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粗悪キュレーション(まとめ記事)サイト問題(その3)(DeNA転落の起点、「医師監修」だから安全とは限らない) [メディア]

粗悪キュレーション(まとめ記事)サイト問題については、12月12日に取上げたが、今日は、(その3)(DeNA転落の起点、「医師監修」だから安全とは限らない) である。

先ずは、東京大学経済学部在籍中の大熊 将八氏が12月13日付け現代ビジネスに寄稿した「DeNA・村田マリ執行役員が落ちた「ベンチャードリーム」の罠 あの時、彼女は筆者にこう語った」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「AR(拡張現実)は今後3年ぐらいでは流行らないと思うから、とりあえずメディアをやればいいんじゃない?」 およそ1年半前、筆者がシンガポールで村田マリ氏と会った時に、こんな言葉をかけられたのを覚えている。一連のキュレーションメディア騒動でその責任を問われている村田マリ・DeNA執行役員。出会った経緯については後述するが、筆者はこのひと言に、今回の問題の原因が集約されているように思えてならない――。
・医療情報メディア「WELQ」を始めとするDeNAのキュレーションメディア全10媒体の記事が、著作権を無視した他サイトの「コピペ」にまみれたものであるとして紛糾、全媒体の全記事が非公開化されるなど、波紋が広がっている。
・12月7日、時間無制限で行われた記者会見では、直前に夫を亡くしたばかりのDeNA南場智子会長や、守安功社長、小林賢治経営企画本部長が記者の厳しい質問に真摯に対応する一方、女性向けメディア「MERY」を除く9媒体の事業統括責任者である村田マリ執行役員が、健康上の問題などを理由に会見に出席しなかったことが、批判を集めている。
・立ち上げからわずか9カ月で住宅・インテリア関連メディアiemoをDeNAに売却、一躍ベンチャー界の寵児となった村田氏だが、その「転落」もまた早かった。その原因はどこにあったのか。筆者の体験も基にしながら、探っていきたい。
▽根っからの「売却屋」
・今回問題になった10媒体の運営を担うキュレーションプラットフォーム事業は、DeNAがMERYを運営する株式会社ペロリと、住宅・インテリア関連メディア「iemo」を運営するiemo株式会社を総額50億円で買収したことで立ち上がった事業である。
・守安社長は記者会見冒頭で、「comm」や「マンガボックス」など自社が力を入れた新規事業がなかなかうまくいかなかったこと、フリマサービス最大手の「メルカリ」など他社のスタートアップ事業が成功していることをうらやましく感じていたことを正直に語った。 「永久ベンチャー」たることを掲げるDeNAだが、社員2000人以上を抱える東証一部上場の大企業となって久しくなり、社内で創業期のようにベンチャー精神を持った人材を育てることは難しかったのかもしれない。そこで目をつけたのが、創業者ごとスタートアップを買収して「新たな血」を取り入れることであった。
・DeNAに限らず、本業に続く「第2の柱」を求めて買収に乗り出す企業は多い。とりわけ、なにか1つの分野で大きく当てて急激に成長し上場したIT企業は、流行りの事業一本槍では遠からずピークに至るのを自覚しており、上場によって得た資金の使い道はたいてい、企業買収か海外展開に当てられる。
・もっとも有名かつ成功した事例で言えば、画像投稿SNSのInstagramやコミュニケーションアプリのWhatsappという潜在競合をはやめに買収し、自社の成長に役立てたFacebookが挙げられる。  売り手側にとっても、以前は「身売り」などネガティブな文脈で語られることが多かった事業売却だが、買収元のリソースが使えるようになることで事業成長を加速させることが期待できるうえ、株主が買収の対価としてお金を得られるという大きなメリットがあり、今ではポジティブに捉える起業家も多い。 それどころか、最初から売却狙いでサービスを立ち上げる起業家、それを見越して資金を入れる投資家もいる。
・村田マリ氏もそんな「売却屋」の1人だった。DeNAに会社を売却する前は、ソーシャルゲーム大手のgumiにも自社を売っており、その他にもサービス単位でいくつも事業売却を行って財をなしてきた。
▽キュレーションは「手軽でオイシイ」
・資本主義社会において、会社や事業は驚くほど高い価値をつけられ売買される。うまくすれば創業1年やそこらで、サラリーマンの生涯年収の何倍もの富を築ける。そこに旨味を感じるのは当然、ともいえる。 村田マリ氏率いるiemo株式会社が、MERYを運営するペロリ社代表取締役の中川綾太郎氏とともにDeNAに買収された2014年には、ハウツー系メディアのnanapiが総額77億円で、音楽メディアのナタリーが金額非公開でそれぞれKDDIに買収されるなど、webメディアの大手企業への事業売却が続いた。
・その波を受けて、ひと山当てようとメディア事業をはじめる起業家は多くおり、今年になっても会社売却が相次いでいる。9月には、髪の悩みに関する情報サイト「ハゲラボ」を運営するゴロー株式会社が、約13.5億円の評価額でスマホコンテンツ会社のユナイテッドに買収され、10月にはファッションキュレーションサイト「MARBLE」など運営するCandle社が、ソーシャルゲームやEC事業を手がけるクルーズ社に12.5億円の評価額で買収された。前者の代表取締役は24歳、後者に至ってはなんと弱冠22歳という若手起業家が務めている。
・ベンチャーの世界では、VR(仮想現実)や、AlphaGoが囲碁の世界チャンピオンを打ち負かしたのが記憶に新しい人工知能(AI)、全てのモノがインターネットにつながるIoTなど、最先端のテクノロジーがもてはやされ、筆者の周囲にもそういった分野で起業する者が沢山いる。 しかしそれらの技術には未知数な部分が多く、成功するまでに時間と費用がかかるもの。そういった分野を切り開いてこそベンチャーと言えるのかもしれないが、現実は厳しい。
・それに比べれば、キュレーションメディアの立ち上げは技術的な新規性は必要ないうえ、学習すればアルバイトでも身につけられるSEO(検索最適化)を駆使してひたすら地道に記事を量産していけば一定の読者数を獲得できる「手をつけやすい事業」と言える。
・以前はUberやAirbnbなどの「シェアリングエコノミー」に類する事業にチャレンジしていた者が、結局うまくいかず、メディア事業に転向した例も知っている。買い手からしても、「若者」「女性」「住宅に興味がある」など特定のセグメンテーションができるユーザーを何百万人も抱えるメディアは一見魅力的に映る。買い手にとっても売り手にとっても、メディア事業はてっとり早いのだ。
・新規メディアを立ち上げ、売却に成功した者が「勝者」のようにもてはやされることで、また安易に新規メディア立ち上げを目指すものが増える…これが近年のベンチャー界の実情だ。
▽シンガポールに呼ばれた筆者
・「AR(拡張現実)って今後3年ぐらいでは流行らないと思うから、とりあえずメディアをやればいいんじゃない?」 筆者がおよそ1年半前に村田マリ氏と会った時に、こんな言葉をかけられたのは、冒頭で述べた通り。筆者はその直前まで、メディアのスタートアップが乱立しているニューヨークに赴き、3ヶ月間の取材活動を行っていた。
・アメリカでは新興ネットメディアが次々立ち上がる一方で、既存のメディアがその進化に対応できずに苦しんでいた。メディアのあり方、ジャーナリズムのあり方について研究していた筆者は、その現状を取材し、報道姿勢はもちろん、財政的にも健全なジャーナリズムが存在可能かどうかを探ろうとしていた。 その活動を応援してくれていた知人が村田マリ氏を筆者に紹介し、一度東京で話したところ、もっとじっくり話を聞きたいということでシンガポールに呼んでくれたのだ。そこで筆者はアメリカで得た知見を話し、自身も起業することを検討していたことから彼女に相談させてもらった。
・村田マリ氏から得られた印象は、「まさにパワフルな起業家」という言葉に集約される。とにかく新しい情報を貪欲に摂取し自分のビジネスに取り入れようとする。その背景には「成功すること」への飽くなき欲求が見て取れた。筆者のような若造をわざわざシンガポールまで呼んで話を聞こうとするところにもそれは表れている。
▽「とにかく伸びてるの!」
・一方で、ジャーナリズムについての考え方や、健全なメディアのあり方という点は彼女の興味の範疇になかったのだと思う。彼女が頻繁に口にしていたのは「とにかくうちのメディア事業の数字が伸びていて、凄いのよ!」という言葉だった。 その場には、以前運営していたメディアが訴えられるなどのトラブルを抱えた人物もいたが、彼に対しては「(事業売却まで)もう少しだったのに惜しかったね」と声をかけていた。
・「でもうちで(メディアの立ち上げを)経験してもらってから、また新しいことを始めればいいからね」 エネルギッシュに話す村田氏と向き合っているとその世界観につい引き込まれそうになるが、帰国して冷静に振り返ってみると、法的にグレーな部分は大丈夫なのだろうか、といった疑念がもたげた。筆者も「事業に加わらないか」と誘ってもらったが、結局、他にやりたいことがあったことから、固辞した。
・筆者がニューヨークで目にしたのは、紙の新聞や雑誌が売れなくなる一方、ネットメディアが乱立し、各々が儲からないという状況だった。そのようななかで、大手新聞社やテレビ局をレイオフされたジャーナリストたちが、地元のコミュニティを運営してなんとか生計を立てるなど、新しい形でメディアを成り立たせようと工夫を重ねていた。
・とにかくページビューを稼ぎ、豊富な広告収入を得ようと志向するのではなく、報道すべきことを報道する、そのための収入源を確保する…そういったことを考える小さなメディア・スタートアップもたくさんあった。
・「メディア」という言葉の概念は広く、一人歩きしがちだが、特にウェブメディアに関しては一方にジャーナリズムや学問的な「メディア論」の文脈があり、もう一方には、アフィリエイトなど広告の仕組みで低コストで儲けようという金儲けの文脈がある。
・金儲けは悪いことではない、むしろ切っても切り離せないものであるが、理念は抜きに金儲け「だけ」に走った結果、法令遵守という最低限のモラルも守れないまま拡大したことが、今回の顛末を招いたといえる。やはり、創業によって本当の成功を収めるには理念が不可欠なのだと、今回の一件は教えてくれる。
・筆者にとって不可解なのは、先見の明がある村田マリ氏がこのような事態を予測できなかったのかという点だ。彼女は根っからの起業家・事業売却家であるから、推定2年ほどとみられるDeNAとのロックアップ(一定期間、売却先を退社できなかったり株を売却できないようにしてコミットを求める契約)が切れたら、また独立して新たな事業を立ち上げるものだと思っていた。
・村田氏の独立が見えていたのなら、DeNAではWELQのように明らかに「クロ」なことに手を染める必然性はなく、事業の伸びは緩やかかもしれないが、法的にクリーンなやり方でやり過ごす手もあったはずだ。
▽「ユーザーの幸せ」はホンネか?
・今となっては、立ち上げの時点からiemo やMERY のコンテンツには著作権上の問題があったことが多数指摘されているが、DeNAの買収を機に健全化すれば結果的に問題はなかったと筆者は考える。 最初からグレーゾーンなどを攻めず、健全なメディアをつくれるのなら、それに越したことはない。が、それは理想論で、そのような正攻法ではベンチャーは既存の有力企業になかなか勝てないのも事実だ。
・今回の問題を先陣を切って報じ、内部資料まで公開したバズフィード ジャパンにしても、本国のバズフィードは、今でこそ数多くのベテランジャーナリストを抱えて巨大な影響力を持ち、Walt Disneyから合計4億ドルもの出資を受けているメディアとなっているが、その出自は盗用との批判もあるまとめ記事のオンパレードだった、とも指摘される。
・2014年6月には「現在の編集方針にあわなくなった」として突如過去の記事を4000記事削除する(http://gawker.com/over-4-000-buzzfeed-posts-have-completely-disappeared-1619473070)など、健全化に努めている。 その後2015年4月には広告主からの圧力で編集記事を削除するなど、中立性を堅持するメディアとは言えないお粗末な面も露呈したが、今となってはその出自が取りざたされることはあまりない。
・はじまりはグレーでも、資金が回り出したころに「まともなメディアに転向する」という方法は、ウェブの世界では「ギリギリ認められるライン」とは言えないだろうか。 MERY、iemoもDeNAグループ入りを機に、豊富な資金とブランド力を背景に健全化し、さらなる成長を遂げるーこれこそが市場関係者もDeNAも、そしてなによりユーザーが望んだ姿だったのではないだろうか。
・11月初旬に、とある会合で中川綾太郎氏とたまたま話す機会があった。筆者は現在、企業への取材や財務分析を通して、その問題点を指摘するという活動を行っている。それは健全な企業情報を世に広めるために不可欠と考えて使命感を持ってやっているが、一方で、自身の活動が日々新たな価値を生み出そうともがく経営者、とりわけまだ足元が覚束ない新興企業の足を引っ張ってしまうことにならないかと危惧している。
・中川氏にそう話したところ、上場企業ともなれば社会的責任は大きいわけだから、新興だろうが何だろうがきちんとした批判を受けてしかるべきといった旨の言葉を受けた。MERYにも「パクリ記事」との批判があるが、それについてどう思うかと問うたところ、初期にはそういうことがあったかもしれないが、今は日々数百万人のユーザーを幸せにしているサービスを作れていることに誇りを持っている、という答えが得られた。
・そのMERYも、大半が不適切なコンテンツだった疑いで現在は非公開となっている。批判を受け止める覚悟は持っていた一方で、真に「ユーザーを幸せにするサービス」を提供できているかどうか、ということへの確認が足らなかったのだろう。 今回DeNAの問題を振り返る中で、中川氏の言葉がなんども脳裏で反芻された。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50436

次に、慶應義塾大学看護医療学部教授の加藤 眞三氏が12月19日付け東洋経済オンラインに寄稿した「WELQ問題「医師監修」だから安全とは限らない 正しい医療情報を得るために必要なことは?」を紹介しよう(▽は小見出し、+は・の文節のなかの段落)。
・DeNAの傘下にある健康・医療系キュレーション(まとめ)サイト「WELQ」。不特定多数のライターによって書かれた記事内容の信憑性に問題があったこと、ほかのサイトをコピーして加筆するなど、著作権上も問題があったことなどが明らかにされ、サイトの無期限休止に追い込まれることになりました。
・現在、様々な視点からWELQ問題が論じられていますが、今回は、正しい健康・医療情報を求めるサイト利用者にとって、どのような点が問題なのか、そして、どうすれば間違った情報に踊らされることがないのか、再考してみたいと思います。
▽「専門家が監修したから安全」とは言い切れない
・この事件が取り上げられ始めた当初、問題点の1つとして、医療の専門家の監修がなされていないこと、医療・健康情報に詳しいジャーナリストがいないことが挙げられていました。 そうした指摘を受けて、サイト休止前の11月24日には医師や薬剤師など「医学的知見」を有した専門家による監修を始めたことを発表。会社側は、サイトが再開してからこうした監修を続けるかどうかも、検討中としています。
・しかし、仮に専門家が記事を監修するようになったとしても、必ず安全とは言い切れません。 世の中には、「抗がん剤はがんに効かない」という医師がいれば、「抗がん剤を使うべきだ」という医師もいます。単に医師免許を持っているというだけでその医師を専門家と考え、その監修した情報を100%信用することはできないのです。また、専門家が「監修」をしたといっても、どこまでその内容をチェックしているのかはわかりません。たとえば、過去にはこんな事件がありました。
・もう10年以上前の、2001年の事件になりますが、『即効性アガリクスで末期ガン消滅!』(史輝出版)という本の中に記されている患者の体験記が、まったくのでっち上げであったことが判明しました。 本書を執筆したフリーライターは、「体験談はすべてねつ造した。他の本などを参考に自分で考えた」と認め、監修者とともに書類送検されました。監修者の師岡孝次氏は、医学博士で東海大学名誉教授でした。
・師岡氏のホームページを見ると、以下のような華々しい経歴が書かれています。 1960年 慶応義塾大学大学院博士課程終了。 慶応大学にて専任講師。その後助教授に、1975年 東海大学教授に、1980年 ウインザー大学客員教授(カナダ)、1993年 中国医科大学顧問教授、2000年 東海大学名誉教授、2005年 国際学士院大学副総長に就任し、現在に至る
・受賞歴は、「1997年 日本医師会優功賞受賞、2002年 日本文化振興会 社会文化功労賞受賞、リンカーン平和記念勲章受章、2003年 カナダ大使館 特別功労賞受賞」などをあげ、所属も「日本病院経営学会 会長、日本危機管理学会 名誉会長、日本健康科学学会 名誉会員」などと列記しており、自分に権威があることを誇示していたのです。
▽「非常に忙しくて、拝見しておりません」
・ところが、2005年7月19日のNHKクローズアップ現代でインタビューに答えた同氏は、医学部を出ておらず、医師ではないこと、医学博士は中国で取ったものであること、アガリクスの研究は一切していないこと、医学とは関係のない、経営工学の教授であることなどを述べているのです。 さらに、出版前に原稿を見ていたのかとの質問に対して、「いえ、原稿などは、一般に拝見しておりません。言い訳に聞こえるかもしれませんが、非常に忙しくて、出している本も冊数も多いものですから、1つ1つがどうなっているかというようなことが、具体的にほとんど不可能なんですね」と回答しています。
・すなわち、監修したとしても、その専門家により意見が異なることがあり、しかも、監修者が実際には内容をチェックしていないこともあるのです。多くの肩書きや受賞歴を書き連ねている人、あまりに何十冊もの出版物を著作したり監修している人からの情報は、用心した方が賢明です。
・さらに、専門家の権威自体も落ちています。この10年の間に、多くの一流大学の研究室からの論文不正が明らかにされてきました。 中でも、2007年から問題提起されたノバルティスファーマ社のディオバン事件は、本当の専門家の発信する情報が信用をなくす事件でした。製薬会社の社員が論文作成の不正に関与したとして、京都府立医科大学、東京慈恵会医科大学、滋賀医科大学などから出されていた、海外の一流医学雑誌に掲載された論文が撤回されることとなりました。
・2014年には、わが国の代表的な分子生物学者であり、約15億円の公的研究費を受けていた東京大学の加藤茂明教授の研究室から出された33本の論文に、捏造と改ざんがあったことが大学の調査により明らかになりました。このように、たとえ高名な研究機関の専門家であっても、その権威自体が失墜してきているという状況にあるのです。
・本当の専門家の情報でさえ信用できないことがあるとすれば、一体どうすれば良いのかと途方に暮れてしまうかもしれません。一般市民が自分の健康を守るために何ができるのか、重要なのは以下の7項目です。 1. 基本的な健康常識を身につけておく 2. 発信する相手の目的を知る  3. 情報の信用の重み付けを意識する  4. 良い情報源を日頃から確保する  5. 今、行動(購買,適応)すべきかどうか吟味する  6. 信用できる人に相談する 7. 自分の感覚・体験を大事にする
1. 基本的な健康常識を身につけておく(わたしは何よりもこれが大切だと考えています。健康常識に合わないことは先ずは疑うということで良く吟味すること。そして、その基本的常識として、拙著『患者の力』(春秋社)の中でもとりあげている「世界がん研究基金の提言」を推薦します。これは過去の膨大な科学的提言に基づいて作られており、がんだけではなく多くの生活習慣病にも役立つ提言です。この提言に合わないことは、新しくだされた確実な証拠がない限り信じないことです。)
2. 発信する相手の目的を知る(情報の発信者は、何らかの目的があって情報を発信します。その発信者の目的を知る、あるいは真の目的を推測することが大切です。WELQ事件を起こしたDeNAは、情報を発信することそれ自体ではなく、読者をサイトに誘導して広告料を稼ぐことが目的となっています。誘導した読者を商売の道具として利用しようとしているのです。たとえ監修者がいたとしても、その監修者は名前を貸しているだけで内容はチェックしていないかもしれないし、適切な専門家ではないかもしれません。
+また、厚労省や都道府県など行政機関から発信された情報は安全なのでしょうか?これも、政策誘導的である可能性があります。また、学会のホームページに書かれていることは、学問的には正しいのでしょうが、新しい治療や診断などに傾きがちです。学会には、学会の繁栄のためという意識が根底にあるからです。 +製薬会社や通信販売会社のサイトは、専門知識のない患者にとってわかりやすくできていますが、それだけの経費をかけているのであり、薬の販売を増やすという目的があると見るべきです。
+私的病院やクリニックがつくったものは患者を誘導することが目的のものが多いようです。保険診療にない高い医療を掲げているものは要注意です。多くの場合に科学的に証明された効果はありません。
+私が所属している慶應大学病院では、健康医療情報を「KOMPAS」という名前でインターネット上に公開していますが、これは大学の社会貢献事業の1つとして行っています。もちろんこのサイトにも、慶應大学が得意としている希少難病の患者を集めたいという思惑があるかもしれませんが、記事を書いている医師の多くは、患者が増えたからといって評価されるわけでもなく、患者を集めて儲けようなどという発想はありません。 国立がんセンターのサイトも、「医学の本流」の情報を知るにはよいサイトです。がん患者の市民運動から、がん対策基本法が創られ、経済基盤もしっかりしています。)
3.情報の信用の重み付けを意識する(医師は専門の情報を得るときに、その情報がどの雑誌に報告されているのかを重視します。一流誌に掲載されていれば、それだけ厳しく専門家の査読審査を受けているからです。逆に、三流誌にのっていると何らかの問題があるのではないかと疑います。
+それと同じように、新聞や雑誌の医療情報も、それぞれの発行会社や発信者の格をみることが必要です。会社の歴史を調べてみることも参考になります。同じような過ちをおかしてしまう会社が案外多いからです。最近の事件で言えば三菱自動車や東芝がその例です。全ての情報は参考までにとりいれると考え、100%は信用しないことです。)
4.良い情報源を日頃から確保する(日頃から、情報源を吟味しておくことも必要です。例えば、SNSなどでも、根拠のない噂話をリツイートする人を、わたしはツイッターのフォローするリストから外しています。ある専門の分野の情報をツイートしてくれる人は、私にとってよいキュレーターになります。
+国内の新聞も全国紙よりむしろ地方紙が市民の立場に立って報道しているように思います。また、日本の雑誌や新聞だけではなく、海外の雑誌や新聞もフォローしておくと世界的な感覚で情報が確保できます。) 5.今、行動(購買,適応)すべきかどうかを吟味する(新しい療法や治療法などの情報は、まずは疑いながら、少し時間をおいてから行動に移しましょう。時間が経てば、色々な問題が出てくることがあります。急ぐものでなければ、すぐに飛びつくのではなく、目安として半年ぐらい待つことが安全につながります。)
6.信用できる人に相談する(情報を得て、実際に行動する前に、もう一度信頼できる人に相談してみましょう。健康情報であれば、かかりつけ医や医師になった友人などに聞いてみることが奨められます。普段からこのような人を確保することを意識しましょう。自分と価値観の似かよった医師であれば、よいアドバイスが得られるかもしれません。)
7.自分の感覚・体験を大事にする(いざ行動すれば、その後の自分の感覚や体験を大切にして下さい。決して、事前の情報だけを信じ込まないことです。)
・これらを全部満たすことはできなくても、少なくとも、1,6,7の項目を実行しておくことにより危険を低減できます。
▽WELQ問題の発した警告
・WELQ事件が、健康・医療情報を受け取る側、すなわち市民や患者に対して発したこととは、信頼できる情報を伝えることを目的とするのではなく、情報提供の場を利用して読者によるクリック数を集め、それを商売の手段とする企業があるということです。その上では、信頼性を犠牲にしても、利益を出すために安価に記事が作成され、注目されやすく話題になりやすい内容で読者を集めることが優先されます。
・次に、検索エンジンの上位にある記事が必ずしも信頼性のある情報ではなく、検索エンジン最適化という操作によりなされたものが出回っているということです。したがって、大事な情報をとりいれる際に、最上位にあるものだからといって本当に信頼に足るものなのか、検証することが大切です。
・今後、医師による監修などが加えられ、それをウリにした健康・医療メディアが出てくることもあるでしょう。しかし、医師による監修が信頼性を保証するものではないこと、医師にとっては、監修すること自体が経済的な目的となってしまう可能性に留意しなければいけません。
・インターネット上の情報は玉石混淆です。キュレーションメディアは、こんな情報もあるのか、と見つけるために利用するのは便利かもしれません。しかし、それを自分に適用するときは、常に反対の意見にも留意し、多くの情報の中から自分で情報の価値判断をすること、できれば専門家のアドバイスも得ることが奨められます。それができなければ、安易にこうしたメディアには近づかないことが大切です。先ずは、信頼ある情報源のみから情報を得ることをお奨めします。
http://toyokeizai.net/articles/-/149965

大熊氏はまだ学部在籍中ながら、海外にまで活発に活動の場を広げており、考え方もかなり深いようで、将来が楽しみな人材のようだ。謝罪会見を欠席した村田マリ・DeNA執行役員は、 『根っからの「売却屋」』で、『頻繁に口にしていたのは「とにかくうちのメディア事業の数字が伸びていて、凄いのよ!」という言葉だった』、というようにリスクよりもページビュー稼ぎだけを追求する超アグレッシブな姿勢だったようだ。その意味では、今回の問題は起こるべくして起きたといえよう。また、それを放置していたDeNAの会長・社長の責任も重い。ただ、大熊氏が、『はじまりはグレーでも、資金が回り出したころに「まともなメディアに転向する」という方法は、ウェブの世界では「ギリギリ認められるライン」とは言えないだろうか』、としているが、「まともなメディアに転向する」余地自体が果たしてあったのだろうかと、私は懐疑的にみている。
加藤氏が指摘するように、『「医師監修」だから安全とは限らない』、というのはその通りだろう。『即効性アガリクスで末期ガン消滅!』を監修者した師岡氏の無責任ぶりには改めて驚かされた。彼に対しては、刑事責任は問えないとしても、民事上で損害賠償請求することは不可能ではないと思われるが、訴訟が提起されなかったようなのは残念だ。玉石混淆なインターネット上の情報を利用する場合の留意点は、加藤氏の指摘する通りで、我々も気をつけたい。
タグ:信頼ある情報源のみから情報を得ることをお奨めします ・インターネット上の情報は玉石混淆です 一流大学の研究室からの論文不正が明らかにされてきました 専門家の権威自体も落ちています 医学とは関係のない、経営工学の教授 非常に忙しくて、拝見しておりません 監修者の師岡孝次氏は、医学博士で東海大学名誉教授 『即効性アガリクスで末期ガン消滅!』(史輝出版 「専門家が監修したから安全」とは言い切れない 「WELQ問題「医師監修」だから安全とは限らない 正しい医療情報を得るために必要なことは? 東洋経済オンライン 加藤 眞三 はじまりはグレーでも、資金が回り出したころに「まともなメディアに転向する」という方法は、ウェブの世界では「ギリギリ認められるライン」とは言えないだろうか もう一方には、アフィリエイトなど広告の仕組みで低コストで儲けようという金儲けの文脈がある ウェブメディアに関しては一方にジャーナリズムや学問的な「メディア論」の文脈があり 彼女が頻繁に口にしていたのは「とにかくうちのメディア事業の数字が伸びていて、凄いのよ!」という言葉だった まさにパワフルな起業家 村田マリ 技術的な新規性は必要ないうえ、学習すればアルバイトでも身につけられるSEO(検索最適化)を駆使してひたすら地道に記事を量産していけば一定の読者数を獲得できる「手をつけやすい事業」 キュレーションは「手軽でオイシイ」 村田マリ氏もそんな「売却屋」の1人だった 根っからの「売却屋」 村田マリ執行役員が、健康上の問題などを理由に会見に出席しなかったことが、批判 記者会見 全媒体の全記事が非公開化 キュレーションメディア DeNA WELQ DeNA・村田マリ執行役員が落ちた「ベンチャードリーム」の罠 あの時、彼女は筆者にこう語った 現代ビジネス 大熊 将八 、(その3)(DeNA転落の起点、「医師監修」だから安全とは限らない) サイト問題 まとめ記事 キュレーション 粗悪
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