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外国人労働者問題(その2)(歴史的には2度の移民受け入れが成長に繋がった、『ルポ ニッポン絶望工場』、技能実習制度から失踪する外国人) [経済政策]

外国人労働者問題については、8月30日に取上げたが、今日は、(その2)(歴史的には2度の移民受け入れが成長に繋がった、『ルポ ニッポン絶望工場』、技能実習制度から失踪する外国人) である。

先ずは、9月30日付け日経ビジネスオンライン「「日本は移民を受け入れたことがない」は間違い 堺屋太一氏、2度の移民受け入れが成長に繋がったと指摘」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽鎖国を実施するまで、大量の移民が入ってきた
・「将来の日本人を作るために、今こそ移民受け入れを行うべきだ」──。 元経済企画庁長官で、現在の安倍晋三内閣で内閣官房参与を務める作家の堺屋太一氏が9月25日、NPO法人「万年野党」(理事長・宮内義彦氏)の総会で基調講演を行い、外国人人材の受け入れを加速させるべきだと力説した。堺屋氏は現在の日本にとって「人口減少が最大の危機」だとしたうえで、次のように語った。
・「日本は移民を受け入れたことがないという人がいるが、それは間違いだ。日本は近世以降、2度にわたって大量の移民を受け入れてきた。1度目は17世紀前半。1600年から1640年頃までの間。江戸幕府が鎖国を厳格に実施するまで、中国や韓国といった外国から大量の移民が入ってきた」
▽移民の多くは、高度な技術を持った人々
・当時の移民の多くは医師や陶工、染め物師といった日本人よりも高度な技術を持った人々だった。1644年に滅びることになる明朝が、清に制圧されていく過程で、それを嫌った多くの明の人々が日本に逃げてきたとみられる。そうした人たちを日本社会は積極的に受け入れたと堺屋氏は語る。 「日本全国の藩が、こうした外国人を医師や右筆(ゆうひつ)として積極的に召し抱えた」というのだ。右筆とは武家の秘書役のことで、公文書や記録を作成した。漢文の素養が必要だったこともあり、中国人が重用されたのだろう。しかも、そうした外国人が日本社会の中で着実に融和していったと堺屋氏は指摘する。
・「実は、赤穂浪士の中にそうして渡って来た中国人の孫がいる。武林唯七(たけばやしただしち)で、おじいさんは赤穂藩に医師として仕えた中国人だった。その武林唯七は、主君の仇を討つという最も日本的な行動に参加している。当時の赤穂藩の士分は300人ほどで、討ち入りをしたのは全員ではなく、その一部。全員で47人ですが、その中に武林唯七はいたわけです」
・武林唯七は、赤穂浪士の討ち入りを題材とした「忠臣蔵」では、最も日本人的な、おっちょこちょいとして描かれている人物。大石内蔵助がなかなか討ち入りを決断しないと、早期実行を訴える日本の侍の鏡のような存在として取り上げられているが、実は中国人3世だったわけだ。祖父は浙江省杭州武林の生まれで、出身地から取って武林を名乗ったとされる。
▽新しい文化とともに、日本社会に溶け込んだ
・江戸初期の「移民」は日本に新しい文化を導入する役割を担うと共に、見事に日本社会に溶け込んでいったわけだ。日本文化は決して単一の価値観から出来上がっているのではなく、外来の様々な文化と融合する中で磨き育てられてきたと言っていいだろう。
・堺屋氏が2度目の「大量移民流入だった」と指摘するのが19世紀後半。明治維新をはさんだ1850年から1900年ごろまでの間に、やはり中国大陸などから大量の移民がやってきたという。 「日本に移民がやってくるのは中国側の事情が大きい。この時も清朝が力を失う中で、多くの中国人が日本に渡ってきた」
▽流入外国人が「オシャレな事業」を切り拓く
・神戸で洋服店を開いたり、コーヒー店を開くなど、日本の最先端をいくオシャレな事業を切り拓いた人たちに外国人が多かったという。もちろん彼らは日本に定着し、孫世代になって、日本人として活躍している有名人も多い。 大正時代に花開く日本近代文化も、明治維新前後に日本にやってきた多くの外国人がもたらした外国文化の影響を多大に受け、花開いたものだった、と見ることができるわけだ。
▽移民受け入れが、日本の成長の起爆剤になった
・堺屋氏は、この2度にわたる大量の移民受け入れが、日本の成長の起爆剤になったと指摘しているのだ。1度目の移民受け入れは江戸初期から中期にかけての高度経済成長を生み、元禄文化として完成される。また、2度目の明治維新もその後の明治から大正にかけての高成長につながり、大正ロマンと呼ばれた文化の華を咲かせた。
・堺屋氏は、過去2回の歴史に学び、外国人を受け入れることで経済や文化を発展させるべきだとしている。そして過去と同じように日本社会が外国人移民を受け入れたならば、彼らは2世代後には、日本人以上に日本人らしい存在になっていくと見ているのである。
・安倍内閣は9月27日、安倍首相自身が議長を務める「働き方改革実現会議」の初会合を開いた。安倍首相が「今後3年間の最大のチャレンジ」と位置付ける「働き方改革」の具体策を議論する。首相を含む9人の閣僚と民間人有識者15人の合計24人がメンバーだ。
▽安倍首相が挙げた「働き方改革」9つのテーマ
・議論を受けて発言した安倍首相は、今後の議論の順番として9つを挙げた。 【1番目】 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善  【2番目】 賃金引き上げと労働生産性の向上  【3番目】 時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正  【4番目】 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題  【5番目】 テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方  【6番目】 働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備  【7番目】 高齢者の就業促進  【8番目】 病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立  【9番目】 外国人材の受入れの問題
・かろうじて一番最後に「外国人材の受け入れ」が入っている。これまで安倍首相は繰り返し「いわゆる移民政策は取らない」と述べてきた。一方で、人口減少が鮮明になり、全国各地で人手不足が顕在化している。そんな中で、外国人労働力の受け入れ拡大を求める声が急速に高まっている。
・自民党も今年5月、労働力確保に関する特命委員会(委員長・木村義雄参院議員)が、「『共生の時代』に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方」という提言をまとめた。 (自民党Web内 労働力確保に関する特命委員会の提言 「『共生の時代』に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方」 ダウンロードページ)
▽大幅な外国人労働者受け入れに舵を切るべきだ
・提言では「専門的・技術的分野の労働者は引き続き積極的に受け入れるべき」 「(その他の労働者についても)個別に精査した上で就労目的の在留資格を付与して受け入れを進めていくべき」とした。そのうえで、「国家戦略としても人口が減少する中で我が国の活力を維持するためには、外国人に今以上に活躍していただくことが必要であり、そのような観点から、現在の外国人労働者数(90.8 万人)を倍増しても対応できる制度を構築するべきである」とし、大幅な外国人労働者受け入れに舵を切るべきだとした。ただし、あくまでも、「移民政策と誤解されないように配慮しつつ」、労働者として受け入れよとしている。
・日本はこれまでも、好景気の人手不足を賄うために「労働力」として外国人を受け入れてきた。バブル期にはイランなどから建設作業者が大量にやってきた。その後は製造業での人手不足を補うために日系ブラジル人を労働力として受け入れた。バブルの崩壊と共に多くのイラン人は日本を去り、リーマンショック後に急激な景気の落ち込みに直面すると、ブラジル人に帰国を促す政策をとった。それでも多くの日系ブラジル人が日本各地で生活し続け、生活維持や教育などで大きな課題を残している。
・一時的な労働者として好景気の時だけ「穴埋め」に使おうとする外国人政策は、先進諸国でことごとく失敗してきた。ドイツが典型で、労働力として受け入れたトルコ人などが都市部に集住し、ドイツ文化から遊離した形でコミュニティが出来上がった。結果、大きな社会不安を引き起こした。
▽「ドイツは移民国家である」と宣言、方針を大転換
・近年、ドイツは方針を大転換し、「ドイツは移民国家である」と宣言。ドイツに住む外国人にドイツ語教育を義務付けるなど、移民とドイツ社会の融合を図る姿勢を取っている。
・日本では、今後も少子化の影響で労働力不足が一段と深刻化するのは明らかだ。そうした中で、いつまでも明確な移民政策を持たずに付け焼刃の労働力確保として外国人を受け入れていって良いのか。堺屋氏の言うように日本社会に積極的に外国人移民を受け入れていくべきではないのか。歴史に学ぶ時だろう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/092900024/?P=1

次に、9月16日付けダイヤモンド・オンライン「日本人が知らない外国人出稼ぎ労働者の日本への反感 『ルポ ニッポン絶望工場』」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽日本人の“便利な生活”を支える低賃金・重労働の外国人労働者
・世の中には「知っておくべきだが、知らされていない事実」がたくさんある。 本書『ルポニッポン絶望工場』(出井康博著)が伝えるのは、日本で過酷な労働を強いられている「留学生」や「実習生」の実態である。出稼ぎベトナム人と、彼らを食い物にする日本語学校、低コストで彼らを雇う企業という三すくみの構図がメインだ。また、中国人や日系ブラジル人減少している理由や、外国人介護士が定着しない理由についても書かれている。 本書に書かれていることは、日本人として「知っておくべきこと」の一つだと私は強く感じた。
・本書によると、日本で暮らす外国人の数は、昨年1年間で約11万人増え、過去最高の約223万人に達した。こうして増加した外国人の半分以上は「実習生」と「留学生」として日本にやってきているそうだ。実習生・実習生とも、前年比15パーセントの増加。まさに、急増である。
・なぜ、そうなったのか。本書によると、その答えは出稼ぎである。日本の労働人口は減り続けており、とりわけ体力が必要な仕事は働き手が不足している。「実習生」と「留学生」として来日し、単純労働の担い手になっているそうなのだ。
・著者は、2007年から「外国人労働者」をテーマにした取材を始めたという。当時、著者は、海岸沿いにポツンとある殺風景なホタテ加工場で、20代の中国人実習生約100人が黙々とホタテの殻剥きをしている光景を目にしたそうだ。「実習生なしでは、この加工場、いや村はもうやっていけない」加工場の経営者が漏らしたこの言葉に、少子化にともない、今後こういった職場が日本のあちこちで増えていくに違いないと悟ったという。
・それから、10年。 “あのときの私の予感は現実のものとなった。 (中略) コンビニは24時間オープンしてもらいたい。 弁当はできるだけ安く買いたい。 宅配便は決まった時間にきちんと届けてもらいたい。 新聞は毎朝毎夕決まった時間に配達してほしい。
・しかし、私たちが当たり前のように考えているそんな“便利な生活”は、もはや低賃金・重労働に耐えて働く外国人の存在がなければ成り立たなくなっている。いや、彼らがいなくなれば、たちまち立ちゆかなくなる。  そうした実態は、日本人にほとんど知られていないのではなかろうか。
▽在日外国人による犯罪の急増は社会に対する復讐
・そうなのだ。知られていないのだ。それが、第一の問題ではないか。知れば、多くの日本人は恥ずかしいと思うだろう。新聞社も日本人学校も、経営者たちは一体何をやっているんだ。それで平気なのか。と思うに違いない。著者には、全編を通じて彼らに寄り添う姿勢が垣間見られる。とにかく、この実態を多くの人に知ってもらいたい、そしてこの不幸な状況を断ち切りたい、と切実に願っているのだと思う。私も、こんな現状がまかり通っていることが、日本人として恥ずかしくてたまらなくなった。
・弁当の製造工場、宅配便の仕分け現場、そして新聞配達……深夜や早朝の就労が多いそれらの現場に、日本人はほとんどいない。日本人学校によっては、アパートを借り上げ、そこを寮として彼らを狭い部屋に彼らを押し込め、働き口を斡旋し、賃金を学費として吸い上げるという搾取の構図があるようだ。日本人との触れ合いも少なく、語学力を高めるのも難しい。そして、来日前にブローカーから吹き込まれた「月20~30万円の仕送り」など夢のまた夢だ。
・多くの外国人は、夢をもって日本にきている。搾取され、追い込まれ、ある者は静かに日本から去り、ある者は不法就労に走り、なかには凶悪な犯罪を起こす者もいる。冒頭で書いたように事態は急速に進展している。だから、オビにある「彼らの静かな復讐が始まっている!」という警句も、本書を手にする一つのキッカケになってもよい。急激に迫ってきている危機だからだ。
・ただこれが、安直に外国人を忌避する姿勢につながってはいけない。「おわりに」で、欧州における移民とテロの問題にふれた後、著者は次のように書いている。 “在日ベトナム人などの犯罪が急増している背景については第6章で述べた。彼らが犯す「窃盗」や「万引き」は、欧州が直面するテロの脅威とは次元が違う。しかし、外国人による社会に対する復讐という意味では、スケールこそ違っても構図は同じである。
・今後も、日本で働く外国人は間違いなく増えていく。日本に住み続け、移民となる人も出てくるだろう。彼らにこの国で、いかなる役割分担を求めるのか。どうすれば優秀な外国人を日本に迎え入れるのか──。長期的な方針と戦略を立てるのは今しかない。 ~本書「おわりに」より”
▽やや当たり障りのある本」を書店の棚から選び出す愉しみ
・新聞や宅配や弁当の向こう側に、こんな世界が広がっていたなんて、私は知らなかった。今こうしている間にも彼らベトナム人たちは、狭いアパートの一室や単純労働の現場で、日本への反感を募らせている。2015年の彼らの検挙件数は3315件にも達し、前年から犯罪が3割以上も増加しているそうだ。対策は急務である。私たちは、この不幸を断ち切るための根本的な方法を一日も早く考えなければならない。
・しかし、彼らの労働で支えられている企業や利権をむさぼる官僚にとって、それは都合が悪いことだ。スポンサーを気づかうメディアでは、報道すらされにくいだろう。だから私たちは、日々、勇気ある告発本を渉猟する必要があるのだ。
・個人的な経験では、文庫や新書でそういった情報に出会う機会が意外と多い。先日、紹介させていただいた『「子供を殺してください」という親たち』(新潮社)も、そういう本だった。現場で真正面から精神障害者の問題と闘ってきた著者が、その問題点を一般の人に知ってもらうためにまとめた本だ。その後も、相模原の事件などグレーゾーンの患者が起こす悲惨な事件が相次いでいる。我々は、個別の不幸に涙するだけでなく、本を読んで問題の根っこを把握する必要がある。そうでなければまた、不幸な事件が起きてしまうからだ。
・私はこういった本を、書店の売場では、棚に一冊だけささった状態で見つけるケースが多い。宣伝のしにくさもあるのだろうか。ドーンと展開されているベストセラーだけでなく、こうした棚から、ゴリゴリとした歯ごたえのある「やや当たり障りのある本」を選び出すのも書店に行く愉しみの一つである。
・以前、「想像力と数百円」という文庫の売り文句があった。3回の買い物のうち1回でも、「知っておくべきだが、知らされていない事実」が書いてある本に出会えれば、十分、元が取れると思うのだが、いかがだろうか。
http://diamond.jp/articles/-/102079

第三に、11月5日付けZAKZAK「消えた中国人、5年間で1万人超… 技能実習制度から失踪外国人が最多、治安に影響も」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・働きながら技術を学ぶ「技能実習制度」で来日した外国人の失踪が昨年5800人を超え、過去最多に上ったことが30日、法務省への取材で分かった。全体の約半分が中国人で、現行制度成立後の統計によると、平成23年からの5年間で計1万人超が失踪している。多くが不法滞在となっているとみられ、国内の治安にも影響を与えかねないことから、捜査当局は警戒を強めている。
・法務省によると、昨年失踪した技能実習生は5803人で、これまで最も多かった一昨年の4847人を約千人上回った。失踪者数は23年に1534人だったが年々増加しており、5年間で4倍弱となった。 昨年の失踪者を国別にみると、中国が3116人で最も多く、ベトナム(1705人)、ミャンマー(336人)と続いた。中国人実習生の失踪は26年には3065人で、2年連続で3千人を突破。23年から5年間の累計は1万580人となった。
・技能実習生の摘発も絶えず、26年の摘発者数は全国で961人に上り、25年の約3倍に急増。期間を越えて国内に居続ける「不法残留」や、実習以外の仕事をする「資格外活動」などの入管難民法違反罪が約4割を占める。空き巣などの窃盗罪で摘発されるケースも多い。一方で、実習生は人件費が日本人と比べて安いことから、労働条件の悪い人手不足の現場に投入されるケースが続発している。
・こうした状況の中で政府は、受け入れ企業・団体の監視態勢強化、対象職種の介護分野への拡大、滞在期間の延長-などを盛り込んだ外国人技能実習制度の適正化法案と入管難民法改正案を国会に提出。今月25日の衆院本会議で可決されており、今国会中に成立する見通しだ。
・【用語解説】技能実習制度  開発途上国の外国人を最長3年間、国内企業で受け入れ、技術を身につけてもらう制度。平成5年にスタートし、22年の入管難民法改正で現行の仕組みに変わった。対象職種は農漁業や機械・金属、食品製造など今年4月1日時点で74。人を相手にするサービスは含まれていない。昨年、同制度で来日した外国人は約19万2千人で、今年は6月末時点で21万人を超えている。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20161105/dms1611051426001-n1.htm

第四に、11月5日付けZAKZAK「“失踪”中国人最多「不法滞在でも日本で働いた方が稼げる」 経営管理ビザで起業も」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・外国人技能実習生の失踪が過去最多を記録したことが30日、法務省への取材で判明した。特に目立つのは中国人の失踪。日本での中国人の経済活動が活発化したことで、不法滞在者の職探しが容易になったことが失踪者増を下支えしているとみられる。関係者は「失踪者の受け皿が多様化しており、中国人同士が『横の連携』を取って仕事を見つけている」と危機感を募らせる。
▽「受け皿」多様化
・「かつて、不法滞在者は知り合いが経営する中華料理店やスナック、日雇いの工事現場など選べる仕事の選択肢が限られていた」 中国人実業家は数年前の状況を振り返る。 しかし、平成27年4月に外国人の新規事業立ち上げを促進するために新設された「経営管理ビザ」を利用するなどして、日本で起業する中国人が増加。中国人観光客向けガイドや、民泊ビジネスを始めるケースが相次いでいるという。「人件費を浮かせるため、不法滞在の中国人を雇い入れる業者は多い」(中国人実業家)
・失踪した中国人実習生の中には、中国人ユーザーが多いメッセージアプリ「微信(ウェイシン)」などを使って職を求める者もいる。 同アプリを利用する中国人商店主は「元研修生を名乗るユーザーが『仕事を探している』とよく投稿している」と語る。
・こうした状況を受け、在日中国人社会の中で、不法滞在者のためのセーフティーネットも構築されつつある。現在、顔写真貼付の必要がない国民健康保険証の貸し借りが横行。中国人実業家は「特別永住者の資格を持つ知人の料理店主は、不法滞在者に保険証を貸し出すのを商売にしている」と証言した。
▽地方出身者多く
・日中関係に詳しい関係者によると、技能実習生として来日する中国人は、東北部(遼寧省、吉林省、黒竜江省)などの地方出身者が目立つ。 中国では、地方出身者が上海や北京などの大都市に拠点を移すために「都市戸籍」が必要になる。地方出身者の持つ戸籍は「農村戸籍」と呼ばれ、都市戸籍を取得するためのハードルは高い。 中国国内で戸籍制度改革は始まりつつあるが、「不法滞在でも日本で働いた方が稼げる」として、技能実習制度を利用して来日する者が後を絶たないという。
▽日本の業者連携
・一方、実習生を「低賃金で雇える労働力」とみなして過重な労働を強いる日本の企業・団体が、失踪を助長しているとの指摘もある。 技能実習制度に絡む関連法案の改正案が今国会で成立する見通しで、受け入れ企業の監督態勢が強化される。就労実態を検査する機関も創設される予定だ。
・しかし、受け入れ側の監視を強めても失踪者減に直結するかは不透明だ。 別の中国人実業家は「中国には『上に政策あれば下に対策あり』という格言がある。法の網をすり抜けようとする人はいるだろう」とした上で、「日本の業者と連携して実習生を集めるブローカーもいる。戸籍問題など中国側の問題が続く限り、劇的な改善は望めない」と話している。
▽「制度のゆがみを象徴」
・千葉科学大の酒井明教授(国際関係論)の話「現在の制度は当初の国際貢献という趣旨から外れてきており、失踪が相次いでいるのは制度のゆがみを象徴する事例といえる。制度を隠れみのとして、不法滞在者が流れ込むルートの一つになっている面は否めない。受け入れる側も彼らを体のいい単純労働力として使い捨てにしてきた経緯がある。抜本的な制度の見直しを急ぐべきだ」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20161105/dms1611051530002-n1.htm

第一の記事で、『赤穂浪士の中にそうして渡って来た中国人の孫がいる』、というのは初めて知った。3世だけあって、それだけ日本人になり切っていたということなのだろう。ただ、『今こそ移民受け入れを行うべきだ』との堺屋氏の主張には、総論的には賛成だが、各論的には受け入れる人材の要件の明確化、受け入れ体制の整備、など多くの難題を乗り越える必要があろう。
第二の記事で、『海岸沿いにポツンとある殺風景なホタテ加工場で、20代の中国人実習生約100人が黙々とホタテの殻剥きをしている光景』、というのは余りに悲惨で、「技能実習生」の建前の空疎さを如実に示している。『私たちが当たり前のように考えているそんな“便利な生活”は、もはや低賃金・重労働に耐えて働く外国人の存在がなければ成り立たなくなっている。いや、彼らがいなくなれば、たちまち立ちゆかなくなる』、というのは事実だが、我々も労働条件適正化のコストを払ってゆくべきだろう。
第三、四の記事で、技能実習制度から失踪する外国人の多さには改めて驚かされる。『現在の制度は当初の国際貢献という趣旨から外れてきており・・・受け入れる側も彼らを体のいい単純労働力として使い捨てにしてきた経緯がある。抜本的な制度の見直しを急ぐべきだ』、というのはその通りだ。放置すれば、失踪者から犯罪に手を染める者も増えるだろう。さらには、日本に反感を抱いてテロに走る者も出てくる懸念もある。外国人技能実習制度の適正化法案と入管難民法改正案が、これらの問題にどの程度、応えられるのかは、分からないが、解決の方向に向かってほしいものだ。
明日の金曜日は更新を休むので、土曜日にご期待を!
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