていった。
Q:「Sアミーユ川崎幸町」は80人定員で、認知症利用者の比率が高かったようですね。日勤の職員は8~10人、夜勤は3人という少ない人数でまわしている印象ですが。
飯山 人手不足というよりも、少ない人数で合理的に運営する方針でした。今井も供述で「ライン業務がツラかった」と言っているけど、分単位でいろんな仕事をギュウギュウに詰められて本当に忙しい。だから仕事よりも、時間に追われる毎日でした。常に時間に追われ、人によっては休憩もとれない。職員のそれぞれがライン表通りに働く。その日常が精神的に負担になっていきました。
***ライン表と呼ばれる「業務表」を見せてもらった。15分単位に区切られ、 “○○様トイレ誘導” “□□様排泄介助” “++様口腔ケア”と、びっしりとスケジュールされている。分単位で労働を管理され、介護職個人の裁量で高齢者と接する時間は一切ない。認知症高齢者の突発的な行動にも対応できない現場であることはすぐに分かった。
▽80人をたった2人でまわす体制
・「Sアミーユ川崎幸町」を運営するメッセージ創業者の橋本俊明元会長は「介護の生産性向上に向けた工夫」(https://www.amille.jp/top/write/files/file01.pdf)と題する論文を雑誌に寄稿するなど、介護現場の合理化推進派としても知られた人物だ。
・少ない人員で合理的に運営する「Sアミーユ川崎幸町」は、分単位の労務管理をする代わりに労働基準法違反はなく、サービス残業もほぼなかったという。給料は23万円程度と業界の中では高水準。人材不足の中で超高齢化社会を迎える、近未来の介護施設運営を実践していたといえる。
・「残業なし」「業界高水準の給与」など、表向きには聞こえのいい職場だが、一方で現場の職員たちはこの合理的な経営によって想像を絶する苦痛を強いられていたのだ。
Q:このライン表はすごいですね。コンピューターで分担を割りだしているんですよね。分単位で管理すれば、飯山さんの理想だった“あたたかい介護”は無理でも、業界に蔓延するブラック労働はなくなります。
飯山 1人1人の細かい業務が決められているので、本当に手を抜きようがない。特に夜勤は厳しく、休憩時間がそれぞれ2時間あるので、実質2人で80人をみないといけない。 ナースコールを意味なくボンボン押す利用者もいれば、深夜の徘徊もある。スケジュールが細かく決められているから何が起こっても対応できない。最初はうまくやっていたつもりだったのに、どんどん理想と現実のギャップが生まれて精神的におかしくなりました。
Q:心身が追い詰められる中で、認知症高齢者が意味なくナースコールを押しまくったと。それで抜いてしまったわけですね。
飯山 あの虐待の映像は4月のことです。いつものようにナースコールが鳴り止まず、利用者の息子が来ない時間帯に抜いたんです。けれど息子がイレギュラーな時間に来て、ナースコールが鳴らないと騒ぎだした。そして虐待の映像のDVDを各所にばら撒いたんです。僕も映っています。(ナースコールを)抜くときと、「このボタンを押したら爆発しちゃいますよ」って言っているのが僕です。
Q:このラインスケジュールで、意味なくコールされたら本当に対応は不可能です。
飯山 さらに、その当時(2015年1~4月)、他にもモンスター家族がいました。自分の親を特別扱いしろと細かく、書面にして僕たち職員に指示をしてくるし、やっていないと騒ぐ。介護職を召使いの奴隷と思っているのでしょうね。 その息子は本人が元々利用者の母親を身体的に虐待していた。息子の暴力から逃げるためにSアミーユ川崎幸町に入ったんです。行政の措置ですね。それを息子が見つけちゃって、週のうち、施設に何度も泊りに来るようになった。
Q:モンスター家族までいたんですか…。「高齢者はお客様」を徹底している施設ほど、モンスター家族は野放しになります。
飯山 施設はその息子に、何も言えないですよね。夜中にお酒を飲んで、どんちゃん騒ぎをしたり、利用者の母親と一緒にお酒を飲んで騒いだり。息子が帰った後、利用者の母親がお菓子やアイスをあけまくって、そこら中がチョコまみれで汚れていたり。僕たちに威張り散らして、好き放題やっていましたね。利用者には罪はないですよ。けど、その息子に多くの職員たちは徹底的に追い詰められていた。
Q:介護の仕事以外にモンスター家族の監視まであったとなると、それは厳しい。
飯山 認知症だから暴力を振るわれても忘れてしまう。過去に散々殴られていることも忘れているわけです。息子がいなくなると不安になるから毎日「息子はどこ?」と、ナースコールを押しまくる。もう悪循環です。野放しのモンスター家族がいる、さらに転落死も起こった、当時施設はめちゃめちゃな状態でした。 でも、現場が崩れたそもそもの始まりは、施設長の交代だったような気がします。
▽今井容疑者が抱いていた不満
・モンスター家族の息子が介護職員たちに渡した手書きのメモを見せてもらった。電気の点け方からテレビを切る時間、洗濯の仕方、掃除の仕方まで指示してある。(1)から(19)まで箇条書きされた文字から、徹底的に業務管理をされている介護職たちが精神的に追い詰められる様子が透けて見える。 モンスター家族の息子が書いた職員に対する書面の一部。テレビの視聴時間など細かい指示が出されている。(提供・飯山氏)  本来ならば法人や施設上層部が職員たちの負担を察してフォローをするのが一般的だが、「Sアミーユ川崎幸町」ではそれが一切なかったという。 飯山氏は現場が崩壊のきっかけとして2014年10月の施設長交代を挙げている。
Q:当時、運営法人・積和サポートシステムズは「Sアミーユ」を月1棟のペースで新設していました。この拡大計画は介護職の人員不足の中で無謀だったという印象があります。
飯山 僕が入職した頃は、みんな真面目だったし、職場のモチベーションはそれなりに高かった。けれど、施設長がコロコロと変わっていくうちに、どんどんおかしな状態になりました。現場が乱れるというか…。
Q:優秀な施設長が新設施設に移るので、施設上層部が流動的だった。
飯山 社内の人事異動です。最初の施設長は尊敬できる方で、入居者全員のことも把握していたし、職員のことも考えてくれていた。その人が新しくできる施設に異動したのが2014年10月、最初の転落死が起こる1ヵ月前です。 後任に就いたのが、口では理想を語るけど、介護をやったことがないような人だった。施設長が変わってから、仕事が円滑にまわらなくなりました。「あいつに相談してもしょうがないし」という雰囲気が職員に蔓延していた。
Q:上層が実態のない理想を語ってマネジメントを怠ると、現場は当然荒れますよね。
飯山 本当にガラリと変わりました。今井も新しい施設長が大嫌いで、「なんなの、あいつ。仕事できないクセに」って言っていました。前の施設長は80部屋ある入居者の状況をすべて把握していたので、指示が適切だった。「○○さん、今日は体調悪そうだから」とか、利用者をちゃんとみていたし、僕らの悩みも聞いてくれる人だった。
Q:「お客様の一人一人に合わせたケアを」といった理想論は、介護施設によくある人権に寄った言葉です。現場は分単位で管理されているので、個別対応ができるワケがない。
飯山 そういうことです。「一人一人に合わせたケア」と言っている施設長本人が現場の状況を何もわかっていない。理想ばかりで、何もできないじゃないかって。それで職員みんなが「は?何言ってるの?」という気持ちになりました。目に見えて荒れるわけじゃなくて、だんだんと精神的に追い詰められていきました。 みんなが慕っていた前施設長がいなくなったという気持ち的な不安もある中で、綺麗ごとばかり聞かされ不満が拭えない状態でした。
Q:そうして、徐々にと虐待映像にあったような荒い介護が芽生えてしまったわけですね。
飯山 業務に追われていて、しかも基本的には利用者と1対1の介護対応ですから、他の職員が具体的にどんな介護をしているのかはわからない。僕は施設長の交代の頃は、不安で苛々しながらもなるべく荒くならないようにと自制を保っていました。
***施設長が変わって約1ヵ月。現場の職員が複雑に絡まった環境下でストレスをためる中、2014年11月4日、ついに1度目の転落死事件が起こる。
▽転落死は「なかった」かのような振る舞い
Q:転落死が起こって、現場職員たちはどんな様子だったのでしょうか。
飯山 連続して事故が起こり転落死を受けて現場はバタバタしだした。でも、あんなに大きな事故が起こっているのに安全対策もしないし、僕らへのケアもなかった。事故についての説明もない。「うちの施設は何をやっているんだ!?」という、不信感が上層部や施設長に対して芽生えました。
Q:上層部は転落死事件で混乱しているけど、末端の介護職員はいつも通りライン表に従って忙しい通常業務をしていた。
飯山 僕らは何が起こったのかをはっきりしてほしかった。やっぱり、事故をどうして防げなかったのかっていう思いがあった。 最初の87歳の男性を含め3人が転落しても、落ちないようにするための検証や防止策は何もしていなかった。例えば窓の鍵を二重にすれば、万が一あけても防げるかもしれない。当時は故意で落としたなんて、誰も思っていなかったから。
Q:さすがに同僚が転落させるとは誰も思わない、普通の事故として考えていた。
飯山 最初は全員が事故としか思っていなかった。12月に2件目の転落死が起こって、そのときは呪いとか、もうオカルト的な話になりました。1度目に転落死した男性の部屋に2度目に転落した方が入所していたのだから、なおさらです。さらに3件目で本当の本当にヤバイよ、ってなりました。 3件目が起こって、今井が夜勤から外れたんです。会社が今井を疑っていたのか、行政と警察に指導されたのか。会社も僕らには詳しい理由を話さなかった。
Q:120㎝の柵を超えて飛び降りたとしていたのなら、簡単なことでも対策とらなきゃならないのに。
飯山 本当に何の対策もなかった。だから僕は耐えられなくなって3件目の事件の後、どうして対策をとらないのかと施設長に直訴しました。施設長は「窓が開けられないのは、ご本人様の自由を奪う拘束になるからできません」という返答だった。「じゃあ、4人目が落ちないと何もできないのか」と怒鳴った覚えがあります。
Q:夜間、鍵は閉めますよね。
飯山 閉めますよ。一般的な窓に付いているロックはありました。それをやっても転落が起こるのだから、夜間帯だけでも窓は絶対に開かないようにするべきだと思いました。同僚も同じことを思っていただろうけど、直訴したのは僕だけです。それでも上層部は何の対策も打たなかった。廊下にカメラを設置することもなかった。
Q:3人も不審死して、周りの職員たちの反応はどうだったのでしょう。
飯山 誰かが転落させたとは、誰も考えていなかった。転落死した3人の他に、もう1人、今井が夜勤中に体調が急変して亡くなっているんです。12月、2件目と3件目の転落の間の時期です。でも、転落死が原因で辞める人はいなかった。事件があっても、みんないつものように淡々と仕事をしていました。
***転落死に加え、虐待の映像で世間を震撼させた「Sアミーユ川崎幸町事件」。徹底した管理体制のもと、ただでさえ人手の足りない中で、モンスター家族の対応にまで時間を割かなくてはならず、精神的に追い詰められていく日々。さらにこうした実態に対する上層部の配慮に欠けた態度が事態を最悪な方向へと向かわせていた。
・介護人材が圧倒的に足りない“介護2025年問題”を抱える中で、Sアミーユが目指した近未来の介護の姿を予見させる「徹底管理する合理的な介護」は脆くも崩れ落ちたのだ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48173

次に、4月30日付けダイヤモンド・オンライン「連続殺人が起きた川崎老人ホーム親会社、身売りの舞台裏」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・慢性的な人材難に悩む介護業界。昨年来、老人ホームでの虐待や事故が相次いで発覚した。優良とみられたホームもあり、それだけに、ショックは大きい。介護施設では人手不足を背景とする職場環境の悪化で虐待や事故、トラブルが相次ぎ、身売りや経営難につながるケースも多発している。激震走る介護業界の舞台裏を探った。
▽「ひとごととは思えない」という老人ホーム経営者の声
・「とても人ごととは思えない」──。ある大手老人ホームの経営者は、ため息をつきながら話す。 それは、神奈川県川崎市の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で起こった連続3件の転落死で元職員が殺人の疑いで逮捕された事件についての発言だ。
・この事件は、介護業界3位のメッセージの子会社が運営する施設で起こった。他のメッセージグループの施設でも職員による虐待や事故が次々と表面化し、介護業界は戦慄した。 ある厚生労働省関係者は「過去、問題が起こるのは、ヤマっ気のある異業種出身の経営者が経営する介護施設が多かった。しかし、メッセージはバリバリの介護系で創業者の経営トップは医師。当然、従業員教育はしっかりしていた企業と思われていた」と説明。続けて「そのメッセージでさえもこのありさま。現在、行政に報告されている虐待や事故は、“氷山の一角”にすぎないのだろう」と指摘する。
・厚労省によれば、2015年度に確認された介護施設職員による虐待は300件、前年度の221件に比べ、35.7%増えている。 虐待の発生要因は、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が62.6%と最多、次いで「職員のストレスや感情コントロール問題」 が20.4%を占める。
・つまり、ストレスにさらされる過酷な介護現場で、知識や介護技術に乏しい介護職員に頼り切って運営している介護業界の実態が透けて見える。 しかも、虐待が認められた300件の施設のうち、59件(19.7%)が過去に何らかの指導を受けており、過去に虐待が発生していたケースも4件あった。
・虐待は簡単にはなくならず、繰り返されている深刻な問題であることが想像できる。「ナースコールを無視する、あるいは断線するなどの軽微な虐待はよくあること。介護現場での虐待はゼロにはならない」(介護コンサルタント)。 なぜ、虐待や事故が起こるのか。「人手不足が背景にある」と多くの介護関係者は口をそろえる。
▽面接に来たら即採用 下がり続ける人材の質
・介護業界は人件費が6~8割を占めるという典型的な労働集約型のサービス産業だ。事業の継続や成長には人材確保が何よりも重要だが、給与や休みの取りやすさといった処遇面が悪く、慢性的な人材不足に陥っている。介護系専門学校も定員割れが相次いでいる。「ここ数年、面接に来た人は即、採用というのが実態」(大手老人ホーム経営者)という。
・人手不足や人材難で職場のストレスが増え、事故や虐待が発生する。職場環境や介護の質が悪化し、幻滅した職員が職場を去り、人材不足に拍車を掛ける。その結果、採用の基準はますます甘くなり、人材の質はどんどん下がる。 まさしく「負のスパイラル」だ。が、このような事態に陥る介護施設は少なくない。 やがて、ブランドは毀損し、経営は悪化。身売りできれば、まだ御の字だが、倒産という最悪の結果につながることもある。
・老人ホーム業界に詳しい長谷工総合研究所の吉村直子上席主任研究員は「ただでさえ、介護報酬は下がる傾向にある。人材確保が困難な地方の介護施設では身売りを考えるところが増えるだろう」と予測する。実際に、中小企業のM&Aを仲介している日本M&Aセンターによれば、「最近、地方の介護施設からの『売りたい』という相談が増えている」(谷口慎太郎・医療介護支援室長)という。 M&Aといえば、介護業界で大型案件が相次いだ。
▽メッセージを買収し2位に躍り出た損保ジャパン
・その主役となったのが、損保ジャパン日本興亜ホールディングスだ。2012年に有料老人ホーム「ラ・ナシカ」やデイサービス「あおぞらの里」などを展開するシダーへの資本参加をきっかけに、15年10月には全国111カ所で有料老人ホーム「レストヴィラ」を展開するワタミの介護の買収を発表。矢継ぎ早に、12月には虐待問題で揺れるメッセージの買収を発表し、16年3月7日に子会社化。ホップ、ステップ、ジャンプの展開で、一気に業界2位に躍り出た。
・これまで保険会社が子会社やM&Aによって、有料老人ホームの運営を手掛ける例はしばしば見られた。東京海上ホールディングスの「ヒルデモア」、三井住友海上火災保険の「ゆうらいふ」、明治安田生命の「サンビナス立川」、ソニーフィナンシャルホールディングスの「ぴあはーと藤が丘」などだ。 しかし、これらはいずれも富裕層向けか、地元で定評のあるホームを“実験的”に手掛けるものだ。
・「アミーユ」や「レストヴィラ」のような需要が多い一般向け、いわゆるボリュームゾーンの大手チェーン系に、本格的に進出したケースは過去にはない。 損保ジャパン日本興亜HDの奥村幹夫執行役員経営企画部長は「今後、介護への需要がますます増加する中で、介護ビジネスを展開する以上、ボリュームゾーンを避けるという選択肢はなかった。良いパートナーが見つかったので判断した」と語る。また「ワタミの介護の買収については、メッセージの橋本俊明会長にも意見を聞いた」という。
▽衝撃だったメッセージの身売り 創業者は以前から検討
・実は、損保ジャパンとメッセージは、15年3月に資本・業務提携を結んでいた。損保ジャパンは介護ビジネスのノウハウを得るために、メッセージに株式の3.5%を取得し、出向者5人を派遣。さらにメッセージの橋本会長にはM&Aについて頻繁に相談していた関係にある。
・一方、メッセージの身売りは、業界では大きな衝撃だった。今回の一連の事件に対し、ネガティブな報道こそ見られたが、親会社の経営が悪化していたワタミの介護とは異なり、足元の経営を見る限りは堅調だったからだ。
・事実、メッセージ本社内では、子会社の有無をめぐり、上層部で激しい議論があったという。 メッセージの橋本会長(67歳)は、過去の病気をきっかけに、「70歳になったら、誰かに株式を譲り、第一線から退く考えだった」と打ち明ける。つまり、事業承継である。その相手として、業界2位のベネッセスタイルケアは合併を含めて検討したほか、子会社の積和サポートシステムに共同出資している積水ハウス、子会社を通じて富裕層向けの有料老人ホームを運営しているセコムなども候補とされていた。
・買収による子会社化は、損保ジャパン側から以前にも提案されていたが、虐待事件が表面化した15年9月以降、再度、強く提案されたという。橋本会長は「損保ジャパンのトップらとの交流を通じ、メッセージの理念や事業方針などを理解してもらえた。結果的に信頼関係を築いていた損保ジャパンに決めた」と説明する。
・前出の日本M&Aセンターの谷口医療介護支援室長は「メッセージはタイミングが良かった。判断が遅れれば、ブランドが毀損していた恐れがある。売り時を逸して失敗する介護施設の経営者は少なくない」と指摘する。 解消する気配のない人手不足、虐待や事故などの不祥事リスク、介護報酬の減少など経営環境が悪化する中、頭を抱える経営者は多い。老人ホーム業界をめぐる再編劇はまだまだ続きそうである。
▽職員の処遇改善に着手 ブランド価値向上を目指す 損保ジャパン日本興亜ホールディングス 奥村幹夫・執行役員経営企画部長
・クルマの保有台数が減るなど、損害保険の将来性が乏しくなる中で、介護業界は人口減でも市場が拡大していく産業です。 弊社は、安全、安心、健康へのサービスを進化させるという理念を持っており、まさに介護は当てはまる。 この理念に基づくと、介護業界に参入するなら、富裕層向けの高級老人ホームだけを手掛けるという選択肢はなかった。確かに、介護ビジネスは虐待や事故などの経営リスクはありますが、このリスクを勘案してもボリュームゾーンへの展開は不可欠と判断しました。
・もっとも、一から手掛けるのは容易ではありません。たまたま良いパートナーが見つかったので買収を決断しました。子会社化したワタミの介護、メッセージについては、施設運営は任せますし、独自性も維持します。特に、メッセージの橋本会長が提唱する「障害のある高齢者に健常者に近い自由な暮らしを送ってもらおう」という理念には、われわれも共鳴しています。
・今後は、まず業務品質を上げることに専念したい。ワタミとメッセージの管理や運営面を見て、どちらかで良い点があれば、良い方を採用し、ブランド価値を高めたい。介護のようなサービス業においては、究極のブランディングはスタッフのモチベーションや介護技術の向上に尽きます。簡単ではないですが、地道に職員の処遇改善やキャリアプランの作成に着手していきたい。(談)
http://diamond.jp/articles/-/90461

第三に、5月2日付けダイヤモンド・オンライン「川崎老人ホーム事件、介護現場でなぜ殺人・虐待が起きたのか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・殺人の疑いで元職員の逮捕者まで出したメッセージだが、介護業界ではそれなりに高い評価を得てきた。その企業がなぜ、多数の不祥事を生んだのか、その原因に迫った。
▽「あのメッセージさえも」という業界関係者らの驚きの声
・2015年9月に報道された子会社の積和サポートシステムが運営する介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で連続発生した3件の転落死(後に元職員が殺人容疑で逮捕)。これ以外にも、他のメッセージの施設で相次いで発覚した虐待などの事件・事故──。 
・これらは、医療や介護関係者にも大きな衝撃を与えた。同時に「あのメッセージさえもこんなことが起こるとは予想できなかった」という驚きの声も多くあった。 というのも、メッセージは“業界の先駆者”として、それなりに高い評価を得ていたからだ。 メッセージは、かつて高額な入居一時金を当然のように取っていた有料老人ホーム業界において、入居一時金ゼロで月額利用料が首都圏でも20万円前後という画期的な低料金システムの「アミーユ」を軸に展開してきた。 いまでこそ、入居金ゼロの格安な老人ホームは珍しくないが、当時は画期的であった。
・低コストを実現できたのは、合理化が進む外食産業や流通業のノウハウを採用したからだ。食事はあらかじめ工場で調理した食品を用いるセントラルキッチン方式、初期投資の抑制のために建物を地主に建ててもらって借り上げる賃貸借方式など、合理的な手法を次々にホームの経営に導入した。 単純に安さだけを追求したわけではなかった。「安かろう悪かろう」の老人ホームならば、業者間の競合が激しい中、高い評価を得ることもなかったし、これほど成長することもなかったはずだ。
▽業界でも評価が高い橋本会長が提唱する理念
・アミーユの特徴は、食事や入浴の時間帯を入居者個々の要望や必要な介護に合わせて、介護職員を機械的に割り当てる「アクシスト」というシステムにある。施設運営の面で、担当を決めずに、施設の全職員が全入居者に対してサービスを行うことが可能になるという合理的なシステムだ。入居者にとっても、施設でも訪問介護に近い多様性のあるサービスが受けられる利点がある。「豪華な施設や食事はないが、非常にコストパフォーマンスに優れた施設」(介護業界関係者)なのである。
・経営トップの創業者、橋本会長に対しても、総じて評価は高い。「介護に対する強い信念を持っている人」という声が業界関係者だけでなく、監督官庁である厚生労働省関係者にもあるのだ。 その橋本会長の信念であり、メッセージの理念ともいえるのが、「ノーマライゼーション」というものだ。これは、障害のある高齢者にもなるべく健常者と同様の暮らしをしてもらおうという概念。
・これは高齢者を縛り付けるような従来の介護に疑念を持った橋本会長が提唱してきたものであり、経営方針や事業展開を見る限り、筋を通して実践していた。 そもそもアクシストという独自の職員配置システム自体、「入居者に選択肢の幅を広げたい」という橋本会長の強い意向で生み出されたものだ。またメッセージは、介護付き有料老人ホーム大手でありながら、 “脱老人ホーム”という自らを否定するような事業方針を掲げている。07年度以降は、介護付き有料老人ホームの「アミーユ」よりも、高齢者専用賃貸住宅(現在のサービス付き高齢者向け住宅、サ高住)の「Cアミーユ」の開設に力を入れてきた。「賃貸住宅という形態のサ高住の方が入居者の自由度が高く、望ましい」(橋本会長)からだ。
▽理念から大きく乖離した現実 メッセージははなぜつまずいたのか
・そして、12年3月には訪問介護などを行うジャパンケアサービスを子会社化し、在宅介護サービスに参入した。15年2月には自宅で老人ホーム並みの手厚い介護を受けられる在宅老人ホーム「Zアミーユ」を始めている。 有料老人ホームやサ高住は、家族のためを思い高齢者が仕方なく入るケースが多い。「自由度の高い賃貸住宅として、期待していたサ高住も施設化が進んでいる。それよりは、高齢者がもっと自由に生活できる自宅での介護が望ましい」(橋本会長)。
・「高齢者・入居者に生活の自由を与えよう」──。メッセージの創業時、その橋本会長の理念に賛同し、集まった職員、幹部社員は少なくない。ある大手老人ホーム会社社長は、「当初のメッセージは合理的な経営に加え、“橋本イズム”ともいうべき理念が幹部社員に徹底していた。これほどの企業は介護業界では見たことがなかった」と評する。
・しかし、現在はどうか。ふたを開けてみれば、虐待や溺死などの不祥事のオンパレード。ついには、殺人の疑いによる元職員の逮捕という最悪の事態となった。 理念から大きく乖離しているのは明らかだ。 なぜ、メッセージはつまずいてしまったのか。
・多くの業界関係者が原因として挙げるのが、「事業の急拡大に組織や人材が追い付かなかった」という指摘だ。 メッセージの施設数は、04年の株式上場時の63施設から、現在は307施設と約5倍に増えている。  サ高住「Cアミーユ」については、直営施設だけでも12年度は74施設と前年度の30施設に比べ、一気に44施設も増えている。
・15年10月に一連の事件・事故を受けて設置されたメッセージ第三者調査委員会の「調査報告書」(15年11月30日付)によると、「施設数が拡大する中で、管理者として適切な人材が不足していた」と指摘している。
・ここでいう管理者とは、施設長、副施設長クラスの管理職のことだ。典型的な労働集約型産業である老人ホーム業界において、職員の士気にも多大な影響を与える施設長は、何よりも重要といわれる。 その施設長に問題が生じると、トラブルが頻発し、職員の退職が相次ぐことも珍しくない。そうすると、人数合わせのために多少問題のある職員も採用せざるを得なくなる。やがて、現場の崩壊をもたらす。
▽現場が崩壊していたSアミーユ川崎幸町
・その典型ともいえるのが、例のSアミーユ川崎幸町だ。 このホームは、職員による殺人の疑いのある転落死と窃盗をはじめ、複数の職員によるナースコール外しや暴言といった虐待、入浴中の事故など多くの不祥事が集中している。
・肝心の管理者はどうだったのか。実は2人の管理者のうち、15年1月に施設長が交通事故で入院して管理者から外れた。もう1人の管理者も体調不良を理由に休暇を取得して不在。2月には新たな管理者が着任したが、体調不良で早々に退職した。人格や指導力などは不明だが、少なくとも15年1~4月、施設長クラスの管理者が頻繁に代わり、不在となる時期があった。異常な事態だ。
・しかも、調査報告書によると、Sアミーユ川崎幸町でのナースコール外しについては、入居者の家族について「特殊な事情」を指摘している。 具体的には、(1)週3回の頻度で家族が入居者を夜間に訪問して明け方まで飲酒していた、(2)入居者家族も身の回りの世話(床に落ちた物を拾う行為なども含む)を求めて、ナースコールを頻繁に鳴らすことがあった、(3)通常の接遇範囲を超えた過度な対応の要求が常態化していた、などだ。
▽ストレスが爆発して ナースコールを外した職員
・ナースコールを外した職員は調査委員に対し、「管理者に相談しても進展がなかったことから、ストレスが爆発してナースコールを外した」と証言している。 そもそもノーマライゼーションの実践は、施設側の管理を大幅に減らすということになり、その分、安全性を損なうリスクが増える。しかも、入居者や家族からは、通常の接遇範囲を超えた要求を誘発する素因にもなりかねない。ノーマライゼーションは、経験豊富でコミュニケーション能力と指導力が高い現場の管理者がおり、それを強力にサポートする本社機能があってこそ、初めて成り立つものである。
・しかし、調査報告書によれば、メッセージの取締役会での議論は、単なる上程された議案の決議決定だけ。現場で生じた虐待や事故などについて、議論された記録はないという。このことが「リスク管理体制や虐待及び事故の再発防止策について、十分に整備されなかったことの原因になった」と指摘されている。
・調査報告書は、本来、メッセージの強みであるはずのアクシストの問題点についても言及している。機械的に職員を介護業務に割り当てるアクシストは、ナースコール対応などの突発的な介助業務などで、職員間に業務量の差が生じることがしばしばある。 当初は管理者が適切な調整を行って、うまく運用していた。それが施設数の拡大で管理者の経験値が下がることにより、特定の職員の業務負担が著しく増すという事態に陥っていた。それが職員のストレス増加の大きな原因となった。
・しかも、「現場主義」「現場尊重」の大義名分の下、「思わず手が出そうだった」「なんとかしてほしい」という現場からの声は本社の経営陣には届かず、本社からの支援は皆無に等しかった。 これでは「業績や株主のことばかりを考えていて、介護現場を軽視していたのではないか」(介護コンサルタント)と批判されても仕方がない。
・岩本隆博取締役は「メッセージは情報伝達や報告を個人的なつながり、対面で行う文化でやってきた。組織が大きくなるにつれて、重要な情報が経営層まで届かなくなってしまった」と反省の弁を述べる。また老人ホームのアミーユ事業から在宅介護事業へのシフトという経営戦略の転換の中で、「結果的に施設運営という既存事業が手薄になってしまった点も否めない」と語る。
・調査報告書では、大きな原因として以下の3点を挙げている。(1)リスクに対する経営陣の管理意識が不足していた、(2)本社および施設間の連携、本社による施設の支援が不十分だった、(3)役員会や業務執行の監督機能というコーポレートガバナンス体制が不全だった。 理念の掛け声だけが大きくなり、それが現場にとっては大きな足かせとなっていたのだ。経営陣は猛省し、体制を再構築すべきだ。
▽トラブルや事故に対して「甘え」があった メッセージ代表取締役会長・橋本俊明
・介護業界は多少のトラブルや事故があって当たり前。自分にはそんな「甘え」があったのだと思います。  しかし、他業界を見ると、エアライン業界や自動車業界などは死亡事故を大幅に減らしています。病院も医療ミスを減らす努力をしている。
・介護の現場では、1日100回以上もナースコールを押す、セクハラを繰り返す、家族が通常よりも過度な要求をするなど、「対応困難者」と呼ばれる方が必ず出てきます。ただし、これには必ず原因がある。例えば、ナースコールを頻繁に押すのは不安が強いからで、それには不安を取り除く努力をする。1回30分、2日おきに話をすれば、だいたいは解決できます。しかし、現場は多忙で対応できないことも多い。
・そこで、2015年10月からは、施設から要請があれば、本社から支援チームを派遣しています。事故や不適切な対応は必ず報告させてデータベース化し、分析しています。約3分の2は現地調査をし、1月からは各施設に改善指導を行っている。これにより、トラブルの50%が完全解決、25%が大幅に改善しました。やれば、ここまでできるのに、やらなかったことを反省しています。
・職員研修やマニュアルも見直しました。職員の待遇については、有給休暇の完全消化を目指しています。介護福祉士の取得者も増やし、処遇を改善していきたい。
・今回の事件で、私は責任を感じて辞意表明しましたが、社外取締役から「途中で辞めるのは無責任だ」と指摘され、6月まで務めます。それ以降はフリーハンドな状態ですが、現在の職を継続することはありません。7、8年前に病気をしたこともあり、70歳になったら、誰かに事業承継し、第一線を退くことを考えていたからです。 昨年12月に、損保ジャパン日本興亜ホールディングスの子会社化を発表しましたが、今回の事件が私の背中を押すきっかけになったのは確かです。(談)
http://diamond.jp/articles/-/90490

ここに描かれたモンスター家族の実態は常人の想像を絶する酷さだ。これを、施設上層部がカバーせずに、現場の職員任せにするとは、無責任体制極まれりだ。上記の3つの記事に共通して、メッセージの橋本会長は、高い理念を持ち、介護現場に合理的手法を持ち込んだなかなかの人物のようだ。『「Sアミーユ川崎幸町」は、分単位の労務管理をする代わりに労働基準法違反はなく、サービス残業もほぼなかったという。給料は23万円程度と業界の中では高水準。人材不足の中で超高齢化社会を迎える、近未来の介護施設運営を実践していた』。
しかし、月1棟のペースで新設、『優秀な施設長が新設施設に移るので、施設上層部が流動的だった』、『メッセージの取締役会での議論は、単なる上程された議案の決議決定だけ。現場で生じた虐待や事故などについて、議論された記録はないという』というのでは、橋本会長の経営者としての資質にも重大な欠陥があったのだろう。『介護業界は多少のトラブルや事故があって当たり前。自分にはそんな「甘え」があったのだと思います』といった程度の反省ではまだまだ不十分だ。「事業の急拡大に組織や人材が追い付かない」のは、どこの業界でもあることだが、それによるリスクが介護業界では極めて大きいことがはっきりしたといえる。
その割には、損保ジャパンの奥村幹夫・執行役員経営企画部長は、他の損保が富裕層向けなどに特化しているなかで、同社としては「介護ビジネスを展開する以上、ボリュームゾーンを避けるという選択肢はなかった。良いパートナーが見つかったので判断」、「介護ビジネスは虐待や事故などの経営リスクはありますが、このリスクを勘案してもボリュームゾーンへの展開は不可欠と判断」と、極めて前向きの判断を示している。しかし、大手損保と介護の現場の距離はきわめて遠い筈で、如何にマネジメントしていくかに注目したい。
タグ:メッセージ 老人ホーム ノーマライゼーション ダイヤモンド・オンライン 現代ビジネス Sアミーユ川崎幸町 今井隼人 虐待(連続死)問題 (その5)犯人元同僚の証言、身売りの舞台裏、事件の背景 川崎老人ホーム連続殺人犯の元同僚が証言「私が見た"闇"の実態」 分刻みの労働管理、モンスター家族の圧力 川崎市の有料老人ホーム 転落死事件 「人手不足による、介護人材の劣化」だけでは説明がつかない状況に陥っていると 虐待映像 ナースコールを抜いた どんどん理想と現実が離れていった 分単位でいろんな仕事をギュウギュウに詰められて本当に忙しい 職員のそれぞれがライン表通りに働く。その日常が精神的に負担に 橋本俊明元会長 介護の生産性向上に向けた工夫 介護現場の合理化推進派 分単位の労務管理をする代わりに 労働基準法違反はなく、サービス残業もほぼなかったという 給料は23万円程度と業界の中では高水準 近未来の介護施設運営を実践 現場の職員たちはこの合理的な経営によって想像を絶する苦痛を強いられていたのだ ナースコールを意味なくボンボン押す利用者もいれば 深夜の徘徊もある モンスター家族 自分の親を特別扱いしろと細かく、書面にして僕たち職員に指示 夜中にお酒を飲んで、どんちゃん騒ぎをしたり 現場が崩れたそもそもの始まりは、施設長の交代 「Sアミーユ」を月1棟のペースで新設 優秀な施設長が新設施設に移るので、施設上層部が流動的だった お客様の一人一人に合わせたケアを」といった理想論は、介護施設によくある人権に寄った言葉 現場は分単位で管理されているので、個別対応ができるワケがない 転落死は「なかった」かのような振る舞い 連続殺人が起きた川崎老人ホーム親会社、身売りの舞台裏 「ひとごととは思えない」という老人ホーム経営者の声 厚生労働省関係者 メッセージはバリバリの介護系で創業者の経営トップは医師。当然、従業員教育はしっかりしていた企業と思われていた 面接に来たら即採用 下がり続ける人材の質 地方の介護施設からの『売りたい』という相談が増えている メッセージを買収し2位に躍り出た損保ジャパン ワタミの介護の買収 ボリュームゾーンの大手チェーン系に、本格的に進出したケースは過去にはない 損保ジャパンとメッセージは、15年3月に資本・業務提携 買収による子会社化は、損保ジャパン側から以前にも提案 虐待事件が表面化した15年9月以降、再度、強く提案されたという 奥村幹夫・執行役員経営企画部長 介護ビジネスは虐待や事故などの経営リスクはありますが、このリスクを勘案してもボリュームゾーンへの展開は不可欠と判断 川崎老人ホーム事件、介護現場でなぜ殺人・虐待が起きたのか アクシスト 食事や入浴の時間帯を入居者個々の要望や必要な介護に合わせて、介護職員を機械的に割り当てる 豪華な施設や食事はないが、非常にコストパフォーマンスに優れた施設 橋本会長に対しても、総じて評価は高い 介護に対する強い信念を持っている人 障害のある高齢者にもなるべく健常者と同様の暮らしをしてもらおうという概念 理念から大きく乖離した現実 事業の急拡大に組織や人材が追い付かなかった 第三者調査委員会の「調査報告書」 施設数が拡大する中で、管理者として適切な人材が不足 メッセージの取締役会での議論 単なる上程された議案の決議決定だけ。現場で生じた虐待や事故などについて、議論された記録はないという 本社からの支援は皆無に等しかった 老人ホームのアミーユ事業から在宅介護事業へのシフトという経営戦略の転換の 結果的に施設運営という既存事業が手薄になってしまった 介護業界は多少のトラブルや事故があって当たり前。自分にはそんな「甘え」があったのだと思います
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