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相次ぐ警察の重大ミス(「殺人見殺し大国」警察の怠慢、中3少女誘拐事件、アイドルへのストーカー事件) [社会]

昨年5月14日には、「事件化」を嫌う警察とそのミスを報道しないマスコミ として取上げたが、その後も警察の重大ミスが続いているので、今日は、相次ぐ警察の重大ミス(「殺人見殺し大国」警察の怠慢、中3少女誘拐事件、アイドルへのストーカー事件) を取上げよう。

先ずは、選択2016年3月号の「「殺人見殺し大国」警察の怠慢 変死体の9割で「司法解剖せず」」のポイントを紹介しよう。
・警察が取り扱う死体、2015年で162.9千、犯罪死体488、司法解剖数8424、司法解剖率5.2%(交通関係、大震災による死者を除く)。
▽警察官の勘に頼る「検視」
・本誌は2009年2月号で「日本のサンクチュアリ「無きに等しい「検屍制度」を取上げ、2012年には「死因・身元調査法」「死因究明等推進法」が成立したが、事態は変わらず。警察庁は、司法解剖件数が10年前の2004年の4900件からの増加をことさらにアピール。
・検視官は警視以上で大学の法医学教室で専門教育を受け、全国で340人。ただ、遺体の体表面の異変だけで判断、遺書などがあれば早々に自殺で片づけたがる(解剖医)。09年の首都圏連続不審死事件(「婚活殺人」)など、自殺と判断された事件が後に他殺と判明する例が多い。
・年間自殺者数2.3万人(15年)、司法解剖されるのは半分以下で、殺人事件見落としの温床の1つ。川崎老人ホームのような交通事故以外の不慮死3.3万人(14年)も温床。大阪府警は全国で初めて検視部門を課に昇格。昨年は、犯罪死見落としが5件。2000以降の40件から一気に増加。94-13年に近畿地方で死亡した高齢者8人が、青酸化合物で殺害された可能性が浮上したため。
・「解剖率が異常に低いため、警察は殆どの死体について、「事件性なし」との結論を出したがる。遺体表面から見えるものは限られているのに、発見から1日以内に事件か事故かを決めなくてはならないことがおかしい」(法医学者)。検視官は、流れ作業のように変死体を処理しているに過ぎない。「地域格差も大問題」、検視官が臨場したのは76%、長野県59.5%。検視官臨場率は07年までは全国平均で11%程度、この10年で7倍近く増加したが、検視官数は2倍程度
▽圧倒的に不足する「解剖医」
・解剖医は全国で154人、受入れ機関80カ所。35県には1カ所、13県では1人しかいない。医師不足下で解剖医増加は容易ではない。警察や法務省だけでなく、厚労省にも責任の一端。予算が限られているために、警察が司法解剖の件数を恣意的に抑えている重大な疑いも

次に、中3少女誘拐事件について、3月31日付け日刊ゲンダイ「ようやく逮捕も…中3誘拐事件に指摘される“警察の大失態”」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・31日、未成年者誘拐容疑で逮捕された寺内樺風容疑者(23)が“首切り自殺”を図った際の傷はほぼ回復。移送時も首の右側は、手当てを受けたあとを示す白い大きな布が襟からのぞいていた。今後は埼玉県警朝霞署で本格的な取り調べを受ける。
・ようやく事件は真相解明に向け第一歩を踏み出すが、警察内部では初動の“失敗”を指摘する声が上がっている。 「少女保護の情報が即座に漏れたため、寺内容疑者の逃走を許してしまったと問題視されているのです。少女保護の第一報は警察の正式発表ではなく、日本テレビがすっぱ抜いたもの。その後、各社が後追いしてアッという間に世間に知れ渡った。本来なら、寺内容疑者が少女保護を知らずに帰宅するのを待ち伏せれば、簡単に身柄を押さえられたはず。恐らく寺内容疑者は報道を知って電車で静岡県伊東市まで逃げたのでしょう」(捜査事情通)
・寺内容疑者は自殺を図って首を深く切る重傷を負い、新聞配達員が発見したことで命を取り留めた。その際、「大変な事件を起こしてしまった。家族に申し訳ない」という遺書のようなメモを所持していたという。もう少しで被疑者死亡の最悪の事態に陥る寸前だった。
▽いまだ県をまたぐと連携不能に
・「東中野で警視庁が少女を保護して以降、埼玉県警と合同で捜査をしていたが、ハナから情報交換などの連携はうまくいかなかったようです。警視庁は、寺内容疑者の自宅の家宅捜索までは協力したものの、翌日からほとんど事件にノータッチでした」(前出の捜査事情通)
・元兵庫県警刑事の飛松五男氏は言う。 「当局の情報管理が甘いとしか言いようがありません。被害者の救出後も犯人が見つからない誘拐事件の場合、情報提供目的でマスコミの協力を仰ぐことはあるが、犯人の逃走をあおるような情報が報道されるケースは異例です。誘拐現場は朝霞市で、事件はあくまで埼玉県警のマター。警視庁は“ヨソの事件”との意識から、情報統制がゆるくなっていたのかもしれません。警察組織はいまだに県をまたぐと連携がとれないことを証明しました」
・警察の捜査に失態がなかったのか。検証が必要みたいだ。 ・・・少女保護の情報が即座に漏れたため、寺内容疑者の逃走を許してしまったと問題視
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/178412

第三に、アイドルへのストーカー事件について、5月30日付けNHK 時論公論「生かされなかった教訓~警察のストーカー対応」を紹介しよう(< >は中見出し、▽は段落区切り)
・過去のストーカー事件を教訓に導入された未然防止のためのシステムは、今回、思い込みやミスから機能せず、警察の危機意識の欠如が浮き彫りになっています。 一方で、今回のストーカー的行為はツイッターというSNSへの書き込みで、過去の事件とは異なる面もあり、対策を改めて考えなければならない現実も突きつけられています。  そこで▼事件を防げなかった警察の対応の問題点、▼SNSによるストーカー行為の危険性、そして▼新たなストーカー対策として何が必要か、考えます
<警察の対応の問題点>
▽まず今月9日、岩崎友宏容疑者(27)からの、ツイッターへの執拗な書き込みについて相談を受けた警察署は、「ただちに危害のおそれはない」と判断し、ストーカー捜査を指導する警視庁の専門部署に報告しませんでした。 警察の通達では、ストーカーの相談は「重大事件に発展するおそれが大きい」として、必ず専門部署に報告することになっています。 しかし今回、警察は、「アイドルとファンの関係ではよくあること」ととらえていたフシがあり、ストーカーの相談とは受け止めませんでした。 この判断の甘さが、後の対応のまずさにつながっていきます。
▽その後、警察は、冨田さんから事件当日の21日にライブを行うことを聞き、110番通報に素早く駆けつけるための専用システムに、自宅住所のほか、「男がライブ会場に押しかけトラブルになる可能性がある」という情報を登録しました。しかし肝心のライブの日時や会場の場所は登録せず、周辺の警戒も行いませんでした。
▽そして会場近くで危険を感じた冨田さんがすぐに110番すると、誤って自宅に警察官を向かわせました。  携帯電話の位置情報の確認を怠ったうえ、システムに自宅だけが登録されていたことで、かえって現場に駆けつけるのが遅れた形です。
▽さらに、岩崎容疑者は3年前、別の女性のブログに脅すような書き込みをしていましたが、女性から相談を受けた都内の警察署は、情報を共有するための相談情報ファイルというシステムに、岩崎容疑者の名前の入力を忘れました。 このことで、今回、相談を受けた警察署が名前を検索してもヒットせず、情報を生かすことは出来ませんでした。
<生かされない教訓>
▽ストーカー捜査の専門部署や、110番の際の専用システム、相談情報ファイルは、いずれも過去のストーカー事件などで、被害者からの相談を重視しなかったり、情報共有ができなかったりしたことを教訓に導入されたものです。
▽さらに3年前、東京・三鷹市で女子高校生が殺害されたストーカー事件でも相談を受けながら防ぐことができなかった反省にたって、警察は、システムの活用や教育の徹底を指示する通達を全国の警察に出しました。 この中では、ストーカー相談については最悪の事態を想定して「危険性を積極的に判断する」ことや、「被害者の真意をくみ取って」重く受け止めることが指示されています。
▽ところが今回は、そもそもストーカー相談と受け止めなかったため、こうしたシステムは生かされませんでした。 いくら制度やシステムを整えても、それが機能しなければ意味がありません。 通達やシステムは事件を防ぐためにある、という意図が全く理解されていなかったのではないか。 警察は、今回のひとつひとつの問題点はもとより、どんな指導や教育を行っていたのかを徹底的に検証し、2度と同じ過ちを繰り返さないよう危機意識を徹底させなければなりません。
<SNSとストーカー>
▽さて、今回の事件ではツイッターというSNSがストーカー的行為に使われましたが、このことも、警察が危険性の判断を誤った一因になった可能性があります。 確かに、いまのストーカー規制法は、+つきまとう+見張っていると告げる+拒否しているのに交際をしつこく迫る+メールを執拗に送信する行為などが対象で、ツイッターなどSNSは対象と書かれていません。
▽しかし、SNSを通じて女性や子どもが巻き込まれる事件は相次いでいます。 さらに専門家は、SNSによるストーカー的行為は、短期間のうちにエスカレートしやすいと指摘します。 1対1でやりとりするメールと違って、ツイッターは1対不特定多数でやりとりするにもかかわらず、メッセージが自分に向けられたものと錯覚する。 自分の考えを一方的に書き込むことで、妄想を膨らませる。 そして、相手が自分の思い通りにならなかったり、書き込みをブロックされたりすることで、怒りや恨みの感情が一気に爆発し、過激な行動に走る危険性があると言うのです。
▽今回の事件でも、プレゼントを拒否された容疑者の男は急に攻撃的な書き込みに転じ、書き込みをブロックされると、周囲にまで女性への非難を書き込んで、犯行に及んでいます。 いまや、日本人の少なくとも2人に1人がSNSを利用する時代。 不特定多数にプライバシーをさらしている反面、書き込みをしてくる相手が分からないことも多く、事件の解決には警察の捜査が欠かせません。
▽警察は、SNSから発せられるメッセージからどのように危険性をくみ取り、犯罪防止につなげていくべきか、分析や対策を急がなければなりません。
<法改正>
▽とはいえ、SNSや情報ツールが日々進化する中では、警察の危機意識を高めるだけでは不十分で、新たなストーカー対策として早急な法改正も必要です。 実はすでにおととし、有識者による検討会が、法改正でSNSも明示するよう警察庁に提言していますが、いまだメドさえたっていません。
▽ストーカー事件で娘を亡くした遺族は、「何人犠牲になれば、事態が動くのか」と憤りをあらわにしています。 SNSはもちろん、今後の情報ツールの進化も見据えながら、待ったなしの課題として取り組む必要があります。
<究極は加害者対策>
▽一方、どんなに制度を整え、取り締まりを強化したとしても、ストーカー行為をやめない加害者がいるのも事実で、こうした加害者への対策がなされない限り、事件を食い止めることはできません。 そこで、いま、加害者の意識を変えるためのカウンセリングや治療が注目され、すでに多くの国で取り入れられています。  精神科医や心理療法士が加害者からじっくり話を聞いたうえで、+本人に問題行動だと理解させる、+訓練によって行動を制御出来るようにする、といったことで、一定の効果をあげているといいます。
▽これに対して日本では、警察庁が試験的に、加害者に専門家のカウンセリングを受けてもらう取り組みを始めたばかりです。 ストーカー事件の被害者は「加害者の意識を変えることが究極の被害者支援だ」と話していました。 警察と医療機関などが連携し、こうした取り組みを着実に進めること求められます。
▽変化のスピードが速く、社会の仕組みが複雑になる世の中では、人間関係の築き方やとらえ方は、難しくなってきているのかもしれません。 今よりもっとゆがんだ形のストーカーが現れ、身近にひそむ危険への対応が一層困難になる可能性もあります。
▽万全の対策というものがない以上、一つ一つの事件から得た教訓を地道に積み重ね、次に生かす取り組みを続けていくしかありません。 それが、事件を防ぎ、被害にあった人たちの願いに応えることにもつながるのだと思います。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/245966.html

「殺人見殺し大国」警察の怠慢に関しては、最近の記憶に新しいところでは、老人ホーム(虐待(連続死)問題として、本欄でも昨年12月22日、本年2月21日などで取上げた。「選択」では、「予算が限られているために、警察が司法解剖の件数を恣意的に抑えている重大な疑いも」と「やさしく」指摘しているが、それは第一義的には、警察内部での予算配分のプライオリティ付けが低かったということに過ぎず、警察自体の責任だ。本当に全体としても不足するのであれば、予算獲得に動けばいいだけの話だ。ただ、解剖医不足は、厚労省もまじえ真剣に取り組むべきだろう。
中3少女誘拐事件については、記事の指摘の他にも、当初の届出を受け付けた埼玉県警朝霞署が、刑事事件を扱う部門ではなく、家出を扱う部門が担当したというのも、一因になっているようだ。「いまだ県をまたぐと連携不能に」なるというのも、困った問題だ。警察は建前上、自治体所属となっているが、広域捜査をどのように有効に進めるかをさらに検討してほしいものだ。
アイドルへのストーカー事件については、当初にストーカー相談を受け付けたのが、2013年10月の女子高生ストーカー事件が発生した三鷹警察署だった点でも、「またか」という印象を強く受けた。これは、様々なミスが重なっって重大な事件に発展してしまったようだ。いつもは警察のミスを見て見ぬふりをするマスコミも、今回は警察の対応の余りの「お粗末さ」ゆえか、NHKまでが取上げた珍しいケースだ。警察には再発防止策に真剣に取り組んでもらいたいものだ。
タグ:相次ぐ 警察の重大ミス (「殺人見殺し大国」警察の怠慢、中3少女誘拐事件、アイドルへのストーカー事件) 選択 「殺人見殺し大国」警察の怠慢 変死体の9割で「司法解剖せず」 警察が取り扱う死体 司法解剖数8424 司法解剖率5.2% 警察官の勘に頼る「検視」 「死因・身元調査法」「死因究明等推進法」が成立 検視官 全国で340人 遺体の体表面の異変だけで判断、遺書などがあれば早々に自殺で片づけたがる 自殺と判断された事件が後に他殺と判明する例が多い 交通事故以外の不慮死 検視官は、流れ作業のように変死体を処理しているに過ぎない 圧倒的に不足する「解剖医」 中3少女誘拐事件 日刊ゲンダイ ようやく逮捕も…中3誘拐事件に指摘される“警察の大失態” 寺内樺風 未成年者誘拐容疑 “首切り自殺” 警察内部では初動の“失敗”を指摘する声 少女保護の情報が即座に漏れたため、寺内容疑者の逃走を許してしまったと問題視 日本テレビがすっぱ抜いたもの 寺内容疑者は報道を知って電車で静岡県伊東市まで逃げたのでしょう いまだ県をまたぐと連携不能に 誘拐現場は朝霞市で、事件はあくまで埼玉県警のマター 警視庁は“ヨソの事件”との意識 警察組織はいまだに県をまたぐと連携がとれないことを証明 、アイドルへのストーカー事件 NHK 時論公論 生かされなかった教訓~警察のストーカー対応 警察の対応の問題点 ツイッターへの執拗な書き込みについて相談 ストーカー捜査を指導する警視庁の専門部署に報告しませんでした 警察の通達では、ストーカーの相談は「重大事件に発展するおそれが大きい」として、必ず専門部署に報告することになっています 冨田さんから事件当日の21日にライブを行うことを聞き 専用システムに、自宅住所のほか、「男がライブ会場に押しかけトラブルになる可能性がある」という情報を登録しました。しかし肝心のライブの日時や会場の場所は登録せず、周辺の警戒も行いませんでした 携帯電話の位置情報の確認を怠ったうえ システムに自宅だけが登録されていたことで、かえって現場に駆けつけるのが遅れた 3年前、別の女性のブログに脅すような書き込みをしていましたが 相談を受けた都内の警察署は、情報を共有するための相談情報ファイルというシステムに、岩崎容疑者の名前の入力を忘れました 相談情報ファイル 三鷹市で女子高校生が殺害されたストーカー事件 システムの活用や教育の徹底を指示する通達 今回は、そもそもストーカー相談と受け止めなかったため、こうしたシステムは生かされませんでした ツイッターというSNSがストーカー的行為に使われましたが ストーカー規制法 SNSは対象と書かれていません 有識者による検討会が、法改正でSNSも明示するよう警察庁に提言 究極は加害者対策
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