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三菱重工はどうしたのか?(その4)(「MRJ」の5度目の納入遅延、航空機・造船・宇宙事業など「顔」の事業での苦戦、三菱・日立「火力発電連合」の不協和音) [企業経営]

三菱重工はどうしたのか?については、6月27日に取上げた。今日は、(その4)(「MRJ」の5度目の納入遅延、航空機・造船・宇宙事業など「顔」の事業での苦戦、三菱・日立「火力発電連合」の不協和音) である。

先ずは、9月26日付け東洋経済オンライン「国産旅客機「MRJ」によぎる5度目の納入遅延 三菱重工の"慎重姿勢"は受注の不安材料に」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・9月中旬、「MRJ」(三菱リージョナルジェット)試験初号機が曇り空の中、愛知県営名古屋空港を飛び立ち飛行試験に向かった。本来なら米国にあるはずの同機が国内で試験を続けているのは、移送飛行中のトラブルで引き返していたからだ。 初号機が米国に向けて名古屋空港を飛び立ったのは8月27日正午前。アラスカを通過するルートで、米国の開発拠点となる、ワシントン州モーゼスレイクのグラントカウンティ国際空港を目指していた。が、離陸後まもなくして空調監視システムが故障しているとの警告が出たため、約1時間で引き返した。
▽身内からも「慎重すぎる」
・空調自体は正常に作動していたので、監視システムのコンピュータを入れ替え、翌28日に再度移送を試みた。しかし、前日と同様の警告が出たことから、函館付近でまたもやUターン。不具合の原因を究明し万全の対策を講じるまで米国移送は延期された。 MRJの開発は、三菱重工業が傘下の三菱航空機を通じ進めているが、文字どおり“産みの苦しみ”を味わっている。開発日程はこれまで4回延期。初飛行は当初計画の2011年から2015年11月に、納入開始も2013年から2018年半ばへ遅れた。
・今後は米国に拠点を移して追い込みをかける。年内に試験機4機を持ち込み、2017年中に所定の試験を終える予定だ。それだけに先陣を切る初号機の移送中断は、さらなる開発日程遅延を想起させる。 三菱航空機は「初号機の移送は今秋予定を前倒しで進めていたので、今後の開発スケジュールに影響しない」と説明する。ただ、今回のトラブルの内容は、移送飛行ではそれほど障害とはならないだけに、関係者からは「米国まで飛ばしてもよかった」「慎重すぎる」など、いらだちを含んだ声も上がった。
・こうした反応が出るのは、これ以上の開発遅れはMRJビジネスにとって、致命傷になりかねないからだ。  100席未満を中心とするリージョナルジェット旅客機市場には4社が参入している。世界的に販売実績があるのはエンブラエル(ブラジル)、ボンバルディア(カナダ)の2社だが、ボンバルディアは主力機の客室が狭く、最近は受注が細っている。最大のライバルとなるのは累計受注1400機超のベストセラー「Eジェット」を擁するエンブラエルだ。
・MRJはEジェットより2割以上優れた燃費性能を強みに受注活動を行ってきた。一方のエンブラエルは、MRJと同じエンジンを採用した、改良型機「E2」を開発。燃費性能の差を、機体の空気抵抗による差ぐらいの数%にまで、追い上げてきている。 E2シリーズのうち、MRJと同サイズの「175-E2」(80〜88席)は、2020年の納入開始予定。MRJのそれは2018年半ばと、依然として2年程度先行するが、これも5度目の開発日程遅延がなければの話だ。MRJの現時点の受注残は、全日本空輸や日本航空、米航空会社などからの確定・仮予約分で計403機。当面の目標とする1000機までの道のりは遠い。
▽過酷な試験が始まる
・Eジェットを運航する航空会社からは「一般論として(E2など)改良型機への移行のほうが社内システムやパイロット訓練などさまざまな面でスムーズ。MRJの導入も検討対象だが、商業運航前なので性能などを測りかねる部分がある」(フジドリームエアラインズ)との声が聞かれる。まず、定期便として飛ぶ姿を披露しなければ、MRJの大量受注は難しい。
・納入開始時期が迫る中、MRJ開発は最大の難関、「型式証明」の取得が控える。型式証明とは、国土交通省が審査・承認する機体の設計安全認証のことで、機体強度や飛行性能など約400項目の基準をクリアする必要がある。取得に向け2500時間に及ぶ飛行試験が計画されているが、まだ150時間程度実施したにすぎない。今後は厳寒や強風など特殊条件下での過酷な試験が待ち受ける。
・「航空機の開発は、ソフトウエアと同様、バグを潰す作業」(航空評論家の青木謙知氏)。不具合の発生はつきものだ。だが、半世紀ぶりの国産旅客機とはいえ、自ら設定した開発日程の遅延をさらに繰り返せば、見込み客の航空各社をはじめ周囲からの視線は冷ややかなものになる。 安全性第一は当然だが、万全の基準が高すぎると、ビジネスとしては成り立たない。産みの本当の苦しみはこれからなのかもしれない。
http://toyokeizai.net/articles/-/137342

次に、10月10日付けJBPress「苦戦続きの三菱重工、「国家」の看板を下ろしたら? 航空機、造船、宇宙事業・・・足を引っ張る三菱の顔」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「国家と共に」という理念を掲げ、日本のもの作りを支えてきた三菱重工が、同社の顔ともいえる事業で苦戦続きとなっている。 祖業でもある造船事業において巨額損失を計上したことに加え、初の国産ジェット旅客機MRJは5度目の納入延期が検討されており、後がない状況に追い込まれた。同社の兄弟会社で、燃費改ざん問題を起こした三菱自動車は日産の傘下に入った今も、三菱重工の足を引っ張っている。客船事業の損失については、火災事故も併発していたことから、技術力の低下を懸念する声も上がる。
・しかし、同社の事業全体を見渡してみると、問題となっている事業を除けば、思いのほか好調である。皮肉なことに「国家」という看板を下ろせば、同社の経営はかなりラクになるというのが現実だ。
▽MRJは5度目の延期でもう後がない
・三菱重工の子会社で航空機の製造を担当する三菱航空機は、同社が開発中のジェット旅客機MRJについて、5度目となる納入延期の検討に入った。三菱航空機はこれまで4度、納入時期を延期しており、9月にはようやく試験拠点である米国の空港への移送に成功していた。しかし、量産にあたって設計の見直しが必要なことが明らかとなり、関係者には納入延期を通知したという。
・MRJは三菱重工グループが総力をあげて開発を行っている日本初の国産ジェット旅客機である。よく知られているように、日本は太平洋戦争の敗北によって、しばらくの間、航空機分野の研究・開発が禁止されていた。その後、政府主導で国産旅客機YS-11が開発され、約180機が生産されたが、残念ながらYS-11は事業としては成立しなかった。YS-11以降、日本の航空機産業は停滞したままの状態が続いてきたのである。
・日本の航空機産業の復活を掲げたMRJの開発には、政府も全面的な支援を行っていたが、開発は思いのほか難航。これまでに4回、スケジュールの延期が発表されており、初号機の納入は当初予定から5年遅れの2018年半ばとなっている。
・最大のライバルであるブラジルのエンブラエルが2020年に最新鋭機を投入する予定となっており、遅延がさらに1年を超える状況となった場合、エンブラエルと直接競争する形になる。エンブラエルは新規参入の三菱とは異なり、リージョナルジェットの分野で豊富な納入実績を持っている。これ以上、開発が遅延した場合、エンブラエルの存在がMRJの受注に影響してくることは確実だ。 現在、MRJは400機ほどの受注を獲得しているが、そのうち半分はキャンセル可の契約といわれる。開発の遅延がなくても目標の1000機までには隔たりがあり、本格的に生産が始まっても、ビジネス的にはかなり苦しいだろう。
▽航空機産業に押し寄せるコモディティ化の波
・見た目の派手さとは裏腹に、航空機製造のビジネスは、以前ほど儲かるビジネスではなくなっている。その理由は、他の産業と同様、この分野にもコモディティ化の波が押し寄せているからである。 MRJは100万点以上の部品で構成されているが、自動車の部品点数が数万点であることを考えると、航空機というものの規模の大きさが分かる。かつては航空機を製造することができれば、その企業は高い付加価値を獲得することができた。しかし、航空機産業の分野は、近年、急速な勢いでコモディティ化が進んでおり、最終製品を作るメーカーの付加価値は低下している
・MRJは設計と組み立てを三菱が担当しているので、日の丸ジェットということになるが、使用されている部品のほとんどが外国製である。これは三菱特有の話ではなく、現在の航空機産業では、メガサプライヤーと呼ばれる大手の部品メーカーが、航空機の各ユニットを半完成品の状態まで作り上げ、完成機メーカーは最終組み立てだけを行うというのが主流となっている。
・完成機メーカーは、メガサプライヤーが提供するユニットを選択するだけになるので、独自の部品を使用する割合は低くなる。つまり、今の時代は、どのメーカーが航空機を作っても中身はほとんど同じであり、確保できる利益も限定的といえる。極論を言えば、パソコンメーカーに近い産業構造となりつつあるのだ。
▽造船と航空機は三菱のプライド
・それでも三菱重工が航空機の製造に社運をかけているのは、同社は国家と共に歩むことを社是としてきた企業であり、かつてはゼロ戦(零式艦上戦闘機)を製造したというプライドがあるからに他ならない。同じようなメンタリティは造船部門にも見られる。
・三菱重工は三菱財閥創業者の岩崎弥太郎が、明治政府から長崎造船所を借り受け、造船事業を開始したことをその起源としている(正式な払い下げは、弥太郎が没した翌年、弟・弥之助によって行われた)。造船事業は、のちに三菱造船となり、現在の三菱重工へと発展した。長崎造船所は、大和型2番艦の戦艦武蔵や、豪華客船浅間丸を建造したことでも知られている。
・ところが、三菱重工はこの造船事業でも手痛い損失を被っている。同社は2011年に米国のクルーズ会社であるカーニバル社から2隻の客船を受注した。総トン数12万5000トン、3250人乗りの大型船で、本来であれば2015年3月に納入する予定だった。
・しかし、2014年10月にこれを2015年9月に延期すると発表。2015年9月に今度は12月に延期すると発表したものの、再び延期となり、最終的には2016年3月にようやく1番船が納入された。三菱は受注獲得を焦り、細部を詰めずに受注したともいわれている。結局、カーニバル側が求める内装を作れず、工事をやり直すという事態が頻発した。2隻の受注金額は1000億円だが、最終的には受注金額をはるかに上回る2300億円の損失を出している。
・今回の案件では、Wi-Fiなど最新のネット接続環境を想定せずに基本設計を進めるなど三菱側の不備が目立った。これに加え、船の建造中に火災を起こすという不祥事もあった。実は同社は2002年にも、建造中の大型客船を炎上させるという事故を起こしている。この時にも巨額損失を計上しており、大型客船事業における失敗はこれで2度目だ。
▽防衛産業は集約が必要?
・こうした事情が重なり同社の決算は冴えない状況が続いている。2016年3月期の売上高は前年比マイナス4.5%の4兆4855億円、当期利益は客船事業の特別損失が影響し638億円にとどまった。さらに最新の決算(2016年4~6月期)では、三菱自動車の特別損失や為替差損などで166億円の経常赤字に転落している。
・三菱自動車は三菱重工の自動車部門が独立した企業であり、身内同然だったが、軽自動車の燃費改ざん問題が表面化したことで経営が一気に悪化。最終的には日産自動車の傘下に入ることになった。同社は、2000年と2004年にもリコール隠しが発覚しており大問題となっている。日産の傘下に入った今でも、三菱重工を悩ませ続ける存在である。
・いわば三菱の顔ともいえる事業が足を引っ張っているわけだが、一連の低迷が同社の屋台骨を揺るがしているのかというと実はそうではない。航空機や造船、宇宙事業が同社の精神的な支柱であるのは事実だが、収益面での貢献はそれほど大きくないのが現実である。
・同社の収益の柱となっているのは、火力発電用タービンやプラントなどを手がけるエネルギー・環境部門と、業務用エアコンやターボ関連機器、物流機器などを手がける機械・設備システム部門である。 エネルギー・環境部門の売上高と機械・設備システム部門の売上高で、実に全体の約7割を占めており、営業利益についても全体の7割以上を両部門が稼ぎ出している。つまり数字の上では、航空機や造船、宇宙事業はマイナーな事業でしかないのだ。
・日本は欧米と異なり、防衛産業に特化した企業なく、財閥系の企業がそれぞれ独自に取り組むという図式になっている。一方、欧米の防衛産業はM&Aを繰り返し、少数事業者の寡占市場へと移行している。専門的な分野は集中化した方が圧倒的に効率がよく、日本の場合にもそれが当てはまる可能性が高い。
・すでに原子力の分野では、三菱重工と日立製作所、東芝の核燃料事業を統合するというプランが急浮上している。防衛産業も含め、こうした流れは今後、さらに加速していく可能性が高いだろう。「国家」という看板を下ろせば、三菱重工の経営は非常に身軽になる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48065

第三に、9月26日付けダイヤモンド・オンライン「三菱・日立「火力発電連合」、不協和音で世界に出遅れ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・三菱重工業と日立製作所が火力発電用ガスタービン事業などを統合してできた三菱日立パワーシステムズの成長戦略に黄色信号がともっている。発電の運用サービスで世界の“2強”に後れを取っているためだ
 7月13日、曇り空の下、栃木県真岡市の工業団地で同県知事らが報道陣のカメラのストロボの光を浴びていた。知事らを取り囲んだ記者は30人超。これほど注目を引いたのは、県内の電力需要の4割分を供給できる大型の火力発電所の起工式だったからだ。
・発電規模の大きさで耳目を集めたこのプロジェクト。実は、発電機器メーカー関係者の間では、「入札の転換点」になるとして、別の意味でも注目されていた。 従来、入札による受注争いの勝敗の決め手は「発電効率」だけだった。だが、近年、発電機器の故障を減らし、稼働率を高める「運用サービス」も重視されるようになり、この栃木県のプロジェクトでは運用サービスが入札の条件に入った。現在、国内の大型案件ではそれが当たり前になっている。
・このプロジェクトのガスタービンを供給するのは、ガスタービンメーカー3強の一角を占める独シーメンス。同社日本法人の藤田研一専務は「長期メンテナンスを請け負ってきた海外での実績が評価された」と、勝因を語る。 大型のガスタービンを製造するのは、最大手の米ゼネラル・エレクトリック(GE)とシーメンス、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の3社だ。このうち、シーメンスは発電所の運用サービスを先行して強化してきた。世界で600カ所以上の発電施設で長期保守契約に基づく運転支援を行い、70カ所で運用全般を受託している。
▽発送電分離が起爆剤 日本国内でも運用サービス重視
・すでに、センサーでガスタービンの故障を検知し、できるだけ運転を止めずにメンテナンスすることは業界標準となっている。シーメンスが得意とするのは、“その先”のサービスだ。外気温やタービンごとの性能を示すデータを解析し、効率的に発電する実証試験を米国の火力発電所で実施。燃料費を年間最大200万ドル(約2億円)削減できることを証明した。 シーメンス独本社のリサ・デイビス取締役はITによる発電の最適化について「(エネルギー事業の)ゲームチェンジャーだ。IT企業とも競合するが、データの解析結果をガスタービンなどの設計に反映できるメーカーの強みを生かしていく」と話す。
・GEとて負けてはいない。仏アルストムの発電事業買収で、同社がメンテナンスする発電機器の数と種類が増加。そのことで、精度の高いビッグデータ解析が可能になった。IoT(モノのインターネット)を駆使した“サービス重視”へと急速にシフトしているのだ。GEは、アイルランドの火力発電所でデータ解析に基づいて稼働率を高めることで、年間228万ユーロ(約2億6000万円)のコスト削減に成功した。
・航空エンジンの遠隔監視など幅広い分野でIoTの実績を積むGEの構想は壮大だ。将来的には、発電の最適化で、世界の電力業界全体で最大750億ドル(約7兆6500億円)のコストを減らせるという試算を発表している。 しかも、こうした構想の実現は遠い未来ではない。天気予報から風力などによる発電量や売電価格などを予想し、複数の発電施設の稼働を最適化させるシステムを、2年以内に実現する想定だという。
・海外では、発電所の運用は稼働率を保証できる“プロ”に任せるのが主流である。海外でシェアが高いGEとシーメンスが発電の最適化の実績を積み、その精度を高めているのは当然といえる。 翻って、日本では、東京電力をはじめとした電力会社が自前のメンテナンス部隊を持ち、発電所を動かしてきた。「発電の最適化は発電事業者の役割で、メーカーが入り込めない領域」(MHPS関係者)だったのだ。 ところが、である。2020年4月に電力自由化の総仕上げとして実施される「発送電分離(電力会社の発電部門と送配電部門を別会社化すること)」を前に、国内の常識が覆りつつある。
・冒頭の火力発電所で発電事業を行う神戸製鋼所は、日本最大規模の独立系電力事業者(IPP)だ。IPPとは、電力自由化で電気をつくれるようになった新規参入者である。 シーメンスの試算では、20年までの国内の大型火力発電の新規投資の約8割をIPPなどの新規参入者が占める。今後は発電所を運用するノウハウも体制もない発電事業者が増加。プロによる運用サービスが重要になるということだ。
・しかも、運用サービスに期待するのはIPPだけではない。他ならぬ既存の電力会社も自前の運用ノウハウだけでは競争力を維持できないという危機感を抱く。IPPは参入時に最先端の発電施設を使い、既存の電力会社のシェアを奪いに来る。コスト競争力で勝つには社内だけでなく社外のノウハウを活用することが不可欠なのだ。
・東京電力は今後、火力発電所の運用で、メーカーとの長期保守契約を増やしていく。同社の川島謙一郎経営企画室副室長は「IPPにはGEやシーメンスが知見を提供している。メンテナンスや運用で彼らに対してどう差別化していくかが課題だ」と危機感を語る。 これまでの発電機器のユーザーとメーカーの役割分担が崩れ、一部では競合関係になっているのだ。東京電力は、データ解析を得意とするメーカーやIT企業とも必要に応じて協業しながらIPPに対する優位性を保とうとしている。電力消費など独自のデータを戦略的に活用していくという。
・中部電力がNECと火力発電所の運用サービスで提携する背景にも東京電力と同じ危機感がある。 こうしたゲームチェンジを前に、日本のMHPSが強みとして押し出しているのが日本的な“おもてなし”のサービスである。 同社の河相健常務は「センサーで稼働状況を監視しているガスタービンは競合他社より少ない(下図参照)が、その分、客に密着したサービスをやっている」と話す。 具体的には、発電機器のトラブル時、競合のようにエンジニア派遣の発注書を要求せず、発電所に社員を急行させ、運転停止の時間をできるだけ短くしているという。 MHPS関係者は「競合は人工知能(AI)が効率アップを考えるが、当社はエンジニアが主体となって対応する。人間が劣っているとは一概に言えない」と話す。
・だが、気象や電力需要などのビッグデータを解析し、億円単位でコストを削減するGEやシーメンスとは、ソリューションのレベルで大差がついている。
▽システム開発巡り三菱重と日立に吹く隙間風
・MHPSも、IoTでの出遅れを巻き返そうとはしている。9月16日には、日本、米国に次ぐ三つ目のガスタービンの遠隔監視センターをフィリピンに開設した。 しかし、重大な問題が持ち上がっている。発電システム開発の主導権をめぐり、MHPSの親会社である三菱重工業と日立製作所の間に隙間風が吹いているのだ。  日立は、IoTによるソリューション開発のプラットホーム「Lumada(ルマーダ)」の提供を開始しており、発電システムにおいてもこの情報基盤を生かしたい。一方の三菱重工は、日立のみならず、IT企業など幅広い企業と連携して新時代の発電システムを構築したい考えで、両社の意見がまったくかみ合わないのだ。
・MHPSは14年の会社発足以来、火力発電システム2強のGE、シーメンスを抜き、世界一になることを目標にしてきた。出力300メガワット超の大型ガスタービンの受注では世界シェアトップになるなど存在感を高めてきたが、中小型を含むタービン全体のシェア争いでは2強の背中は遠い。 MHPSの営業利益率は8.6%と2強のエネルギー部門の二桁台には及ばない。IoTの技術開発のベースとなる事業規模と収益力で劣っているのだ。このままIoTの波に乗り遅れれば、世界一になるどころか、その差はさらに広がるだろう。
http://diamond.jp/articles/-/102793

MRJが漸く米国に向け飛び立ったと思ったら、すぐに引き返すという醜態を2回もさらしたのには、私も驚かされた。「慎重姿勢」に批判も出ているようだが、焦って事故を起こせば、元も子もないので、慎重姿勢は理解できる。
JBPressの記事で、『完成機メーカーは、メガサプライヤーが提供するユニットを選択するだけになるので、独自の部品を使用する割合は低くなる。つまり、今の時代は、どのメーカーが航空機を作っても中身はほとんど同じであり、確保できる利益も限定的といえる。極論を言えば、パソコンメーカーに近い産業構造となりつつあるのだ』、との指摘は初めて知った。とすれば、国が補助金まで出してMRJ製造を支援する意義には疑問符が付かざるを得ない。造船事業については、10月9日の日経新聞が、「三菱重、造船事業を縮小 設計を分社 大型客船の受注凍結」を報じた。まさに「羮に懲りて膾を吹く」の典型的なリアクションだ。ただ、同社全体をみると、『エネルギー・環境部門の売上高と機械・設備システム部門の売上高で、実に全体の約7割を占めており、営業利益についても全体の7割以上を両部門が稼ぎ出している。つまり数字の上では、航空機や造船、宇宙事業はマイナーな事業でしかないのだ』、との指摘は安心材料ではある。ただ、儲け頭の火力発電用タービンについては、第三の記事が警鐘を鳴らしている。
世界的には、発電所の運用サービスが重要になり、日本でも遅まきながら、『発送電分離が起爆剤』となって、運用サービスが重要になりつつある。『日本のMHPSが強みとして押し出しているのが日本的な“おもてなし”のサービスである』、との負け惜しみには笑ってしまった。この分野で先行しているGE、シーメンスに追い着くのはかなりの努力が必要となるにも拘らず、『三菱重と日立に吹く隙間風』というのは困ったことだ。もはや、仲間内で足の引っ張り合いをしている段階ではない筈だ。小異を捨てて、大同に就くことを期待したい。
タグ:三菱重工はどうしたのか? (その4)(「MRJ」の5度目の納入遅延、航空機・造船・宇宙事業など「顔」の事業での苦戦、三菱・日立「火力発電連合」の不協和音) 東洋経済オンライン 国産旅客機「MRJ」によぎる5度目の納入遅延 三菱重工の"慎重姿勢"は受注の不安材料に MRJ 空調監視システムが故障しているとの警告 引き返した 身内からも「慎重すぎる」 開発日程はこれまで4回延期 これ以上の開発遅れはMRJビジネスにとって、致命傷になりかねないからだ エンブラエル Eジェット 改良型機「E2」 依然として2年程度先行 5度目の開発日程遅延がなければの話 過酷な試験が始まる 航空機の開発は、ソフトウエアと同様、バグを潰す作業 安全性第一は当然だが、万全の基準が高すぎると、ビジネスとしては成り立たない JBPRESS 苦戦続きの三菱重工、「国家」の看板を下ろしたら? 航空機、造船、宇宙事業・・・足を引っ張る三菱の顔 「国家と共に」 顔ともいえる事業で苦戦続き 造船事業において巨額損失を計上 MRJは5度目の納入延期が検討 三菱自動車は日産の傘下に入った今も、三菱重工の足を引っ張っている 400機ほどの受注を獲得しているが、そのうち半分はキャンセル可の契約 航空機産業の分野は、近年、急速な勢いでコモディティ化が進んでおり、最終製品を作るメーカーの付加価値は低下 使用されている部品のほとんどが外国製 完成機メーカーは、メガサプライヤーが提供するユニットを選択するだけになるので、独自の部品を使用する割合は低くなる 今の時代は、どのメーカーが航空機を作っても中身はほとんど同じであり、確保できる利益も限定的といえる。極論を言えば、パソコンメーカーに近い産業構造となりつつあるのだ 造船と航空機は三菱のプライド 防衛産業は集約が必要 収益の柱となっているのは、火力発電用タービンやプラントなどを手がけるエネルギー・環境部門と、業務用エアコンやターボ関連機器、物流機器などを手がける機械・設備システム部門 エネルギー・環境部門の売上高と機械・設備システム部門の売上高で、実に全体の約7割を占めており、営業利益についても全体の7割以上を両部門が稼ぎ出している 数字の上では、航空機や造船、宇宙事業はマイナーな事業でしかないのだ。 ダイヤモンド・オンライン 三菱・日立「火力発電連合」、不協和音で世界に出遅れ 三菱重工業と日立製作所 火力発電用ガスタービン事業などを統合 三菱日立パワーシステムズ 成長戦略に黄色信号 発電の運用サービスで世界の“2強”に後れを取っているためだ シーメンスは発電所の運用サービスを先行して強化 発送電分離が起爆剤 日本国内でも運用サービス重視 GE IoT(モノのインターネット)を駆使した“サービス重視”へと急速にシフト アイルランドの火力発電所でデータ解析に基づいて稼働率を高める 海外では、発電所の運用は稼働率を保証できる“プロ”に任せるのが主流 日本では、東京電力をはじめとした電力会社が自前のメンテナンス部隊を持ち、発電所を動かしてきた 国内の常識が覆りつつある 後は発電所を運用するノウハウも体制もない発電事業者が増加。プロによる運用サービスが重要になるということだ ならぬ既存の電力会社も自前の運用ノウハウだけでは競争力を維持できないという危機感を抱く。IPPは参入時に最先端の発電施設を使い、既存の電力会社のシェアを奪いに来る。コスト競争力で勝つには社内だけでなく社外のノウハウを活用することが不可欠 日本のMHPSが強みとして押し出しているのが日本的な“おもてなし”のサービス 気象や電力需要などのビッグデータを解析し、億円単位でコストを削減するGEやシーメンスとは、ソリューションのレベルで大差 システム開発巡り三菱重と日立に吹く隙間風 日立は、IoTによるソリューション開発のプラットホーム「Lumada(ルマーダ)」の提供を開始しており、発電システムにおいてもこの情報基盤を生かしたい 三菱重工は、日立のみならず、IT企業など幅広い企業と連携して新時代の発電システムを構築したい考えで
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