SSブログ

日銀の異次元緩和政策(その20)「総括的な検証」の行方 [経済政策]

日銀の異次元緩和政策については、8月12日に取上げた。来週の金融政策決定会合で予定されている「総括的な検証」を控えた今日は、(その20)「総括的な検証」の行方 である。

先ずは、8月17日付け日刊ゲンダイ「マイナス金利めぐり火ぶた 「金融庁vs日銀」バトル勃発」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・日本中がリオ五輪のメダルラッシュに沸くなか、金融庁と日銀の“壮絶な戦い”を予感させるニュースが流れた。 日経新聞は13日付朝刊1面で「『マイナス金利、3000億円減益』金融庁、日銀に懸念伝達」と報じた。金融庁は3メガグループに対し、マイナス金利の影響を聞き取り調査し、今期(17年3月期)3000億円程度の減益要因になるとした。大幅減益は銀行経営を直撃するが、それ以上に金融マンが驚いたのは「日銀に懸念伝達」の部分だ。
・「マイナス金利は日銀の金融政策だし、金融庁が口出しできる内容ではありません。中央銀行(日銀)の自主性を揺るがす大問題です。報道は『懸念伝達』となっていましたが、実際は『マイナス金利は逆効果だから今すぐやめろ』ぐらいの勢いだったかもしれません。日銀の黒田総裁は面白くないでしょう。日銀VS金融庁のバトルが火ぶたを切った可能性はあります」(金融関係者)
・日銀は7月中旬にメガバンクからも“攻撃”されている。三菱東京UFJ銀行が、国債入札で落札義務を負う「プライマリーディーラー(PD)」を返上したのだ。マイナス金利下では国債を保有するリスクが高すぎるという判断だ。 東京商工リサーチ情報本部の友田信男本部長は言う。 「日銀は、銀行と金融庁という2つの“身内”から、立て続けに反乱を起こされた形です。日銀が9月に出す『総括』にも少なからず影響を与えると思います」
・日銀は9月の金融政策決定会合(20~21日)で、金融緩和に関する「総括的な検証」を行う予定だ。 株式アナリストの櫻井英明氏はこう見る。 「日銀がマイナス金利を撤回したら、むしろ株価は急騰するでしょう。当初は、マイナス金利導入で為替は円安に振れ、株価は上昇するというシナリオでした。でも実際は円安にならなかった。マイナス金利は効果が感じられないのだから、やめたほうがいい」
・困るのは“失敗”の烙印を押される日銀・黒田総裁だ。いまだに黒田総裁は、「マイナス金利の効果は道半ば」と強気発言に徹し、撤回のそぶりすら見せない。
▽「預金封鎖」が現実味増すとの指摘も
・ところが、一部で驚愕情報が流れている。 「日銀は本音では効果の上がらないマイナス金利をやめたがっているといいます。しかし、導入から半年しか過ぎていないし、黒田総裁は無能だと言われかねない。苦肉の策として、金融庁やメガバンクが執拗に責め立てるので、仕方なく引っ込めるという形を取るというのです。つまり日銀と金融庁は裏でつながっている」(金融関係者)
・日銀は国債を年間80兆円買い取っている。国の借金は1053兆円(6月末)に達し、名目GDPの2倍を超えた。金融政策はもはや限界で、このままでは「預金封鎖」が現実味を増すとの指摘が出てきた。 日経新聞や東京新聞なども、相次いで「預金封鎖」の記事を掲載している。黒田総裁がマイナス金利を撤回する日は案外、近いのかもしれない。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/187839

次に、 9月1日付けダイヤモンド・オンライン「日銀有力OB2人が語る金融緩和「限界論」と総括検証の行方 早川英男(富士通総研エグゼクティブ・フェロー[元日銀理事])×門間一夫(みずほ総研エグゼクティブエコノミスト[前日銀理事])」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・日本銀行が「異次元」の金融緩和に対する総括的な検証を9月下旬に公表する。この結論が日本の金融政策の大きな転換点になるのは間違いない。日銀の金融政策はどこに向かうのか。日銀の有力OB2人にインタビューし、再構成した。
・さらなる緩和か、それとも縮小か──。日本銀行が今、自ら推し進めてきた金融緩和の分水嶺に立っている。9月20、21日の金融政策決定会合で、2013年4月に始まった「異次元緩和」と称される大胆な量的・質的金融緩和についての総括的な検証を行うのだ。 異次元緩和によって2年程度で2%の物価上昇を実現するとしていたが、3年超が経過してもなお、達成のめどが立たない現状を踏まえた緊急措置だ。
・緩和効果が大きいとの結論が出れば、さらなる追加緩和が期待される一方、緩和の副作用が強調されれば、緩和縮小の可能性もあり、市場関係者の間でもどんな結論が出るか意見が分かれている。 ただ、今年に入ってからは、金融緩和の限界論が指摘されるようになり、日銀の「身内」からも同調する声が聞こえてくる。 日本銀行のチーフエコノミストに当たる「調査統計局長」を長く務め、日銀屈指の理論派として鳴らした富士通総研エグゼクティブ・フェローの早川英男氏は特に手厳しい。
・早川「従来のストーリーが崩壊していることは明らか。当初目標に掲げた2%インフレの達成は遠のく一方で、日銀が使える金融政策の手段には強く限界が意識され始めている。 IMF(国際通貨基金)も8月に発表した報告書で、今の日銀の金融政策では2%の実質成長も、20年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化もアウトオブリーチ(手が届かない)、かつ金融政策も財政政策も限界に近いと警告している」
・異次元緩和の導入直前に日銀を退職した早川氏は、「異次元緩和が成功するとすれば、短期決戦のケースに限られる」と主張していたが、結局、長期戦に突入してしまい、戦局は悪化していった。
・早川氏の後任として調統局長に就いたみずほ総研エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏は5月に日銀理事を退任したばかりで、異次元緩和を一定程度、評価している。
・門間「限界といっても、3年前に比べれば経済は明らかに良くなっており、デフレスパイラルを防止するということについて、日銀の金融緩和の力が証明されたと考えている。海外の中央銀行もその点は評価している。ただ、限られた期間中に金融政策の力だけで特定の物価上昇率を実現することが難しいということも分かってきた」
・一方で13年の異次元緩和、14年10月の「ハロウィン緩和」などに続く、次なる緩和バズーカについては懐疑的だった。
・門間「理論的にはあり得ても、具体的にどういう手段があるのか、見当がつかない」
▽門間氏は総括検証で「金利」と「期待」の2点に注目
・限界論が浮上する中で行われる総括検証。門間氏はこの検証で二つのポイントに注目している。一つが今年1月に打ち出されたマイナス金利政策で関心が高まっている「金利」だ。
・門間「金利は低ければ低いほど、常に経済に対してプラスに効くと経済学の教科書には書いてある。ただ、日本は金利が20年間ほぼゼロに近い。これだけ長期にわたって、低金利が続くことの効果をどう考えるか。本当に教科書通りに効果が出てくるかどうか、金利の効果をしっかりと検証すべき」
・そしてもう一つが、黒田東彦・日銀総裁が異次元緩和を導入する際に提唱した「期待に働きかける」政策の効果だ。
・門間「これだけ日銀が強力な金融緩和をしているのだから、これで人々の予想物価上昇率が上がるはず、というのが基本的な発想。それが本当に効いているのかどうかも検証の対象とすべき」
・一方の早川氏は、円安などの効果をもたらさなくなってしまった国債購入など「量」の効果を検証する必要性を説く。
・早川「金融緩和で長期国債の購入額が年間80兆円と、新規の国債発行額の2倍以上にまで規模を拡大したが、この規模を何年間も続けていくことが無理なのは誰の目にも明らか」
・検証すべきテーマはさまざまあるが、総括検証の結論は、大きく三つに絞られるとみられる。
・門間「まず一つあり得る結論というのが、今の政策で2%の物価上昇目標は早期に実現できるので、このままやっていきますという結論。二つ目として、2%目標の早期実現は今の政策ではできないので、全く新しい緩和手段で2%を達成しますという答えもあり得る。 そして三つ目の答えが、2%目標を早期に実現するために、金融政策でできることはもうほとんどやっている。ただし、成長力の強化が十分に進展していないため、今の金融政策の効果がいつ顕在化するかは成長力の強化次第で、具体的な時期は分からない。従って、それが実現するまでは日銀が、今の金融緩和環境をしっかりと維持していくという形」
・三つ目の場合、日銀は期間を区切っての2%目標の旗を事実上降ろすことになる。これまで何度も達成時期を先送りしており、当然の帰結ともいえるだろう。
▽マイナス金利のさらなる深掘りに2人は異なる見立て
・足元では、世界の中央銀行関係者が集まる米ワイオミング州ジャクソンホールでの黒田総裁の発言が物議を醸している。 8月27日の講演において、日銀が今年1月に導入したマイナス金利政策について、マイナス幅のさらなる深掘り余地があるとの認識を示したのだ。 マイナス金利政策をめぐっては、大幅な減益要因となる銀行業界をはじめ、国内には懐疑的な見方が広がっている。マイナス幅の拡大についてはなおさらで、門間氏もこれに同調する。
・門間「今の金利をさらにマイナスに深掘りすることは、現時点においては、効果が大きいようには見えない。深掘りによる『金融』と『家計』へのデメリットの方が、『企業』がマイナス金利下で投資を増やして経済が拡大する効果よりも大きいと、トータルで逆効果になってしまう」
・早川氏はマイナス金利政策そのものには肯定的だが、同時に大量の国債買い入れを続けている点を問題視している。 早川「マイナス金利政策自体は、限界が近づいている国債の大量買い入れよりも持続可能な政策であり、深掘りもできると思う」
・ただ、マイナス金利導入後、短期金利のみならず、長期金利もマイナス圏に落ち込んでしまった。イールドカーブ(利回り曲線)の平たん化(長期金利と短期金利の差が縮小)が急速に進行したのだ。
・早川「一番問題なのは、長期金利が思った以上に下がっていることで、銀行が利ざやの縮小で収益を圧迫されるだけでなく、生命保険や年金の運用難を助長している。ただ、長期金利の想定以上の低下はマイナス金利のせいというより、マイナス金利を導入したにもかかわらず、毎月大量の国債を買い続けていることが要因」
・早川氏はこれを減らせば、利回り曲線の長期ゾーンが立ってくるとの解決策を示す。 日銀は現行のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の波及経路として、期待インフレ率の上昇と利回り曲線全体の押し下げによって実質金利を低下させ、国内産業の活性化につなげることで、経済成長を狙うが、実現には日本特有の問題も横たわる。
・早川「借り手サイド(企業)だけに着目すれば、短期金利だけでなく、長期金利まで下がると、借金をして投資するインセンティブが高まる。逆に(長短金利差で収益を上げる)銀行は融資のインセンティブがなくなる。どっちが大事か、これはなかなか微妙なところ。 例えば、米国は金融市場における直接金融が基本で、明らかに借り手サイド(企業)が大事。ところが、日本や欧州のように間接金融が優位の国では、貸し手サイド(銀行)の融資姿勢も重要となるので、長期の利回りをつぶすような金融緩和は、あまり効かない可能性がある」
・日銀は自らが仕掛けた空前の金融緩和をどう総括するのか。想定外の副作用も顕在化しており、甘い結論を出すようなことがあれば、大きな禍根を残すことになる。
http://diamond.jp/articles/-/100849

第三に、闇株新聞が9月8日付けで掲載した「追加緩和は「まだ可能」? その1」を紹介しよう。
・少し時間が経ってしまいましたが日銀の黒田総裁は9月5日に都内で講演し、「マイナス金利幅の拡大も、量的緩和の拡大も、まだ十分可能だ」と述べました。また「(追加緩和を)躊躇すべきでない」と繰り返し、9月の総括検証は「緩和の縮小という方向の議論ではない」と言い切りました。
・時期はともかくとして「追加緩和しますよ」と言っていることになります。同日付けの日経新聞夕刊は一面トップで黒田総裁の写真入りで伝えています。最近は知りませんが、一昔前は日銀総裁の顔写真入り記事は日銀の「本気のメッセージ」とのサインだったため、それなりの決意を表明しているのかもしれません。
・さて前回(7月28~29日)の政策決定会合はETFの買入枠拡大が決定されたものの、マイナス金利幅の拡大と量的緩和の拡大は見送られ、また9月の決定会合では過去の金融緩和の「総括検証」を行うと公表されていました。 黒田総裁が就任直後に「異次元」量的緩和に踏み切って3年半が経過しますが一向に景気が上向く兆候が見られず、日銀が唱える2%の物価上昇も同様であるため、さすがに「言い訳」をしておく必要があると考えたのでしょう。
・黒田総裁は元大蔵官僚であり、現在の日銀も完全に旧大蔵省傘下ですが、そもそも官僚というものは絶対に「間違っていました」と言わないもので、何か外的要因をあげて「政策は正しいにもかかわらず、こういう外的要因があったためその効果が阻害されている」というしかありません。
・たしかに中国経済の減速とか、原油など資源価格の低迷とか、英国のEU離脱とか「格好の外的要因」が山ほどあるため、こういう外的要因によるマイナスがあるため「現在の正しい金融政策を一層強化する必要がある」という「総括検証」となりそうです。 そこでこういう官僚のプライドだけに任せておいて大丈夫なのか?ですが、もちろん全く大丈夫ではありません。そこのところを「冷静に検証」してみましょう。
・そもそも現在の日銀の量的緩和とは、リーマンショック直後の2008年11月からFRBがMBS(住宅ローン担保証券)を中心に1.7兆ドルを買い入れたQE1と、2010年11月から長期国債を6000億ドル買い入れたQE2を真似たものです。
・ところが当時の米国とは、16兆ドルほどのGDPに対して13兆ドルの住宅ローンが存在し、そのうち7兆ドルほどが証券化されMBSとして世界中にばらまかれていたのですが、そこから住宅ローンが大量に焦げ付き、FNMAとFHLMCが瀕死の状態となり、MBS市場が完全に凍り付いてしまいました。 そこで苦し紛れに考え出されたのが、市場に溢れかえっているMBSをFRBに押し込むQE1であり、次いで長期金利を押し下げてこれも瀕死の住宅(不動産)市場を活性化させるためのQE2だったわけです。 そしてFRBは、ケース・シラー住宅価格指数(主要10都市)が前年同期比で12%をこえて上昇していた2013年5月にバーナンキ議長(当時)が量的緩和(当時はQE3)の縮小に言及し、実際には2014年1月から縮小をはじめ、完全に終了した2014年9月には5%を下回っていました。
・つまりFRBの金融政策とは100%住宅(不動産)市場を睨んだものであり、直近(2016年6月)のケース・シラー住宅価格指数は5.1%の上昇でしかなく、本誌はまだFRBが本当に利上げする環境にないと考えています。
・翻って日銀は、何のために量的緩和をこれからも続ける必要があるのでしょう?2013年4月に「異次元」量的緩和に踏み切ったとき、その目的を「2%の物価上昇目標の実現のため」と説明していました。現在も変更していません。  ここで景気が良くなれば物価も2%くらい上昇しているかもしれませんが、物価を2%上昇させれば景気が良くなるというのは間違いです。さらに日銀が国債を「異次元」に買い続けると物価が2%上昇するというのは「もっと」間違いです。
・つまり日銀の「異次元」量的緩和とは、最初からFRBのような明確な目的などなく、さらに理論的な根拠などもっとなく、ただFRBの量的緩和を真似しているだけです。 そして一向に効果が出ないため(単純に2014年4月から消費税を8%にしたからですが)2014年10月に追加量的緩和に踏み切り、当然のようにそれでも効果が出ないため、今度はECBの真似をしてマイナス金利にまで踏み込んでしまいました。 次回はECBのマイナス金利と日銀のマイナス金利の「決定的な違い」についてです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1820.html

第四に、闇株新聞の9月14日付け続報「追加緩和は「まだ可能?」  その2」を紹介しよう。
・9月8日付け「同題記事」の続きですが、前回は量的緩和について書いたので、今回はマイナス金利についてです。 まず日銀が2016年1月29日の政策決定会合で決定し、同年2月16日から実施したマイナス金利政策とは、当時260兆円(9月10日現在では304兆円)あった日銀当座預金のうち10~30兆円だけにマイナス0.1%の金利を適用するもので、200兆円以上の残高に対して従来通りプラス0.1%の金利を支払うという歪(いびつ)なものでした。
・ところが「たったこれだけのマイナス金利」で、短い年限の国債だけでなく40年の超長期国債の利回りまで「とんでもなく」低下してしまいました。7月には10年国債利回りが一時マイナス0.30%、20~40年国債利回りも0.02~0.06%とほとんどゼロになりました。
・そもそも日銀はマイナス金利を導入する目的として、短期金利をゼロ以下にして長期金利も引き下げようとしたのか、(長期金利は比較的高止まりさせて)長短金利差を拡大させようとしたのか、明確な説明を行わず市場を混乱させてしまいました。 実際には短期金利よりも長期国債利回りを代表とする長期金利のほうが大きく低下してしまい、貸出金利が大きく低下した銀行の収益が悪化する結果となりました。
・銀行はマイナス金利だといっても預金金利など調達金利がすべてマイナスになるわけではなく、また人件費などのコストは変わらないため、結果的にマイナス金利政策=貸出金利低下=収益悪化となります。  現在の日銀は旧大蔵省傘下なので「身内」の銀行収益を悪化させることも好ましくなく、かといって「マイナス金利は間違っていましたので止めます」とは絶対に言えず(官僚とはそういうものだからです)、今度の「総括検証」ではマイナス金利を維持しながら長期金利を高めに維持する工夫が凝らされるはずです。
・これは別に難しいことではなく、日銀が長期国債(とくに20年以上)の買入量を絞り、応札する銀行もできるだけ高い応札利回りになるよう「談合」すればいいわけです。すでに日本の国債市場は日銀と大手銀行・大手証券(外資を含む)が支配する管理相場になっているためこういう「利回り操作?」も可能と考えます。  もともとマイナス金利とは「現金の価値」を最も高くするデフレ政策であり、同時に現金=円の価値を上げる円高政策となります。つまりマイナス金利政策には経済活動を低迷させる効果しかなく、そこへ長期金利まで上昇させてしまうとさらなる大不況政策となってしまいます。
・さて現行のマイナス金利は、先ほど書いたように大きな歪(ひずみ)があるだけでなく、大変にわかりにくいものです。マイナス金利の先輩であるECBは、3月から政策金利の下限金利がマイナス0.4%、基準金利がゼロ、上限金利が0.25%としています。 上限金利とは域内の銀行がECBに預金したときに適用される(つまり費用を徴収される)ものです。9月2日現在で域内の銀行はECBに1兆1492億ユーロ(131兆円)預金していますが、そのうち法定準備を除いた3788億ユーロ(53兆円)にマイナス0.4%が適用されています。
・また上限金利の0.25%は、域内の銀行がECBから資金を借り入れるときに適用される金利ですが、実際には一時的に資金繰りに窮した銀行にECBが救済的に貸出すもので、普段は使いません。 そして基準金利とはECBの通常オペレーションで資金を市場(銀行)に供給する金利で、現在のECBの政策金利(短期金利)は有担保でゼロということになります。また銀行の貸出増加額に対して最長4年間貸し出すTLTRO(貸出し条件付き長期資金供給オペレーション)は、下限金利のマイナス0.4%まで適用されます。貸出促進のためです。
・これに対して日銀のマイナス金利とは、そもそも300兆円以上ある日銀当座預金のうち10~30兆円(それも大半がゆうちょ銀行と信託銀行)だけに適用されるもので、銀行間で短期資金を活発にやり取りするTIBOR市場では、1週間が0.013%、1か月が0.029%、3か月が0.058%と「ちっとも」マイナスではありません。
・そこで日銀も政策金利(短期金利)の基準値をゼロとし(これは実質的に利下げになります)、下限金利をマイナス0.1%、上限金利をプラス0.1%とすれば「すっきり」するだけでなく、短期金融市場における利鞘も確保されます。 そもそも量的緩和で資金を必要以上に供給しておきながら、その供給された資金にコストがかかることになり、そもそも根本的に間違った金融政策の組み合わせなのです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1825.html

第一の記事にある 『「金融庁vs日銀」バトル』、は金融庁があえて領域侵犯を犯してまで日銀に文句をつけなければならないほど、マイナス金利のマイナスの影響が深刻ということだ。 『日経新聞や東京新聞なども、相次いで「預金封鎖」の記事を掲載している』、はその通りだが、現在の局面での政策の選択肢としては、まだそこまで追い込まれてはいないと思う。
第二の記事は、早川氏、門間氏とも日銀OBということで、日銀への遠慮が感じられる、特に最近まで現役だった門間氏ではそうした傾向が顕著。注目されるのは、マイナス金利政策を支持する早川氏が、長期ものの国債購入『を減らせば、利回り曲線の長期ゾーンが立ってくるとの解決策を示す』、ことだ。後述の闇株新聞も同様の指摘をしている。
第三、第四の闇株新聞は、当然のことながら遠慮のないストレートな指摘である。『日銀の「異次元」量的緩和とは、最初からFRBのような明確な目的などなく、さらに理論的な根拠などもっとなく、ただFRBの量的緩和を真似しているだけです』、『「利回り操作?」も可能』、などの指摘には同意できる。
さて、来週の金融政策決定会合では何が出てくることやら・・・。
タグ:日銀の異次元緩和政策 (その20)「総括的な検証」の行方 日刊ゲンダイ マイナス金利めぐり火ぶた 「金融庁vs日銀」バトル勃発 日経新聞 「『マイナス金利、3000億円減益』金融庁、日銀に懸念伝達 三菱東京UFJ銀行 「プライマリーディーラー(PD)」を返上 金融緩和に関する「総括的な検証」 「預金封鎖」が現実味増すとの指摘も ダイヤモンド・オンライン 日銀有力OB2人が語る金融緩和「限界論」と総括検証の行方 早川英男(富士通総研エグゼクティブ・フェロー[元日銀理事])×門間一夫(みずほ総研エグゼクティブエコノミスト[前日銀理事]) 早川英男 日銀屈指の理論派 異次元緩和が成功するとすれば、短期決戦のケースに限られる」と主張していたが、結局、長期戦に突入してしまい、戦局は悪化していった 早川氏の後任として調統局長 門間一夫 マイナス金利のさらなる深掘りに2人は異なる見立て 早川氏はこれを減らせば、利回り曲線の長期ゾーンが立ってくるとの解決策を示す 闇株新聞 追加緩和は「まだ可能」? その1 日銀の「異次元」量的緩和とは、最初からFRBのような明確な目的などなく、さらに理論的な根拠などもっとなく、ただFRBの量的緩和を真似しているだけです 追加緩和は「まだ可能? 実際には短期金利よりも長期国債利回りを代表とする長期金利のほうが大きく低下してしまい、貸出金利が大きく低下した銀行の収益が悪化する結果 長期国債(とくに20年以上)の買入量を絞り、応札する銀行もできるだけ高い応札利回りになるよう「談合」すればいいわけです 「利回り操作?」も可能 そもそも量的緩和で資金を必要以上に供給しておきながら、その供給された資金にコストがかかることになり、そもそも根本的に間違った金融政策の組み合わせなのです
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0