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ふるさと納税制度(その2)ブームの裏の深刻な問題 [経済政策]

ふるさと納税制度については、昨年6月24日に取上げた。1年以上経った今日は、(その2)ブームの裏の深刻な問題 である。

先ずは、まちビジネス事業家の木下斉氏が昨年12月9日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ふるさと納税ブームに潜む地方衰退の「罠」 無視できない、3つの大きな歪みがある」を紹介しよう(▽は小見出し、+は段落区切り)。
・「ふるさと納税」が話題になっています。そもそも「ふるさと納税」は、地方で生まれ育った人や都市部に住む人が、都市部にいながらふるさとに納税をすることで、地方を応援することになるという税制優遇策でした。
・しかし、この数年「税制優遇も受けられ、地方の特産品をもらえてお得」ということで人気沸騰。たとえば、5つの地方自治体に1万ずつ合計5万円を納税すれば、2000円を超える4.8万円が住民税・所得税から控除され、さらに5つの地域から返礼品がもらえるため、個人にとってはかなりお得な内容となっています。2015年度半期の「ふるさと納税」は453億5500万円となっており、前年同期の3.9倍と大きく伸びています。
・一方で、地方自治体が「ふるさと納税」を獲得するため、高額の返礼品競争が発生しており、税制としての本質からかけ離れた実情に総務省が警告を出しています。現状のままでは、地方にとっては活性化どころか、産業も財政も含めてマイナスとなる危険性が生まれています。
▽地方衰退につながる3つの歪み
・そこで、ふるさと納税が地方衰退要因となる3つの歪みを指摘したいと思います。
 (1) 税金頼みの地方産品の「安売り」が招く歪み
 +地方にふるさと納税されると、自治体はその返礼品として指定していた地元産品を地元企業・生産者から買い取ります。納税金額の半額などで返礼品財源となっている自治体もあり、多額の地方産品が都市部に送られています。しかし、これは地方産品の価値が正当に認められ、市場取引が拡大しているわけではありません。税制を活用してタダ同然で地方産品を配っているから出荷量が増加し、都市部の地方産品を受け取る側も喜んでいるのです。
 +一部の人は「お試しで送り、次は買ってもらう。新規顧客開拓だ」と言いますが、そんなに都合よく話は進みません。類似する地方産品はたくさんあるるわけで、一度タダ同然でもらえた商品を正規価格に戻して何度もリピートして買ってもらうのは、かなりの賭けといえるでしょう。
 +さらには、正規価格で購入していた商品をただ同然で配ってしまうことで、新規顧客のみならず既存顧客にも影響が生じかねません。 地方産品の販売を通じて地域活性化を図るのであれば、妥当な価格をもって営業をし、販売を積み上げなくてはなりません。安売りを担保するための販促費用を税金から出してもらうことは、本来の競争力をそぎ、地方の衰退を加速させてしまう補助金と同じ作用を生み出します。
 (2) 地元産業の「自治体依存」の加速という歪み
 +さらに、地元産業がますます自治体依存になっていく歪みが生まれます。 自治体が受け取るふるさと納税額は大きくなるにつれ、「返礼品」として地元企業・生産者から買い取る商品総額も大きくなっています。税制によって財源が確保されるわけですから、地元企業・生産者にとっては自治体にまとまって商品を買い取ってもらえる「おいしいビジネス」です。地方自治体も他の自治体に出し抜かれるな!と躍起になっていますので、地元から良い商品をばんばん調達して返礼品に並べています。
 +一部生産者はふるさと納税の短期的な売上を優先してしまい、従来の卸先への商品数を減らして、返礼品に充ててしまったりします。地元で毎年何億円を買い取ってもらえる新規市場というのは、地方の中小零細企業・生産者にとって決して小さくないのです。 このような事態は、地元企業・生産者の自治体依存度を高めることになっています。
 +今後、危惧されるのは「変動への対応」です。 ふるさと納税も競争があります。各自治体への納税額が、未来永劫右肩上がりになるわけがありません。急増すれば反動もあり、アップダウンが生じます。ふるさと納税が減少し、返礼品売り上げが500万円あったものが、翌年50万円に落ち込む生産者が現れることも十分に考えられます。そのような変動が生まれた際に、地元企業・生産者にとっては決して小さくないインパクトとなり、経営が左右される要因にもなります。
 (3) 納税増加=歳出拡大という地方自治体財政の歪み
 +そもそも地方自治体は地元から得られる税収が少ないため、独自財源となる「ふるさと納税」による税収増は魅力的です。現在では地元税収を超えるふるさと納税金額が集まる自治体さえ出てきているため、後に続けと躍起になるわけです。また、ふるさと納税財源の半分を地元企業・生産者からの返礼品購入として使うことも、政治的にも地元から支持されやすい。そのため、自治体はふるさと納税獲得競争に躍起となります。
 +しかし問題は、ふるさと納税を獲得すると、そのまま「その予算をどう使うか」という話になってしまうことです。一過性の歳入にもかかわらず、毎年予算が必要な住民サービス系(福祉、医療、交通、活性化イベントなど)の事業を立ち上げ、歳出を増加して人口獲得を目指す「サービス合戦」も加熱しています。
 +「なぜ補助金をもらっても地方は衰退するのか」で指摘したとおり、従来通りの予算を使い切る競争をしていたら、ふるさと納税が地方にいったところで、活性化なんて不可能です。それどころか、人口縮小社会が到来している中、衰退を加速させることになってしまいます。
・税制優遇をもとにした、地方産品の安売りをして獲得金額を競うような誰でもできるような画一的な競争を通じて、一時的な税収増を実現したり、地元産品が流通しても副作用のほうが大きくなっていきます。早期に、納税額に対する返礼比率見直し、各企業・生産者からの調達総額上限の設定、さらに納税財源は自治体のコンパクト化に活用するなど、改善が求められます。
▽本当に必要なのは「継続的に稼げる仕組み」
・そもそも地方が独自の魅力を作り出し、維持していくのに必要なのは「短期的なもらうお金」ではなく、自分たちの価値観を持って「継続的に稼げる仕組み」です。 自分たちの地域のビジョンをもとにした事業企画のために資金調達方法として活用する自治体もありますが、まだまだ少数です。今後は、中山間地や離島、一定規模の地方都市、それぞれの資源状況に沿って、納税者も居住者も地元企業もメリットを生み出す新規の事業企画を出さなくてはなりません。活性化を目指す限り、予算を獲得して使い切るのではなく、ちゃんと収支が拡大する「事業」でなくてはならないのです。
・自分の頭で考えず、国が作った制度に則って同じことをやってきた結果、多額の税金を使いながらも地方が衰退してきたことを忘れてはいけません。「ふるさと納税」でも同じことやってどうする、という話です。 地方の多様な成長は、これまでのように税金が一度集められ、一部の人たちの価値判断によって地方に分配されるだけでは難しい。個々人が一部納税先を選択できる仕組みは、多様な価値観にもとづく成熟した社会の実現にはプラスです。 だからこそ、決して返礼品で釣り、釣られるような浅はかなやり方ではいけないのです。
http://toyokeizai.net/articles/-/95571

次に、経営コンサルタントの大前研一氏が昨年12月28日付けNEWSポストセブンに掲載した「「ふるさと納税」「ふるさと割」 根本的に間違いだと大前氏」を紹介しよう。
・年末になり、その一年の税金のことが気になる季節になった。今年は、信販会社なども「ふるさと納税」をおすすめしてくる。経営コンサルタントの大前研一氏が、ふるさと納税や「ふるさと割」がいかに間違っているのかについて解説する。
・「ふるさと納税」や「ふるさと割」が話題になり、テレビ、新聞、雑誌、ネットで賢い利用法などが紹介されている。 簡単に説明すると、「ふるさと納税」は、自分が選んだ自治体に寄付を行なった場合に寄付額のうち2000円を超える部分について所得税と住民税から原則として全額が控除される制度(上限あり)で、特産物が返礼品として用意されている自治体もある。
・「ふるさと割」は、地方創生事業の1つとして2014年度補正予算に盛り込まれた「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を利用して自治体が発売するプレミアム付きの旅行券や商品券で、対象県に旅行する宿泊プラン料金から助成が受けられたり、対象市区町村で買い物をする時に一定割合を上乗せした金額分が使えたりするという。発売してすぐに完売した自治体も多く、幹部らのまとめ買いが続出して問題になったほど人気を集めている。
・しかし、これらのほかに地方の話題といえば「ゆるキャラ」と「B級グルメ」くらいである。政府は地方創生だの地域活性化だのと声高に叫んでいるが、まるで学芸会だ。地方創生や地方活性化とはかけ離れた無駄遣いを奨励し、税金を絡ませて地方の衰退をますます加速している。
・これからは地方が自力で生き延びていけるようにしなければならないのに、「ふるさと納税」や「ふるさと割」は、衰弱している地方を延命するためにカンフル剤を投与してやるという発想だ。これは根本的に間違っている。
・安倍首相と自民党は「TPP(環太平洋パートナーシップ)に関する総合的な政策対応に向けた提言」の中で、またも広告代理店が作ったCMのような「新輸出大国」という新しいキャッチフレーズを打ち出した。そしてTPPは、とくに地方の中堅・中小企業にとって大きなチャンスになり得るとして、鯖江の眼鏡、今治タオル、美濃焼などの陶磁器といった地場産業の輸出の後押しともなると強調している。
・鯖江の眼鏡や今治タオルや美濃焼などの陶磁器はイタリアの地方の名産品、特産品と似ていると思うかもしれないが、似て非なるものである。いずれも世界ではブランドの知名度は低く、競争力がない。ブランドを維持するカギはデザイン力だ。そのためにはスイスやイタリアのような仕掛けを作らなければ、世界最強の会社や世界最強の市町村を生み出すことはできない。
・日本は結局、いつも中央の政治家と役人が“自分たちの手のひらに乗ったら恵んでやる”というやり方だ。ふるさと割しかり、家電や住宅のエコポイントしかりである。税金のバラ撒きが、国民を元気にする“媚薬”だと思っている。
・しかし、価格は商品の価値を反映するものだから、ふるさと割のプレミアム付き旅行券・商品券で本来の価格より安く買ってもらうのは、売れない店のバーゲンセールと同じで、ただ単に価値を下げているだけである。それを国民の税金を使ってやっているのだから、日本は実におめでたく、ほとほと情けない国である。
http://www.news-postseven.com/archives/20151228_372443.html

第三に、本年6月14日付けNHK 時論公論 「急増! ふるさと納税を問う」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・絶対にお得!利用しないと損! 雑誌やテレビでさかんに特集されている、ふるさと納税。 このふるさと納税の額が急増していることがわかりました。総務省が発表した平成27年度の額は、1650億円。前年度に比べて一気に4倍、まさにバブルの様相を呈しています。
・なぜ、こんなに増えているんでしょうか? その理由は、多くの自治体が、ふるさと納税を集めるために、豪華なお礼の品・返礼品を競いあっているためです。もともとは、地方の特産品などを贈っていたものが、今では家電や金券まで登場しています。 富裕層にとっての、節税や減税になっているという批判が強まっています。 そのツケは、誰が払うことになるんでしょうか? 生まれ故郷や、応援したい自治体をサポートするという、ふるさと納税本来の理念を守っていくために何が必要なのか、考えます。
▽ふるさと納税の現状
・まず、ふるさと納税とは何か? これを知ろうと思えば、インターネット上にある専門のウエブサイトを見るのが便利です。 複数の民間事業者がそれぞれ専門のサイトを設けていて、そこでは、地域の特産品がズラリと紹介されています。 和牛やブランド米、日本酒によせ鍋セット、まるで便利な通販ショップという感じですが、実はどれも、各自治体が、ふるさと納税をしてくれた人に贈る、お礼の品・返礼品です。 それぞれの品には、まるで商品価格のように、金額も明示されています。 この品物が欲しければ、これだけふるさと納税をすることが必要です。
▽制度の仕組み
・もともと、この制度、ふるさと「納税」とは言っていますが、実は、税ではありません。実際は自治体への寄付です。なぜ、こういう形をとっているかといいますと、もともとの発想は、こういうことです。 地方で生まれ育った人が、大人になると都会へ出ていって人口も税金も、都会に集中してしまう。そこで、今は都会に住んでいる人でも、いわば、生れ故郷への恩返しとして、住民税などの一部を地方に納税できないだろうか、というものです。
・しかし、税の論理で言えば、住民税というのは、あくまで住んでいる自治体に納めるのが筋であって、住んでいない所に納めるわけにはいきません。 そこで、では、応援したい自治体に寄付をすることにしようと。  そして、その寄付した分だけ、いつも払っている税金の中から控除、つまり、ひくことにしましょうと。
・そうすれば、その人の負担は、これまでと変わらず、新たな負担は必要ないことになります。 具体的な例で見てみます。 その人の年収や家族構成で違いは出てきますが、たとえば、共働きで年収400万円の夫婦が4万円を寄付したとします。 そうすると、ふるさと納税の場合、寄付の額に関係なく、必ず2000円までは自己負担、ということになりますから、それを越える分、つまり3万8000円は、いつも払っている税金、具体的には住民税や所得税から後でそっくり、ひいてもらえます。
・ですから、この人は、4万円を寄付をした、といっても、実は、本当に持ち出しになっているのは、2000円だけです。 つまり、ふるさと納税というのは、事実上、2000円を余分に払えば、いつも納めている税金をどこに払うか、自分で自由に選べる制度、ということができます。
・どうせ税金を払うなら、自分の好きな所に収めたい。自分が本当に、納得できる所に収めたい。そういう納税者の要求に応えるための制度、と言ってもいいと思います。 これこそが、ふるさと納税の最大の意義です。だからこそ東日本大震災や、熊本地震の被災地に全国から多くの人が、ふるさと納税をして、被災地の復興の助けとなっています。 ふるさと納税は、大きな役割を果たしているわけです。
▽制度の変容
・ところが、ここで、話しが変わってくるのはしだいに、多くの自治体が、お礼の品、返礼品を競うようになったことです。 自治体からすれば、よその人から、ふるさと納税をしてもらうためには、何か特典でも出さないと・・・というわけです。 ふるさと納税をする人にとっては、寄付する額は、後で税金からひいてもらってもとはとっているわけですから、この返礼品の分だけ、ほぼそのまま、「もうけ」ということになります。
・この返礼品競争が始まったことでふるさと納税は、様変わりをした、ということがいえます。 それまでの、納税先を選択できる、という制度から、2000円を払えば豪華な返礼品がもらえるお得な制度、という位置づけになって、一気に人気に火がついたわけです。
・利用額のグラフを見れば一目瞭然です。 制度が始まってしばらくは、大体80億から100億円、という水準が続いていたのが、返礼品競争が目立ちはじめた平成25年度ぐらいからしだいに額が増え始めます。 そして、制度が利用しやすくなったことも手伝って26年度には前年度の倍以上、そして27年度は、さらにその4倍に増えて、1600億円を超え、「ふるさと納税、急拡大!」となっているわけです。
▽過熱する特典合戦
・この結果、弊害も起きはじめています。 まず、各自治体が、返礼品合戦を過熱させたことで、寄付の額に占める、返礼品の値段、いわゆる返礼比率が上がっています。 今や5割から8割は当たり前で、中には9割に達しているものもあるといいます。つまり、貴重な寄付金の大半が、結局は、個人に還元されているわけです。 国と地方、全体で税収不足が問題になっている中で、こういうお金の使い方でいいんでしょうか?
・無論、これには反論があります。 自治体が、どんなに、多額の返礼品を送ろうと、そのお金が地元の名産品の購入などに使われていれば、それは、重要な地域振興策ではないか、というものです。これは、一理あると思います。 しかし、今や返礼品競争はさらに過熱して、家電製品やパソコン、そしてついには金券までが登場しています。 そして、こうした商品が、オークションで転売されていることが報じられています。こうなると、もとは税金であるお金が、個人にお金で還元されている、ということになります。
・このことは総務省も問題視していて、これまでに二度、こうした換金性の高い返礼品はふるさと納税の趣旨にもとるとして自粛するよう呼びかけていますが、強制力がないため、なかなかなくならないのが実情です。
▽富裕層の節税策か
・そしてもう一つ、課題があります。 それは、お金のある人ほど、ふるさと納税で事実上の節税や減税が可能になっている、という現状です。 というのも、ふるさと納税は、お金のある人ほどより多くの税金を控除してもらえます。 たとえば、夫婦共働きで、大学生のこども一人の家庭の場合、年収400万円なら、全額控除できる寄付額は、およそ3万円までです。 しかし、年収2500万円の場合は、およそ82万円まで全額控除してもらえます。 この人が、仮に目一杯、寄付をして、返礼比率8割のお礼をもらった場合は、実際は2000円を負担するだけで66万円余りがもうかる計算になります。 富裕層ほど、もうけが大きいわけです。
▽どう見直す?
・では、どうすればいいんでしょうか? ここは、行きすぎた返礼品競争を見直す、ということが考えられます。 すでに多くの専門家からいろんな案があがっています。 たとえば、金券などの換金性の高いものは、禁止する。 その上で、寄付の額に対し、どれくらいのお返しをしているかという、返礼比率については、一定の制限を加える、という案があります。 また、それとは別に、返礼品を出した場合は、その額は、税金から控除しない、という案も出されています。
・これも、富裕層ほど、節税になる、ということへの一定の歯止めになります。 東日本大震災や、熊本地震では、多くの人が、返礼品はいりません!返礼品は辞退します!ということで、ふるさと納税をしています。  お得かどうかで、寄付する先を選ぶのではなく、本当に応援したい自治体に寄付をする、そういうふるさと納税本来の理念を守るための見直しが必要ではないでしょうか?
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/247076.html

木下氏が指摘する「地方衰退要因となる3つの歪み」、本当に必要なのは「継続的に稼げる仕組み」」、はその通りだ。
大前氏の「衰弱している地方を延命するためにカンフル剤を投与してやるという発想だ。これは根本的に間違っている」との指摘も正論である。「地場産業の輸出の後押し」も、クールジャパン戦略にもられる「一人よがり」の典型例だ。電通など広告代理店を儲けさせるだけだろう。
NHKの持論公論は、体系的な解説となっているので、紹介した次第である。27年度は前年度の4倍の1600兆円超になったようだが、その分、税収減となる大都市にとってはいよいよ無視できない存在になってきたといえよう。
ふるさと納税制度は、菅官房長官が熱心に旗を振っているだけに、安部政権が続く限り継続される愚策だ。今年度からは企業版もスタートした。官邸の手引きによれば、軽減効果は、従来からの寄付額の3割分の損金算入に加え、新たに3割分が税額控除対象に。寄付額の下限10万円、寄付の代償として経済的な利益を受取ることは禁止、というものだ。ただ、4割は寄付企業の負担となるため、個人版のような訳にはいかない可能性もある。これに関連して、5月17日付け日経新聞は「三菱自に1億円寄付要請へ 岡山県総社市長、ふるさと納税で」を伝えた。「総社市は水島製作所がある倉敷市に隣接。協力部品メーカーで組織する協同組合「ウイングバレイ」などが本拠を置く」とのことである。総社市長は「なかなかしたたか」とみるか、「そこまでやるのか」とみるかは、ブログ読者の判断に委ねたい。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tiikisaisei/pdf/furusato23tebiki.pdf
なお、6月30日のテレビ東京のWBSでは、ふるさと納税に関して、「使途未公表の自治体が4割、1000万円も集まらない自治体が5割以上」、と伝えていた。使途を未公表とはふざけた話だ。ただ、1000万円も集まらない自治体が5割以上、であれば、1億円以上集まった自治体には開示義務を課すというのはどうだろうか。
タグ:wbs 使途未公表の自治体が4割、1000万円も集まらない自治体が5割以上 テレビ東京 ふるさと納税制度 (その2)ブームの裏の深刻な問題 木下斉 東洋経済オンライン ふるさと納税ブームに潜む地方衰退の「罠」 無視できない、3つの大きな歪みがある 税制優遇策 地方の特産品をもらえてお得 人気沸騰 高額の返礼品競争が発生 総務省が警告 地方にとっては活性化どころか、産業も財政も含めてマイナスとなる危険性 地方衰退につながる3つの歪み 税金頼みの地方産品の「安売り」が招く歪み 類似する地方産品はたくさんあるるわけで 安売りを担保するための販促費用を税金から出してもらうことは、本来の競争力をそぎ、地方の衰退を加速させてしまう補助金と同じ作用 地元産業の「自治体依存」の加速という歪み 一部生産者はふるさと納税の短期的な売上を優先してしまい、従来の卸先への商品数を減らして、返礼品に充ててしまったりします 危惧されるのは「変動への対応」 納税増加=歳出拡大という地方自治体財政の歪み その予算をどう使うか 地方産品の安売りをして獲得金額を競うような誰でもできるような画一的な競争 副作用のほうが大きくなっていきます 返礼比率見直し 各企業・生産者からの調達総額上限の設定 納税財源は自治体のコンパクト化に活用 本当に必要なのは「継続的に稼げる仕組み」 ちゃんと収支が拡大する「事業」でなくてはならない 大前研一 Newsポストセブン 「ふるさと納税」「ふるさと割」 根本的に間違いだと大前氏 ふるさと割 自治体が発売するプレミアム付きの旅行券や商品券 対象県に旅行する宿泊プラン料金から助成が受けられたり、対象市区町村で買い物をする時に一定割合を上乗せした金額分が使えたりするという 幹部らのまとめ買いが続出して問題になったほど人気 政府は地方創生だの地域活性化だのと声高に叫んでいるが、まるで学芸会 衰弱している地方を延命するためにカンフル剤を投与してやるという発想 新輸出大国 鯖江の眼鏡 今治タオル 美濃焼 地場産業の輸出の後押し いずれも世界ではブランドの知名度は低く、競争力がない ブランドを維持するカギはデザイン力 税金のバラ撒きが、国民を元気にする“媚薬”だと思っている ふるさと割のプレミアム付き旅行券・商品券で本来の価格より安く買ってもらうのは、売れない店のバーゲンセールと同じで、ただ単に価値を下げているだけである 国民の税金を使ってやっているのだから、日本は実におめでたく、ほとほと情けない国 NHK 時論公論 「急増! ふるさと納税を問う」 平成27年度の額は、1650億円 前年度に比べて一気に4倍 バブルの様相 実際は自治体への寄付 寄付した分だけ、いつも払っている税金の中から控除、つまり、ひくことにしましょうと その人の負担は、これまでと変わらず、新たな負担は必要ないことになります 本当に持ち出しになっているのは、2000円だけです 制度の変容 多くの自治体が、お礼の品、返礼品を競うようになった 寄付する額は、後で税金からひいてもらってもとはとっているわけですから、この返礼品の分だけ、ほぼそのまま、「もうけ」ということになります 2000円を払えば豪華な返礼品がもらえるお得な制度 一気に人気に火がついた 過熱する特典合戦 返礼比率 今や5割から8割は当たり前で、中には9割に達しているものもあるといいます 貴重な寄付金の大半が、結局は、個人に還元 総務省も問題視していて、これまでに二度、こうした換金性の高い返礼品はふるさと納税の趣旨にもとるとして自粛するよう呼びかけていますが、強制力がないため、なかなかなくならないのが実情 富裕層の節税策か 富裕層ほど、もうけが大きい どう見直す? 金券などの換金性の高いものは、禁止 返礼比率については、一定の制限を加える 返礼品を出した場合は、その額は、税金から控除しない 企業版もスタート 三菱自に1億円寄付要請へ 岡山県総社市長、ふるさと納税で 日経新聞
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