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天皇陛下生前退位問題 [国内政治]

今日は、天皇陛下生前退位問題 を取上げよう。

先ずは、ジャーナリストの田原総一朗氏が8月15日付け日経Bpnetに寄稿した「天皇陛下「生前退位」の真意」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽終戦の玉音放送と重なった天皇陛下のビデオメッセージ
・8月8日、天皇陛下はビデオメッセージで、国民に向けて「お気持ち」を表明した。 この中で「次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じています」と語られた。つまり、生前退位への強い思いを示されたのだ。
・太平洋戦争が終結した1945年8月15日、僕はラジオで、昭和天皇による玉音放送を聞いた。今回の天皇陛下の「お気持ち」の表明は、それに匹敵する重みを感じる。
・終戦が差し迫った当時、日本軍の幹部たちは本土決戦に備え、最後の一人となるまで戦うという「一億玉砕」を謳っていた。僕らも、否応なくその覚悟をしていた。 その中で、昭和天皇はポツダム宣言を受諾された。それは降伏を意味する。戦争を終わらせるということを、玉音放送で訴えられたのだ。  のちに判明したことだが、当時、一部の軍の幹部たちが宮中を占拠し、天皇陛下の生命までもが危ぶまれていたという。その状況下でも、昭和天皇は必死になって「戦争を終わらせる」という決意を表明されたのだ。 今回、天皇陛下の「お気持ち」を拝聴して、僕はそれと同じ思いを感じた。
▽保守・右派は生前退位に強く反対している
・天皇陛下が生前退位を望まれること自体、憲法第4条に違反すると指摘する人がいる。 生前退位をするには、皇室典範の改正が必要となる。だが、憲法第4条には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」と定められているため、皇室典範の改正を指示することはできない。天皇陛下が生前退位のご意向を示すことが法改正につながるのであれば、そのご意向がすなわち憲法第4条に抵触するのではないかとの声があったのだ。 そういった点を考慮して、天皇陛下はビデオメッセージで「私が個人として、これまでに考えて来たことを話したい」という言い方をされた。
・特に保守・右派は、生前退位への反対が強い。天皇制を支えているのは終身在位であり、生前退位などあり得ないという言い分だ。  大日本帝国憲法(明治憲法)以前には生前退位が認められていたが、それが時の権力者に利用されたり、政治的混乱を招いたりした。かつて、生前退位をした天皇は「上皇」や「法皇」を名乗り、院政によって天皇を操ったという歴史もある。また一方で、時の権力者が天皇の意見や姿勢が合わないという理由で、天皇の意思に反して譲位を強要することもあった。  こうしたことから、明治憲法と同時に制定された皇室典範で終身天皇制が定められた。その皇室典範の規定は第二次大戦後に日本国憲法が制定された際も、そのまま新しい皇室典範に引き継がれた。
▽なぜリスクを冒してまでメッセージを伝えたのか
・今回、天皇陛下が「お気持ち」を表明されたことは、憲法違反にならない配慮の言葉を示しながらも、ギリギリ国政に関わっているとも言える。 なぜ、そのようなリスクを冒してまで、異例とも言えるメッセージを国民に向けて伝えられたのだろうか。
・それは、天皇陛下が平和に対する強い思いを抱いていらっしゃるからだ。天皇陛下がこれまで行われてきた「慰霊の旅」からも、そのお気持ちが窺える。 例えば、天皇皇后両陛下は、激戦地である沖縄へ何度も訪問されている。戦後60周年にサイパン、70周年にはパラオへ慰霊の旅をされた。  僕は、これは昭和天皇が、当時皇太子であった天皇陛下に、戦争というものがいかに残酷なものかを説き、それに対する思いを率直に話されたのではないのかと思う。 だからこそ天皇陛下は、昭和天皇の時代に起こった太平洋戦争で多くの犠牲者が出た激戦地をまわり、慰霊をしているのだろう。
▽天皇陛下がとれるギリギリの行為
・天皇陛下は、ことあるごとに「今の平和憲法を守る」という姿勢を強く示されている。 今回のビデオメッセージにおいても、「日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方」「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくこと」「天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たす」「天皇という象徴の立場への理解」「天皇の象徴的行為として」「国事行為や、その象徴としての行為」「象徴天皇の務め」というように、日本国憲法で天皇の地位として定められた「象徴」という言葉を何度も使って、今の憲法を大切に思うお気持ちを伝えられたのだと思う。
・天皇陛下は現在82歳というご高齢で、それに伴う身体の衰えによって、これまでのように強い気持ちを持たないとできなかった、憲法を守るためのギリギリの行為が危ぶまれることを恐れていらっしゃるのかもしれない。
・天皇陛下の生前退位について、保守・右派はほとんど例外なく強く反対している。  憲法改正を党是とする自民党も、今の憲法を大切にする天皇陛下の言動については快く思っていないだろう。安倍晋三首相は、天皇陛下のメッセージに対し「重く受け止める」とコメントしているが、ひとえに賛成とはいかないのではないかと思う。
▽皇室典範改正の先行で憲法改正議論は先送りに
・皇室典範改正に反対している人たちの中から、こんな声が出ている。皇室典範を改正しようとすれば、1年から1年半という時間がかかってしまう。そうなると、安倍首相がやろうとしている憲法改正ができなくなるのではないかというのだ。 もしかすると天皇陛下は、それを考慮されているのではないかと、保守・右派の中で主張する人たちがいる。
・確かに、自民党は改憲派、天皇陛下は護憲派と明らかに対立している。その立場を示すために、天皇陛下は第4条にギリギリ触れないようにして行動していらっしゃるとも感じるのだ。  もちろん、ご高齢であることや、身体の衰えということもあるだろう。ただ、僕はそういう天皇陛下の姿に、多くの国民が賛同していると感じる。その点について、政府は相当なためらいがあるのではないだろうか。
・保守・右派は、生前退位をされなくても、摂政を置けばいいのではないかと主張している。ところが、天皇陛下はビデオメッセージの中で、摂政をわざわざ取りあげて、これを柔らかく否定した。ここからも意見の対立が窺える。
▽海外へも広く伝えた強いメッセージ
・宮内庁は、今回の天皇陛下の「お気持ち」表明について、かなり計画的に進めてきたと感じる。きっかけは7月13日、NHKが夜7時のニュースで、「天皇陛下が生前退位の意向を宮内庁の関係者に示されていることが分かった」と報じたことだった。 あの時点で、今回のお気持ち表明まで、すべてのシナリオができあがっていたと思う。
・特筆すべきは、今回のお気持ちは、テレビで放送するのと同時に、外国メディアにもその内容を伝えているということだ。海外の大手メディアは、それをトップニュースとして報じた。 今回のメッセージはこうした海外の反応を見越したと思われる。これは、お気持ちの表明が、平和憲法を変えていこうとする保守・右派に対して、天皇陛下の思いを改めて強く示すというメッセージでもあったのではないだろうか。だから僕は、昭和天皇の玉音放送に匹敵する意味を持つと感じたのだ。
・終戦当時は軍に対する牽制だったが、今回は改憲勢力への牽制だ。それを生前退位というメッセージとともに伝えられたのではないか。
▽皇室典範の改正では女性天皇に対する議論も行うべき
・これから有識者会議を開いて議論したのちに、国会で皇室典範の改正を審議するという流れになるだろう。 僕は、どうせ皇室典範の改正をするならば、次の三つのことも実現して欲しいと思う。それは生前退位を認めること、女性天皇を認めること、女性宮家を認めることだ。
・議論は生前退位に留まらないだろう。皇室典範を変えるなら、今巻き起こっている「女性天皇」論議も考慮すべきだ。もしかすると、今回の天皇陛下のメッセージは、そこも視野に入れられているのかもしれない。  今後は日本国憲法を守るという天皇陛下の強い思いを汲みながら、皇室の在り方に対する議論が深まればと思う。
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/100463/081200078/?P=1

次に、8月30日付け週刊エコノミスト「特集:天皇と憲法」の「第1部 天皇」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽“人間天皇”の重い決断、三たび問われる安倍政権(天皇陛下が8月8日、11分、1800字の異例のビデオメッセージを公表した。  「私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました」
・法律には「象徴」として何を務めなければいけないかは定められていない。陛下自身が「憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました」と語る。本来象徴のあり方を考えるべき国民がそれを放棄し、無責任に押し付けてきたというのが実情だろう。
・その陛下が高齢に伴う身体の衰えを考え「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じて」望んでいるのが「生前退位」による皇位継承であり、気にかけているのが「皇室の将来」であることはメッセージから明らかだ。「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」ている。
・この陛下の思いを、政府の代表として受け止めなければならないのが安倍晋三首相である。だが、陛下と安倍首相が皇室の将来について軌を一にしているとはとても思えない。 7月13日にNHKが初めて生前退位のご意向を報じたとき、「安倍首相は心から驚いたようだった。改憲スケジュールが狂う可能性もある」と、首相と付き合いが長い経済ブレーンは証言する。直前の参院選で、いわゆる「改憲勢力」が3分の2を超える議席を獲得したばかりだったからだ。生前退位の実現には憲法や皇室典範の検討が必要で、短期間で決着できる問題ではない。
・そもそも、皇位継承をどうやって安定的に維持するかは長年の課題で、女系天皇と女性宮家が検討されたが、議論は先送りされている。安倍首相は「女系天皇」に反対の立場だ。自民党が野党時代の12年に月刊誌で、旧宮家の子孫(男系男子)の皇籍復帰を主張。「占領体制からの復帰という観点から特別立法の制定で、皇族たるにふさわしい方々に復帰していただく」と提案した。
・05年に小泉純一郎政権が女性・女系天皇を容認する報告書をまとめたが、06年に秋篠宮ご夫妻に悠仁さまが誕生したことで議論は下火になった。このときが第1次安倍政権。また12年には野田佳彦政権で、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」創設を柱とする論点をまとめたものの、12年12月の第2次安倍政権誕生後、議論が立ち消えになっている。
・陛下は今回のおことばを「『憲法違反』と批判される覚悟を持って発した」(宮内庁関係者)とされる。一方、早くも「政府は現在の陛下に限る特例として退位できる特別法の制定を軸に検討を始めた」と報道されるようになっている。だが、皇室典範改正に踏み込まなければ「安定的」とはほど遠い。
・米国の歴史家で、日本人の戦後の歩みを描いてピュリツァー賞を受賞した『敗北を抱きしめて』の著者、ジョン・ダワー氏は、生前退位のご意向について、「私は天皇陛下を尊敬している。生前退位の行く末がどうなるのか、近代になかったことでもあり予想しにくいが、陛下が心配だ」と編集部の取材に答えた。
・陛下は「国民の理解を得られることを、切に願っています」と結んだ。憲法が定める象徴天皇とは何か。主権者である日本国民として真剣に考えなければならない。(了)
http://www.weekly-economist.com/2016/08/30/特集-天皇と憲法-2016年8月30日特大号/

第三に、九州大学法学部教授の南野森氏が、8月23日付けYahooニュースのインタビューに答えた記事「生前退位に憲法改正は必要ない」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・日本テレビは昨日(2016年8月22日)、内閣法制局などが、天皇の生前退位を制度化するためには憲法改正が必要であると指摘していると報道した。同社のニュースサイトに掲載されたニュース原稿の全文はつぎの通りである。(省略)
・ちなみに、生前退位を可能とするために改憲が必要であるとする説(「改憲必要説」と呼ぼう)をメディアが採用するのはこれが初めてではない。8月6日・7日に実施された、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査においても、 現在の皇室制度では、天皇が生前に退位し、天皇の位を皇太子に譲る「生前退位」の規定がありません。生前退位について、あなたは、政府がどのように対応すべきだと思いますか。次の中から、あなたのお考えに近いものを1つ選び、お知らせください。  という質問(第13問)のつぎに、第14問として、 今後、天皇の「生前退位」が可能となるように、憲法を改正してもよいと思いますか、思いませんか。 という質問があった(→政治に関するFNN世論調査)。
・日本テレビの報道にせよ、産経=フジTVの世論調査にせよ、共通するのは、生前退位を(制度的に)可能とするためには、皇室典範の改正では足りず、憲法改正が必要になるという考えである。
・しかし、このような考え(改憲必要説)は、憲法学界の通説的見解とも、日本政府がこれまで示してきた見解(政府見解)とも異なる。学説も、政府見解も、いずれも、生前退位の制度化のためには憲法改正は不要であるとしてきたのである。つまり、「改憲不要説」が通説である。
▽生前退位をめぐる憲法と皇室典範の関係
・日本国憲法第2条は、皇位継承についてつぎのように定める。 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。 ちなみに、大日本帝国憲法第2条では、つぎのように定められていた。 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス
・両憲法の規定を比較すれば明らかであるが、旧憲法では皇位継承資格者を「皇男子孫」に限定し、いわゆる女帝を憲法上否定していたのに対し、現憲法ではそのような限定がない。代わりに、皇位継承についての憲法上の条件として定められているのは、「世襲」であることのみである。つまり皇位を継承するためには(嫡系の)子孫でありさえすればよく、それ以外の条件(子孫のうち女子は継承できるのか、継承順位をどうするか、そしてどのような場合に皇位継承が生じるのか、等々)については、現憲法では、「国会の議決した皇室典範」の定めにすべて委ねられているわけである。
・そしてこれをうけて皇室典範の第4条が、皇位継承が生じる原因を、つぎのように定めている。 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。 皇室典範はこれ以外の皇位継承原因を定めておらず、したがって、皇位継承の原因は天皇の死去のみであり、いわゆる生前退位は認められないということになるのである。
・以上の説明から明らかなように、生前退位を制度化するためには、皇室典範を改正すればよく、日本国憲法を改正する必要はない。なお、「皇室典範」とは変わった名称であるが、これは旧憲法時代の旧皇室典範の名前を受け継いだだけで、その実質は、旧憲法時代のものとは異なり、日本国憲法第2条がわざわざ「国会の議決した」と述べるように、たんなる法律である。したがって、通常の法律と同じ手続で、通常の法律と同じように改正することができる。
・ここまで述べてきたことは、憲法学界の標準的な考え方(通説的見解)であるが、これは、日本政府がこれまでに表明してきた見解(政府見解)でもあった。
▽生前退位をめぐる政府見解
・生前退位を認めるために憲法改正は不要であるという「改憲不要説」は、国会でくりかえし、政府によって表明されてきた。  たとえば、1971(昭和46)年3月10日の衆議院内閣委員会の議事録を紹介しよう。ときは第3次佐藤栄作内閣である。民社党の当選10回の大ベテラン、受田新吉議員の質問に対する、後に最高裁判事をも務めることになる、高辻正巳内閣法制局長官の答弁がそれである。
・受田議員:「(前略)要するに皇室典範は、天皇が崩じたるときは、皇嗣があとをつがれるとなっていて、天皇は一生涯その任にあられるわけです。そうなっておる。したがって退位論ということになると、これは皇室典範の規定の『天皇が崩じた』ところを改めるということで、一応法律論として済むのではないかと私は思うのですけれども、憲法の規定は世襲のところを別に改める必要はない。憲法問題ではなくして、憲法の委任を受けた皇室典範の改正ということで済めば国会でいつでもこれが扱われるという立場であると思うのです。そのことはあなたとしてまた、別途法律論としては異論があれば異論を言っていただきたい(後略)。」
・高辻長官:「(前略)天皇の御退位についての法律上の問題点の御指摘がございましたが、これは簡単に申せば仰せのとおりだと思います。憲法の第2条の、皇位は『国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。』という規定を受けまして皇室典範があって、これも御指摘のとおり第4条『天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。』ということで、退位の御自由がないというのが現行の憲法及び法律のたてまえであります。したがって、概していえば仰せのとおりということがいえると思います。」  (国会会議録検索システム)(この後の例示は省略)
・以上から明らかなように、日本政府の見解は、憲法学界の通説と同様、生前退位の制度化のためには憲法改正は必要なく、皇室典範の改正で足りるとする、「改憲不要説」なのである。
・なのになぜ、今回、日本テレビは、「政府関係者によると」、「内閣法制局など」が改憲必要説を指摘していると突然報道したのだろうか。不正確・不十分な報道(誤報?)なのか、それとも何か政治的意図があるのか、あるいはほんとうに内閣法制局が、過去の政府答弁にも憲法学界の通説にも反してそのような主張をしているのか(だとしたらそれは何故なのか)、現在の私には知る由もない。この点については、生前退位という論点そのものをめぐる議論とともに、今後の報道や(9月から始まるはずの臨時)国会での議論に注目したいと思う。
・なお、生前退位と憲法をめぐる論点、とくに生前退位をどう制度化するべきかについては、言うまでもなくさまざまな議論がありうるし、私も必要に応じて今後論じていきたいとは思う。本稿は、それらの議論に立ち入るものではもちろんなく、ただ改憲必要説が内閣法制局などから主張されているという報道に接して、それはこれまでの政府見解とも学説とも異なるものである、ということを指摘するに留まるものである。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/minaminoshigeru/20160823-00061405/

第四に、ジャーナリストの歳川 隆雄氏が8月27日付け現代ビジネスに寄稿した「なんたる策士!二階幹事長「女性天皇容認」発言のウラ側 安倍首相はなんと答えるのか…」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽二階幹事長の発言は私が引き出した
・8月26日の新聞各紙(朝刊)は、扱いに差があったものの、自民党の二階俊博幹事長がBS朝日の番組収録で女性天皇即位を容認すると、述べたと報じた。 各紙の見出しを紹介する。『読売新聞』:「『女性天皇認めるべきだ』―二階幹事長、TV番組収録で」、『朝日新聞』:「女性 天皇二階氏が容認論―『国民に違和感ない』」、『産経新聞』:「二階氏、女性天皇を容認―自民幹部初『国民に違和感ない』」――というものだった。
・手前味噌だが、この二階発言は筆者が引き出した。田原総一朗氏が司会を務めるBS朝日の「激論!クロスファイア」(毎週土曜日午前10時)の収録は25日午後行われた。ゲストが二階幹事長、筆者はコメンテーターを仰せつかった。
・万般たる自信の二階幹事長に対して、例の如く鋭く田原氏が切り込んだ。中国の南シナ海における海上覇権行動、東シナ海・尖閣諸島での領海侵犯問題、さらに日中首脳会談の可能性、そして天皇陛下の生前退位のご意向と8月8日に発表された「お気持ち」表明などについて。 そして筆者は、田原氏から各問題についてのコメントを求められただけでなく、二階幹事長にも幾つか質問する機会を得た。
・関心を呼んだ「二階発言」は、以下のような経緯の中で飛び出した。天皇の「お気持ち」全文の最終パラグラフに注目していた筆者は、二階幹事長の見立てを尋ねたのだ。 おさらいのつもりで先ずは、当該のパラグラフを紹介しておく。 「憲法の下、天皇は国政に関する権能を有していません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的につづいていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。」
・筆者の質問は次のようなものだった。 「ジャーナリストである私は、その性は誰も同じだと思いますが、この最終パラグラフを繰り返し精読してみますと、その行間から、天皇、皇后両陛下が女性・女系天皇の即位容認と女性宮家の創設を求めておられると、読めるのです。 そうだとすれば、安倍(晋三)総理は、2005年1月に発足した皇室典範改正に関する有識者会議が17回の会合を経てまとめた報告書にあった提言、安倍総理は当時、幹事長代理から官房長官に就任されたのですが、即ち女性・女系天皇の即位と女性宮家設置に強く反対されていました。 二階幹事長はこの点についてどう思われますか?」
▽刷り合わせ済みでの発言か
・その答えが「女性天皇容認」であった。番組収録後、二階幹事長は平河クラブの番記者の囲み取材に「女性がこれだけ各界で活躍しているところで、皇室、天皇だけが女性が適当でないというのは通らないと思う」と述べている(『産経新聞』26日付朝刊)。 自民党総裁である安倍首相の主張とは真逆の「二階発言」――。秋の臨時国会召集を控えたこのタイミングでの発言を、いかに解釈すればいいのだろうか。
・衆参院憲法審査会で憲法改正をめぐる与野党論議が始まる。一方で、天皇陛下の生前退位実現には、皇室典範改正は時間がかかり過ぎるので特別立法によるしかない。と同時に、1日も早く2005年同様に有識者会議を立ち上げる必要がある。
・まさにこうしたデリケートな時期の二階幹事長の発言であっただけに、その真意を探らなければならない。以下は、もちろん推測である。 二階氏は田原氏の番組であることを念頭に、当然にも天皇陛下の「お気持ち」表明について、さらに女性・女系天皇と女性宮家問題についても質問されることを承知の上で番組収録に臨んだはずだ。さらに言えば、事前に安倍首相と菅義偉官房長官とその回答についての刷り合わせを行っていたに違いない。
・各社の世論調査を見ても分かるように、天皇陛下の生前退位に対して国民の賛同がこれほど高い中で、今後の皇室典範改正問題をめぐる論議の中で「女性天皇」容認の是非も俎上に載せられるのは不可避との認識から飛び出した「二階発言」ではなかったのか。 いわゆる「ガス抜き」である。たとえそうだとしても、政権与党の幹事長の発言は重い。9月16日の予定される臨時国会では、新たな経済対策を盛り込んだ約3兆3000億円の16年度第2次補正予算案やTPP承認案をめぐる与野党審議が行われるが、この「女性天皇容認」問題も言及されるはずだ。安倍首相答弁に関心が集るのは間違いない。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49551

田原氏は、今回のビデオメッセージを『終戦の玉音放送に匹敵する』と位置づけた。確かに、沖縄、サイパン、パラオなどへの精力的な訪問には、『平和に対する強い思いを抱いていらっしゃる』、ことを裏付けるものだ。『自民党は改憲派、天皇陛下は護憲派と明らかに対立している。その立場を示すために、天皇陛下は第4条にギリギリ触れないようにして行動していらっしゃるとも感じるのだ』、というのはその通りなのだろう。しかもそれを、海外にまで広く伝えたとは、極めて巧みだ。『皇室典範の改正では女性天皇に対する議論も行うべき』、との田原氏の指摘には諸手を挙げて賛成だ。
エコノミストによれば、安部首相は「女系天皇」に実質的に3回も反対の立場をとってきたようだ。この問題の長期化で憲法改正論議が遅れることを回避すべく、皇室典範改正もせず、特別立法で「お茶を濁す」ことも検討しているようだ。
南野教授の日本テレビ報道についての反論は、さすがに専門的で深い。幸い、他のメディアはこれに追随せず、日本テレビの一人相撲に終わったようだ。内閣法制局は、安保法制論議のなかで、安部首相は長官をイエスマンに入れ替えた部署であるとはいっても、さすがに天皇制の問題でこれまでの見解を表立って変更するには至らず、日本テレビだけに観測気球を上げただけだったのかも知れない。それにしても、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査も酷い世論誘導だ。産経の体質が表れているのだろう。
歳川氏は、二階発言を引き出した張本人だけに、注目して読んだが、遠慮があるためか、あと1つハッキリしない。『事前に安倍首相と菅義偉官房長官とその回答についての刷り合わせを行っていたに違いない・・・いわゆる「ガス抜き」である』、での「ガス抜き」とは、女系天皇も含め検討するフリをした上で、結局は反対論も強いので、今回は特別立法で「お茶を濁す」という意味だろうか。とすると、二階氏は記事見出し通りの「なんたる策士!」の面目躍如といえよう。
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