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ブラック企業(その4)体育会系組織、人材会社経由の退職勧奨、過労死ラインの残業 [企業経営]

ブラック企業については、4月6日に取上げたが、今日は、(その4)体育会系組織、人材会社経由の退職勧奨、過労死ラインの残業 である。

先ずは、4月13日付けダイヤモンド・オンライン「体育会系組織が日本を滅ぼす!部下を潰さないリーダー術とは?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「ブラック企業」といった言葉がすっかり定着した昨今。不条理な精神論で社員を縛り付ける体育会系マネジメントの限界が浮き彫りになった格好だ。そんななか、「アンチ体育会系」マネジメントを提唱する『フラッシュ』の敏腕元編集長に話を聞いた。
▽体育会系企業が蔓延しているせいで日本社会が疲弊している
・厚生労働省の発表によると、全国の労働局などに寄せられる労働相談件数はここ数年100万件を超えている。2016年に入ってからも、電気機器製造大手のイビデンの男性社員が上司のパワハラや長時間労働が原因で自殺し、遺族が損害賠償を請求するなど、ブラック企業にまつわる話題には事欠かない。
・高度経済成長期を終え、「成熟期」に入った日本では、かつて成功した体育会系組織のあり方では立ち行かなくなっている。 企業理念で「24時間365日死ぬまで働け」と謳ったワタミが、従業員を過労自殺に追い込んだ例からも分かるように、“ブラック企業”では不条理な精神論がまかり通り、「命令」を下す上の人間には逆らえないケースが非常に多い。会社のルールや上の命令には絶対服従という、こうした「体育会系」組織の体質に警鐘を鳴らすのは、『部下をつぶさない! アンチ体育会系リーダー術』(dZERO刊)の著者である鈴木紀夫氏だ。
・「体育会系の縦社会では、往々にして『上の言うことは絶対』といった土壌ができあがっています。そうして尻を叩いて社員を酷使することで短期的な生産性は上がりますが、下の人間はリーダーや会社の業績を上げるためだけの“コマ”になってしまう可能性が高いのです」 そうした体質の組織が「ブラック企業」と指摘され社会問題化している、と鈴木氏。ただし、完全縦社会の体育会系組織は昔から日本に存在していたし、むしろその体質こそが日本企業の特徴でもあった。ところが、高度経済成長期やバブル景気が終わりを迎え、「成熟期」に入った日本ではすでに、体育会系組織は時代にそぐわなくなってきているのだ。
・「経済が右肩上がりのときは、体育会系組織で多少辛い思いをしても多くの人はその会社で働き続けることで給与も上がり、生活は豊かになっていきました。しかし、現代の社会では以前のような急成長は望めませんし、従来の終身雇用制度そのものも崩れています。十分な保障もないまま体育会の体質だけが残った結果、無理が生じブラック企業問題などが浮上しているのでしょう。こうした組織の下だと、すぐに結果が出せない“コマ”は潰される。それが一番の問題です。このような体育会系ブラック企業が蔓延することが、ひいては日本社会の疲弊につながるのではないのでしょうか」
・鈴木氏はブラック企業やパワハラ問題が表面化する以前から、体育会系組織のあり方に疑問をもち、その逆張りのスタンスで部下を育成してきた。では、自身の経験から得たという「アンチ体育会系のリーダー術」とはどのようなものなのだろうか。
▽体育会系上司についていけず5年間で10回も配属先が変わる
・鈴木氏は1961年に出版大手の光文社に入社。2004年に退職するまでに数多くの雑誌に編集者として携わり、写真週刊誌『フラッシュ』の編集長としても辣腕をふるった。そんな同氏が独自のリーダー術で部下を育てるに至ったのは、入社当時「ダメ社員」だった頃の経験が生きているという。
・「縁あって光文社の入社試験には受かったものの、それまで勉強しかしてこなかった世間知らずな学生だったので、いきなり『このページを作れ』って言われてもできないわけです。私が配属されたのは女性週刊誌『女性自身』の編集部で、編集長を頭に、その下にいくつかのチームに分かれていました。その各チームのリーダーをデスクと呼ぶのですが、編集長も毎日誰かを怒鳴り散らしているようなおっかない人だった上に、デスクもいわゆる体育会系の人が多かった」
・「私はというと声も小さくて、動きものろい(笑)。体育会系とは逆をいくタイプだったので、上司もやりづらかったと思います。デスクの指示通りに仕事もこなせず、『なんでこんなことができないんだ』と、毎日怒鳴られ通しでした。それでさらに萎縮して空回りしてしまい、その班をお払い箱になってしまう、その連続です」  週刊誌という花型部署に配属されたものの、複数のデスクの下を転々とし、5年間の異動回数はなんと9回。だが、ある上司の下に配属されたのをきっかけに、入社5年目にして活路が開けたという。
・「どのデスクからも匙を投げられ、最後の最後に行き着いたのが10人目の上司でした。当時『女性自身』は10班で編成されていましたから、そこで見放されていたら編集部とはまったく関係のない別の部署に移動させられて、私の編集者人生は間違いなく終わっていたでしょう」
・しかし、そのデスクは、これまでの「体育会系」デスクたちとはまったく違っていた。 「そのデスクは私がトンチンカンなことを言っても最後まで話を聞いてくれ、少しでも出来がよければ『よくやった』と褒めてくれるわけです。体育会系の上司だと、どうしても下の人間は上の命ずる業務を遂行するだけの“コマ”になりがちです。なので、上の言うとおりに仕事のこなせない私は今までだとすぐに、落第点をつけられていました。ところが、10人目のデスクは私を人として扱ってくれ、リスクを負って私の企画を通してくれたのです」 上に認められたことで仕事の楽しさを覚え、鈴木氏は、その頃から成果もあげられるようになったという。この経験が、やがて自身が若い人を育てる立場になったとき大いに役立ったそうだ。
▽短期的な利益に気を取られて「人」を蔑ろにする組織は基盤が弱い
・その後も編集者としてジャーナリズムの道を歩み、45歳の時に『フラッシュ』の編集長に任命されると、大幅な部数増を実現、写真週刊誌で業界2位の発行部数を達成した。その成功の鍵は、体育会系とは逆をいく部下の育成法にあったという。では実際に、鈴木氏が実行したリーダー術とはどのようなものだったのか。 
・「ひとつは、周囲の人に対しては柔軟な姿勢でいることです。もともと私自身が部下を一喝して引っ張っていける体育会系のタイプではなかったこともありますが、自分のやり方に従わせるのみだとレールに乗れない社員がドロップアウトしていくことは、自らの経験から分かっていました。特に、若い社員は競争の激しいビジネスの世界に身をおいたばかりで、自信を失いやすい。そうした人を頭から怒鳴りつけて否定すると、将来会社に貢献してくれるかもしれない人材を潰してしまうことになります」
・「それよりは、多少不出来でも彼らの意見やアイディアを尊重してなるべく実現させてあげること。そのように新人の意見を採用することはリスクをともないますが、リーダーはこうした『リスクを背負う』ことが重要です」 スタッフそれぞれの特性に合った、きめ細かなアプローチも鈴木氏の持ち味だ。
・「他にも、フリーの記者やカメラマンには公平に仕事を回すこと、女性記者なら極力体調に気遣うようにするなど、とにかく人に合わせて多角的にアプローチしていきました。そうすることで各々が自分の能力を発揮するようになり、スタッフの質が高くなっていくのです」
・上の立場になればなるほど、仕事の利益率や業績は無視できなくなる。そうしたなかで、部下一人ひとりを見て育成することなど、まどろっこしく感じるだろう。それこそ、トップダウン方式で部下を“コマ”のように扱うほうが効率は良さそうだが、それでは長期的な利益につながらないという。より盤石な組織を作るには、根気強く人を育て、その上で「権力を分散させる」ことが重要だと鈴木氏は力説する。
・「個々の能力を十分に発揮させるためには、いわゆる中央集権型の組織ではなく、『地方分権型』がベターだと思うのです。たとえば、『フラッシュ』では7つほど班があったので、問題が起きた場合は私が責任を取るにしても、ページ構成の決定に関する権限などは各デスクに委ねていました。そうすることで、スタッフの知恵を集めることができ、チームとしての力を発揮しやすくなりますし、人も育ちやすい」
・「中央集権的な組織の場合、成功したらリーダーはスターになれますが、人が育たないのが難点です。出版の世界でもヒット誌を生み出した名物編集長は数多く存在しますが、サラリーマンである以上いずれは代替わりをしなくてはならない。いざそうなった時に、下の人間が育っていない編集部は極端に部数が落ち込んだり、雑誌そのものが廃刊になったりと如実に数字に表れます」
・鈴木氏は、人と業績は車の両輪のようなものだと語る。人が育つと業績も上がる、業績が上がると人も育つ。上に立つ人間はその相関関係を意識しなくてはいけないのだ。 人を育てず業績ばかりに気を取られていると、どこかで歪みが生じてしまう。一代で東証一部に上場し大企業へと上り詰めた、ワタミやヤマダ電機、ユニクロなどが、近年では「ブラック企業」だとバッシングを受け、軒並み業績が下がり続けているのもひとつの例だろう。成長社会から成熟社会へと変化していくなかで、従来の日本企業の体質を見直すべき時がきている。
http://diamond.jp/articles/-/89511

次に、4月13日付けNHK クローズアップ現代「“新リストラ時代”到来!? 業績好調なのになぜ」を紹介しよう(▽は小見出し)
▽突然の退職勧告 業績好調なのになぜ
・今年、大手製紙会社を退職した、40代の男性です。 工場では、生産ラインの調整を任され、グループ会社の部長を務めるなど、20年にわたって会社に貢献してきました。 妻と子ども1人。 公私ともに安定していた暮らし。 それが突然揺らいだのは、去年(2015年)のことでした。 ある朝、人事部から話があると声をかけられました。
・実際の音声:人事部 「悪いけど、活用できる人材なのかというと、なかなか(会社に)残っていても大変だね。 外に出て行くことを真剣に考えてもらいたいな。」  会社は、6年連続の黒字。 売り上げも増え続けていました。 そのさなかの戦力外通告に、男性は途方に暮れました。
・元 正社員の男性 「まさに『なんで?』。 全く納得がいかない。」
・会社からは、退職金の割り増しに加え、再就職を支援する人材会社の費用を負担すると説明されました。  一般的に、経営が危機に陥っているなど、一定の条件を満たしていない限り、会社は社員を解雇することはできません。 会社は、優遇措置を提示し、社員の意思で退職するよう求めてきました。
・元 正社員の男性 「会社に対して、さらに貢献できる意識と自負はあったので、全く退職なんて考えていませんでした。」 子どもはまだ中学生。 男性は、今後の教育費や生活費を考え、退職には応じられないと伝えました。 すると男性は、人事部から退職に応じない場合、人材会社に通ってもらうと告げられました。
・実際の音声:人事部 「グループ外で、テンプスタッフ(人材会社)で、『自分の働く先を見つけること』が仕事です。 もしかしたら接客みたいなほうが、向いているかもしれないし、いい機会だと思う。」 君の仕事は、人材会社に通って、別の職を探すことだとの命令。
・元 正社員の男性 「まさに想像もしないような業務命令ですかね。あり得ないって即思いました。」
・労働法に詳しい、弁護士の棗一郎(なつめ・いちろう)さん。こうした指示は、労働契約法に反していると言います。 弁護士 棗一郎さん「自分の再就職先を探せというのは、結局、君はもう会社をやめてもらって、他のところに行きなさいと、そこを探せということですから、もう解雇に等しいんですよ。 それを表現を変えて言っているだけ。 もはや退職の強要であって違法なもの。」
・NHKでは、大手製紙会社が、実際に退職を勧めた人たちの一覧を独自に入手。 40代、50代の働き盛りの中高年社員が数多くリストアップされていました。 病気になった人や、性格がおとなしい人。 働き方に大きな問題がないと見られる社員も含まれていました。 業績好調にも関わらず、なぜ社員に退職を勧めたのか。 今回、会社は取材に応じませんでしたが、男性社員にこう説明していました。
・実際の音声:人事部 「紙の需要がかなり減って、事業構造を変えていきましょうと。だんだん洋紙事業はシュリンク(縮小)していこうと。」デジタル化による紙離れや、人口減少によって、今後の見通しは容易ではないというのです。
▽リストラを仲立ち!? 人材会社の新サービス
・この製紙会社に対し、戦力でないと考える社員をリストアップし、退職を勧めるよう提案していたのが大手人材会社でした。 ミスマッチ社員やパフォーマンスの低い社員に辞めてもらうことができれば、経営体質を強化できるとアピール。 業績が上向いているときこそ退職金を割り増すなどして退職を勧めることが有効だとしています。 リストアップされた社員は、人材会社が1人当たり60万円で引き受け、職探し支援サービスを提供することにしていました。 この時、人材会社に支払われる資金の一部に、国からの助成金が流れ込んでいました。
・本来、職探しを支援するはずの人材会社が、逆に社員に退職を勧めるよう提案することに問題はないのか。 人材会社に取材を申し込んだものの、企業への守秘義務を理由に断られました。
・先月(3月)、国は人材会社の業界団体に対し、退職者を生み出すような提案をすることは適切ではないと通知を出しています。 厚労省 生田正之職業安定局長 「厚生労働省としましては、積極的に退職者を作り出すようなことは、職業紹介事業の趣旨に反するということで、ダメではないかと考えています。」
▽企業に広がるリストラ 業績好調のうちに?
・社員の退職を企業に提案する、人材会社のビジネス。 さまざまな業界に浸透していることが明らかになってきました。 先月、労働問題に取り組む弁護士たちによって開かれた電話相談会です。
・電話:40代女性 「(人材会社で)出向先を開拓することが、これからのあなたたちの業務ですという内容を示した文書を配られました。」
・電話:40代男性 「(人材会社の)支援プログラムを受ける申請書が、イコール退職届になっていました。」 
・この日は、過去最高の利益を上げた電機メーカーや、製薬会社などで働く社員からも相談が相次ぎました。  多くの企業が、将来を見越して人材会社と連携し、一部の社員に退職を勧めていると見られています。
・日本労働弁護団 嶋﨑量事務局長 「いろんな業界にわたって、実際に行われていて、人材会社のほうも、本当に他の社名も、いろいろ相談で出てきているので。かなり数も多い、びっくりしました。」
▽専門家も関与 “リストラ代行”ビジネス
・企業が第三者の支援を受け、社員を退職に誘導するという動きは、国家資格を持つ専門家にも広がっています。 最近、大きな波紋を呼んだ「首切りブログ」。 社員をうつにする方法をつづっていたのは、社会保険労務士。 企業と労働者の双方を守るために、相談や指導をするのが本来の役割です。  国は、この社労士に対し、ブログに不適切な内容があったとして、3か月の業務停止処分を出しました。
・ある社労士によって、離職に追い込まれたという40代の男性です。  勤めていた福祉施設から退職を勧められた際、同席した社労士に、次のように伝えられたといいます。
・実際の音声:社労士 「ご退職という形に、ご同意ただければと思うのですが。」
・福祉施設で働いていた男性 「考えさせていただきます。」
・実際の音声:社労士 「(退職に)ご同意いただけない場合は、残念ながら解雇という形になります。」
・その後、退職の意思はないと伝えたところ、社労士が代行して作成した文書が送られてきたといいます。
・福祉施設で働いていた男性 「“私を解雇してくださいとの要望に応じ、貴殿を解雇します”。 言ってもいないようなことを書いてます。」  「言ってないんですか?」  福祉施設で働いていた男性 「言ってません。」
・番組では、企業のリストラを代行しているという社労士にも話を聞くことができました。 社労士 「基本的に1人あたり40万円から45万円。そのあたりの金額で代行しています。」 この社労士によれば、最初は低めに提示した退職金の額を徐々に上げていくことで、社員を合意に導いていくといいます。
・社労士 「私がリストラ代行ないし、退職勧奨代行した場合、大体95パーセントは成功している。」 交渉の際は、労働者ではなく、報酬を支払う企業の要求を優先するといいます。
・社労士 「“中立”って、ほとんどあり得ないですね。 実際、依頼者(企業)だけ守ればいい。そういうふうに割り切ってます。」
▽“新リストラ時代”到来!? 業績好調なのになぜ(──は聞き手、+は回答のなかの段落)
・ゲスト 厚切りジェイソンさん( IT企業役員・タレント) ゲスト 宮本太郎さん(中央大学教授)
── アメリカで実際にリストラの場面も数多く見てきて、このVTRをどう見る?
・厚切りジェイソンさん:一般的に言うと、日本の社員が守られ過ぎてると思いますね。 その会社が今、業績がよくても、将来は時代変わってるわけなので、将来、正しい投資のやり方とか、いろいろお金とか戦略を、自分で練る自由が必要だと思いますね。 だから守られすぎるといけないですね。
── 今回のように病気になったとか、迫力がないという理由でリストラされることについて、どう思う?
・厚切りジェイソンさん:それはちょっとおかしいですね。 病気になったから首にするのは、まずアメリカだと違法ですね。そういう情報を持つだけでも、結構、違法な地域に入りますから、それは、ちゃんと理由にはならないべきだと思いますね。
── 厚生労働省は一般論とした上で、次の職を探せとむやみに命令することや人材会社が積極的に退職者を生み出すようなことは不適切だとしている 人材会社が退職の提案をした今回のケース、どう考えるべき?
・宮本さん:まず、日本の経営者が雇用を守り過ぎているか、これはちょっとまた、考えなきゃいけないと思うんですね。 アメリカがむしろ例外的じゃないかなと思うんですけれども、日本を含めて、多くの国では、経営者が社員の解雇を合理的な理由なくできません。 そこに人材会社が、御社は少し余剰な人材があるんじゃないですかと。 あたかも社員が自発的に解雇を受け入れたような形で、退職を勧めてあげますよと営業をかけるわけです。 これって、人材会社っていうのは、仕事を探している人を、人を探している会社に結び付けるのを期待されていると思うんですね。
+ところが、そうではなくて、人から仕事を引き剥がしてしまう、あるいは、人に仕事を続けることを諦めさせてしまう。 そこにエネルギーと財を投入するというのは、どういうことなのだろうと。 (人材会社が、本来の業務と離れてしまっている?)これが、本当に会社のためにもなっているのかなというふうに思うんですね。
+ 「おみこしの法則」っていうのが(あって)、10人くらいでおみこしを担いでいるとして、大体そのうち2割くらいは、おみこしを担ぐどころか、ぶら下がっちゃってるという現実があるんですね。  本当に、誰がしっかり担いでて、誰がぶら下がっているのか。  時には上司がぶら下がっちゃったりしてるわけじゃないですか。 ぶら下がっちゃってる人に限って、えいやえいやとか、威勢のいい掛け声をかけているんです。
+今度も、人材会社からのリストアップの基準として、迫力がない人とか、忠誠心がない人とか、非常に外面的で主観的な基準で、掛け声さえかけてればいいよ、その実、本当に支えている人がローパー(ローパフォーマンスの社員)と決めつけられて、追い出されてしまっている。
+これって、日本の職場って、古い村的なコミュニティーが残っているわけですけれども、村社会からの排除、これを考えると、日本の悪いところと、アメリカの解雇自由というところ、悪い所取りしちゃっているようなことになって、職場がだんだんだんだん、これじゃあ、疑心暗鬼になって、相互不信になって、元気をなくして、生産性下がっちゃうんじゃないか。
・厚切りジェイソンさん:そうなっているのは、日本にちゃんとした評価制度があまりないからなんですかね。
・宮本さん:客観的に、みんなが納得できる評価の基準がないまま、こういうリストラビジネスが横行してしまうと、さっき言ったように、職場が荒れてしまうことになりはしないのかですね。
・厚切りジェイソンさん:確かにおかしいですね。
── そのケースも、全国に広がっていることも分かったが、VTRに出てきたこの図。  今回のケースでは、国の助成金が使われていたが、そもそも、この助成金は、職を失った人がスムーズに転職して、次の職場で力を発揮するために導入されたもの。 その本来の目的は、達せられていたのか。
▽再就職は甘くない… 「雇用流動化」の現実
・使われていたのは、労働移動支援助成金。 やむを得ず失業した人の転職を支えるために導入されました。 安倍首相 「成長産業へ失業なき、円滑な労働移動を図っていきます。」 3年前、国は労働者を、成熟産業から成長産業へとダイナミックに移動させる方針を決定しました。 その切り札として、この助成金の適用する範囲を拡大。その結果、支給総額はそれまでの7倍以上に伸びていきました。ところが、この助成金が退職者を生み出すような提案をしていた人材会社に流れ込んでいたのです。
・国は今後、人材会社が社員の退職を企業に働きかけていた場合、助成金を支給しない方針です。 成長産業への橋渡しになるとされてきた、この助成金を使って実際に転職した人がいます。 大手メーカーを50代で退職した男性です。 前の職場では30年近く、営業や事務などを担当してきました。人材会社を通じて、40社ほどに応募しましたが、面接にこぎ着けたのは僅か4社でした。
・元 正社員の男性 「キャリアチェンジで考えたんですけど、われわれの世代のニーズは少なかった。」 再就職活動を始めて8か月。 決まったのは社員十数名の町工場。 給与は月25万円で、以前の半分になりました。
・元 正社員の男性 「やはり賃金ですよね。 20?30パーセントのダウンで覚悟してたんですが、実際は前の給料の半額以下の状況で、あまりにもギャップがあったのが、正直、今でも悔やまれます。」 
・国は、この助成金を使って転職した人たちの、その後を調査。 給与は平均で、7割程度に下がっていました
▽「成長分野」はどこに? 再就職の現実(一部省略)
── 労働移動について、どう考える?
・宮本さん:成熟産業から成長産業へ、人を移していく、これは確かに聞こえはいいんですけども、成長産業ってどういう産業なのかっていうことなんです。 労働需要が伸びているというのは、残念ながら、今は人手不足の産業なんですね。 (介護の現場など?) そう、だからなんで人手不足かというと、賃金が低いとか、労働条件が悪いとか、これじゃ食べていけないというから、離職率が増えている。 そこに、そういう産業の在り方を底上げする努力抜きに人をどんどん移していくだけだったら、これはどうなんだろうか。 一億総賃下げみたいな話になっちゃうじゃないかということですよね。 今の国の経済政策の基調とも違うじゃないかということです。 だから、きちっと成長産業を底上げした上で、そこに移していくということが必要だと思いますね。
・宮本さん:価値を絞り出すというのは、今、だんだん生産性の高いところというのはIT化が進んで、人を受け入れなくなってるところなんですね。(人員は必要なくなってきている?) だから今、労働移動支援の助成金っていう方にシフトしているんですけれども、その前に、雇用調整の助成金というのがあって、これは今の雇用を守ったまま、そこで生産性を上げていくために、従業員が職業訓練を受ける、その期間、賃金の保障を出そうと。 つまり、雇用を守りながら、生産性を上げていく、こういう補助金の使い方もあるわけで、私はこれを再評価すべきではないかなと思いますね。
── ツイッターより:「雇用の流動化、余裕のある人がやるべきで、ぎりぎりの生活の人の精神を追い込んで、消費も冷えこませるだけではないでしょうか」という意見もあるが?
・宮本さん:ジェイソンさんが、日本の雇用は守られ過ぎだって。  終身雇用で、定年まで安泰だというふうに考えている日本人ってあまりいないと思うんですよ。 (特に若い世代など?)そうですね。 だからこそ、今の仕事にしがみつく、しがみつかざるを得ないということになっていると思うんですね。 (転職の先の展望があまり明るくない?)つまり、日本っていうのは、仕事を離れたときのセーフティーネットというのは、非常にぜい弱になっているわけです。 つまりその、公共職業訓練の予算だとか、失業保険のカバー率とか、非常に弱いんですね。つまり下を見ると断崖絶壁で、もう、とてもじゃないけど、身がすくんで、ジェイソンさんがおっしゃるような挑戦ができないわけですね。
・厚切りジェイソンさん:そのセーフティーネットがなくても、自分からやろうと思えば、できるじゃないですか。
・宮本さん:それは、ジェイソンさんならできるかもしれないですけど、普通やっぱり、生活がかかっている場合、サーカスの綱渡りもそうですよね。 ちゃんとセーフティーネットがあって、綱のうえで大胆な演技ができるわけです。
・厚切りジェイソンさん:セーフティーネットに何でも依存する前に、いろんなスキルを身に付ければ。
・宮本さん:アメリカの方が、セーフティーネットは分厚くなってると思います。
── これからの雇用政策、多くの人が安心して働いていくためには何が必要?
・厚切りジェイソンさん:そうですね、まずは自分がスキルを身につけるような方法が、近くにある必要があると思います。
・宮本さん:私はもっと、いろんな人が、多様な形で力を発揮できる仕事、職場を作っていくというのが、非常に大事だと思います。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3791/1.html

第三に、5月27日付け東洋経済オンライン「過労死ラインの残業、「違法」と「合法」の境目 ブラック企業「社名公表」初事例から学ぶこと」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「過労死ライン」という概念がある。各地の労働基準監督署が脳出血や心筋梗塞などによる過労死を労災認定する際に、厚生労働省が基準とする時間外労働時間、つまり残業時間だ。発症前の1~6カ月間に残業が月平均で約45時間を超えていたり、発症前1カ月間に約100時間を超える残業があったりした場合などは、過労死との関連性が強いとされている。
▽行政指導時に社名を公表する新基準の初事例
・そんな過労死ラインを超えるような違法残業を繰り返していた会社が、「ブラック企業」として初めて公表された。厚生労働省から5月19日に是正勧告を受けたエイジスだ。 エイジスでは昨年5月以降、千葉県内外の4営業拠点の計63人に月100時間を超える残業や休日出勤をさせた。昨年5月、厚労省は違法な長時間労働が悪質で、複数の都道府県に事業所を持つ大企業が組織的に月100時間超の残業をさせているとみられれば、行政指導時に社名を公表する新基準を設けていたが、今回がそれに基づく初の事例となった。
・エイジスは千葉市花見川区に本社を置き、ジャスダック(JQ)に株式を公開する上場企業だ。決算期などに帳簿の数量と実際の在庫を突き合わせて確認する棚卸し業務の代行という分野で圧倒的ナンバーワン。日本全国に50カ所の直営拠点を構え、売上高は約240億円、従業員約700人という陣容だ。創業家の斎藤一族やその資産管理会社などが大株主に名を連ねるオーナー企業でもある。
・ところで今回のエイジスの場合は、月に100時間を超える残業が違法となって行政指導の対象となったものの、日本の労働法においては月100時間超の残業であっても、必ずしも違法にならないケースもあることは覚えておきたい。 順を追って説明していこう。
・もともと労働基準法では、労働者を1日8時間、1週間40時間を超えて働かせてはならないと定められており、これに違反すると「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課される罰則も用意されている。
▽労働基準法36条に由来する協定
・それでも企業が労働者を残業させるようにするためには、もともと雇用契約の条件に残業する(場合がある)ことが明記され、残業時間を労使間で交わした「36(サブロク)協定」の限度内に収めるとともに、合法的な残業代(割増賃金)を支払う必要がある。この場合に、残業は合法となる。 ポイントは残業時間の上限に一定の歯止めをかけている36協定だ。労働基準法36条に由来するのでこのような名称で呼ばれている。「会社と労働者代表が合意をして労使協定を締結した場合は、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて働かせることができる」と定められており、ほとんどの会社はこの「36協定」を根拠として残業をさせている。
・そして、36協定で定められる残業時間の限度は厚生労働大臣が基準を定めることとされており、その基準は以下のようになっている。 この上限は、成文法ではなく「告示」であるので法的な強制力があるとは言い切れないが、超えない範囲で36協定を結ぶことが実務上の基準となっており、これを超えた36協定は行政指導の対象となるので、基準に沿った36協定を提出している会社が多いのではなかろうか。
・ただし、36協定の残業時間の上限には重要な「例外」がある。「特別条項」である。あらかじめこの特約を盛り込んでおけば、繁忙期などやむを得ない場合は、年間6回までは、36協定の原則的な上限を超えて残業をさせても良いというルールである。 ここが労働法の問題点だ。「上限を超えて残業をさせる時間」の限度については法律上の定めがなく、まさに「青天井」なのである。エイジスが行政指導されたのは、仮に36協定に特別条項を含んでいたとしても、その上限をさらに超えていたか、年間6回を超えて月に100時間を超える残業が慢性化していたのだろう。
・100時間を超える残業は過労死の危険性があるという過労死ラインがありながら、他方ではそれを超える残業を可能とするような36協定の提出が法的に許容されている現実がある。 また、「特別条項」は、繁忙期や緊急時など、やむにやまれぬ事情があった時に限って発動できるというのが法律上の本来の趣旨であるが、「特別条項さえあれば、年6回までは当然に限度を超えて残業させられる」と誤解をしている経営者や人事担当者がいることも懸念されるべき現状である。
▽自衛をするためには
・労働者がどう自衛できるかといえば、36協定の締結を拒否することだろう。会社と労働者、双方の代表者が合意をしてはじめて成立するものであり、労働者代表が「こんな長時間の残業を可能とするような36協定には署名押印できない」として、36協定に署名押印をしなければ、会社は法定労働時間を超えて残業をさせることが不可能となる。
・その結果、残業時間の上限を減らすなどして、労働者側と再交渉をせざるを得なくなるわけだ。残業は会社の命令により当然に行われるものではなく、法律上の大原則は「残業禁止」だが、36協定により労働者側の同意を得られたからこそ、会社は限定的に残業を命じる権利を得ているに過ぎないのである。
・とはいえ、実務上は、会社と労働者の力や知識の差により、会社が作った36協定の書面を労働者代表に提示する形になることがほとんどなので、会社側から「ここに署名押印してくださいね」と言われると、労働者代表が内容をよく見ないまま、何となく署名押印をしてしまうということも少なくないようである。
・労働者代表がよく見ないまま署名押印をしてしまった36協定が、月に100時間や200時間の残業を認める内容になってしまっていることもありうるわけだ。労働者代表は従業員の互選により挙手や投票など民主的な手続きを経て選ばれる必要があるが、会社に従順な従業員が一方的に指名され、署名押印をするというように、適切に選ばれていない労働者代表が36協定に署名押印をしているケースもある。
・たとえば、2012年度にワタミで新入社員が過労死した事件の際、東京新聞は次のように報じていた。 「親会社ワタミの法令順守部門を担当する塚田武グループ長は『店長がアルバイトの中から代表を指名し、協定届に署名させている』と、手続きが形骸化していたことを認めた」(東京新聞2012年5月17日)
・このように36協定が「形骸化」している実態が、長時間労働を助長している側面は否定できないであろう。違法な長時間残業はもちろんのこと、形のうえでは合法であったとしても、健康に害をもたらすほどの残業を防止するためには、働く人が「36協定」についてもっと意識を持つことが重要である。
・根本的にはそれだけ長時間残業をしなければならないという職場環境自体を改善するため、仕事量に応じた適正な人員を配置したり、業務の効率化や取捨選択を図ったりしながら、労働時間を短縮する仕組みを作っていくことがより重要であろう。
http://toyokeizai.net/articles/-/119629

第一の記事にある『体育会系企業が蔓延しているせいで日本社会が疲弊』、は思い当たる節が多い。『体育会系とは逆をいくタイプ』の鈴木氏が入社した光文社も、出版社でありながら体育会系企業だったというのには驚かされた。鈴木氏がそのなかで這い上がっていった成功物語は、「出来過ぎ」といった感じもしないでもないが、やはりマネジメントの基本に忠実だったのが実ったのであろう。
クローズアップ現代は、内容が充実していたので紹介した次第である。人材会社経由の退職勧奨は、4月8日のこのブログでも取上げたが、『本来、職探しを支援するはずの人材会社が、逆に社員に退職を勧めるよう提案』するとはひどいものだ。しかも、雇用調整助成金付きというのは、馬鹿にした話だ。厚労省があわてて助成金の支給基準を厳格化というのも、お粗末の一言に尽きる。「首切りブログ」を書いた社労士が処分されたのは当然としても、ある社労士が、『 「私がリストラ代行ないし、退職勧奨代行した場合、大体95パーセントは成功している。」 交渉の際は、労働者ではなく、報酬を支払う企業の要求を優先する』、成功率の高さに驚かされるとともに、『企業と労働者の双方を守るために、相談や指導をするのが本来の役割』との社労士の建前上の役割が、実態と大きく乖離しているのを放置している行政の怠慢にも改めて驚かされた。
「36協定」が余りにも融通無碍で、、『「形骸化」』しているのは昔から分かり切ったことだが、本来、声を上げるべき労働側も「物分りの良さ」を発揮しているのは、残念だ。むしろ、国家主義的経済政策に血道をあげている安部政権が、「働き方改革」の一環として長時間労働に歯止めをかけるのを待つ、というのもおかしな話だ。
タグ:ブラック企業 (その4)体育会系組織、人材会社経由の退職勧奨、過労死ラインの残業 ダイヤモンド・オンライン 体育会系組織が日本を滅ぼす!部下を潰さないリーダー術とは?」 不条理な精神論で社員を縛り付ける体育会系マネジメントの限界が浮き彫りになった格好 体育会系企業が蔓延しているせいで日本社会が疲弊 労働相談件数はここ数年100万件を超えている 部下をつぶさない! アンチ体育会系リーダー術 鈴木紀夫 体育会系の縦社会では、往々にして『上の言うことは絶対』といった土壌ができあがっています 尻を叩いて社員を酷使することで短期的な生産性は上がりますが、下の人間はリーダーや会社の業績を上げるためだけの“コマ”になってしまう可能性が高いのです 、「成熟期」に入った日本ではすでに、体育会系組織は時代にそぐわなくなってきているのだ 光文社 5年間で10回も配属先が変わる 私はというと声も小さくて、動きものろい(笑)。体育会系とは逆をいくタイプだったので 短期的な利益に気を取られて「人」を蔑ろにする組織は基盤が弱い 成功の鍵は、体育会系とは逆をいく部下の育成法にあったという 多少不出来でも彼らの意見やアイディアを尊重してなるべく実現させてあげること 個々の能力を十分に発揮させるためには、いわゆる中央集権型の組織ではなく、『地方分権型』がベターだと思うのです NHK クローズアップ現代 「“新リストラ時代”到来!? 業績好調なのになぜ 突然の退職勧告 業績好調なのになぜ 君の仕事は、人材会社に通って、別の職を探すことだとの命令 こうした指示は、労働契約法に反していると 大手製紙会社が、実際に退職を勧めた人たちの一覧を独自に入手 40代、50代の働き盛りの中高年社員が数多くリストアップ 病気になった人や、性格がおとなしい人。 働き方に大きな問題がないと見られる社員も含まれていました リストラを仲立ち!? 人材会社の新サービス 人材会社に支払われる資金の一部に、国からの助成金が流れ込んでいました 本来、職探しを支援するはずの人材会社が、逆に社員に退職を勧めるよう提案することに問題はないのか 厚生労働省としましては、積極的に退職者を作り出すようなことは、職業紹介事業の趣旨に反するということで、ダメではないかと考えています 専門家も関与 “リストラ代行”ビジネス 「首切りブログ」 社員をうつにする方法をつづっていたのは、社会保険労務士 業務停止処分 ・社労士 「私がリストラ代行ないし、退職勧奨代行した場合、大体95パーセントは成功している。」 交渉の際は、労働者ではなく、報酬を支払う企業の要求を優先するといいます 「“中立”って、ほとんどあり得ないですね。 実際、依頼者(企業)だけ守ればいい。そういうふうに割り切ってます 再就職は甘くない… 「雇用流動化」の現実 国は、この助成金を使って転職した人たちの、その後を調査。 給与は平均で、7割程度に下がっていました 東洋経済オンライン 過労死ラインの残業、「違法」と「合法」の境目 ブラック企業「社名公表」初事例から学ぶこと 過労死ライン 発症前の1~6カ月間に残業が月平均で約45時間を超えていたり、発症前1カ月間に約100時間を超える残業があったりした場合などは、過労死との関連性 是正勧告を受けたエイジス 社名を公表する新基準を設けていたが、今回がそれに基づく初の事例 日本の労働法においては月100時間超の残業であっても、必ずしも違法にならないケースもあることは 36協定 36協定の残業時間の上限には重要な「例外」がある。「特別条項」である。あらかじめこの特約を盛り込んでおけば、繁忙期などやむを得ない場合は、年間6回までは、36協定の原則的な上限を超えて残業をさせても良いというルール 働き方改革 長時間労働に歯止
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