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東京オリンピック(五輪)招致裏金疑惑(その3)大義の不在が招いた裏金疑惑、JOC調査期限の「延期」、渦中の「キーマン」が語った核心 [社会]

東京オリンピック(五輪)招致裏金疑惑については、5月23日に取上げた。最近は報道が少なくなっているが、今日は、(その3)大義の不在が招いた裏金疑惑、JOC調査期限の「延期」、渦中の「キーマン」が語った核心 である。

先ずは、デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員の山田厚史氏が5月26日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「五輪裏金疑惑は「開催したい人」に任せた大義の不在が招いた」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・1964年の東京五輪を覚えていますか?焼け跡から蘇った東京を世界に示し、自ら確認する大会だった。日本人の五輪像はあの「復興途上国のスポーツ祭典」ではないか。50余年が経ち、オリンピックは変貌した。巨大な利権となり、招致や放映権でカネが動く。権限を持つ競技団体に腐敗が蔓延し、金儲けを企むビジネスがハエのようにたかる。開催経費は膨張し、宴の後に景気はしぼむ。
・そして「裏金疑惑」が浮上した。事件はフランス検察の手の内にある。国際オリンピック委員会(IOC)の倫理規定に違反すれば東京開催は正当性を失うだろう。いったいなぜ、こんなことになったのか。理由は明らかだ。「何のために東京で五輪を開催するのか」。理念が曖昧だった。誰のための五輪なのか。「やりたい人」に任せてしまった咎めを、いま私たちは受けている。
▽JOC会長の苦しい国会答弁 こんな説明で世間に通用するか
・竹田恒和JOC会長の国会答弁を聞きながら、「こんな説明が世間に通用すると思っているのか」と思った。わずか2ヵ月余のコンサルタント契約に2億3000万円が支払われた。
・説明はこうだ。 一回目は2013年7月末に9500万円。先方のコンサルタントから売り込みがあり、電通に相談し「実績がある会社」と確認したので、契約しカネを払った。2回目は「東京開催」が決まった後の10月。勝因分析を依頼し、成功報酬を加味して1億3500万円。いずれもシンガポールのブラック・タイジングス(BT)社の口座に振り込んだ。タン・トン・ハン氏が経営する実体のある会社と認識している。当時、国際陸連前会長だったラミーヌ・ディアク氏や息子のパパ・マッサタ・ディアク氏と深い関係にあるとは知る由もなかった(2日後、「関係があることは知っていた。言われるような悪い関係は知らなかった」と訂正)。支払いはコンサル業務に対する正当な対価だ。有形無形の各種報告が成果。票獲得に欠かせなかった。ただ、どう使われたかは確認していない。
・証言の要旨はこんなものだ。では、各種報告とはどんな内容で、それがどのように票獲得に繋がったのか。報告を受けた招致委員会の誰が票固めに動いたのか。それともタン氏が説得したのか。「報告と票」の間がつながらない。苦しい言い訳をするから分かりにくくなる。 「カネを渡して票の取りまとめを頼んだ。どう使ったか、私は知りません」 と言えばすっきりしている。古今東西の選挙で定番となっている違反が「カネを渡し票の取りまとめを依頼」である。要するに買収だ。
・モスクワで開かれた国際陸連の大会にIOCの委員が集まるから票固めをタン氏に頼んだのだろう。というよりタン氏と昵懇の間柄であるパパ・マッサタ氏に頼んだ、つまり父親のディアク会長の威光に頼った、というのが本当のところだ。 国際陸連でコンサルタントを務めるパパ・マッサタ氏は入金後、パリで高級時計を買った。支払いはタン氏の口座だった。この口座は世界陸連のドーピングもみ消し事件でロシアから不正資金が振り込まれた口座と一致した、とフランス検察は指摘している。
・つまりタン氏はパパ・マッサタ氏の代理人・窓口という役回り。だから会社に実体はない。古びた公営住宅が所在地になっていた。BT社は2014年に閉鎖された。窓口でしかないタン氏を電通は「実績がある」と推薦したのである。実績とはディアク父子の代理人、つまりタン氏にカネを渡せばディアク父子に届く、という実績を言っているのだろう。
▽国際陸連・ディアク氏と電通のパイプは20年以上前から
・電通は国際陸連と太いパイプがある。主催する大会に関わる商業利権を01年から29年まで独占している。16年間会長の座にいたディアク氏から与えられた特権。理事会に諮らず電通に利権を与えたことが後に問題になっている。相当な食い込みだ。当然、対価が支払われていることだろう。
・ディアク氏と電通の関係は、20年以上も前から続いている、と電通の関係者は言う。 発端は1982年に電通がアディダスの創業一族のホルスト・ダスラー氏とスポーツビジネス会社インターナショナル・スポーツカルチャー&レジャーマネジメント(ISL)をスイスに設立したことだ。競技人脈が豊富なダスラー氏が商権を買い取る資金力がある電通に目をつけ、元IOC会長のピーター・ユべロス氏が仲介したとされる。ISLは国際サッカー連盟(FIFA)など競技団体の放映権やブランドを差配する会社だったが、拡大路線が躓き2001年に経営が破綻。詐欺・横領・文書偽造などで役員6人が訴追された。FIFA幹部の汚職も露見した。
・腐敗体質が問題になる中で、アフリカ陸連の会長だったディアク氏がIOC倫理委員会から取り調べを受けた。1993年に3万ドルと3万スイス・フランをISLから受け取っていたことが判明。当時IOC委員ではなかったことから処分は警告にとどまった、という。
・ISLの破綻後、電通は競技団体の権益業務を、新たに設立されたアスレチック・マネジメント・サービス(AMS)に移管、ここを通じて国際陸連の業務などを差配している。AMSは「裏金事件」のもう一つの舞台になった。 英紙ガーディアンは「電通スポーツは電通の保有するスポーツ権益を運営する関連会社AMSをスイスに設立した。タン氏はAMSにコンサルタントとして雇われていた」と報じた(5月12日)。 この点を確認すると電通広報は、 「AMS社は電通スポーツの子会社ではありません。電通及びグループ各社との資本関係もありません。ビジネス上の取引がある会社で、国際スポーツイベントにおけるスポンサー対応などの運営業務をお手伝いいただいています」と回答した。
▽汚職体質の団体と直接取引は事件に 「関係のなさ」が緩衝材になるカラクリ
・資本関係も人事交流もないビジネスの委託先。この「関係のなさ」にスポーツ利権のカラクリがある。 電通関係者によると「AMSは電通スポーツ局の業務を請け負う実質的な代理店」という。汚職体質に染まる競技団体の役員と、直接に取引すると事件になる恐れがある。間に一枚噛ます、それがAMSの役割だという。
・単なる取引先だから、そこが何をしているか知らない。機能は子会社だが、関係のないよその会社だ。ディアク父子にとってタン氏が窓口となって「絶縁体」の役を果たしているのと同じだ。 「タン氏はAMSにコンサルとして雇われていたか」という問いに電通広報は、「AMS社とタン氏の関係についてはお答えする立場にありません。当社がタン氏をコンサルタントとして雇ったり、ビジネス上の取引をしたりしたことはありません」 AMSとタンの関係は否定しなかった。電通と「無関係」を強調したのである。 電通とディアク父子は、AMS・タンという緩衝材を挟んでつながっていた。
・腐敗があるからビジネスにうま味がある。問題はリスクの遮断。危ない橋を渡るには周到な遮断装置が必要になる。 タン氏は集金窓口であっても、職務権限はない。カネを受け取っても「コンサルタント料」と言い訳して逃げる。カネがディアク父子に渡った証拠がなければ汚職は立件できない。フランス検察はパパ・マッサタ氏とタン氏の二人を国際指名手配した。
▽不透明な資金はタン氏ルート以外にも開催地決定にカネが動く現実
・気になるカネの流れはまだある。招致委がコンサルに払った金額はタン氏ルートの2億3000万円だけではない。総額7億円を上回るが、具体的な使途は明らかにされていない。「票固め」に使ったカネは他にもあるのではないか。
・もう一つは「不可解な寄付」。今年1月、世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会がまとめた報告書にこんな記載がある。 「トルコは、国際陸連の大会に400~500万ドルの寄付をしなかったことでディアク会長の支持を失った。寄付を行った日本が開催の栄誉を得た」 形を変えた「買収」ではないか。トルコは寄付を「できない」と拒否し、敗退した。日本はどこからこのカネを捻出したのか。フランス検察が動いているだろう。
・「開催計画の優劣や理念などを競う清廉潔白な争いで、成否は決まらない。約18年、五輪招致レースを取材してきた実感だ」 朝日新聞の稲垣康介編集委員は「開催地決定にカネが動く現実」をそう書いている。
・現実はそうかもしれない。2億円で得票が固まるなら安いもの、と招致に当たる人たちは考えたかもしれない。 大きな経済効果、世界に向けた宣伝、開催地の誇り、政権の達成感。諸々の効果を考えれば、多少の不透明なカネには目を瞑るのが大人の対応、という声もある。
・不透明な支払いは誰が決めたのか。要求され、断れば票が逃げるかもしれない。招致委の責任者には「NO」の選択はなかっただろう。東京開催に泥を塗る決断は、ごく一握りの関係者でなされたのか。
▽「大人の対応」で許される? 東京五輪の姿はこれでいいのか
・事件が、ドーピング捜査から発覚したのは皮肉である。選手は誰しも勝ちたい。だが薬を使ったら失格。永久追放になるかもしれない。開催地の招致も競争だ。「不透明なカネ」はドーピングと同じではないか。 選手は厳罰、招致団体は「大人の対応」で許されるのか。
・オリンピックは大きくなりすぎた。何のためにやるのか? 誰のための大会? オレのため、カネのため、という輩が群がり、鼻先にぶら下がる私利私欲が推進力になっていないか。
・東京五輪組織委員会は名誉会長が御手洗冨士夫・キヤノン会長。二代前の経団連会長だ。カネをたくさん出せる人が名誉会長になる。民間企業の最高位だ。トヨタ自動車の豊田章夫社長は副会長だったが、昨年12月、理由を告げず辞任した。汚れた五輪とは付き合いきれない、ということか。 御手洗氏は五輪に何を期待しているのか。名誉会長ということは国際陸連への寄付も奮発したに違いない。大丈夫なのか。
・会長は森喜朗元首相。東京五輪の誘致はこの人を軸に始まった。首相時代は不完全燃焼だった。評判も悪かった。「五輪開催」に熱心だったが、どんな五輪にしたいのか、実のある話を聞いたことはない。 開催地・東京の知事は組織委に加わってはいない。開催地の知事より五輪を仕切りたい元首相が幅を利かすという不思議。文科大臣も五輪担当相も子分を当てがっている。これが東京五輪の姿だ。 東京といえば地震は大丈夫か。直下型地震が起こるかもしれない。 五輪は東京に必要なのか。もう一度考えたい。
http://diamond.jp/articles/-/91922

次に、6月1日付け日刊ゲンダイ「東京五輪裏金疑惑 JOC調査期限の「延期」は参院選対策か」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・2020年東京五輪招致を巡って、当時の招致委員会からシンガポールの「ブラック・タイディングス」社へ渡った2・2億円の“裏金”疑惑。日本オリンピック委員会(JOC)は26日に第三者委員会を発足させ、「1カ月」をメドに調査結果を報告するとしていたが、まさかの“期限延長”だ。
・国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長は26日の記者会見で、竹田会長から受けた報告を根拠に「JOCの調査は1カ月くらいで終わると聞いている」と話していた。ところが、30日開かれた民進党の「五輪招致疑惑調査チーム」で、JOCの平岡英介専務理事は「1カ月」の調査期限を突然、“白紙撤回”したのだ。
・「竹田恒和JOC会長の調査期限『1カ月』との発言については、あくまでも公式の場でコーツ氏に対して述べたものではないと聞いています。早ければ1カ月程度での報告になるかもしれないという感想を述べたまで。JOCとしては、『できるだけ早く』公明正大に疑惑を晴らしてもらいたいと第三者委にお願いしている。今は期限については申し上げられません」
・17日の「調査チーム」で「(裏金という)タイトルを変えていただけないでしょうか」と泣きベソをかいていた平真事務局顧問は、か細い声でこう話した。 「26日の会見当日だったと思いますが、我々はコーツ氏に対し『1カ月』というのは根拠のない考えだったので、撤回しますと誤解を解きました。コーツ氏には、納得していただきました」
▽官邸が「ストップ」かけた!?
・根拠のない“感想”で調査期限を定めていたとは、いかにも軽率だが、なぜ、“白紙撤回”になったのか。  「1カ月後といえば、参院選の真っただ中。新国立、エンブレム撤回とミソが付きまくっている東京五輪で、これ以上の不祥事は、選挙に深刻なダメージを与えます。それを見越して、官邸がJOCの調査に『ストップ』をかけている可能性がある」(政界事情通) 平岡専務理事は、「遅くとも年内には調査報告を公表したい」と言っていた。やはり、参院選への影響を気にしているのかもしれないが、コーツ副会長は「疑惑は深刻。不正があるならば許さない」と厳しい態度を示していた。 JOCは一日も早く説明するべきだ。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182500/1

第三に、6月17日付け現代ビジネス「汚れた東京五輪、裏金疑惑の真相?渦中の「キーマン」が核心を語った! どこの国でもやっている!?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・裏金問題の画を描いたのは、あいつに違いない??疑惑発覚当初から、そう噂されてきた高橋氏。国際スポーツの世界に精通し、強力なパイプを持っているキーマンが、沈黙を破り初めて口を開く。
▽渡した相手が怪しすぎる
・東京五輪を巡る招致委員会の裏金疑惑の捜査に、フランス検察当局が本気になっている。 国内最大の通信社・AFP記者のアンドレ・バンビーノ氏が言う。 「元々、今回の疑惑はフランス検察が国際陸連(IAAF)の大規模汚職を捜査する過程で明らかになりました。東京五輪開催が決まった'13年当時、国際オリンピック委員会(IOC)委員でIAAF会長だったラミン・ディアク氏の息子が、日本と熾烈な招致争いを繰り広げたトルコの関係者に、 『トルコはカネを払わなかったため、LD(ラミン・ディアク)の支持を失った。日本はきちんと支払ったのに』 と語っていたことがわかったのです」
・これを受け、フランス検察は捜査本部を設置し、本格的に調査を開始。 ラミン・ディアク氏の息子、パパマッサタ・ディアク氏が関連するシンガポールの「コンサルタント会社」に、'13年の7月と10月の2度にわたり、総額2億3000万円ものカネが招致委員会名義の口座から送金されていたことが発覚した。
・バンビーノ記者が続ける。 「検察が躍起になって調査しているのは、フランス国内で日本の裏金が使われた可能性があるからです。 というのも、最近になり、パパマッサタが日本からカネを受け取った直後に、パリの宝飾店で高級時計や宝石を購入していたことがわかったのです。これは、フランスでは『国内での資金洗浄』に当たる犯罪行為。だからこそ、フランス検察は徹底的に事実関係を明らかにする構えを見せているわけです」 招致委員会がパパマッサタ氏の会社にカネを支払った名目は、「コンサルタント料」だったはず。これが本当にパパマッサタ氏の時計購入のために使われていたとすれば、それは明らかに裏金であり、賄賂である。
・そもそも、パパマッサタ氏は、陸上競技界に蔓延していた大規模汚職に関与した疑いで、インターポール(国際刑事警察機構)から指名手配されている人物。こんな男にカネを支払うこと自体が、問題ではないのか。 本誌は疑惑の真相について聞くべく、「招致のキーマン」とも呼べる人物に直撃した。
・電通元専務で、現在は五輪組織委員会理事を務める高橋治之氏(72歳)。 電通マンだった30代の頃から、世界のスポーツ機関とわたり合い、数千億円規模とも言われる放映権料の取引を最前線に立って行ってきた人物である。 JOC会長・竹田恆和氏とは、慶応大の同窓で昵懇。ディアク元委員とも極めて親しいとされるだけに、5月24日の参院文教科学委員会では、質問に立った無所属の松沢成文議員から、「(今回の裏金疑惑に)高橋氏が深く関与した」、「理事を降りていただく」と名指しで批判された。
▽「僕は激高している」(Qは質問、Aは回答)
・以下、高橋氏と本誌のやり取りである。
Q:東京五輪招致を巡る資金提供疑惑について、あなたの名前があがっている。
A:「あれは五輪招致委員会が払ったものであって、僕はまったく関係ありません」
Q:では、なぜ名前が出たのか。
A:「松沢とかいう議員が、唐突に僕の名前を出したんですよ。『高橋が関与しているんじゃないですか』、なんて言って。僕を呼び捨てにして。刑事被告人でもないのに呼び捨てって、言語道断ですよ。しかも、若輩者の慶応とも呼べない奴がそういうこと言うなんて、とんでもないですよ(注・松沢議員は慶応大卒)。僕は激高している。頭にきている。何の根拠もないのに、あいつはそんなこと言っているんですよ」
Q:松沢議員があなたの名前を出したのは、なぜだったのか。
A:「僕に対して恨みがあるんでしょう。 東京五輪でのゴルフ競技の開催場所が、'13年に霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)に決まったんですが、松沢議員は霞ヶ関でオリンピックのゴルフ競技をすることに、徹底的に反対していたんです。東京五輪なのだから、都内にある若洲ゴルフリンクスでやったほうがいいというのが、彼の反対の理由だった。 それを覆し、霞ヶ関での開催を決めたのが、僕だと思っているわけ。でも、(霞ヶ関でのゴルフ競技開催は)オリンピック委員会の識者が何人も集まって決めたことです。それなのに(松沢議員は)僕が一人で決めたと思い込んで、恨んでいるんですよ。僕はまったく関係ないし、とばっちりです。ふざけんじゃないって話ですよ」
・参院委員会の場で、名前を出して批判してきた松沢議員に対する怒りを露にする一方、今回の疑惑にはまったく関係がないと繰り返す高橋氏。だが、記者が質問を続けると、思わぬ「本音」が飛び出した。
▽「どこの国でもやっている」
Q:五輪組織委員会の理事という立場として、今回の問題に関する見解を聞かせてほしい。
A:「こういうことは必ずあるんですよ。どこの国で開催したときも、毎回あるの。どこでもある。それをいちいち気にしてたらオリンピックなんて呼べないし、できない。コンサルタントを雇うとか、ロビー活動をするとかというのは、世界的には常識なんです。 いわゆるロビー活動というのは、どこでも認められていることだし、どこでもやっていることなんです。そういうことに関して日本は、マスコミをはじめとして、遅れているんじゃないのかな。そんなことは常識的なことじゃないの?」
Q:今回の資金提供は、賄賂ではないということですか。
A:「もちろん賄賂であれば悪いですが……今回に関しては何の不正もないですよ。契約書もきちんとあると僕は聞いています。BT社(パパマッサタ氏の関連会社)へのコンサル料については、何の問題もない。さっきも言ったとおり、どこの国だってみんな、同じことをやっているんだから」
Q:つまり、批判の対象にはならないと。
A:「むしろ皆さんは、よくぞ東京にオリンピックを呼んでくれた、と称賛すべきです。何で寄ってたかって水を差すのか。国民の80%以上は東京にオリンピックが来ることに賛同しているんだし、一番かわいそうなのはアスリートですよ。 マスコミが水を差している。挙げ句、オリンピック本番になったらワーッとマスコミは儲けようとするんだから。 マスコミは賄賂だ賄賂だと書いて、そんな現実的でない話で、招致委員会が悪いことをしているように言ってしまっている。そんなこと言ってたら、オリンピック招致した国は極悪人国みたいになっちゃうよ。僕がこんなことを言ってはおかしいけど、あのとき競争したスペインやトルコはみんな国を挙げて買収作戦をしていたわけですから」
・一気にそう語った後、「ということでございます」と、高橋氏は会話を切り上げた。あくまで今回のカネは裏金として告発はされないと、自信を持っているようだ。 だが、冒頭で述べたとおり、フランス当局の調査の結果、招致委員会からパパマッサタ氏の関連会社へと送られたカネは、極めて「クロ」に近い。
・シンガポールの最大手新聞社、ストレーツ・タイムズ紙記者のメイ・チェン氏が言う。 「日本の五輪招致委員会がカネを送っていたという一報が入った際、私はすぐさまパパマッサタ氏の関連会社へと向かいました。会社の所在地を調べると、住所はシンガポールでしたからね。 しかし、到着して驚きましたよ。会社はダコタ・クレセントという地域のアパートの一室にあったんですが、低所得者層が多く住む建物で、正直に言って、『まともなコンサル会社』にふさわしい場所とはとても思えなかった」
▽五輪返上の可能性も
・さらに、この会社は'14年、日本からカネを受け取ったすぐ後に営業を停止しており、チェン氏が訪ねた際、「所在地」とされる一室はまさに廃屋と呼ぶにふさわしい状況だった。 疑惑の会社とは違う、もう一つのパパマッサタ氏の関連会社にもチェン氏は取材に向かったが、やはりそこも、もぬけの殻だったという。つまり、疑惑の会社は、実体がない可能性が非常に高いのだ。
・大手通信社のフランス支局員が語る。 「今回のカネが賄賂に当たることを証明するには、まだ時間がかかる。JOCの竹田会長はもちろん、パパマッサタも『賄賂ではない』と否定していますからね。収賄容疑は、当事者が認めないと、立証は難しいんです。しかしフランス当局が、何らかの確証を持っているのは間違いない。
・先日話をした検察関係者も、『そのうち、日本検察とも連携を取る』と言っていました。そう語るからには当然、賄賂性を示す証拠を持っているということ。 それを日本の検察に示した上で、竹田会長を始めとする今回の事件に関与した招致委員会の人間の取り調べを行い、カネを受け取ったIOC関係者をさらにあぶり出して訴追するつもりでしょう」
・'98年の長野五輪や'02年のソルトレイクシティ五輪の大会後、招致活動において多額の賄賂がやり取りされていた疑惑が浮上したことを受け、IOCは倫理規定を強化。そこには、〈いかなる性質の報酬、手数料、手当、サービスを間接的にも直接的にも受領、提供してはならない〉と明記されている。
・もし今後、日本から流れたカネが賄賂であるとフランス検察が立証すれば、規定強化後初の、大会前に収賄が発覚した重大事件となる。そうなれば当然、今後の招致活動で同じ問題を起こさせないためにも、IOCが「開催地返上」という厳しい処分をくだす可能性も出てくる。 はたして、高橋氏の言うとおり、今回のカネには一切不正がないのか。世界に「汚れた五輪」と言われないためにも、恥を他国に暴かれる前に、自ら白状したほうがいいと思っている国民は少なくないだろう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48876

電通の役割については、前回のブログでも紹介したが、今回の山田氏の説明は、『「AMSは電通スポーツ局の業務を請け負う実質的な代理店」という。汚職体質に染まる競技団体の役員と、直接に取引すると事件になる恐れがある。間に一枚噛ます、それがAMSの役割』、『電通とディアク父子は、AMS・タンという緩衝材を挟んでつながっていた』、とクリアーである。なかなか上手く仕組んだものである。『国際陸連・ディアク氏と電通のパイプは20年以上前から』とのことであれば、電通が疑惑の中核に位置していることは確かなようだ。
日刊ゲンダイが伝える、JOCの第三者委員会の調査結果報告のまさかの“期限延長の背後に、参院選への影響を考慮した官邸があるとのことらしいが、官邸は参院選を控えて「不都合な真実」にはとにかく蓋をしまくっているようだ。GPIFの運用損失隠しも然りである。ただ、参院選後には東京都知事選挙も控えているので、さらに延長ということにでもなるのだろうか。
現代ビジネスが指摘する『招致委員会がパパマッサタ氏の会社にカネを支払った名目は、「コンサルタント料」だったはず。これが本当にパパマッサタ氏の時計購入のために使われていたとすれば、それは明らかに裏金であり、賄賂である』、はその通りだろう。シンガポールの送金先も実態がないのは、日本のテレビ番組でもやっていた通りだ。
招致裏金疑惑が、舛添バッシングのすさまじい報道の嵐に隠れ、最近は殆ど報道されなくなった。招致裏金疑惑を隠すために、舛添問題に火をつけたといった類の「陰謀論」に立つつもりは全くないが、事件の影響の潜在的な大きなという点では、招致裏金疑惑の方が上なのではなかろうか。無論、マスコミの取上げ易さという点では舛添問題が上であるのは事実だが。
いずれにせよ、当面は、JOCの第三者委員会の調査結果報告、フランス検察当局の動向に注目したい。
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