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ドイツ銀行はどうしたのか?(その3)米司法省の巨額罰金をめぐる交渉の行方 [世界経済]

ドイツ銀行はどうしたのか?については、3月11日に取上げた。その後も、株価暴落が続く今日は、(その3)米司法省の巨額罰金をめぐる交渉の行方 である。

先ずは、9月29日付け日刊ゲンダイ「ドイツ銀行が破綻危機…市場が怯える「ABCDショック」」を紹介しよう。
・“Dショック”に襲われる――。兜町が震撼している。Dは『Deutsche Bank』のことで、ドイツ銀行を指す。  「ここへきてドイツ銀行の経営不安説が急浮上しています。米国の住宅担保ローンに絡む不正販売を巡って、米司法省が同行に対し140億ドル(約1兆4000億円)の支払いを求めています。簡単に払える金額ではないので、経営危機説が流れているのです」(金融関係者)
・ドイツのメディアは、メルケル首相が「(ドイツ銀行を)救済しない」とコメントしたと報じた。これで危機説の真実味が一気に増し、同行の株価は暴落。26日に過去最安値を更新した。 「現在、市場の懸念は“ABCDショック”です。Aはアメリカ(America)におけるトランプ大統領の誕生、Bは英国のEU離脱(Brexit)、Cはチャイナ(China)の景気減速、そしてDのドイツ銀行です。今まさに、Dショックの深刻度が増してきたのです」(株式評論家の杉村富生氏)
・ドイツ銀行は住宅担保ローンに関わる引当金を約50億ドル積み立てているといわれるが、米国が求める140億ドルには程遠い。しかもドイツ政府の支援が期待できなとなれば、市場は破綻を想定し始める。  「本当に経営破綻なんて事態になったら、世界は金融パニックに陥ります。日経平均は2000~3000円、いや、それ以上に暴落する恐れがあります」(株式評論家の倉多慎之助氏)
・驚愕の予測がある。未曽有の金融危機を招いた2008年のリーマン・ショックでは、リーマン・ブラザーズの負債総額は約70兆円と度肝を抜いたが、ドイツ銀行はもっと上を行くというのだ。ドイツ銀行の負債総額は260兆円に達するといわれる。実にリーマン・ブラザーズの4倍近い。 「リーマン・ショックの再来ではすまない規模のショックが世界経済を襲うことになります。ドイツ銀行の次に破綻するのはどこかが焦点となり、金融市場は機能不全となりかねません」(杉村富生氏)
・ドイツ2位の銀行「コメルツ」やイタリアの金融機関に連鎖破綻の懸念があると市場は危惧する。スイス大手の「クレディスイス」が危なくなるという見方も水面下では流れる。 “Dショック”の先には、世界金融危機、いや世界恐慌が待っている危険性が高い。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/190663

次に、闇株新聞が9月28日付けで掲載した「ドイツ銀行は本当に大丈夫なのか?」を紹介しよう。
・ドイツ銀行の株価が急落しています。欧州時間で本日(9月27日)昼過ぎには一時10.19ユーロと、昨年末の22.52ユーロから半値以下になり、時価総額も140億ユーロ(1.6兆円)しかありません。 ちなみにDAXが史上最高値(12374)となった2015年4月10日の32.26ユーロから3分の1以下であり、リーマンショック時はもちろん1999年のユーロ導入時以来の安値を更新しています。
・直接のきっかけは9月16日に米国司法省が、2005~2007年当時のMBS(住宅ローン担保証券)不正販売に対してドイツ銀行に、現在の時価総額に近い140億ドル(1.4兆円)の巨額和解金を要求したため、株価が一時9%以上の下落となり11.98ユーロ(終値)となっていました。
・このMBS不正販売とは、そもそも米国が一時国有化したFNMAとFHLMC(下記の私のコメント欄で説明)が組成した(保証もしていた)不良ローンを「しこたま」含んだ住宅ローン債権を証券化したもので、その最大の販売先もFNMAとFHLMCだったところ「不良MBSを騙されて買わされた」と米国司法省が訴えた「滅茶苦茶な米国の巨額罰金ビジネス」のことです。
・しかし米国大手金融機関はとっくに諦めて、バンカメ(メリルリンチ)が166億ドル、JPモルガンが130億ドル、シティバンクが70億ドルなどの巨額和解金を支払っています。 別に米国でMBSを大々的に販売していたわけでもないドイツ銀行が140億ドルというのは確かに解せない数字で、同じ海外金融機関の和解金ではHSBCが6億ドル、野村証券が11億ドル(まだ係争中のはず)と1桁以上も少なくなっています。
・つまりドイツ銀行は米国政府との間に「何か表に出ていない大きなトラブル」があり、それも含めた懲罰的な意味合いのような気もします。 それに加えて昨日(9月26日)には、メルケル首相がドイツ銀行への公的支援を明確に否定しました。もっともギリシャ政府やイタリアの銀行への金融支援に強硬に反対するドイツ政府としても、身内に甘い顔ができるはずがありません。
・ドイツ銀行も「自力で問題を解決する」と精一杯の意地を表明しましたが、それで本日の株価続落となっています。
・さてドイツ銀行の危機は今に始まったわけではなく、本年1月28日には2015年通年の最終損益が68億ユーロ(当時の為替で8600億円)もの巨額赤字だったと公表し、それに中国ショックが重なった2月10日には13.68ユーロまで下落していました。 この時はドイツ銀行が抱えるデリバティブの想定元本がドイツGDPの20倍をこえる75兆ドルもあると囁かれていました。この数字は直近でも55兆ユーロ(62兆ドル)のようで、あまり改善しているようにも見えません。
・また2月当時は46億ユーロ(当時の為替で5800億円)ものCoCo債(偶発転換社債、ドイツ銀行の自己資本が減少すると強制的に元本が召し上げられるシロモノ)が発行されており、その価格も額面の7割以下になり市場を不安にさせていました。 現在は当然にもっと悲惨な状況になっているはずですが、情報がありません。たぶん世界中からビットが消えているのでしょう。日本の外貨建て投資信託に「知らないうちに」組み込まれていないことを祈るだけです。
・さてだいたいこういう時期には大手格付け機関が「ヒステリック」に格下げを繰り返してパニックを拡大させるものです。ドイツ銀行の格付けはMoody’sが本年5月にBaa2に格下げしていますが、これは無担保優先債の格付けで一般的な長期預金格付けはA3であり、実感では「かなり高い」と感じます。 近いうちにMoody’sお得意の「ヒステリック」な格下げが繰り返され、パニックを拡大させるような気がします。
・さてかつての名門銀行だったドイツ銀行が、なぜこのようにボロボロになってしまったのでしょう?これは(ドイツ銀行だけに限りませんが)1995年頃から商業銀行業務より投資銀行業務に力を入れ、一時的に収益が拡大した2005年頃から「さらに」のめり込んだところにリーマンショックの直撃をうけたものの、めげずに世界中で投資銀行業務の拡大を止めていなかったからです。
・このMBS不正販売や、デリバティブ想定元本の天文学的拡大だけに限らず、世界中で発生したLIBOR不正操作なども、すべてこの背伸びした投資銀行業務の爪痕となります。 冗談ではなく今後のドイツ銀行を巡る状況によっては、欧州だけでなく世界中の金融市場に「原爆級」の災害を及ぼす恐れがあります。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1836.html

第三に、本日付けロイター「米司法省、ドイツ銀の罰金54億ドルで近く合意=報道」を紹介しよう。
・米司法省はドイツ銀行に科すモーゲージ担保証券(MBS)の不正販売問題をめぐる罰金について、当初科すとしていた最大140億ドルから54億ドルに大幅に削減することで合意に近づいている。AFPが30日、関係筋の話として報じた。AFPによると、合意は向こう数日以内に発表される可能性がある。ただ関係筋は罰金の最終的な額は若干変わる可能性があるとも話したとしている。
・ドイツ銀はこの報道についてコメントを控えている。米司法省のほか、ドイツ財務省もコメントを控えている。  ドイツ銀の株価は一時10ユーロを割り込み最安値をつけたもののその後は回復し、前日終値比6.39%高の11.57ユーロで取引を終えた。ドイツ銀の米預託証券(ADR)は大商いのなか、米市場午後の取引で約14.9%高の13.19ドル近辺で推移。一時は13.28ドルまで上げた。
http://jp.reuters.com/article/deutsche-bank-doj-idJPKCN12029G

日刊ゲンダイがドイツ銀行の負債総額を、米金融危機で破綻した投資銀行のリーマン・ブラザーズと比較しているのはナンセンスだ。本来の投資銀行は、資産・負債を余り持たないのが一般的で、商業銀行が中心のドイツ銀行は大きくなるのは当然のことだ。
闇株新聞の記事を若干、補足しておこう。米国のFNMA、FHLMCは、各々、ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)、フレディマック(連邦住宅金融抵当金庫)と呼ばれる住宅金融会社である。これらが、モーゲッジバンク(住宅金融専門業者)や米銀が組成した住宅ローンを買い取り、證券化したMBSをドイツ銀行や米銀などが購入してさらに證券化して、CDO(債務担保証券)として売却したのを、住宅金融会社が資産運用のために購入したという構図である。もともとは自分たちが保有していたのだから、リスクなどは分かり切っている筈だという趣旨で書かれているが、これは闇株新聞にしては珍しい誤解である。證券化を二次、三次と繰り返すうちに、リスクの特性は当初のものとは大きく異なってしまうので、FNMA、FHLMCといえどもリスクの特性は本当のところでは把握できないというのが、金融危機での教訓の1つだった。ドイツ銀行が発行したCoCo債が、『日本の外貨建て投資信託に「知らないうちに」組み込まれていないことを祈るだけです』、との指摘は同感だ。『メルケル首相がドイツ銀行への公的支援を明確に否定』した理由は、闇株新聞が指摘したもの以外にも、米国当局との罰金引下げ交渉の途中で、公的支援を表明してしまえば、米国当局に塩を送ってしまうからと、考えるべきだろう。引下げ交渉がドイツ銀行不利になれば、CoCo債などで吸収できない部分はやはり公的支援をせざるを得ないのではなかろうか。
幸い、ロイターが、フランスの通信社AFP伝として罰金半減で合意する可能性が出てきたという記事は、まだ確定はしていないにせよ、一安心させる材料だ。引下げ交渉の最終的な結果に注目したい。
タグ:ロイター バンカメ 日刊ゲンダイ 闇株新聞 coco債 ドイツ銀行はどうしたのか? (その3)米司法省の巨額罰金をめぐる交渉の行方 「ドイツ銀行が破綻危機…市場が怯える「ABCDショック」 兜町が震撼 Deutsche Bank 米司法省が同行に対し140億ドル(約1兆4000億円)の支払いを求めています メルケル首相が「(ドイツ銀行を)救済しない 株価は暴落 Aはアメリカ(America)におけるトランプ大統領の誕生 Bは英国のEU離脱(Brexit)、 Cはチャイナ(China)の景気減速 Dのドイツ銀行 引当金を約50億ドル 市場は破綻を想定 ドイツ銀行の負債総額は260兆円に リーマン・ブラザーズの4倍近い “Dショック”の先には、世界金融危機、いや世界恐慌が待っている危険性が高い ドイツ銀行は本当に大丈夫なのか? FNMA FHLMC 不良ローンを「しこたま」含んだ住宅ローン債権を証券化 最大の販売先もFNMAとFHLMC 「不良MBSを騙されて買わされた」と米国司法省が訴えた「滅茶苦茶な米国の巨額罰金ビジネス」 166億ドル JPモルガンが130億ドル シティバンクが70億ドル 巨額和解金 ドイツ銀行が140億ドルというのは確かに解せない数字 米国政府との間に「何か表に出ていない大きなトラブル」 それも含めた懲罰的な意味合いのような ギリシャ政府やイタリアの銀行への金融支援に強硬に反対するドイツ政府としても、身内に甘い顔ができるはずがありません ドイツ銀行の危機 015年通年の最終損益が68億ユーロ(当時の為替で8600億円)もの巨額赤字 ドイツ銀行が抱えるデリバティブの想定元本 ドイツGDPの20倍をこえる75兆ドル その価格も額面の7割以下になり 。日本の外貨建て投資信託に「知らないうちに」組み込まれていないことを祈るだけです 大手格付け機関が「ヒステリック」に格下げを繰り返してパニックを拡大させるものです 1995年頃から商業銀行業務より投資銀行業務に力を入れ、一時的に収益が拡大した2005年頃から「さらに」のめり込んだところにリーマンショックの直撃をうけたものの、めげずに世界中で投資銀行業務の拡大を止めていなかったからです MBS不正販売 デリバティブ想定元本の天文学的拡大 世界中で発生したLIBOR不正操作 背伸びした投資銀行業務の爪痕 欧州だけでなく世界中の金融市場に「原爆級」の災害を及ぼす恐れがあります 米司法省、ドイツ銀の罰金54億ドルで近く合意=報道 AFPによると、合意は向こう数日以内に発表される可能性 最大140億ドルから54億ドルに大幅に削減することで合意に近づいている ドイツ銀の株価は一時10ユーロを割り込み最安値をつけたもののその後は回復
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