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英国EU離脱問題(その7)離脱後も揺るがない金融立国の牙城、出始めた「憂慮すべき兆候」 [世界情勢]

英国EU離脱問題については、7月4日に取上げたが、今日は、(その7)離脱後も揺るがない金融立国の牙城、出始めた「憂慮すべき兆候」  である。

先ずは、在英の小説家の黒木亨氏が7月6日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「EU離脱後も揺らがない、金融立国の牙城 在英28年の作家が見た、英国が世界を揺るがした日」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・EU離脱の是非を問う英国の国民投票の結果は衝撃的だった。事前の世論調査は離脱波と残留派の支持が拮抗していてが、態度を決めていない人々は現状維持に流れる傾向があると言われ、ブックメーカー(賭け屋)のオッズも残留派が圧倒的に優勢だった。負けた場合でも何とか離脱の可能性を残したい離脱派に対し、キャメロン首相は「投票は一回きり。再投票はない」と繰り返していたので、自信があったのだろう。  投票の翌日、米系投資銀行の社員に様子を聞いたが「クビ切りや英国撤退という話は出ていない。ただてっきり残留だと思っていたので、社内は呆然としている」という返事だった。
▽分かりやすかった離脱派の主張
・人々の意思決定に大きな影響を与えた可能性があるのが、選挙管理委員会が全家庭に配ったA5判サイズで8ページの国民投票の手引きだ。投票資格や投票方法の説明のほか、見開き2ページに残留派と離脱派の主張が簡潔にまとめられている(投票権がない我が家にも届いた)。
・残留派の主張は「EUに残留すれば、経済はより強く、治安はより安定し、暮らしもよくなる」とかなり抽象的で、例として挙げている数字も細かく、総花的な印象である。これに対して離脱派の主張は、まず過去12か月間で25万人以上も流入したEU域内からの移民の問題を訴え、次に英国がEUの予算に1週間あたり3億5千万ポンド(約552億円)も払っており、これだけの金があれば国営の医療制度であるNHS(National Health Service)の病院を毎週作るか、60万人の看護師を雇用できるとしていた。
▽移民にとって魅力的な“人気国家”の悩み
・離脱派の主張は非常に分かりやすく、インパクトがあった。EU加盟国の国民は自由に移動できるので、所得の低い東欧各国の人々はよりよい暮らしを求めて他国に移動する。この域内移動の2大目的地が、経済大国であるドイツと外国人にとって暮らしやすい英国である。
・英国は日本に比べても社会保障政策が手厚く、こうした移民にも失業手当、カウンシル・フラットと呼ばれる格安の住居、NHSによる無料の医療、国民年金などが与えられ、社会保障費を圧迫している。また人々は移民の流入で治安が悪くなったと感じている。我が家の近所でもここ6、7年、空き巣が非常に多く、住人同士で「東欧系の顔の男があなたの家をじっと観察していたから気を付けろ」とか「こないだの空き巣の犯人はルーマニア人らしい」といった会話がよく交わされている。また東欧からの移民は非熟練労働者が多く、失業率が14パーセント前後と高い非白人(インド、パキスタン、アフリカ系など)の人々の就労機会を圧迫しているので、離脱を支持した非白人の有権者が多かった。
▽“毎週3億5千万ポンド”のインパクト
・日頃、バナナの形や靴屋が保管できる接着剤の量までブラッセルにいる約3万人のEU委員会の官僚が決めるのは無駄な二重行政で主権の制限であると感じていた人々は、毎週3億5千万ポンドという数字に「こんなに莫大な額を払っているのか!」と憤った。しかしよく考えてみると、英国の国家予算(歳出)は7720億ポンド(約122兆円、2016年度)なので、この2.4%をEU予算として払っていても不思議はない。ところが、離脱派が真っ赤な大型バスの車体に「3億5千万ポンドをNHSのために使おう」と大書して、全国を回ったこともあり、「毎週3億5千万ポンド」がひとり歩きした。
▽老人が決めたEU離脱
・年齢別の離脱支持を見ると、18~24歳が27%、25~34歳が38%で、若い層は残留支持が圧倒的に多い。これに対し、55~64歳は57%、65歳以上が60%(出所、The Sunday Times)と、高年齢層ほど離脱支持が多かった。一方、年齢別の投票率は、年齢が上がるほど高く30歳以下が60%台前半、35歳が65%前後であるのに対して、50歳以上は80%程度と非常に高かった。
・開票後に、3億5千万ポンドをNHSや看護師の雇用に回せるというのはあくまでも可能性の話だと離脱派が公約破りをした今、もし再投票をやり、かつ有権者全員がきちんと投票すれば、残留派が勝つ可能性がある。
▽EU離脱後も金融立国イギリスの重要性は変わらない
・ゴールドマン・サックスのブランクファイン会長兼CEOをはじめとして、各金融機関のトップは「英国を出て行くことは選択肢の一つ」としつつ、要は今後のEUとの交渉次第で、まだ何も決めていないという、至極当たり前のコメントしかしていない。
・英国でユーロ建て証券の決済業務くらいはできなくなるかもしれないが、金融機関が大挙して撤退する可能性は低いと私は考える(英国で銀行免許を取得し、「パスポート」制度でEU域内の他国で出店している場合は、オランダとかドイツで改めて銀行免許を取ればよい)。国際取引契約は英語で作られ、英国法かニューヨーク州法が準拠法で、裁判管轄はロンドンかニューヨークである。これをフランス語や英語で契約書を作り、パリやフランクフルトでの裁判を前提にすることはありえない。
・また金融機関の為替取引なら金融機関同士だけでできるが、商取引、プロジェクト、M&Aなどは、法律事務所、会計事務所、保険、商品取引、海運なども関わってくる。ロンドンには多数の法律事務所、会計事務所、巨大なロイズの保険市場、世界最大のLME(ロンドン金属取引所)、バルチック海運取引を中心とする屈指の海運市場などがある。
・むしろEUが導入を決めた金融取引税や、すでに導入した金融機関のボーナスの上限に関する規制を回避したりすることで、逆にシェアを拡大するチャンスもある。 また英国に来ている外国企業は金融機関に限らず、EUだけでなく、中近東とアフリカをカバーしており、EUを離脱してもこの点の重要性は変わらない。
▽国籍を超えて優秀な人材を集める英国
・英国は外国人にとって魅力的な場所であり、それゆえ移民が押し寄せる。英語という国際共通語で仕事や生活ができ、安定した法制度が発達し、外国人に対する取り扱いも公平で、四季を通して過ごしやすく、歴史や文化もある。 特にロンドンは人口のうち英国系白人は45%にすぎず、それ以外は皮膚の色も様々な世界中からやって来た人々というコスモポリタンな町だ。かつてテームズ河岸の土地はすべてアラブの王族が所有しているといわれたが、2004年以降に原油価格が上昇してからはロシア人が、最近は中国人が買っている。EU離脱決定でポンドが安くなったので、人や資金の流入には一層有利になった(先行きの不透明感で企業による設備投資やM&Aは当面停滞するだろうが)。
・以前、腕のいい医者が集まるロンドンのハーレイ・ストリートの病院に行ったとき、働いている看護師たちを見て驚いたことがある。フィリピン、ブラジル、ハンガリー、エストニア、アメリカ、中近東、日本など、まるで民族の見本市だった。医者もシリア、ギリシャなどから、各国のトップクラスが来ている。英語は世界共通語なので、国籍を超えて優秀な人材を集められるのだ。
・かくして流入する外国の資金が不動産価格を支え、外国人が経済や社会を支えるシステムは、今後も変わらない。むしろ押し寄せる非熟練労働者を拒否し、必要なスキルを持った外国人だけを選別して受け入れることができる。
・確かに英国の輸出のうちEU向けは約4割で、この部分は離脱の影響を受けるだろうが、ポンドが安くなったのである程度相殺されている。また万一スコットランドが独立しても、英国の人口やGDPに占める割合は8パーセント程度であり(しかも同地域の主要産品である石油・ガスの価格は低迷している)、国力は一定程度低下するだろうが、致命的ということはない。
▽EUとの交渉の行方
・今度離脱に向けてEUとの交渉が行われるが、EUとしては他の加盟国の離脱ドミノを防ぐため、ある程度厳しい態度で臨む必要があり、また国際経済における英国のシェアを分捕れるものなら分捕りたいと思っている。一方で英国は引き続きNATO(北大西洋条約機構)の主要メンバーとしてロシアに対する抑止力となり、またEUとしてもすぐそばの世界第5の経済大国である英国の景気が低迷すればEUにも影響が及ぶというジレンマを抱えている。
・英国もEU各国も政治的に成熟した先進国で国際交渉にも慣れており、互いに妥当なところで交渉をまとめ上げるはずだ。英国は国連の常任理事国で、核の保有国でもある。28年間住んで感じるのは、そう簡単には駄目にならない英国独特の強さである。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/070400384/?P=1

次に、闇株新聞が7月7日付けで掲載した「そろそろ出始めた英国EU離脱の「憂慮すべき兆候」 その1」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・英国のEU離脱決定から約2週間が経過し、そろそろ「憂慮すべき兆候」が思いもかけない方向から出始めています。いくつか列挙しますが、1回では書ききれないので明日も続けます。
▽その1 英国の不動産ファンドが解約停止に追い込まれた
・昨日(7月5日)までに少なくとも3つの英国商業不動産ファンドが顧客との取引停止(要するに解約停止)に追い込まれています。この3つとはスタンダード・ライフ・インベストメンツ、M&Gインベストメンツ、アビバ・インベスターズのことで、これら3つの不動産運用総額は91億ポンド(1兆1600億円)に上ります。
・市場では早くも、2007年8月にBNPパリバ傘下の3つのMBS(モーゲージ担保付き債券)ファンドが解約停止に追い込まれ、そこから1年1か月後にリーマンショックを含む世界金融危機となったことを「連想」する向きがでています。
・リーマンショック直前のMBSおよびその担保となる住宅ローンの劣化は誰もが認識していましたが、現在の英国を含む世界の不動産市況がそれほどバブルとは誰も認識していなかっただけに、英国のEU離脱(これも本当の離脱になるのかどうかもわかりませんが)をきっかけに、今後の日本を含む世界の不動産および不動産ファンドへ影響が拡散する恐れがあります。
・これは悲観論を言っているのではなく市場心理とはそういうものだからです。またそうなると特に欧州の銀行の資産内容も悪化することにもなり、当の英国だけでなく日本を含む世界経済にもかなり影響が出る可能性があります。100%英国内の政治問題だったEU離脱が、世界経済に本当に深刻な影響を与える「最初の兆候」となるような気がします。
▽その2  英国の金融緩和期待・ポンド安・英国株高
・本日(7月6日)、ポンドは一時1ポンド=1.2796ドルと1985年以来のポンド安となり、対円でも一時1ポンド=128.79円と、欧州債務危機と超円高が重なった2011年10月の1ポンド=116.95円にも接近しています。  6月24日の国民投票開票作業が始まったばかりのころは、まだ残留予想が支配的だったこともあり1ポンド=1.50ドル、1ポンド=160円あたりの水準でした。
・ところが英国株(FT指数)はポンド安の恩恵もあり、国民投票前日(6月23日)終値の6338ポイントから先週末(7月1日)には6557ポイントと本年最高値となり、本日も現地時間正午時点で6480ポイントと依然として国民投票前の水準を上回っています。 「とばっちり」を受けた方の日経平均が本日も290円安の15378円(終値)と、6月23日の16238円を大きく下回っていることと大違いです。
・このポンド安と英国株高の背景には、イングランド銀行(中央銀行)による金融緩和がほぼ確実視されていることがあります。 実はイングランド銀行の政策金利は2009年3月以来ずっと0.5%に据え置かれています。そのあとからECBをはじめスイス、スウェーデン、デンマーク中央銀行がマイナス金利(運用側だけですが)を導入したため、英国は同じく政策金利を0.5%に据え置いたままのノルウェーと並ぶ「欧州の高金利国」となります。
・さらにイングランド銀行は同じく2009年3月から資産を購入する量的緩和を続けていますが、その上限は何度か拡大されたものの総額3750億ポンド(48兆円)と「ささやか」であり、しかも2012年10月からは新規の買い入れを停止しているため直近のイングランド銀行の準備預金は3000億ポンド(38兆円)しかありません。  日銀の当座預金は300兆円をこえていますが、要するにイングランド銀行には金融緩和の余力がタップリあり、その効果もそれなりに期待できることになります。
・ここで最悪の事態とは、「とばっちり」で円高・株安に襲われている日本でも「何だ、やっぱり追加緩和すれば円安・株高になって、GPIFの運用成果もよくなるのではないか?」などの安直な考えから、日銀の追加緩和がまたぞろ現実味を帯びてきてしまうことです。
・日銀の追加緩和とは、日銀が買い入れる国債など資産額を「もっととんでもなく異次元」にしてしまうことと、マイナス金利のマイナス幅をもっと拡大させる組み合わせとなります。 それを受けて本日(7月6日)の国債利回りは、2年国債がマイナス0.34%(つまり0.1%ずつ2回程度の金融緩和=マイナス幅の拡大を織り込んでいる)、10年国債が一時マイナス0.285%、20年国債まで一時マイナス0.005%、30年国債も一時0.015%と、軒並み史上最低を更新しています。 国債利回りがここまで低下する「恐ろしさ」と「さらなる追加緩和の恐ろしい弊害」、それに世界を見回して目につくほかの「憂慮すべき兆候」などは明日に続きます。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1773.html

第三に、闇株新聞の7月8日付け「そろそろ出始めた英国EU離脱の「憂慮すべき兆候」 その2」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・昨日の続きですが、英国のEU離脱はあくまでも英国議会がEU本部に対して離脱を「通告」して初めて手続きに入ります。さらに英国議会が「離脱」を通告するかどうかは先日の国民投票の結果になんら縛られません。こんな「最初からわかっていたはず」の議論が今頃になって出てきています。
・離脱を主導した保守党のボリス・ジョンソン氏はすでに表舞台から消えており、同じく離脱の急先鋒だった英国独立党のファラージ党首に至っては「(EU残留に伴うデメリットについて)間違った説明をしていた」と辞任しており、ここから実際に離脱を主導すると政治生命が絶たれてしまうため「誰も何もしなくなる」はずです。
・次期保守党党首(すなわち首相)の有力候補であるメイ内相はもともと残留派で、早くもEU離脱の「通告」は年内行わないと表明しています。すなわち英国保守党の(すなわち多数を占める英国議会の)方針は、早くも「離脱カード」を温存しながらEUにおける英国の立場を強化する方向に変更しているようですが、さんざん振り回されたEU加盟国は「とりあえず出ていけ」となるはずで、混乱は続きそうです。
・いつも書いているように最大の問題は、こんな英国内の「茶番」で世界の金融市場が大混乱になり、ここにきてもっと「憂慮すべき兆候」が現れてきたことです。まあ「茶番」がなければ「憂慮すべき兆候」がここで出てくることもなく、見えないところで問題がさらに膨らんでどこかで大爆発となるため、いい「ガス抜き」になったとは言えなくもありません。
・さて昨日その1)で書いた英国の不動産ファンドの解約停止は、そこから39億ポンド(5000億円)の不動産運用資産を持つヘンダーソン・グローバル・インベスターズなどが加わり、合計7社になりました。 これはもう立派な「パニック」であり、実際に不動産融資額が大きいRBS、ウニクレディト(伊)、モンテパスキ(伊)、バークレイズ、ソシエテ・ジェネラル(仏)など株価が2~5割急落しています。そして本来は何の関係もないはずの日本や世界の不動産、不動産ファンド、銀行業績などに「間違いなく」伝播すると身構えておくべきです。
・さて昨日はその2)の追加金融緩和の途中でした。リーマンショック以降のイングランド銀行(中央銀行)の金融緩和・量的緩和は大変に「控えめ」で、ここからの追加緩和には「それなりの」効果があるはずです。これも最大の問題は、すでに極限まで金融緩和・量的緩和を行っており、そのはっきりとした弊害が目立ち始めている日本(日銀)までが円安・株高を狙った安直な追加緩和に踏み切ってしまいそうなところです。
・それを織り込んでか昨日(7月6日)の国債市場では20年国債利回りまで一時マイナスになってしまいました。現在はプラス圏に戻っているようですが、10年国債利回りがマイナスになった時の状況から考えると、近いうちに20年国債のマイナス利回りも定着してしまうような気がします。
・つまり日本経済とは、極端な元本リスクを取らなければ「現金を20年間運用してプラスにならない」と市場が判断していることになり、これは強烈なデフレ圧力となります。つまり「円の現金」の価値が最も増加するため「強烈な円高圧力」になるわけです。
・そこを日銀は(旧大蔵省ですが)全く理解していないため、追加緩和=長短金利のさらなる低下=資金需要の増加=経済回復=(その前に安直な)株高という「バラ色の構図」に拘り続けています。 もちろんここで(次回の政策決定会合は7月28~29日)追加緩和に踏み切ってしまうと、日本はもっと強烈なデフレ圧力に襲われるだけでなく、ますます「海外からを中心とした怪しげな投資話」が跋扈することになってしまいます。
▽その3) 世界の政治に与える影響
・英国のEU離脱(茶番)が世界に与えた最も確実な影響とは「重要な投票でよく考えずに雰囲気だけで投票してしまうととんでもないことになる」と世界中が認識したことです。  EU内でも少なくとも年内は反EUの勢力は後退するはずです。来年春に行われるフランス大統領選挙では、同じくEU離脱を掲げる国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が有力候補です。じゃあこのルペン党首が「フランスがEUから離脱した場合の政治的・経済的損失」を理解しているのかというと「全く理解していない」はずで、今回の英国の「茶番」でルペン仏大統領の目(芽?)がなくなったと考えます。
・同じように大統領の目(芽?)がなくなったのがトランプのようです。対立のヒラリー候補の私用メール問題については先日FBIが大変唐突に「不起訴」としてしまい、それを待って(そう指示した?)オバマ大統領が異例の「ヒラリー支持」を表明しています。 米大統領の本選は投票1か月前の米国の(世界のではありません)状況によって決まるため、まだまだ確定とは言えませんが、ほぼヒラリーで「決まり」となってしまいました。本誌はかねてより「日本にとって最悪の大統領候補はヒラリー」と主張していますが(2番目の最悪はトランプですが)、どうもそうなってしまいそうです。
・歴史上はじめて「中国に大変に親しい米国大統領」が出現する恐怖はしっかりと認識しておかなければなりません。これが今回の英国の「茶番」が引き起こした「もっとも憂慮すべき」ものとなりそうです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1774.html

黒木氏は在英で国際金融にも詳しいだけに、大いに参考になった。『離脱派の主張は非常に分かりやすく、インパクトがあった』、については、その通りだろうが、残留派が「経済はより強く」といくら訴えたところで、現状維持である以上、説得力を欠くのはいたしかたないことではなかろうか。離脱派が毎週3.5億ポンドをNHSなどに回すとした公約を破ったことは、英国民に政治に対する信頼をますます失わせるだろう。『EU離脱後も金融立国イギリスの重要性は変わらない』や、『英国もEU各国も政治的に成熟した先進国で国際交渉にも慣れており、互いに妥当なところで交渉をまとめ上げるはずだ』との見方には同意できる。
闇株新聞の指摘もいつもながら鋭く面白い。英国の株高に取り残された日本の株式市場は、困ったことだ。英国は利下げを温存して見送ったようだが、来月の下げを示唆したので、株式市場は堅調を続けているようだ。なお、日本20年国債の利回りは、22日現在0.180%とやや上昇気味である。「世界の政治に与える影響」で、『今回の英国の「茶番」でルペン仏大統領の目(芽?)がなくなったと考えます』、には笑ってしまったが、『同じように大統領の目(芽?)がなくなったのがトランプのようです』、については、仏国民は英国の様子をつぶさに見ていることは確かだが、米国民、しかもトランプ支持層にとっては、英国のEU離脱問題など殆ど関心がないので、『ほぼヒラリーで「決まり」となってしまいました』、については早計だと思う。ただ、ヒラリーになった場合の『恐怖はしっかりと認識しておかなければなりません』、は残念ながらその通りだろう。
明日も、英国EU離脱問題を取上げる予定である。
タグ:英国EU離脱問題 (その7)離脱後も揺るがない金融立国の牙城、出始めた「憂慮すべき兆候」 黒木亨 日経ビジネスオンライン EU離脱後も揺らがない、金融立国の牙城 在英28年の作家が見た、英国が世界を揺るがした日 国民投票 分かりやすかった離脱派の主張 残留派の主張は「EUに残留すれば、経済はより強く、治安はより安定し、暮らしもよくなる」とかなり抽象的で、例として挙げている数字も細かく、総花的な印象 離脱派の主張は、まず過去12か月間で25万人以上も流入したEU域内からの移民の問題を訴え、次に英国がEUの予算に1週間あたり3億5千万ポンド(約552億円)も払っており、これだけの金があれば国営の医療制度であるNHS(National Health Service)の病院を毎週作るか、60万人の看護師を雇用できるとしていた 移民にとって魅力的な“人気国家”の悩み 離脱派の主張は非常に分かりやすく、インパクト 社会保障政策が手厚く、こうした移民にも失業手当、カウンシル・フラットと呼ばれる格安の住居、NHSによる無料の医療、国民年金などが与えられ、社会保障費を圧迫 3億5千万ポンドをNHSのために使おう 離脱派が公約破り EU離脱後も金融立国イギリスの重要性は変わらない ユーロ建て証券の決済業務くらいはできなくなるかもしれないが、金融機関が大挙して撤退する可能性は低いと私は考える 国際取引契約は英語で作られ、英国法かニューヨーク州法が準拠法で、裁判管轄はロンドンかニューヨークである 国籍を超えて優秀な人材を集める英国 EUとの交渉の行方 英国もEU各国も政治的に成熟した先進国で国際交渉にも慣れており、互いに妥当なところで交渉をまとめ上げるはずだ そう簡単には駄目にならない英国独特の強さ 闇株新聞 そろそろ出始めた英国EU離脱の「憂慮すべき兆候」 その1 その1 英国の不動産ファンドが解約停止に追い込まれた 英国商業不動産ファンドが顧客との取引停止 欧州の銀行の資産内容も悪化 日本を含む世界の不動産および不動産ファンドへ影響が拡散する恐れがあります その2  英国の金融緩和期待・ポンド安・英国株高 英国株(FT指数) (7月1日)には6557ポイントと本年最高値となり、本日も現地時間正午時点で6480ポイントと依然として国民投票前の水準を上回っています 「とばっちり」を受けた方の日経平均が本日も290円安の15378円(終値)と、6月23日の16238円を大きく下回っていることと大違いです イングランド銀行(中央銀行)による金融緩和がほぼ確実視 イングランド銀行には金融緩和の余力がタップリあり、その効果もそれなりに期待できることになります 最悪の事態とは 日銀の追加緩和がまたぞろ現実味を帯びてきてしまうことです もっととんでもなく異次元 そろそろ出始めた英国EU離脱の「憂慮すべき兆候」 その2 不動産融資額が大きいRBS、ウニクレディト(伊)、モンテパスキ(伊)、バークレイズ、ソシエテ・ジェネラル(仏)など株価が2~5割急落 本来は何の関係もないはずの日本や世界の不動産、不動産ファンド、銀行業績などに「間違いなく」伝播すると身構えておくべきです 国債市場では20年国債利回りまで一時マイナス 日本経済とは、極端な元本リスクを取らなければ「現金を20年間運用してプラスにならない」と市場が判断していることになり、これは強烈なデフレ圧力となります 英国のEU離脱(茶番)が世界に与えた最も確実な影響とは「重要な投票でよく考えずに雰囲気だけで投票してしまうととんでもないことになる」と世界中が認識したことです 今回の英国の「茶番」でルペン仏大統領の目(芽?)がなくなったと考えます 同じように大統領の目(芽?)がなくなったのがトランプのようです ほぼヒラリーで「決まり」となってしまいました 歴史上はじめて「中国に大変に親しい米国大統領」が出現する恐怖はしっかりと認識しておかなければなりません これが今回の英国の「茶番」が引き起こした「もっとも憂慮すべき」ものとなりそうです
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