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外国人労働者問題(事実上の「移民解禁」論、太田市の現状、外国人労働者が絶望する「ニッポンのブラック工場」の実態) [経済政策]

今日は、外国人労働者問題(事実上の「移民解禁」論、太田市の現状、外国人労働者が絶望する「ニッポンのブラック工場」の実態) を取上げよう。

先ずは、7月8日付け日経ビジネスオンライン「事実上の「移民解禁」に議論百出は必至か? いよいよ始まる「外国人労働者受け入れ」論議」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽このままでは在留外国人が、なし崩し的に増加の恐れ
・政府は参議院議員選挙の終結を待って、外国人労働者の受け入れに関する本格的な議論を始めたい意向だ。少子高齢化によって人手不足が深刻化していることから、労働力としての外国人の受け入れを求める声が急拡大している。一方でこれまで外国人受け入れについて正面から議論をしてこなかったため、外国人を社会の一員として受け入れるための制度整備が手付かずになっている。このままではなし崩し的に国内で働く外国人が増え、かつて移民政策で失敗したドイツと同じ轍を踏みかねない。そんな危機感から政府が重い腰を上げることになった。
・「いわゆる移民政策はとりません」──安倍晋三首相は就任以来、繰り返しこう述べてきた。安倍首相を支持する右派の人たちを中心に外国人受け入れに対するアレルギーが強いこともあり、慎重な言い回しを続けてきたわけだ。 だが一方で安倍首相は、人口減少に伴って職場での深刻な人手不足が起き始めていることや、コミュニティが維持できなくなりつつあることに、危機感を募らせてきたという。昨年あたりから内閣官房に非公式のチームを作り、外国人受け入れ政策について調査してきた。
▽昨年閣議決定の成長戦略の中に、外国人受け入れに向けた方針
・実は、昨年6月に閣議決定された成長戦略「日本再興戦略改訂 2015」の中に、外国人受け入れに向けた方針が書き込まれている。以下のようなくだりだ。 「経済・社会基盤の持続可能性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ、中長期的な外国人材受入れの在り方について、総合的かつ具体的な検討を進める。このため、移民政策と誤解されないような仕組みや国民的コンセンサス形成の在り方などを含めた必要な事項の調査・検討を政府横断的に進めていく」
・外国人の受け入れ政策についての調査・検討が盛り込まれたのである。ただし、選挙での争点になることを恐れた菅義偉官房長官の指示で、今年の参議院議員選挙までは政府内で表立って議論しないこととされてきた。その禁がいよいよ解かれるわけだ。
・これまで日本政府は「専門的・技術的分野の労働者」、いわゆる高度人材は受け入れていく方針を明確にしていたが、単純労働者の受け入れは原則として行わない姿勢を保ってきた。一方で、技術や知識の発展途上国への移転を行うという名目で「技能実習制度」を導入、研修生として単純労働者を事実上受け入れる「便法」をとってきた。また、日系ブラジル人やペルー人に限って労働者として入国を認めたり、家族の呼び寄せを許すなど、実質的な移民に門戸を開いていた。
▽日本語教育の不備や孤立といった問題
・だが、そうした「便法」の結果、存在しないはずの移民が地域社会で深刻な問題になっている。外国人労働者が多い名古屋や浜松、群馬県などでは、日本語教育の不備や、地域社会からの孤立といった問題が自治体に重くのしかかっている。
・一方で、少子高齢化の影響で、仕事の現場では人手不足が深刻化している。建設や造船といった重労働分野だけでなく、食品加工や外食、小売りなどの分野では状況は深刻で、外国人労働者の受け入れを大幅に増やしてほしいというニーズが高い。また、介護や家事支援といった分野でも外国人労働力への期待が高い。さらに地方の農業の現場でも外国人労働者を求める声が強まっている。もはや技能実習制度など「便法」の手直しでは限界に達しているのだ。
・そんな声もあって、自民党は今年3月、政調会長の下に「労働力確保に関する特命委員会」を設置した。稲田朋美政調会長は「外国人材の活用について、正面から取り組んで議論する」と委員会設置の目的について説明した。もともと稲田氏は右寄りの政治家として知られ、永田町・霞が関では「外国人嫌い」とみられてきた。その稲田氏が外国人労働についての委員会を設置した背景には、安倍首相の強いリーダーシップがあったとみられている。
▽「移民」とは違うと強調
・委員会では「国民的コンセンサスの得られていない移民受け入れと誤解されないよう慎重に配慮しつつ、外国人材活用の在り方について検討を行う」とし、安倍首相の「いわゆる移民政策は取らない」という方針と整合性を合わせていた。もっとも、委員長には党内で移民解禁派とみられてきた木村義雄参議院議員を据えたことから、メディアの間でも「実質的には移民政策の是非を含めた議論にまで踏み込む見通し」だという認識が広まった。
・この委員会が5月24日、「『共生の時代』に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方」という提言をまとめた。 提言の柱はこれまで単純労働とされてきた分野への外国人労働者の受け入れ解禁だ。「専門的・技術的分野の労働者は引き続き積極的に受け入れるべき」としたうえで、さらに、何が「専門的・技術的分野」であるかについては、「社会の変化にも配慮しつつ柔軟に検討する」とし、これまでともすると単純労働に区分されていたものにまで、対象を広げることを示唆している。
・そのうえで、こう書いている。 「現在でも外国人労働者の増加が続く中で、今後、人口減少が進むこと、介護、農業、旅館等特に人手不足の分野があることから、外国人労働者の受入れについて、雇用労働者としての適正な管理を行う新たな仕組みを前提に、移民政策と誤解されないように配慮しつつ(留学や資格取得等の配慮も含め)、必要性がある分野については個別に精査した上で就労目的の在留資格を付与して受入れを進めていくべきである」
・ここでも「移民」とは違うと強調しているが、移民とは何かという注が付いている。「『移民』とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者であり、就労目的の在留資格による受入れは『移民』には当たらない」──。初めから移住する目的だけを移民とごくごく小さく定義し、働く目的の在留資格を取って住めば移民ではない、という大胆な定義をしたのだ。
▽在留期間は「当面5年間」
・しかも在留期間を「当面5年間」とし、その期間内の帰国・再入国も認めるとしている。さらに在留期間を更新することも可能というニュアンスだ。ただ、その場合、「家族呼び寄せや定住化の問題が生じるため、さらなる検討が必要である」と議論を先送りしている。とにかく労働力として来てくれる人は受け入れましょう、という提案と言って良い。
・安倍首相が「移民政策は取らない」と言っている中で、就労目的で5年間住むことを「移民」に当たらないとしたのは、苦し紛れとはいえ思い切った決断と言っていい。世界標準の定義に従えば、就労許可を得て1年以上住んでいれば、立派な移民である。事実上、安倍内閣は移民に道を開こうとしているわけだ。右派の批判をかわすために建前と本音を見事に使い分けているのだ。
・こうした定義を使うことで、外国人労働者の受け入れ体制について抜本的に見直す意向だ。外国人労働者を管理する仕組みや、日本での生活に適応させるための日本語教育など、制度整備に向けた議論がようやく動き出すことになるだろう。
▽海外での難民問題の影響もあり、反発の可能性も
・もっとも、政府内には外国人を受け入れる事自体に根強く反対する勢力もあり、すんなり議論が進むかどうかは分からない。また、自民党内の考え方も決して一枚岩ではない。 さらに、ここへ来て、欧州での難民問題やテロ事件などを背景に、移民に対する国民感情は大きく悪化している。政府の議論が表面化した段階で、国民の間に不協和音が生じる可能性は十分にある。
・人口減少が急速に進み、地方のコミュニティなどが目に見えて瓦解し始めていくと見られている中で、ようやく始まることになった外国人の受け入れ論議。理屈だけではなく、感情的な反発も予想されるだけに、すんなり決着するかどうかは予断を許さない。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/238117/070700027/?P=1

次に、7月29日付けロイター「太田市は外国人労働者の流入で変貌した 移民と地元住民の交流が希薄な街」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・マドラサ(イスラム教の高等教育施設)で学ぶアフガニスタンの子供たち、5カ国語で行われるカトリック教のミサ、60カ国以上から集まってきた労働者たち─。 ここはニューヨークではない。群馬県太田市だ。「スバル」で知られる富士重工業(7270.T)がエンジン製造で操業を始め、1940年代には戦闘機「疾風(ハヤテ)」の製造を開始した場所だ。近年の外国人の流入はこの町を変容させた。外国人移民への抵抗感がなお強い日本にあって、希少な多文化を誇る町になった。
・輸出が好調なスバル車向け部品工場に職を求め、太田市に集まってくる外国人の多くは、難民申請者や借金を抱えた技能実習生たちだ。モスク(イスラム教礼拝堂)や教会の周りに自分たちのコミュニティを作っている外国人もいるが、ロイターのインタビューに応じた人々からは、厳しい仕事や不十分な市当局の手助けに疎外感を感じているとの声も聞かれた。
・2012年以来、太田市と隣接する伊勢崎市の外国人人口の合計は1万8000人超にまで増えた。その外国人比率は、全国平均のほぼ3倍だ。同市のデータによれば、人口22万2000人の太田市が擁する外国人の国籍は63カ国にのぼる。同市の中心部にあるスバル工場の南側にはコンクリートの廃墟があり、送金手続きを受け付ける商店がアフリカや中東各国、東南アジア諸国への電信送金を活発に行っている。
・いくつかの通りを挟むと、1キロにわたり歓楽街がある。同市の外国人の10%以上はフィリピン人女性で、その多くが「到着ほやほや」の女性をウリにするクラブやバーで働いている。 太田市の外国人たちと日本人住民との間にはほとんど交流がない。同市の清水聖義市長はロイターに対し「外国人労働者がやることといえば、寮と工場の行き来だけだ」と話す。
・太田市の中心街は、1週間のうち6日間は静かだ。多くの労働者にとって唯一の休日である日曜日だけは、電車の駅の周りをうろうろしたり、教会やモスクに集まる外国人労働者がみられる。同市のカトリック教会はタガログ語、スペイン語、ポルトガル語、日本語、韓国語の5カ国語でミサを行う。キム神父は韓国の出身だ。
・スバルのサプライヤーで働くマネジャーや人材派遣業者によると、同市の自動車産業では、労働者の民族性が職場での序列に大きく影響する。日本人労働者が階層の一番上に位置し、日系ブラジル人がそれに続くという。彼らは特別ビザの資格で他の外国人より日本に長く滞在し、日本語を話すからだ。 その下に位置するのが、難民ビザでの入国者が多い南アジア人。ピラミッド階層の最下部に位置するのがアフリカ人労働者だ。ある現地メーカー幹部は、ネパール、スリランカ、インド、バングラデシュからの難民を特に好んで使う。安い給料で困難な仕事も進んで引き受けようとするからだという。
・これについて、富士重工はロイターに対し「慎重に確認したが、そういった事実はなかった」としている。  太田市の郊外では、伝統的なイスラム教の服に身を包んだ男性たちが、礼拝を終えてダルサラーム・モスクからあふれてくる。サフランライスと鶏肉の食事をとりにハラールカフェ(イスラム教の教えに則って調理したものだけを出すレストラン)に向かう。ブルカ(伝統的なイスラム教信者の女性が被るベール)を被ったアフガニスタン人女性は子供たちを教会の隣のマドラサへ連れて行く。
・マリやイエメン、アフガニスタンなどの国々から来たイスラム教徒がつくるコミュニティはモスク周辺に根付くと、唯一日本人のイマーム(モスクの集団礼拝の指導者)のアブドラ―氏は言う。 同氏は「ここに来る人々の多くは、日本語や相手の言語を話すことはできないが、共に祈り、寝食を共にしている」と語った。
http://jp.reuters.com/article/special-report-subaru-side-idJPKCN0Q21IZ20150729?pageNumber=1

第三に、ジャーナリストの出井 康博氏が8月25日付け現代ビジネスに寄稿した「外国人労働者が絶望する「ニッポンのブラック工場」の実態 安すぎる給料、過酷な労働条件…」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・日本の低賃金・重労働に絶望を募らせる外国人が増えている。外国人労働者の実態を取材した『ルポ ニッポン絶望工場』から、その一部を公開する――。
▽外国人労働者の悲鳴が聞こえる
・近年、外国人の働く姿を見かける機会がますます増えてきた。 都会のコンビニエンスストアや飲食チェーン店では、外国人の店員が当たり前になった。建設現場でも、外国人作業員をよく見かける。田舎に行けば、農業や水産加工業などで外国人は貴重な戦力だ。
・外国人が増えていることは統計でも明らかだ。 日本で暮らす外国人の数は昨年1年間で約11万人増え、過去最高の約223万人に達した。こうして増加した外国人の半分以上は「実習生」と「留学生」として日本にやってきている。実習生は15パーセント増えて約19万3000人、留学生も同じく15パーセントの増加で約24万7000人となった。私たちが普段見かける外国人労働者も、その多くは「実習生」や「留学生」として入国した人たちだ。
・実習生と聞けば、日本に技術を学びに来ている外国人のように思われるかもしれない。しかし、実態は短期の出稼ぎ労働者である。留学生にも、勉強よりも出稼ぎを目的とする者が多く含まれる。 では、外国人の出稼ぎ労働者たちは、なぜ「労働者」ではなく、「実習生」や「留学生」として日本にやってくるのか。  少子高齢化によって、日本の労働人口は減り続けている。とりわけ体力が必要で賃金の安い仕事は働き手が不足している。しかし、「単純労働」を目的に外国人が入国することは法律で許されない。そこで「実習生」や「留学生」と偽って、実質的には単純労働者が受け入れられているのだ。
・私が「外国人労働者」をテーマに取材を始めたのは2007年、ある月刊誌で連載を始めたことがきっかけだった。 すでに当時から、一部の職種で人手不足は深刻化しつつあった。外国人実習生の数は15万人を超えていた。実習生と同様、バブル期の人手不足によって受け入れられ始めた日系ブラジル人の出稼ぎも、全国で30万人以上に上っていた。翌2008年には、東南アジア諸国から介護士・看護師の受け入れも開始されることになっていた。 そうやって外国人労働者はどんどん増えているというのに、世の中の関心は現在にもまして低かった。
・欧米諸国を見れば、外国人労働者や移民の受け入れは、国論を二分するテーマになっている。やがて日本でも、外国人労働者や移民の受け入れが大きな議論となるに違いない。そう考え、以来私は、10年にわたって外国人が働く現場を訪ね歩いてきた。
▽生臭さが充満する職場で…
・私には今も忘れられない光景がある。外国人労働者の取材を始めた際、最初に訪れた北海道猿払村で目にした光景だ。 猿払村は、日本最北端の宗谷岬からオホーツク海沿いに少し下った辺りにある。人口は3000人に満たないが、ホタテの水揚げ量で全国一を誇る「ホタテの町」だ。ホタテの殻を剥く作業には人手が要るが、地元では確保できなくなっていた。そこで村では、約100人の実習生を中国から受け入れ、人手不足を補うことにした。
・実習生の働くホタテの加工場は、殺風景な海岸にポツンとあった。そこに足を踏み入れた瞬間、私は思わず息を止めた。加工場には潮の香りとホタテの生臭さが充満していて、むせ返りそうだったのだ。 そんななか、中国人実習生たちは顔色ひとつ変えず、黙々とホタテの殻剥きに励んでいた。皆、20代の若い女性である。一緒に働く地元の日本人女性たちは60~70代で、作業のスピードは明らかに実習生たちのほうが早い。
・「実習生なしでは、この加工場、いや村はもうやっていけない」 加工場の経営者が漏らした言葉に、私は軽い衝撃を受けた。外国人労働者なしでは「やっていけない」職場が、日本のあちこちで増えていくに違いないと悟ったからだ。少子化による人手不足は、なにも猿払村や水産加工業に限った話ではないのである。
・あのときの私の予感は現実のものとなった。コンビニや飲食チェーン店のような目につく職場だけではない。外国人頼みの現場は、むしろ私たちが普段、目にしない場所に数多く存在する。コンビニやスーパーなどで売られる弁当やサンドイッチの製造工場、宅配便の仕分け現場、そして新聞配達……。いずれも日本人が嫌がる夜勤の肉体労働ばかりである。 コンビニは24時間オープンしてもらいたい。 弁当はできるだけ安く買いたい。 宅配便は決まった時間にきちんと届けてもらいたい。 新聞は毎朝毎夕決まった時間に配達してほしい。
・しかし、私たちが当たり前のように考えているそんな“便利な生活”は、もはや低賃金・重労働に耐えて働く外国人の存在がなければ成り立たなくなっている。いや、彼らがいなくなれば、たちまち立ちゆかなくなる。  そうした実態は、日本人にほとんど知られていないのではなかろうか。
▽「反日化」と「復讐」
・取材を続けながら、私が強く実感することがある。それは就労先としての「日本」という国の魅力が、年を追うごとに低下しているという現実だ。 かつての日本は、世界第2位の経済大国として君臨していた。途上国の人々にとって日本は「夢の国」であり、その日本で働くことには憧れもあった。
・しかし近年、アジア諸国を中心として多くの途上国が急速な経済成長を遂げた。ひとことで言えば、経済格差が縮まったのである。日本は「夢の国」から「安い国」へと転落し、カネを“稼ぐ”ための場所から“使う”ための国へと変わった。“爆買い”で有名になった中国人観光客を見れば、そのことがよくわかる。
・日本に出稼ぎにやってくる外国人の顔ぶれも大きく変化した。かつて実習生や留学生の7割を占めた中国人は減少が止まらない。中国の経済発展で賃金が上昇し、日本への出稼ぎ希望者が減ったからだ。そして日系ブラジル人も、ピーク時の半分近くまで激減している。
・代わって増えているのが、経済発展に乗り遅れた国の人々だ。 たとえば、ベトナム人である。 2010年末には約4万2000人に過ぎなかった在日ベトナム人の数は、わずか5年で約14万7000人と、10万人以上も急増した。ネパール人も約1万8000人から約5万5000人へと増えている。さらには、ミャンマーやカンボジアといった国々の出身者も増加中だ。彼らが今、「実習生」や「留学生」として増えている外国人労働者の正体なのである。
・職業に貴賎はない。とはいえ、誰もがやりたがらない仕事はある。そうした最底辺の仕事を彼らが担っている。今後も、外国人頼みの職種は増えていくことだろう。老人の介護は外国人が担い、外国人の力なしにはビルや家も建たない時代が近づいている。 日本人の嫌がる仕事を外国人に任せ、便利で快適な生活を維持していくのか。それとも不便さやコストの上昇をがまんしても、日本人だけでやっていくのか。私たちは今、まさにその選択の岐路にいる。
・貧しい国に生まれ育った外国人であろうと、彼らも同じ人間である。日本人にとって嫌な仕事は、彼らも本音ではやりたくない。これまで私は、日本に憧れてやってきた若者たちが、やがて愛想を尽かして去っていく姿を何度となく目の当たりにしてきた。“親日”の外国人が、日本で暮らすうち“反日”に変わっていくのである。
・「実習生」や「留学生」だと称して外国人たちを日本へと誘い込む。そして都合よく利用し、さまざまな手段で食いものにする。そんな事実に気づいたとき、彼らは絶望し、日本への反感を募らせる。静かに日本から去っていく者もいれば、不法就労に走る者もいる。なかには凶悪な犯罪を起こす者すらいる。 自分たちを食いものにしてきた日本社会に対し、彼らの“復讐”が今まさに始まろうとしているのだ。
▽“奴隷労働”が支える新聞配達
・「外国人技能実習制度」(実習制度)で来日した実習生が、日本でひどい待遇を受けているとの報道は多い。「実習」という名のもと低賃金・重労働の仕事に就き、しかも残業代の未払いやパスポートの取り上げといった人権侵害を受け、悪い企業の餌食になっているというのだ。欧米の人権団体などには、日本の実習生を「現代の奴隷」と呼ぶところまである。
・しかし私に言わせれば、出稼ぎ目的の留学生たちが置かれた状況のほうが、実習生よりもずっとひどい。彼らは多額の借金を背負い入国し、実習生もやらない徹夜の重労働に明け暮れる。そうして稼いだアルバイト代も、留学先の日本語学校などに吸い上げられるのだ。
・現在、日本で最底辺の仕事に就き、最も悲惨な暮らしを強いられている外国人は、出稼ぎ目的の“偽装留学生”たちだと断言できる。 実習制度の問題については頻繁に取り上げる新聞やテレビも、留学生の実態についてはほとんど報じない。確かに“偽装留学生”たちは「留学」と偽って日本で働こうとしたかもしれない。だが、そんな彼らを餌食にしているタチの悪い輩が存在する。日本語学校は留学生たちからボッタクり、企業は“奴隷労働”を強いている。にもかかわらず、メディアは知らんぷりである。
・新聞やテレビが留学生問題に触れないのには理由がある。それは、そもそも新聞が、留学生たちの“奴隷労働”に支えられているからだ。 新聞配達は、人手不足が最も進んだ職種の1つになっている。留学生の存在なしには、配達すらできない現場も少なくない。とりわけ都会では、配達員がすべて留学生という新聞販売所まであるほどだ。
・かつて都会の新聞配達といえば、地方出身の日本人苦学生によって成り立っていた。大手紙の新聞奨学生となれば、大学や専門学校の学費は負担してもらえ、そのうえ衣食住も保証された。しかし、最近では希望者が激減している。新聞配達の仕事では、真夜中から早朝にかけて朝刊、加えて午後には夕刊の配達も待っている。人手不足でアルバイトなど選び放題の時代、若者に敬遠されるのも当然だろう。
・そうした日本人の働き手の減少を補っているのが、ベトナムをはじめとする途上国出身の留学生たちなのである。 もちろん、留学生が新聞を配達しようと構わない。しかし、新聞配達の仕事は「週28時間以内」では終わらない。つまり、留学生たちは初めから違法就労を強いられることになる。
・こうした留学生の問題を紙面で取り上げれば、みずからの配達現場で横行する「違法就労」にも火の粉が及ぶ。そのことを恐れ、新聞は「留学生」がいくら日本でひどい目に遭っていようが、記事にしようとはしない。そして、新聞社と資本関係のあるテレビ局も、新聞に気を遣い、留学生問題については触れない。
・新聞配達の現場で今、何が起きているのか。私は東京都近郊の朝日新聞販売所の経営者と交渉し、ベトナム人留学生の新聞配達に密着取材させてもらうことにした――。
▽ベトナム人が支える新聞販売所
・午前3時、シーンと静まり返った住宅街に原付バイクのエンジン音が響いていた。ハンドルを握るアン君(20代)は、1年前にベトナムから来日し、日本語学校に通いながら新聞配達を続けている。 奨学生としての生活は厳しい。午前2時に起きて朝刊を配り終えた後、午前中は日本語学校で授業を受ける。そして午後から夕方にかけては夕刊の配達がある。その後、アパートに戻って夕食を食べ、日本語学校の宿題と向き合う。睡眠時間は毎日3時間ほどだ。仕事が休みになるのは月4日と新聞休刊日だけで、大晦日も元旦も配達があった。
・「スピード、大丈夫ですか?」 バイクを後ろから自転車で追いかける私を気遣い、アン君がマスク越しに声をかけてきた。柄モノのマスクはベトナムに残した彼女からのプレゼントだ。 気温は零度近くまで冷え込んでいた。アン君の顔はマスクとマフラー、ヘルメットで隠れている。新聞配達の姿を見ても、彼が外国人だとわかる人はほとんどいないだろう。
・配達する朝刊は約350部、夕刊が200部以上に及ぶ。外国人であっても、配達部数は日本人と変わらない。バイクのカゴと荷台に分けて積む新聞の重さは約20キロ。1回ではすべて積みきれず、配達の途中で販売所に戻って積み直さなくてはならない。
・「朝、起きるのは大丈夫です。でも、雨の日は大変。風の(強い)日も大変です」 アン君はベトナムでも日本語学校に通っていたが、言葉はまだ流暢とは言いがたい。配達先の表札にも読めない漢字は多い。そのため仕事中は、いつも「順路帳」が手放せない。絵と記号を使って、配達の順路が記された帳面である。 バイクを止めては前のカゴから新聞を抜き取り、配達先のポストに入れていく。そんな作業が延々と続く。
・4時半頃になると、空が白んできた。しかし、道行く人は皆無だ。聞こえてくるのは、他紙の配達員が運転するバイクの音だけである。そんななか、1軒の配達を終えたアン君が、踵を返して私に尋ねてきた。 「新聞配達がいちばん楽しい日は、いつか知っていますか?」
▽日本人の友だちは1人もいない…
・答えに窮していると、彼は笑顔で言った。 「雪の日です。配達に10時間もかかりました」 最初は皮肉かと思ったが、配達を終えた後に話を聞いて理解した。 アン君は以前、大雪のなかで配達したことがあった。ベトナムの故郷では、ほとんど雪は降らない。何度もバイクで転んでしまったが、それでも配達をしないわけにはいかない。仕方なく歩いて配達していると、見かねた近所の人たちが次々と手伝ってくれたのだという。
・日本にやってきてからずっと、アン君は販売所と日本語学校の往復だけの生活を送っている。接する機会のある日本人といえば販売所の従業員と日本語学校の教師や職員くらいで、日本人の友だちも一人もいない。そんな彼にとって、思わぬかたちで経験することになった日本人のやさしさが身にしみたのだった。
・アン君が働く販売所では、数年前からベトナム人奨学生を受け入れてきた。販売所を経営する男性は、彼らの働きぶりに満足しているという。 「ベトナム人の若者は皆、真面目です。不着(配達漏れ)もほとんどなく、むしろ日本人よりも優秀。ベトナム人抜きでは、うちの店はもう成り立ちません」 男性の販売所には10の配達区域があるが、そのうち8つはベトナム人留学生の担当だ。確かに、ベトナム人抜きでは「成り立たない」状況である。
・アン君は、朝日新聞販売所に奨学生を送り込む「朝日奨学会」に採用された後、この販売所に配属された。朝日奨学会では、彼のような外国人奨学生のことを「招聘奨学生」と呼ぶ。招聘奨学生となると、日本人の奨学生と同様、学費を負担してもらえ、アパートも提供される。
・一方、販売所にとっては、日本人よりも外国人の奨学生を採用したほうが金銭的なメリットがある。日本人奨学生の場合、奨学金と給料、アパート代などで月25万~26万円程度の負担となるが、外国人だと月4万~5万円ほど少ない。外国人が通う日本語学校は、大学よりも学費が安いからだ。
・そもそも、最近では日本人の若者で新聞奨学生を希望する者は少ない。珍しく希望者がいて採用しても、仕事が嫌になって短期間で辞めてしまうケースが多い。販売所を逃げ出しても、ほかにアルバイトはいくらでもある。
・その点、外国人の場合は、途中で逃げ出す心配がない。人生をかけて来日している彼らは、簡単に日本を離れるわけにもいかない。販売所を辞めたところで、学費が免除され、しかも衣食住の心配もない新聞奨学生を上回るアルバイト先など、そうそう見つからないからだ。 社会人の日本人を雇えば、奨学金の負担はなくなる。ただし、販売所の仕事はアパート付きが基本だ。フルタイムで一人雇えば、首都圏では最低でも月30万円前後はかかってしまう。それでも日本人を雇いたい販売所は多いが、希望者は現れない。そのため仕方なく、外国人に頼る状況が生まれている。
・新聞販売所で働く外国人留学生のなかでも、際立って多いのがベトナム人だ。とりわけ朝日新聞の販売所では、ベトナム人頼みの状況が著しい。朝日奨学会東京事務局が、組織的にベトナム人を奨学生として採用しているからだ。この2~3年は毎年春と秋、100人単位での受け入れが続いている。ちなみに同事務局で採用する日本人奨学生は、1年で100人にも満たない。つまり、ベトナム人奨学生の数が日本人の2倍以上に達しているのだ。 「朝日奨学会」制度の功罪と、さらに過酷な新聞配達の実態に迫る後編の紹介は省略(下記のリンク先には後篇へのリンクあり)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49458

第一の記事にある、『昨年6月に閣議決定された成長戦略「日本再興戦略改訂 2015」の中に、外国人受け入れに向けた方針が書き込まれている』、『選挙での争点になることを恐れた菅義偉官房長官の指示で、今年の参議院議員選挙までは政府内で表立って議論しないこととされてきた。その禁がいよいよ解かれるわけだ』、とは官房長官の策士ぶりには恐れ入る。『「便法」の結果、存在しないはずの移民が地域社会で深刻な問題になっている』、にも拘らず、自民党の委員会がまとめた提言は、さらなる「便法」を重ねるようだ。『初めから移住する目的だけを移民とごくごく小さく定義し、働く目的の在留資格を取って住めば移民ではない、という大胆な定義をしたのだ』、『世界標準の定義に従えば、就労許可を得て1年以上住んでいれば、立派な移民である。事実上、安倍内閣は移民に道を開こうとしているわけだ。右派の批判をかわすために建前と本音を見事に使い分けているのだ』、ここまでさらなる「便法」を重ねるとは恐れ入る。ただ、『外国人労働者の受け入れ体制について抜本的に見直す意向』、というのは救いになるが、いままでの「使い捨て」的な扱いが大きく改善するとは考え難い。
第二の記事で、太田市は外国人労働者受け入れの先進地域だと思い込んでいた私の印象は砕かれた。『太田市の外国人たちと日本人住民との間にはほとんど交流がない』、というのには驚かされた。
第三の記事で、『「実習生」や「留学生」と偽って、実質的には単純労働者が受け入れられているのだ』というのは、第一の記事でいう「便法」の1つだろう。『私たちが当たり前のように考えているそんな“便利な生活”は、もはや低賃金・重労働に耐えて働く外国人の存在がなければ成り立たなくなっている。いや、彼らがいなくなれば、たちまち立ちゆかなくなる』、というのはその通りだ。『“親日”の外国人が、日本で暮らすうち“反日”に変わっていくのである』 というのは、本当に残念で恥ずかしいことだ。『日本で最底辺の仕事に就き、最も悲惨な暮らしを強いられている外国人は、出稼ぎ目的の“偽装留学生”たちだと断言できる』、『日本語学校は留学生たちからボッタクり、企業は“奴隷労働”を強いている。にもかかわらず、メディアは知らんぷりである』、というのも、これで「文明国」か、と思わせるような脱法・違法行為の放置である。メディアは、新聞配達という「恥部」に囚われるの余り、こうした状況を見て見ぬふりをするのでなく、本来の「社会の木鐸」としての役割を発揮してもらいたい。
タグ:ベトナム ロイター 実習生 日経ビジネスオンライン 現代ビジネス 安倍晋三首相 外国人労働者問題 (事実上の「移民解禁」論、太田市の現状、外国人労働者が絶望する「ニッポンのブラック工場」の実態) 事実上の「移民解禁」に議論百出は必至か? いよいよ始まる「外国人労働者受け入れ」論議 のままではなし崩し的に国内で働く外国人が増え、かつて移民政策で失敗したドイツと同じ轍を踏みかねない いわゆる移民政策はとりません 右派の人たちを中心に外国人受け入れに対するアレルギーが強いこともあり、慎重な言い回しを続けてきたわけだ 内閣官房に非公式のチームを作り、外国人受け入れ政策について調査 日本再興戦略改訂 2015 外国人受け入れに向けた方針 中長期的な外国人材受入れの在り方について、総合的かつ具体的な検討を進める 選挙での争点になることを恐れた菅義偉官房長官の指示で、今年の参議院議員選挙までは政府内で表立って議論しないこととされてきた。その禁がいよいよ解かれるわけだ 高度人材は受け入れていく方針を明確にしていたが、単純労働者の受け入れは原則として行わない姿勢を保ってきた 専門的・技術的分野の労働者 「技能実習制度」を導入、研修生として単純労働者を事実上受け入れる「便法」をとってきた 日系ブラジル人やペルー人に限って労働者として入国を認めたり、家族の呼び寄せを許すなど、実質的な移民に門戸を開いていた 日本語教育の不備や孤立といった問題 労働力確保に関する特命委員会 、「『共生の時代』に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方」 柱はこれまで単純労働とされてきた分野への外国人労働者の受け入れ解禁 初めから移住する目的だけを移民とごくごく小さく定義し、働く目的の在留資格を取って住めば移民ではない、という大胆な定義をしたのだ 在留期間は「当面5年間」 世界標準の定義に従えば、就労許可を得て1年以上住んでいれば、立派な移民である。事実上、安倍内閣は移民に道を開こうとしているわけだ。右派の批判をかわすために建前と本音を見事に使い分けているのだ 受け入れ体制について抜本的に見直す意向 海外での難民問題の影響もあり、反発の可能性も 太田市は外国人労働者の流入で変貌した 移民と地元住民の交流が希薄な街 厳しい仕事や不十分な市当局の手助けに疎外感を感じているとの声 外国人の国籍は63カ国 外国人比率は、全国平均のほぼ3倍だ 労働者の民族性が職場での序列に大きく影響 太田市の外国人たちと日本人住民との間にはほとんど交流がない 出井 康博 外国人労働者が絶望する「ニッポンのブラック工場」の実態 安すぎる給料、過酷な労働条件…」 日本で暮らす外国人の数は昨年1年間で約11万人増え、過去最高の約223万人に達した 増加した外国人の半分以上は「実習生」と「留学生」 実態は短期の出稼ぎ労働者 留学生にも、勉強よりも出稼ぎを目的とする者が多く含まれる 「実習生」や「留学生」と偽って、実質的には単純労働者が受け入れられているのだ コンビニや飲食チェーン店のような目につく職場だけではない。外国人頼みの現場は、むしろ私たちが普段、目にしない場所に数多く存在 私たちが当たり前のように考えているそんな“便利な生活”は、もはや低賃金・重労働に耐えて働く外国人の存在がなければ成り立たなくなっている。いや、彼らがいなくなれば、たちまち立ちゆかなくなる 日本は「夢の国」から「安い国」へと転落し、カネを“稼ぐ”ための場所から“使う”ための国へと変わった 代わって増えているのが、経済発展に乗り遅れた国の人々 ミャンマーやカンボジア 。“親日”の外国人が、日本で暮らすうち“反日”に変わっていくのである 自分たちを食いものにしてきた日本社会に対し、彼らの“復讐”が今まさに始まろうとしているのだ “奴隷労働”が支える新聞配達 出稼ぎ目的の留学生たちが置かれた状況のほうが、実習生よりもずっとひどい 日本で最底辺の仕事に就き、最も悲惨な暮らしを強いられている外国人は、出稼ぎ目的の“偽装留学生”たちだと 彼らを餌食にしているタチの悪い輩が存在する。日本語学校は留学生たちからボッタクり、企業は“奴隷労働”を強いている。にもかかわらず、メディアは知らんぷりである ベトナム人が支える新聞販売所
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