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アメリカ(トランプ以外を中心に)(「核の先制不使用宣言」が見送りになった事情、「オバマ時代」とは結局何だったのか) [世界情勢]

今日は、アメリカ(トランプ以外を中心に)(「核の先制不使用宣言」が見送りになった事情、「オバマ時代」とは結局何だったのか) を取上げよう。

先ずは、昨年10月4日付け東洋経済オンライン「「核の先制不使用宣言」が見送りになった事情 オバマ大統領「核軍縮外交」の成果と課題」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・任期切れ間近になって、米国のオバマ大統領が核軍縮に積極的な姿勢を見せている。核を削減することは核保有国の責任とはいえ実行するのは容易でない。同大統領の動きは注目に値するものであり、歴史的な意味を持つ。 世界唯一の被爆国である日本と日本人にとって、この取り組みが重大な意味を持つことは言うまでもない。今回、オバマ大統領の取り組みの成果と課題について解説していきたい。
▽「核の先制不使用宣言」は取りやめに
・オバマ大統領の提案は結果を出せたものも出せなかったものもある。いわゆる「核の先制不使用宣言」は日韓両国が懸念したため取りやめになった。
・「核の先制不使用」とは、核兵器を相手国より先に使用しないことだ。相手国と言うのは、通常、紛争の相手国という意味である。しかし、「先制不使用」の意味は明確でない。相手方の核搭載ミサイルの発射より先にこちらから攻撃を仕掛けることはしないことだと言っても、相手方のミサイル発射とはミサイルが発射台から実際に飛び出した時点か、それより以前の発射命令か、さらに前の発射準備かで大きく違ってくるが、どの時点か具体的に決まっているわけではない。
・仮定の話だが、実際に核戦争になった場合、双方とも決して「先に核攻撃した」とは認めず、「相手が先に仕掛けた」と言い張るだろう。しかし、どちらが先か、判定の決め手はないのだ。 このようなことから、専門家の間では、「先制不使用宣言」はあまり意味がないという考えが強いが、核軍縮を進めることに前向きの姿勢をアピールする政治的な意味はある。
・一方、大きく前進したものもある。 核実験の禁止に関する決議は9月23日、国連安全保障理事会において全会一致で採択された。オバマ大統領は、この決議を拘束力のあるものとしたかったが、それにはロシアや中国が反対したので、決議はすべての国に対し核実験などの自制を求める内容で収まった。
・核実験の禁止については長い歴史があり、空中での実験から地下実験まで段階的に禁止されてきた。すべての種類の実験禁止が条約で定められたのは1996年に締結された包括的核実験禁止条約(CTBT)だが、これは一部の国の批准が終わっていないため、いまだに発効しておらず、その早期発効は国際社会にとって課題になっている。
・米国も議会の反対のため批准ができていない。政府と議会の考えが不一致のため政府が署名した条約を批准できないことは、残念ながら米国にはときどきあり、第一次大戦後、米国が自ら提唱した国際連盟に参加しなかったのは有名な故事だ。 ともかく、米議会が反対の姿勢を崩していない中で、オバマ大統領がCTBTの発効を促す決議の提案を行ったのは勇気ある行動であった。
▽核弾頭の削減は期待外れだとの批判も
・オバマ大統領は、8年前の就任直後から核軍縮に取り組む強い姿勢を見せていた割には実際の軍縮、たとえば核弾頭の削減は期待外れだと批判されているが、米ロ関係の悪化により両国間の核削減交渉が進まなかったという事情なども考慮しなければならない。
・9月17日付英ガーディアン紙によると、オバマ大統領は核弾頭の削減について現在検討中であるとも報道されている。オバマ大統領はやはり軍縮に熱心なのである。去る5月末に米国の大統領として初めて広島を訪れ、「広島と長崎で道徳的に目覚め」、「核のない世界」を追求していく考えをあらためて示したことは、あらためて核軍縮に積極的な姿勢を取る原動力になったと思われる。
・一方、朝鮮半島では。北朝鮮が国際社会の反対を無視して今年すでに2回も核実験を行っている。さらなる核実験(第6回目となる)の危険もあるようであり、北朝鮮は核軍縮とは真逆の方向に向かっている。 これに対し韓国は、とくに今年初めの核実験(第4回目)以来、北朝鮮批判を顕著に強めており、朴槿恵大統領自らが北朝鮮批判の先頭に立っている。北朝鮮の核の脅威を最も深刻に受ける国として、北朝鮮による挑発的な行動に対して軍備を固めること、場合によっては軍備を増強すること、また、米軍と大規模な合同演習を行うことなども必要だろう。
・また、韓国では核の「共同管理」を求める意見が出た。核兵器の共同管理は米国と一部のNATO諸国(ドイツ、イタリア、オランダおよびベルギー)との間で行われているが、核攻撃のボタンをどちらでも押せるようになっているのではなく、最終的な決定権は米国だけが持っている。それでも共同管理国内に核兵器があるので一定の抑止力になると考えられており、それに倣いたいということだ。
・さらに韓国では核武装論も沸き上がった。しかし、北朝鮮の挑発的行動に対し韓国が強く反発するのはごく自然なことである反面、軍備拡張競争を惹起する危険がある。自国の側に理由があると信じつつも、結局相手国との間で軍拡競争に陥ってしまうことは人類の歴史で何回も繰り返されてきたことであり、そのようなことにならないよう努めることも必要だ。
・前述の核実験の禁止に関する決議は、北朝鮮が挑発的な行動を続けるさなかに成立したが、北朝鮮をけん制することが狙いだったのではない。核実験自制決議は特定の国を対象としておらず、CTBTを批准していないすべての国が対象だ。米国もその中に含まれる。
・しかし、米国は朝鮮半島情勢の悪化を防止するうえで大きな役割を果たす特別な国だ。北朝鮮問題については、国連での制裁決議の強化も必要だが、北朝鮮がもっとも重視している安全の確保問題を解決できるのは米国だけである。米国による北朝鮮承認(平和条約締結)と引き換えに、北朝鮮の核放棄がバーターになりうる。北朝鮮と親密な中国は、すでに北朝鮮を承認しており、米国のような役割は演じられない。この問題が解決しないかぎり朝鮮半島情勢の真の安定は実現できないので、米国には平和条約と非核化を対象に北朝鮮と交渉を始めてほしい。
▽韓国の暴走を牽制するべき
・また、韓国に対しては、韓国の北朝鮮に対する対応が過激にならないよう米国から働きかけるべきだ。おそらく米国はすでに韓国と話し合っているだろう。核の共同管理を米国が断ったのは賢明な対応であった。韓国としても、北朝鮮の挑発的行動に備えるためとはいえ、軍備の増強など強気の姿勢だけでは危険があるはずだ。
・日本の立場も微妙だ。日本政府は、オバマ大統領の「核先制不使用」構想が伝えられると韓国とともに(共同してという意味でない)、宣言を止めるよう米国に要望した。 そのような宣言は挑発的行動を続ける北朝鮮に対して誤ったシグナルを送るおそれがあるという理由からだろう。しかし、日本や韓国の主張は単純化され、必要な時には核を躊躇なく使ってほしいという、あたかも核使用積極論であるかのように伝えられる危険がある。
・つまり、こうした問題では丁寧なコミュニケーションが必要だ。日本政府には、安全保障と軍縮のバランスを取りつつ、わが国とアジアの平和と安定に努めることが求められている。
http://toyokeizai.net/articles/-/138541

次に、1月12日付けJBPress「「オバマ時代」とは結局何だったのか 間違いなくアメリカの政治史に残るが、評価は真っ二つ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・アメリカのバラク・オバマ大統領が2期8年の任期を終え、1月20日に退任する。「オバマ時代」とは何だったのか? 本稿では3つの観点から振り返ってみたい。
(1)“歴史的な大統領”
・「バラク・オバマ」という名前は間違いなく、アメリカの政治史に残る。 まず、そもそもオバマは「ガラスの天井」(「みえない壁」)を破り去った人物である。能力や資質、経験が十分な人物が、当然、処遇されるべき地位を与えられない場合に使うこの言葉は、ヒラリー・クリントンが女性初の大統領の可能性があった2016年大統領選挙で日本でもよく知られるようになった。しかし、そもそも女性よりもアフリカ系発、非白人初の大統領職の“壁”の方が当然厚かった。2008年の大統領当選そのものがアメリカの政治の新しい時代を切り開いた。その“壁”を破っただけでなく、4年後には再選も果たし、2期もの長い間、大統領として政策運営を行った。それだけでもオバマは「歴史的な大統領」である。
・また、オバマ大統領は「リーマンショックからアメリカを救った」という意味でも歴史に残る。 この8年間は景気回復の8年でもあった。2008年大統領選挙直前に起こったリーマンショック以後の経済危機で、失業率は政権発足最初の2年半は9%台まで上がっていった。しかし、その後徐々に下がり、最後の2016年の1年間はほぼ4%台まで落ち着いていった。2016年11月には4.6%と9年前ぶりの低い水準となっている。非農業分野の就業者数も2010年10月から75カ月連続で増加しており、史上最長となっている。
・雇用が増えると同時に、落ち込んだ世帯収入の中央値も急上昇し、現在はリーマンショック以前の段階にまで戻っている。所得格差を示すジニ係数はオバマ政権の8年間で徐々に高くなり、格差は広がっていったものの、そもそもアメリカのジニ係数は1960年代からほぼ右肩上がりで上がり続けている。オバマ政権はその勢いを止めることまではできなかったものの、新しい移民が流入する移民国家では格差の広がりはどうしても避けられないところもある。
(2)分かれる評価
・そんな“歴史的な大統領”については、大きく評価が分かれている。ギャラップによるとオバマ大統領の支持率は当初こそ70%近かったが、政権発足後1年もたたないうちに5割を割ることも多くなっていった。その後7年間は上下し、2016年終盤から上向きだしているものの、ほぼ50%前後で推移してきた。
・ただ、問題はその7年間の数字の構成である。民主党支持者はこの期間でほぼ8割強が支持し、一方、共和党支持者からの支持は1割台を割る月も多かった。このように、オバマ政権の8年は政治的分極化が進み、世論は過去にないほど保守とリベラルの両極に分かれていった。 リベラル派にとって、オバマは「最高」の大統領だったが、保守派には「最低」の大統領だった。
・上述の景気回復については、共和党支持者からは「なぜもっと早くできなかったのか」「財政出動で赤字を増やす以外に景気回復策はなかったのか」ということになる。オバマが2008年の選挙戦でずっと雄弁に訴えていた「一つの米国」ではなく、当選後は国民をさらに分裂させてしまったのは皮肉である。
・オバマ政権の8年はこの政治的分極化のため、大統領と議会との関係も複雑だった。議会において、共和党と民主党が真っ二つに分かれ、政策運営に大きな制約があった。民主党が上下両院で多数派だったオバマ政権最初の2年間だけは数にものを言わせて、大型景気刺激策、ウォール街規制強化(ドット・フランク法)、医療保険改革(オバマケア)という、アメリカの政治史に残るような3つの画期的な政策をまとめた。しかし、国内的なレガシーはこの3つぐらいであり、共和党が下院多数派の多数派を奪還した2011年以降の6年間は実質的には「レームダック」だった。
・このような分極化の中で、もし、オバマ大統領に本人以上の政治的な才能があったとしてもなかなかうまくいかなかったと想像される。その点、個人的には同情する部分も多い。議会の共和党側が反対し、全く動かない中、移民法改革などを「大統領令」という小手先で行うにはやはり限界があった。最後まで叶わなかった最初の公約の1つであるグアンタナモ収容所の閉鎖も、収容者をどこに移すかで国内問題化したのが響いた。
・外交ではオサマ・ビン・ラディンの殺害、イラン核合意、キューバ国交正常化の3つがレガシーとして残るが、2013年夏のシリア・アサド政権への介入を見送って以降の中東の大混乱は大きな負の遺産として残ってしまった。ただ、議会の反対や介入長期化の問題を考えると正解答案はなかったかもしれない。TPPも結局まとまらなかった。「核なき世界」など、力強いメッセージを内外に向けて発したが、これは最初から現実的ではなかった。
(3)オバマの「コインの裏側」であるトランプ
・トランプ次期大統領はオバマ大統領のコインの裏側である。多様な民族や文化を受け入れながら成熟してきたアメリカの象徴がオバマなら、これまで中核を担ったものの、存在感が低下している白人を代弁するトランプ。 洗練された知識人・エリートのイメージのオバマ大統領と荒っぽい言動で知られる庶民派のトランプ(ただ、実際はインテリではある)。 リベラル層、とくに知識人から支持されるオバマ大統領と、保守層、特にブルーカラー層から支持されるトランプ。いろいろな点で対照的である。
・2008年の大統領選挙の際に、「オバマはアメリカ生まれではないため、大統領にはなれない」という「バーサー運動」に火をつけたのがトランプだった。この運動は荒唐無稽な話だが、「オバマの対極」としてのトランプの知名度も高まった部分も少なからずある。分極化を背景にして、オバマ大統領がなければトランプの当選もなかったかもしれない。その意味で将来の歴史家はこの2人をペアで論じるかもしれない。
・トランプ次期政権でも、リベラル派と保守の分極化はさらに進むと考えられる。ただ、議会の共和党内にもトランプ次期大統領についていけない部分も少なくない。メキシコ国境の壁建設に代表されるような財政出動は「小さな政府」を志向する層は反発するであろうし、ムスリム入国拒否や人道的にも問題である。そうなると、共和党と民主党が協力・妥協してトランプ大統領と対抗するような、20年ほど前には当たり前だった「議会対大統領」の構図が戻ってくるかもしれない。
・民主党と共和党の歩み寄りも頻繁にみられるかもしれない。その結果、時間はかかるがその中で世論の分極化も次第に目立たなくなっていく可能性もある。“壊し屋”であるトランプが、オバマの時代が大きくしてしまった国民の分極化を解消するということになれば、何と皮肉なことだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48877

第一の記事で、『「核の先制不使用宣言」は日韓両国が懸念したため取りやめになった』、『韓国では核武装論も沸き上がった』、というのは、北朝鮮の存在があるとはいえ、残念なことだ。ただ、もともと宣言の実効性はないようなので、やむを得ないとも言えよう。 『米国には平和条約と非核化を対象に北朝鮮と交渉を始めてほしい』、というのは、トランプ政権下では残念ながら期待薄だろう。
第二の記事で、アメリカの格差問題には移民流入も影響しているというのは、その通りだろう。 オバマ政権の8年は政治的分極化が進み、世論は過去にないほど保守とリベラルの両極に分かれていった』、『オバマの「コインの裏側」であるトランプ』、『分極化を背景にして、オバマ大統領がなければトランプの当選もなかったかもしれない』、『“壊し屋”であるトランプが、オバマの時代が大きくしてしまった国民の分極化を解消するということになれば』、などの指摘は新鮮で、なるほどと納得させられた。
タグ:壊し屋”であるトランプが、オバマの時代が大きくしてしまった国民の分極化を解消するということになれば、何と皮肉なことだろうか 分極化を背景にして、オバマ大統領がなければトランプの当選もなかったかもしれない オバマの「コインの裏側」であるトランプ 共和党が下院多数派の多数派を奪還した2011年以降の6年間は実質的には「レームダック」だった オバマ政権の8年は政治的分極化が進み、世論は過去にないほど保守とリベラルの両極に分かれていった 分かれる評価 「リーマンショックからアメリカを救った」という意味でも歴史に残る アフリカ系発、非白人初の大統領職の“壁”の方が当然厚かった 歴史的な大統領 「「オバマ時代」とは結局何だったのか 間違いなくアメリカの政治史に残るが、評価は真っ二つ JBPRESS 韓国の暴走を牽制するべき 米国には平和条約と非核化を対象に北朝鮮と交渉を始めてほしい 北朝鮮がもっとも重視している安全の確保問題を解決できるのは米国だけ 韓国では核武装論も沸き上がった オバマ大統領がCTBTの発効を促す決議の提案を行ったのは勇気ある行動 米国も議会の反対のため批准ができていない 包括的核実験禁止条約(CTBT) 国連安全保障理事会において全会一致で採択 核実験の禁止に関する決議 核軍縮を進めることに前向きの姿勢をアピールする政治的な意味はある 実際に核戦争になった場合、双方とも決して「先に核攻撃した」とは認めず、「相手が先に仕掛けた」と言い張るだろう。しかし、どちらが先か、判定の決め手はないのだ 日韓両国が懸念したため取りやめになった 「核の先制不使用宣言」 オバマ大統領が核軍縮に積極的な姿勢 「「核の先制不使用宣言」が見送りになった事情 オバマ大統領「核軍縮外交」の成果と課題 東洋経済オンライン (トランプ以外を中心に)(「核の先制不使用宣言」が見送りになった事情、「オバマ時代」とは結局何だったのか) アメリカ
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