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中国経済(その3)続出するゴーストタウン、バブル肥大の残酷な真相、推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 [世界経済]

中国経済については、昨年12月17日に取上げたが、今日は、(その3)続出するゴーストタウン、バブル肥大の残酷な真相、推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷 である。

先ずは、中国出身の作家・ジャーナリストの莫 邦富氏が8月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国でゴーストタウン続出、無謀な開発が止まらない実態」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・いまから5年前のことになる。2011年夏、シルクロード沿線を訪問した私は、中国西部の甘粛省の首都蘭州市で、当時開発中だった「蘭州新城」といわれる大規模土地開発の現場を視察した。
・そこで現場幹部が披露した開発プランを見て呆れてしまい、30分も経たずに現場を離れた。降水量が非常に少ない蘭州に、杭州の西湖のような湖を造成して世界中の企業を誘致したいという紹介を聞かされたからだ。
・さらに2年が経った2013年、中国は水増しのGDPは要らないと公式に宣言した習近平時代になった。その蘭州新城の開発現場を暴露する報道がどっと溢れ出た。このコラムでは、その記事の一部を読者に紹介した。詳しくは「習政権の経済運営方針を反映する中国西部・蘭州新城開発のストップ」をご参照されたい。  経済が低迷しているいま、中国はゾンビ企業を問題にしている。この蘭州新城(現在は蘭州新区となっている)も、ある意味ではゾンビ企業のような存在となっている。最近の中国の報道をまとめてここでお伝えしたい。
▽ゴーストタウン化する高層ニュータウン
・蘭州中川空港の西南方向にある中川大道は、蘭州新区で最もにぎやかなエリアである。2階建ての建物が連なる商店街は伝統的な地方の自由市場のような趣である。だが、この通りをはずれると、新区の夜は明かりのない真っ暗な高層住宅が立ち並び、ひっそりとしている。
・4年前、秦王川に位置する蘭州新区が正式に承認され、中国で5番目の国家級新区となり、狭い蘭州が外側に拡大発展する使命を担った。 新区の概念、素晴らしい計画、安い土地がデベロッパーを引きつけ、緑地・碧桂園・龍林・亜太など多くの開発業者がもとは田畑だった秦王川の3つの鎮(町)を瞬く間に高層マンションが立ち並ぶニュータウンに変えた。
・それから4年後、ここは相変わらず土地はあるが人影はまばらで、空き家のままの建物がブラックホールのように蘭州新区の未来を飲みこんでいるように見える。 蘭州新区のマンション価格は1平方メートルあたり4000元(約6万1000円)前後で、蘭州市内と比べると5割近く安いという。だがそれでも新区はやはりマンション購入者を引きつけることができない。 市街地から離れていて不便、というのが蘭州市民の新区に対する第一印象である。都市間鉄道が開通したがそれでも50分ほどかかり、計画中の地下鉄5号線が新区に通じる予定だが具体的な着工時期は未定だ。
・蘭州新区の広々とした道路を車で走ると、通行人はほとんど見かけない。まるで巨大な工事現場のように、内部が空っぽのマンションやタワークレーンが到るところに見られ、削られた小山が岩肌をむき出しにし、路傍には建築ゴミが積まれている。夜になると、立退き者用住宅である彩虹城と蘭石集団の従業員用住宅以外、大部分のマンションは真っ暗である。
▽工業生産額は当初予想の10分の1
・新区で指折りの有名デベロッパーである碧桂園は、城市花園という開発プロジェクトを手掛けたが、現在引くに引けない状況にある。城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割である。
・地元の開発業者はさらに厳しい状況で、新区で販売されている住宅の大部分で販売率が3割前後である。遠東錦繍華府のように、価格が1平方メートルあたり2400元(約3万6000円)で、全634戸のうち36戸しか売れていないところも現れた。価格が1平方メートルあたり8600元(約13万1000円)の朱雀湖別墅はなんと販売数ゼロである。
・蘭州新区の今年3月末の統計によれば、新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートルだという。 低迷する住宅市場は不動産業者に多大な資金的圧力をもたらしている。工事の中止も珍しいことではない。すでに撤退した企業も出ている。
・蘭州新区管理委員会関係者が語ったところによると、今後アウトレットなどの複合商業施設が続々と開業予定だが、こうしたプロジェクトもまた同じような運命をたどる可能性があるという。
・「蘭州新区産業発展計画」によれば、2015年までの蘭州新区の工業固定資産投資の累計額は800億元(約1兆2200億円)、工業総生産額は2015年には1200億元(約1兆8200億円)に達するというものだった。だが、2014年に蘭州新区が実現した工業総生産額は105.94億元(約1600億円)で、計画の10分の1に満たない。
▽2014年以降、乱立した国家級経済開発新区
・現在、蘭州新区にある企業のほとんどが従来型の製造業で、関係者は「蘭州新区の企業誘致のためのデータが素晴らしくても、実際に着工に到るものは少ない」と嘆く。新区への移転が決まった蘭州石化公司も足踏み状態にある。 計画によれば、2020年までに蘭州新区の都市人口は60万人、2030年までには100万人となる予定である。2014年10月31日の時点で、蘭州新区の総人口は15万人、流入人口は2万2000人台にとどまっている。蘭州新区は全国に17ある国家級新区のなかで最も人口の少ない新区となっている。
・その局面を打破するために、2013年より蘭州市共産党委員会、市政府機関、一部の市直属部門など計16のセクションと700名近い職員が正式に蘭州新区に移った。だが莫大な行政コストがかかるため、いったんは新区に移転した機関がまた続々と蘭州市内に戻りつつある。
・蘭州新区が直面している現状は、この地域に限ったことではない。 1992年から2013年までの22年間で承認された国家級経済開発新区は6つだが、2014年以降の2年間で11もの国家級経済開発新区が承認されている。2015年の全国17の国家級新区ランキングのうち、第1位の濱海新区(天津市)のGDPは最下位の貴安新区(貴州省貴陽市)の155倍であった。一部の新区、特に中西部では売れ残り物件の山を抱えてゴーストタウンと化している。蘭州新区はまさにその後者に属している。
・経済発展の原理を無視した蘭州新区のような無謀な開発は、もはやこれ以上続けられなくなっている。その巨大な損失の穴埋めは誰が負担するのだろうか?
http://diamond.jp/articles/-/99173

次に、在北京ジャーナリストの陳言氏が8月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国経済、実業低迷・バブル肥大の残酷な真相」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・あらためて上海の繁栄ぶりを証明する最新データが公表された。上海の財政局によると、今年上半期の一般公共予算収入は4196億元(約6兆3000億円)で、前年同期比で30.6%も激増しているという。 この30.6%という数値は何を意味しているのか?今年上半期、全中国の財政収入増加率は前年同期比でわずか7.1%と低調で、中でも遼寧省は同増加率がマイナス18.6%と低迷している。つまり、今年上半期は中国にある都市の大半が、財政収入の面で伸び悩んでおり、特に東北、北西の各地方ではマイナスが際立っている。
・少数ながら大きな増加を維持している主要都市もあるが、せいぜい15%前後で、上海同様に24.4%という顕著な増加を見せているのは深センだけである。とはいえ、上海の財政収入総額が深センの2倍以上であることを考慮すると、やはり上海市政府の資金吸引力が全国でトップということになる。
▽喜べない上海の財政収入の増加
・問題は上海がどうやってそれを成し遂げたかということだ。 GDP成長率において、上海はここ数年間ずっと四つの一級都市(北京、天津、上海、重慶)の中で最下位だっただけでなく、全国の大半の都市よりも低かった。 人口増加率においても、珍しいことに上海は昨年マイナスに転じるという現象が見られた。
・一定規模以上の工業企業においては、総生産額と総利益がいずれもマイナスで、今年の1月から5月まで、6つの主要な工業分野のうち鋼材製造、設備製造、自動車製造、電子機器製造はいずれも後退し、石油化学とバイオ医薬だけが若干増加した。第2次産業の業績がこれほど悪いのは、4つの一級都市の中で上海だけであった。 経済を牽引する3つの原動力を見ると、今年の1月から5月まで上海の輸出入増加率はマイナスで、固定資産投資増加率は8.0%(工業投資はマイナス)、そして小売総額の増加率は7.1%だった。まさに「可もなく不可もなし」という表現がよく似合う状況だ。
・上海はどうやって財政収入の激増を達成することができたのか?その答えは、上海の経済構造から見出すことができる。すでに定着している印象として、上海は中国で最大の工業都市と見なされているが、今日の上海経済において工業が占める割合は今や3分の1以下で、サービス業が全体の3分の2以上(67.8%)を占めている。また財政収入の構造から見ると、上海の経済力に対するサービス業の貢献度はすでに80%を上回っている。
・では、その上海のサービス業界で納税力が最も高いのはどの業種なのか。それは、金融業と不動産業である。上海市の公式サイトに掲載されたデータによると、不動産、卸売・小売、金融、ビジネスサービス、交通・運輸という五つの業種だけで、地方財政収入全体の60%以上を占めている。
・それゆえ、一般の人々からすれば今日の上海経済は、鋼鉄や自動車、設備製造などの従来型産業が不振にあえいでいる一方で、金融と不動産が大盛況といういわゆる「氷火両重天(両極端のものが混在する)」の状態にある。 昨年、上海の金融業における付加価値額は4052億2300万元に達し、前年比で22.9%も増加した。 昨年、上海金融市場の取引総額は1463兆元に達し、前年の2倍と激増、証券市場の株式取引額は世界第2位となった。 昨年末から今年上半期までに、上海の住宅価格上昇率は深センを抜いて全国でトップとなった。今年上半期、上海の不動産投資額は工業投資とインフラ投資を足した額の2倍を上回り、固定資産投資総額の62%を占めている。
・明らかに、上海の財政収入の激増は深センと同様、金融市場と不動産市場における盛んな取引に依存したものであり、現地の実体経済はいかなる貢献もしていない。北京、広州、杭州などの主要都市には証券取引所がない上に、巨額の資金を呼び寄せる投機的な不動産市場もないため、当然ながら財政収入の増加において上海と深センには遠く及ばない。
▽元気があるのは金融と不動産だけ
・上海とは対照的に、深センにはとにもかくにも安定かつ程よく成長している実体経済があり、特に先端製造業は好調を維持している。それゆえ、上海経済のバーチャル化はとりわけ顕著だ。上海はすでに上海人のための上海ではなく、全国ひいては世界中の資本のための上海となっている。 同市で大盛況の金融と不動産は、もはや現地の経済と住民にとってあまり縁のないものとなっているばかりか、全国的なバブル経済の影を感じさせる。これこそ、中国経済の最も華やかかつ最も非現実的な一面だ。
・この点において、上海経済はいわば中国経済の現状をそのまま反映した縮図である。米国の経済誌『フォーチュン』に掲載されたデータによると、中国の上位企業500社(営業収入で判定)の中で、最も収入の高い上位40社のうち、24社は金融業界の企業となっている。 これらの金融企業の規模は他者を寄せ付けないばかりか、財務指標においても優位を保っている。商業銀行の純利益だけで、これら500社中の黒字企業の44.3%を占めている。そして、最も赤字を計上している企業53社のうち、IT企業3社以外はみな従来型産業の業界に属しており、特に鉄鋼とエネルギー業界の企業が多い。
・実体経済の深刻な不振とバーチャル経済の活況は、全国的な状況と上海の現状に見られる驚くべき一致である。中国経済に関して、『フォーチュン』誌は次のような懸念を示している。「金融業の大盛況は、中国経済のモデルチェンジおよびグレードアップによる必然的な現象である一方で、もし金融業の発展と実体経済との乖離があまりに大きくなれば、資金の空回りが引き起こす経済バブルが国家の持続的な発展を脅かす恐れがある。バブルを引き起こした1980年代の日本を教訓とするべきだ」。
・上海と深センの財政収入の激増、そして不動産市場の大盛況は、政府や金融・不動産投資家に手厚い利益をもたらしたとはいえ、その代償として全国的な金融バブルとその崩壊を招くかもしれない。しかし、その代償を負うのはバブルから利益を手にする者たちではなく、バブルに苦しめられる一般中国市民たちなのだ。
▽注目される東北特殊鋼のデフォルト
・最近、東北特殊鋼グループ(本社・大連)のデフォルト(債務不履行)問題が、債券市場および金融市場全体の一大事になっている。今回のデフォルトは、地方の国有企業のデフォルトの先駆けというだけではなく、空前の規模だということだ。 2016年3月28日から4ヵ月の間に東北特鋼関連のデフォルトは7件あり、金額は47.7億元(約700億円)に及ぶ。東北特鋼が債権者に対して債務を株式に転換する「債務株式化」をしないと約束して、まだ1ヵ月余しかたっていないが、同特鋼は再び、一方的に「債務株式化」を通じて苦境脱出を計画し始め、市場に恐慌を引き起こしている。
・東北特鋼のデフォルトは、債券市場の持続的なデフォルト発生という大きな背景の下で発生した。これまで、中国における債券デフォルトの発生率は概ね低かった。しかし、生産能力過剰企業の製品需要が急速に低下し、加えて国有企業の改革を強化するために、政府当局は多数の「ゾンビ企業」の閉鎖に力を入れ、デフォルトはますます当たり前の行為になってきた。統計によると、今年上半期、国内非金融系企業のデフォルトは30件発生し、昨年の全件数を上回った。
・地方の国有企業のデフォルトが極めて危険なのは、それが工業部門の債務問題を金融システムに伝染させるからだ。すでに中国の金融システムにおける不良債権問題は、非常に深刻化している。工業企業、金融企業と投資家の間でいかにリスク分担をするかが、かなり緊迫した問題になっている。こうした背景の下で、いかにして東北特鋼問題を処理するかは、他の債券デフォルト処理に対するモデルとなろう。
・東北特鋼のデフォルト問題をどのような状況下で処理できるのかということが、問題解決の鍵である。まず、破産による清算は論外だろう。遼寧省の数少ない中核企業として、破産に踏み切ると、東北地区に国有企業破産の潮流と職工失業の潮流を作りだしてしまい、さらに社会不安を引き起こすことにもなり、中央政府、遼寧省政府ともにこの手法を採るのは明らかに不可能である。
・東北特鋼について言えば、最も現実的で、最も頼りになる解決策は、やはり債務の株式化である。 しかし、債務株式化は東北特鋼の債券所有者の猛反対にあっている。債券所有者は地方政府の介入を求め、東北特鋼の代わりに債務の大部分を返済するよう求めているが、実際には全く現実的ではなく、地方政府がこの要求をのむわけがない。
・表面上、中国の金融、不動産業は、収益がたいへん高いが、実業経済の衰退が続く中で、果たしてこの金融、不動産の景気は維持されるだろうか。国の投資以外に、民間の投資がめっきりと衰退していき、国営企業の改革はほとんど進まず、また道路、教育、病院、介護などの成長分野では、国営企業の独占を少しも緩和しないままでは、金融、不動産業の収益の減退も、目前に迫っているように思われる。
http://diamond.jp/articles/-/99170

第三に、9月6日付けダイヤモンド・オンライン「中国の推定不良債権「公式統計の10倍」の薄氷」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・今年に入り、中国では社債市場のデフォルト(債務不履行)が急増し、金融不安が高まっている。日本総研の試算によれば、推定不良債権は公式統計の10倍に達する。昨年来、小規模な取り付け騒ぎも発生している。金融危機かはたまた問題先送りによる長期停滞か。中国経済の綱渡りが続く。(「週刊ダイヤモンド」編集部原 英次郎)
・この数年にわたり、中国の不良債権問題はいつ爆発するか分からない時限爆弾として、最大の懸念材料となってきた。最近の焦点は、債券(社債)市場におけるデフォルト(債務不履行)の増加。日本総合研究所の関辰一副主任研究員によれば「デフォルトの件数は、前年の倍の勢いで増えている」。 このため金融システム不安にまでつながるのではとの懸念も高まっている。背景には、中国の不良債権の全体像が不透明であるという根本的な問題が潜む。関氏の推計によれば、潜在不良債権比率は公式統計の5倍、不良債権の規模は公式統計の10倍にも達する。
・この数年、中国では企業債務残高が急膨張している。2015年末の非金融企業の債務残高は約115.5兆元(15年の平均レート1元=19.4円換算で約2241兆円)で、わずか7年間で3.7倍に膨らんだ。対GDP(国内総生産)比で見ると、170%にも達し、日本のバブル期をも上回る(図参照)。
・このうち潜在的な不良債権はどうなっているのか。関氏は広義の営業キャッシュフローであるEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)が、支払利息を下回っている企業の借入金を不良債権と定義して、潜在不良債権比率を推計している。 借入金および支払利息のある上場企業2327社について試算したのが、下表である。15年末で「潜在的に危険な企業」数は223社あり、その借入金の合計は7367億元。2327社の借入金総額8兆5499億元に対する比率は8.6%となる。中国の金融当局、中国銀行業監督管理委員会によれば、同時期の不良債権比率は1.7%となっているから、その5倍に達する水準だ。
・問題はこれにとどまらない。公式統計にはオフバランス(簿外)の融資、いわゆるシャドーバンキングが含まれていないからだ。シャドーバンキングとは銀行融資以外のルートで、資金を仲介することを指す。中小の不動産業の主な資金源にもなっている。 関氏によれば、銀行の理財商品と委託融資、信託会社の信託融資の三つを合わせたシャドーバンキングの合計は、15年末で49.1兆元になる。これに銀行のオンバランスの融資95.8兆元を加えると、与信総額は144.9兆元。8.6%が不良債権と仮定すると、その残高は約12.5兆元となり、公式統計1.3兆元の10倍、GDPの18.5%にも達する。
▽金融危機か先送りかそれとも外科手術 綱渡りの対応が続く
・今後、不良債権問題には、三つのシナリオが考えられるだろう。 第1が最も悲観的なシナリオ。金融危機が発生し、その結果、金融機関の企業に対する貸し渋り、貸し剥がしが発生して、景気後退に陥る。昨年来、すでに小規模な金融機関の破綻や取り付け騒ぎも発生している。
・第2が外科手術。政府が主導して一気に不良債権を損失処理し、公的資金を投入して損失を穴埋めすると同時に、業績不振企業の淘汰・再編成という構造改革を進める。この場合、一時的に景気は大きく後退し、失業者も増えるが、その後の回復は早いだろう。 ただし、推定不良債権12.5兆元に対して、15年末の銀行の貸倒引当金はわずか2.3兆元で、その差は10.2兆元もある。これに対して、15年の中央政府の財政収入は6.9兆元、地方政府は8.3兆元。不良債権の財政収入に対する規模は大きい。
・第3が先送り戦略。追加融資をしながら企業を延命させつつ、景気回復によって不良債権を減らしていくという戦略だ。
・実現性の高いシナリオは順に第3→第1→第2か。バブル崩壊後の日本も1990年代初めから第3の対応を採ったが、景気は回復せず不良債権が増大を続け、97年、98年の金融危機の発生、その後の長期停滞へと突入していった。 中国の習近平政権内部でも、構造改革派と景気重視派の路線対立があるといわれる。政権内部の路線対立をはらみながら、不良債権処理は綱渡りの対応が続く。
http://diamond.jp/articles/-/100945

第一の記事で、『城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割である』、『新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートル』、というのでは、見るも無残な不動産開発バブルの崩壊ぶりである。
第二の記事にある、『上海の財政収入の激増』、は金融機関がまだ不良債権の処理をする前だからこその現象だろう。今後、処理に向かえば、収入も激減する筈である。東北特鋼のデフォルト問題は、不動産開発ではなく、通常の実業部分での過剰投資が要因と思われるが、債務株式化での処理は余りに安易である。中国の会計基準がどうなっているかは分からないが、貸出債権を株式に振り替えさせられた金融機関側で、価値の差額に損失を計上するという先進国のようなルールは、恐らく存在しないか、あっても適用しないのではなかろうか。とすれば、不良債権が、貸出債権から株式に移っただけとなり、何ら問題解決にはならない筈だ。
第三の記事で、シャドーバンキングを含めた不良債権残高が、『約12.5兆元となり、公式統計1.3兆元の10倍、GDPの18.5%にも達する』というのは、やはり絶対絶命の状態だ。これまでから採ってきた『先送り戦略』もいよいよ限界なのかも知れない。ただ、『外科手術』をするにしても、経済・社会の混乱を抑えて「軟着陸」してもらいたいものだ。
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