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アベノミクス(その17)(IMF対日審査報告を尊重せよ、「アベノミクスは失敗だった」と声高に言いづらい空気の原因、一見盤石な安倍政権に内部崩壊の予兆) [経済政策]

アベノミクスについては、1月19日に取上げたが、今日は、(その17)(IMF対日審査報告を尊重せよ、「アベノミクスは失敗だった」と声高に言いづらい空気の原因、一見盤石な安倍政権に内部崩壊の予兆) である。

先ずは、元日銀理事で富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェローの早川英男氏が昨年9月17日付け週刊東洋経済の「経済を見る眼」に寄稿した「IMF対日審査報告を尊重せよ」のポイントを紹介しよう。
・8月2日、IMFはアベノミクスへの批判的見解を含んだ対日審査報告書を公表。そのポイントは以下の通り。①日本の労働市場を「他国が羨むほど」と称賛しつつ、アベノミクスの3つの目標は現在の政策ではいずれも「達成できない」と断言 ②金融政策と財政政策の余地は小さく、「消費増税」を含む信頼できる財政健全化計画にコミットすべし ③成長目標、構造改革では大胆な労働市場改革が重要だとし、雇用の二重構造緩和、女性、高齢者、外国人労働力の活用を訴える ④物価上昇率を高める政策として、所得政策の重要性を強調。ヘリコプターマネーよりはるかにリスク小 ⑤市場とのコミュニケーション改善、フォワードガイダンス活用を提言
・検証が必要なのは、異次元緩和政策だけでなく、アベノミクス全体の「総括的検証」

次に、百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏が昨年12月16日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「アベノミクスは失敗だった」と声高に言いづらい空気の原因」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽明らかに失敗しているのに アベノミクス批判が噴出しない不思議
・「アベノミクスは失敗だった」と、はっきりと言えないのはなぜだろう? 異次元の金融緩和を行った上で財政出動(公共投資)を行い、民間投資の喚起を目指して成長戦略も推進する。そのことでデフレを脱却し、経済成長を促す。これが2013年にブームとなったアベノミクスの「三本の矢」だったのだが、足もとの状況を見る限り、とても成功したとは思えない。
・目玉政策だった金融緩和については次第に「黒田バズーカ」が不発になり、経済成長の実感が持てない上に、2%のインフレ目標も達成できるどころか、デフレに逆戻りする雰囲気が出始めている。 どう考えてもアベノミクスは失敗なのだが、メディアでは色々議論がなされつつも、「失敗」と断言しているケースは稀だし、国民の世論もそこまでの空気にはなっていない。これは不思議なことではないか。
・なぜかというと、アベノミクスはラッキーなのだ。今回はアベノミクスをめぐる「3つの好運」について述べてみよう。
・1つめのラッキーは中国の経済回復だ。そもそもアベノミクスは、2013年に日経平均株価の大幅上昇によってブームとなった。しかし、その因果関係を考えると、三本の矢で日経平均が上昇したというよりも、中国景気のおこぼれがやってきたという方が正しい。 中国人が一斉にスマホを買うようになったので、日本の電子部品株やスマホケースを削る工作機械株が上昇したり、中国人観光客が銀座で爆買いするようになったので百貨店株が上昇したりした。都心の湾岸エリアの不動産価格が高騰したのも、中国人の富裕層がタワーマンションに投資をしたからだ。
・ところが2015年夏にチャイナショックが起きて、中国の経済成長が減速しそうになったとたん、日本経済も失速した。この頃から「アベノミクスに限界が来た」と言われるようになったが、何のことはない、中国景気が失速しただけのことだ。実際、その後の1年は、黒田バズーカを何発撃っても日本経済は冴えなかったではないか。
・ところが今年の夏あたりから、中国経済が持ち直し始めた。国際的なダンピングで余剰の鉄鋼を売りさばき、意味のある公共投資に力を入れた結果、どうやら目先の中国経済は最悪期を脱したようだ。 それで中国の景気が戻ってきた結果、以前のように様々なコモディティ(資源)の価格が上昇してきた。また中国の実需が世界相場を押し上げ始めたのだ。これが1つめのラッキーだ。現時点では、多くの日本企業が再び中国景気の恩恵を受けられるようになり始めた。
▽中国とトランプの追い風で責任がうやむやになった「ラッキー」
・2番めのラッキーはトランプ氏だ。大統領選挙前までは1ドル=100円台の円高傾向にあったが、直近の為替は1ドル=117円とアベノミクス全盛時の円安に逆戻りした。 このメカニズムの説明には色々あるのだが、定説で言えばトランプ氏が大統領就任後にアメリカ国内に対して大きな財政出動をすることを表明していることが、為替変動の引き金となった。「アメリカ政府がたくさんお金を使うぞ」というのでアメリカにグローバルな資金が集まり、ドルが買われて円安になった。
・そして1ドル=90円台の円高に突入することを覚悟していたトヨタ自動車や日産自動車、ファナックや日本電産といった製造業は、逆に為替レートが振れたことで息を吹き返した。 つまり、三本の矢とまったく関係ないところで、中国とトランプ氏という2つの要因により、景気回復への期待が高まり、株価が上がるというラッキーが起きたわけだ。
・言い換えると、アベノミクスは失敗しても、足もとのエコノミクスはいい感じになってきたということだ。しかしなぜ、このような状況で誰も声高に「アベノミクスは失敗した」と言えなくなったのか。そこに3番めのラッキーが関係してくる。それは、朝日新聞が安倍政権の経済政策に対して名付けた「アベノミクス」という呼称が、世間に定着してしまったことが理由だろう。
・これがもし「異次元緩和政策」のような呼称だったとすれば、「結局経済を持ち直させたのは、異次元緩和ではなく中国とトランプだったよね」というように批判しやすいのだが、「アベ」という呼称がついてしまったがゆえに、政策を批判することと権力者を批判することが、同じになってしまったのだ。
▽経済政策の呼称に首相の名前が入ってしまったという不幸
・本質的には、安倍総理が打ち出した異次元緩和政策には限界が見えてきた。外的要因で我が国の経済は持ち直してきたからこそ、ここで新たな政策を打ち出そうというような議論が、本来ならなされるべき局面にある。 しかし、固有名詞がアベノミクスになってしまったがゆえに、安倍政権が続く限りは、アベノミクスを見直そうとは誰も言えなくなってしまったのだ。そして、もしこのまま2017年の経済が2016年よりも良くなったとしたら、アベノミクスの失敗の検証や政策の見直しなど、政治家は誰も口に出せなくなってしまう。自民党の総裁選挙が近づくので、アベノミクス批判は「イコール安倍批判」と取られかねなくなってしまうという理由も大きい。
・実は、黒田日銀総裁のマイナス金利政策がうまくいかないのは、経済学的に説明ができるそうだ。経済学では、貯蓄と投資はマクロでは一致するという考え方がある。その観点では「カネ余りでもマネーが投資に向かない」などという現象は本来起きにくい。ただ、貯蓄と投資が均衡するためには利子率が自然利子率(景気を緩和するでもなく引き締めるでもない中立的な利子率)と同じになる必要がある。 そして数年前からヨーロッパで問題になってきたのが、どうやらその自然利子率がマイナスになったらしいということだった。
・簡単に言うと、以前は金利を下げれば投資が活発になったところが、現在では企業の借入金利が(公定歩合がではなく)マイナスにならないと投資が活発にならないということだ。そのためには、預金の金利もさらにマイナスである必要がある。不思議な話だが、「貯金をすると金利がとられる、借金をすると利子がもらえる」という状態になることが、世の中で投資が活発になる条件になってしまったのだが、現在のレベルのマイナス金利ではそうはならない。つまり日銀のマイナス金利は自然利子よりもまだ高すぎて、効果が出ないということらしい。
・しかし、銀行にお金を預けたら金利が取られるという政策が今の日本で実現できるとは思えない。だから黒田バズーカは不発になるし、アベノミクスはうまくいかない。この手詰まりについてきちんとした議論をすべき時期に来ているのだが、国民にとってアンラッキーなことに、「アベノミクスは失敗した」と声高に言えない状況が続いているのだ。
http://diamond.jp/articles/-/111567

第三に、デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員の山田厚史氏が1月19日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「一見盤石な安倍政権に内部崩壊の予兆を見る4つの理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「安倍政権は崩壊前夜だ」と言うと、「そんなバカな」と大方の人は思うだろう。「希望的観測だね」とたしなめられることもある。 衆参両院で安定多数を確保、野党第一党は勢いも人気もない。維新の会も次世代の党も与党ににじり寄る。安倍体制は盤石。誰が見ても政権を脅かす勢力はない。こういう時に内部崩壊の芽は膨らむ。
・目を凝らすと官邸にほころびが見える。与党は膨張しながら分裂のエネルギーを貯めている。とり残される地方に政権離れが起きても不思議ではない。そして天皇。人々は「政権の驕り」を感じ始めたのではないか。 アメリカにトランプ政権が誕生する。ポピュリズムが生んだ怪物に真っ先に駆けつけ「信頼できる指導者」と持ち上げた見識が、いよいよ問われる。
▽「官邸の番頭」菅官房長官と「お側用人」今井政務秘書官にすきま風
・安倍政権の特徴は「政治主導・官邸支配」。長期政権を続けていたころ、自民党は「官僚支配」だった。小泉政権で政治主導へと動き、福田内閣・麻生内閣で引き戻されたが、第二次安倍内閣は、官邸に権力を集中させた。政策の方向性は内閣官房で決める。かつてのように省庁間の力比べで方向が決まる(その結果が財務省支配だった)というスタイルではなくなった。省庁はできる官僚を官邸や内閣府に送り込み、官房長官のおひざ元で政策論議が行われるようになった。ホワイトハウス型の政治だ。
・要にいるのが官房長官。官邸主導になれば官房長官の役割が重くなる。菅義偉という人物抜きに安倍政権は語れない。内閣人事局を設置し、審議官から上の任免権を握り、一段とにらみを利かすようになった。  官僚は、菅に歯向かわず、菅に気に入ってもらって政策を遂行しようとする。4年経ったいま、留守にしがちな首相に代わって「官邸の主」は官房長官である。
・政権のもう一つの特徴は「経産省主導」。父晋太郎は通産大臣が長く、晋三は経産省に知り合いが多い。昔からの知り合いを重用する安倍が頼っているのが政務秘書官の今井直哉だ。第一次安倍内閣の時、経産省から秘書官として送り込まれ、信認を得た。安倍の日程管理、面会者の人選、報告事項の差配など、首相の操縦桿を握るのが今井だ。
・政務秘書官である「お側用人」と、官邸を取り仕切る「番頭」。微妙なすきま風が吹き始めた、といわれる。集中する権力にありがちなことだ。 昨年11月、官邸は内閣官房参与でもある谷内正太郎国家安全保障局局長をモスクワに送った。谷内氏は外務事務次官を務めた外務省OB、安倍首相の歴史認識が問われた「70年談話」の際は、オバマ政権との調整役を果たした。谷内氏の訪ロには、政府内に抵抗があった。経済産業省である。
・これまで対ロ交渉は経産省主導で、今井秘書官・世耕経産相のラインで進められてきた。今井はロシアが苦しい今こそ北方領土を引き寄せるチャンスと考えた。クリミア併合で米欧から経済制裁を受け、原油価格の下落が重なり経済に痛手を受けている。交渉を持ち掛ければ乗ってくる、と考え、官房副長官だった世耕と組んで領土交渉へと政権を動かした。エサは経済協力。シベリア開発に日本が協力し、領土問題で譲歩を引き出そうとした。
・前回の『成果なき北方領土交渉と真珠湾訪問に見る安倍外交の迷走』にも書いたが、こうした流れを頓挫させたのが谷内の訪ロだった。モスクワでの予備折衝で、「返還した領土に米軍が基地を作る可能性はあるか」というとロシア側の問いに「可能性はある」と答えた。
・「君の側近が『島に米軍基地が置かれる可能性はある』と言ったそうだが、それでは交渉は終わる」 10日後、ペルーのリマで行われたAPECAP首脳会議で会ったプーチンは安倍にそう言った。安倍は「谷内発言はあくまでも原則論だ」と釈明したが、原則を回避する方策は示されなかった。
・交渉の最終局面に、越えがたい難問が持ち出される。日本側の交渉姿勢に問題があった。底流には経産省と外務省の対立がある。対ロ交渉に限らず、経済が絡む外交で、両省が主導権争いをすることはよくある。経済案件は経産省、政治や安全保障が絡む問題は外務省、という棲み分けがあるが、経産主導で進む対ロ交渉に外務省は危うさを感じていた。
・ウクライナやシリアでロシアと対立するアメリカも、安倍のプーチン接近を快く思っていなかった。対米関係を重視する外務省が、最後の局面で安全保障問題を持ち出して、交渉にブレーキを掛けた。安倍も「日米関係」を持ち出されると強いことは言えない。 では外務省は、返還後の島に米軍施設を置かないよう米国を説得したのか。その形跡は見当たらない。外務省は「米国の了解が取れない」ことを口実に、今井・世耕ラインが進める対ロ交渉を潰しにかかった、と見てもおかしくない展開だった。
・官邸主導外交なのに、官邸がまとまっていなかった。官邸を仕切る菅の責任である。経産省主導の交渉に外務省やアメリカが違和感を持っていたことを菅は知っていたはずだ。その調整ができなかったのか、しなかったのか。いずれにせよこの「すきま風」は安倍官邸が決して一枚岩でないことを物語っている。
▽安倍自民党の驕りへ反発が強まる公明党の「離反」
・似た亀裂が与党内部にも生じている。公明党の「離反」である。 安倍首相は正月の挨拶で「今年に解散することは考えていない」と発言し政界をビックリさせた。安倍はスピーチライターが書いた言葉をなぞる演説が多いため、会合の挨拶などプロンプターがないと、あやふやなスピーチになる。「年内解散なし」など言ってはいけない言葉がポロリと漏れ、後で訂正する醜態を演じた。永田町の空気は一変した。やはり今年は無理なのか、と。
・年末に都議会公明党が自民党と共闘を解消し、小池与党にまわった。夏に予定されると議会選挙は小池知事と組んで戦う。この動きが安倍の選挙戦略を揺さぶった。 衆院で単独過半数を占める自民党だが、小選挙区には公明票を上積みしないと当選が危うい議員がたくさんいる。東京で選挙協力に支障が出るなら解散はすぐ打てない――。
・公明党の内部に「安倍自民党の驕り」への反発が強まっている。発端は「カジノ解禁」だ。TPP関連法案を通すため、と会期を延長した臨時国会で、自民党はろくな審議もないままカジノ解禁を強行した。党内で賛否がまとまっていない公明党は「自主投票」を余儀なくされ、賛否が割れるぶざまな姿を晒した。
・自民党は大阪にカジノを誘致したい維新の会を取り込むため、公明党の事情を無視したのである。自公共闘があるから安倍自民は安泰なのに、与党の枠を広げようと維新に接近する菅官房長官のやり方に、怒りが渦巻いている。安保法制や秘密保護法でも、支持母体の創価学会に異論があったが、自民に付き従った。離反すると維新の会に乗り換えられる不安があった。公明は与党から抜けられない、と見透かされ粗略な扱いを受ける公明党が、都議会で「抵抗姿勢」を示した。 維新、次世代が与党になびき、安倍政権への体制固めが着々と進んでいるように見える。だが、与党は膨張することで内部分裂という危機を抱えることになる。
▽「田舎」は置き去りのアベノミクス 地方選挙で弱体化する自民党
・自民党は地方で強い、という神話が揺らいでいる。参議院選挙で接戦となった1人区ではほとんど競り負けた。自民党は「天下党」なのでどの自治体でも息のかかった候補者がいる。野党は強い候補者が立てられない地域がほとんどだが、争点が明確になり、野党候補が様になる選挙ができる場面になると自民はもろい。典型が新潟知事選だ。原発が争点となり共産・社民と市民運動が応援した候補が勝った。鹿児島でも同じことが起きている。「アベノミクスは道半ば」というが、地方は恩恵が来ないことに気づいた。TPPはトランプで頓挫したが、自民党が農民の味方ではないことも浸透している。
・30もの自治体が「カジノ誘致」に手を上げているのも、他に頼るものがないからだ。そのカジノも地方には来ないことが遠からず分かる。 地方の小選挙区で自民が危ないのは「都市部である1区」と言われてきたが、いわゆる「田舎」で自民党は弱くなっている。 「企業が世界一働きやすい日本に」という安倍政権は、小泉・竹中路線の新自由主義が政策の軸にある。置き去りにされる地方はもはや自民党の金城湯池ではない。
・「安倍官邸に権力が集まり政治家も役人も上ばかり見るようになった。中央や官邸に目が向かい津々浦々で何が起こっているか、ということに鈍感になった。反乱は地方から起こるかもしれない」 自民党の閣僚経験者はそう指摘する。外遊好きの安倍首相は、フィリピンで1兆円の経済協力など海外で気前よくカネをばら撒く。日本の地方に暮らす人が、それをどう感じるのだろうか。
▽「天皇陛下のご意向」への対応に民心はどう反応するか
・安倍官邸の「驕り」を映し出したのが天皇の退位問題だ。ビデオメッセージに込められた「天皇陛下のご意向」に安倍政権の対応は正反対だ。「国民の象徴として公務に力を入れたい」「高齢になると務めを果たせないから、生前退位を認めてほしい」という天皇に対し「ご公務は減らせばいい。生前退位は制度化しない、今回限り」というのが安倍政権である。天皇の内心はいかばかりか。異例のビデオメッセージという手段に出たものの、政府は「迷惑」と言わんばかりの対応だ。
・安倍首相は保守の政治家なのに天皇を粗略に扱っている、というイメージが形成されつつある。被災地や戦争の傷跡を訪問され、国民や平和な世の中に寄り添おうとする天皇の姿勢は人々の静かな共感を集めている。「安倍か、天皇か」という選択になれば、天皇に軍配を上げる人が多いのではないか。
・天皇制という昭和史を波乱に巻き込んだシステムが、平成の世に新たな問いかけをしている。「国民統合の象徴」として自らの任務を生真面目に貫こうとする天皇と、それを迷惑に思う首相。 「ご意向」を「無視」ですり抜けようとするならば、民心はどう反応するだろう。
・権力は強くなるほど「傲慢」になる。耳触りのいい情報しか入らない。民心が見えない。脅かす勢力がなくなると、内部で戦いが始まる。 権力の内部崩壊は、満月の夜に始まる。
http://diamond.jp/articles/-/114704

IMF対日審査報告についての8月3日付けの日経新聞の報道は、「「長期化ならリスク増」 日銀緩和にIMFが警告」と題して、アベノミクスの評価は金融政策に限定した部分的なものに止めるという、官邸に配慮したものになった。やはり、『検証が必要なのは、異次元緩和政策だけでなく、アベノミクス全体の「総括的検証」』、との早川氏の指摘はその通りだ。
鈴木氏の記事にある 『アベノミクスをめぐる「3つの好運」』、はなるほど安部首相は「運が良い」と思わざるを得ない。『経済政策の呼称に首相の名前が入ってしまったという不幸』、については、思いもかけない指摘だが、言われてみれば確かにそうした面も否定できないようだ。 『アベノミクス批判は「イコール安倍批判」と取られかねなくなってしまう』、というのは確かだが、政権批判に結びついてでも、アベノミクス批判をしようとする勇気をもったエコノミストや記者がもっと出てきてもいい筈だ。
山田氏が指摘する 『安倍政権に内部崩壊の予兆』、も普段、我々が気づかない「政権の綻び」を示してくれる貴重な情報だ。なお、同氏の『成果なき北方領土交渉と真珠湾訪問に見る安倍外交の迷走』については、このブログでも1月7日に紹介した。 『官邸主導外交なのに、官邸がまとまっていなかった。官邸を仕切る菅の責任である。経産省主導の交渉に外務省やアメリカが違和感を持っていたことを菅は知っていたはずだ。その調整ができなかったのか、しなかったのか。いずれにせよこの「すきま風」は安倍官邸が決して一枚岩でないことを物語っている』、というのは説得的だ。 『安倍自民党の驕りへ反発が強まる公明党の「離反」』、『「天皇陛下のご意向」への対応に民心はどう反応するか』、などもその通りだし、TPPもトランプが明確に「脱退」を意思表明した以上、安部がいくら強弁したところで、言い訳にしか聞こえず、安部の失点の1つになるだろう。安部の政権基盤も見かけほど盤石なものではなさそうだが、受け皿になるべき民進党の体たらくは本当に情けない限りだ。
タグ:アベノミクス 権力は強くなるほど「傲慢」になる。耳触りのいい情報しか入らない。民心が見えない。脅かす勢力がなくなると、内部で戦いが始まる 安倍首相は保守の政治家なのに天皇を粗略に扱っている、というイメージが形成されつつある 生前退位 「天皇陛下のご意向」への対応に民心はどう反応するか 外遊好きの安倍首相は、フィリピンで1兆円の経済協力など海外で気前よくカネをばら撒く。日本の地方に暮らす人が、それをどう感じるのだろうか 「田舎」は置き去りのアベノミクス 地方選挙で弱体化する自民党 公明党が、都議会で「抵抗姿勢」 維新の会を取り込むため、公明党の事情を無視 発端は「カジノ解禁」 安倍自民党の驕りへ反発が強まる公明党の「離反」 邸主導外交なのに、官邸がまとまっていなかった。官邸を仕切る菅の責任である 外務省は「米国の了解が取れない」ことを口実に、今井・世耕ラインが進める対ロ交渉を潰しにかかった、と見てもおかしくない展開 対米関係を重視する外務省が、最後の局面で安全保障問題を持ち出して、交渉にブレーキを掛けた 交渉の最終局面に、越えがたい難問が持ち出される。日本側の交渉姿勢に問題があった。底流には経産省と外務省の対立がある 「官邸の番頭」菅官房長官と「お側用人」今井政務秘書官にすきま風 を凝らすと官邸にほころびが見える 安倍政権は崩壊前夜だ 一見盤石な安倍政権に内部崩壊の予兆を見る4つの理由 山田厚史 経済政策の呼称に首相の名前が入ってしまったという不幸 「アベ」という呼称がついてしまったがゆえに、政策を批判することと権力者を批判することが、同じになってしまったのだ 2番めのラッキーはトランプ氏だ 中国の経済回復 アベノミクスをめぐる「3つの好運」 明らかに失敗しているのに アベノミクス批判が噴出しない不思議 「「アベノミクスは失敗だった」と声高に言いづらい空気の原因」 ダイヤモンド・オンライン 鈴木貴博 検証が必要なのは、異次元緩和政策だけでなく、アベノミクス全体の「総括的検証」 アベノミクスの3つの目標は現在の政策ではいずれも「達成できない」と断言 IMF対日審査報告を尊重せよ (その17)(IMF対日審査報告を尊重せよ、「アベノミクスは失敗だった」と声高に言いづらい空気の原因、一見盤石な安倍政権に内部崩壊の予兆) 早川英男 週刊東洋経済 「経済を見る眼」
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