SSブログ

小売業(コンビニ)(「好調」コンビニに“異変”、無人コンビニ「Amazon Go」のインパクト) [企業経営]

今日は、小売業(コンビニ)(「好調」コンビニに“異変”、無人コンビニ「Amazon Go」のインパクト) を取上げよう。

先ずは、昨年11月17日付けNHKクローズアップ現代「「好調」コンビニに“異変”あり」を紹介しよう(▽は小見出し、──は聞き手の質問)
・店舗数5万を超えた流通業界の巨人「コンビニ」に異変が起きている。競争が激化するなか疲弊する店のオーナーが少なくないのだ。「年収が300万円未満」「なかなか休みが取れない」という状況に陥り、労働委員会に救済を申し立てるオーナーも現れた。国民の暮らしを支える“社会インフラ”ともいわれるコンビニで何が起きているのか。「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんをゲストに迎え、コンビニの深層に迫る。
・1年間1日も休まず働き、週に3日は徹夜勤務。 なのに年収は290万円。 これ、ある人のケースですが、どんな職業か分かりますか? 答えは、コンビニ店のオーナー。 ライバル店の増加やアルバイトの人件費高騰などで、年々切り盛りが大変になっているといいます。 コンビニ店 オーナー 酒井孝典さん 「収入はどんどん減ってくる。 より環境は厳しくなってくると思います。」 年間10兆円を売り上げ、流通業界一人勝ちといわれる、コンビニで何が起きているのか? 小説「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんをゲストに迎え、コンビニの深層に迫ります。
▽“コンビニ人間”のリアル 身近な店に異変!?
・大手コンビニチェーンの店のオーナーになって13年という酒井孝典さんです。 加盟している大手チェーンの本部に最近、異議を申し立てました。  契約内容の見直しなどを求め、交渉を申し入れたのです。 本部が好調な陰で、店の経営があまりに過酷だと感じたからだといいます。
・コンビニ店 オーナー 酒井孝典さん 「いま現在、本部は毎年のように過去最高利益を出しています。しかし加盟店の方は、いまのシステム的に利益が上がらない。 現状は、契約書通りの“共存共栄”関係ではないと思います。」
・酒井さんがコンビニ本部と結んでいるのは、フランチャイズ契約。 経営のノウハウなどを提供してもらう代わりに、ロイヤリティーと呼ばれる料金を納めます。 契約上本部とオーナーは上下関係ではなく、対等な事業者同士とされ、共に相互発展を目指すとされていました。 契約時に本部から示されたガイドラインです。 年収の目安は、2年目で700万円余り。自分の裁量で、年間52日の休日を取るという標準的なモデルが示されていました。 ところが、実際は大きく違っていました。 当初の予測ほど客は集められておらず、特に深夜など、売り上げは想定より大きく落ち込んでいます。 何とか利益を確保するために、できるだけ自分が店に出て、アルバイト代を削っています。 夜9時から翌日昼まで、徹夜の勤務が週に3日。 日中の勤務も合わせると週7日、店に出ています。 この1年、休みはゼロで、本部が標準として示した休日年間52日とはかけ離れています。
・「丸1日、休んだというのは?」  コンビニ店 オーナー 酒井孝典さん「ないです。 家族として日帰り旅行以外は行ったことがない。 行ったとしても、夜また店に出る。」 これだけ働いて、どれだけの年収を得ているのか。 まず、1年間の売り上げから原価を引いた総利益4,000万円弱のうち、契約に従い、50%近くを本部にロイヤリティーとして支払います。 更に、アルバイトの人件費や光熱費などを差し引くと、酒井さんの年収にあたる営業利益は300万円足らず。 ガイドラインで示された700万円の半分以下です。
・この大手チェーンで、酒井さんと同じタイプの契約を結んでいる全国2,500店の経営状況が最近、初めて明らかになりました。 4割近い店舗の営業利益が、年間400万円を下回っていたのです。
・コンビニ店 オーナー 酒井孝典さん 「十分な報酬を与えるような環境の契約内容に変える。 このままの今の環境ではコンビニ事業自体が難しくなってくるんじゃないかな。」 酒井さんが本部に交渉を申し入れることを決めた、もう1つの理由があります。 現在の有期契約が満了した後、本部に契約を更新してもらえず、職を失うのではないかという不安です。
・本部が用意した契約書では、再契約するかどうかは本部の自由な判断によって決めると定められており、実際3割の店が再契約されていないことが分かりました。 40代で大手メーカーを辞め、退職金をつぎ込んで独立の夢を果たした酒井さん。 50代後半を迎えた今、ほかに転職することは難しく、再契約の基準を明確にしてほしいと本部に要望しています。
・コンビニ店 オーナー 酒井孝典さん 「意に沿わない加盟店は再契約を本部の自由な判断でしてもらえないんじゃないか。 生活の糧がなくなる。」
・オーナーの過酷さの一方で、絶好調といわれてきたコンビニ業界。 しかし、ここ最近新たな局面を迎えたと見られています。 全国の店舗数は、この5年間で2割以上増え、5万店を突破。 既に飽和状態ともいわれています。  既存店の来店客数は、7か月連続で減少。 限られた客を奪い合う、激しい競争の時代を迎えているのです。
・コンビニ店 元オーナー 船引聰明さん 「一番近いですね、うちの店から400mぐらいかな。」 激化する競争の一端を、去年(2015年)オーナーを辞めた男性が明かしてくれました。 コンビニ店 元オーナー 船引聰明さん 「次から次(コンビニが)できましたから、そうなってくると(売り上げは)落ち放題です。」 開店当初、業績は好調で、手元に残る利益が1,000万円を超えた年もあったといいます。 ところが、4年前から状況が一変。 ライバル他社のコンビニ3店が近所に次々オープンしました。 時を同じくして、船引さんと同じ系列のコンビニが2店舗、相次いで出店したのです。 船引さんの日々の売り上げはみるみる落ち込み、4年でほぼ半減。 去年の秋、やむなく経営から手を引きました。
・コンビニ店 元オーナー 船引聰明さん 「同じマーク(同系列)が一番、厳しかったですね。扱っているものが、まったく同じものだから。 一生懸命尽くしてきたつもりだったけど、裏切られたいう感じですね。」 こうした同じ地域に多くの店をオープンさせる本部の方針はドミナント、集中出店戦略と呼ばれてきました。 他社との競争に打ち勝って、チェーンの認知度を上げたり、商品配送の効率を上げたりする目的があり、店舗数は増え続けています。 
▽本部が用意した契約書です。
・ 集中出店を進める際は、既存店オーナーの「経営努力が著しく損なわれないよう配慮する」とあります。   しかし、店舗同士の距離など、既存店を守る具体的な制約がないため、実効性は乏しかったと船引さんは言います。 コンビニ店 元オーナー 船引聰明さん 「契約上(店を)何メートル以内には出しません、とかあれば言えますけれど、そういうものは、一切ないんで、やっぱり言えないですね、僕らぐらいの下のほうでは。」  「このままでは続けられない」。
・黙を守ってきたコンビニオーナーたちが行動に出始めました。 コンビニ店 オーナー 酒井孝典さん  「本部との話し合い、団体交渉権が必要だと思います。」  契約更新の基準を知りたいと願っていた酒井さんも、その1人です。 本部との団体交渉を求めて、仲間と労働委員会に救済を申し立てました。 そして、ついに労働委員会が動きました。 本部とオーナーは事業者同士とはいえ、交渉力などに大きな格差があると判断。 オーナーは事実上、労働者に当たると初めて認め、大手2社に対し、団体交渉に応じるよう命じたのです。 これを不服とした大手2社は、中央労働委員会に申し立て再審査が行われています。
・コンビニ店 オーナー 酒井孝典さん 「私自身は現在の(コンビニ)チェーン自体は嫌いではないです、大変好きです。“社会のインフラ”といま言われている環境の土台の大元のオーナーがその環境で本当にいいんですか、というところなんですよね。」
▽絶好調のコンビニ 身近な店に いま異変?
・ゲスト 木村義和さん(愛知大学法学部准教授)
・ゲスト 村田沙耶香さん(芥川賞作家)
・── 今回、オーナーたちと争っているコンビニ大手2社に取材を申し込みまして、ファミリーマートからは次のような回答が寄せられました。  「加盟者は経営から生じるリスクを負担する独立した経営者であり、労働者にはおよそ当たらないと考えている」ということです。 そして、業界最大手のセブン−イレブン・ジャパンは、中央労働委員会で審査中であることを理由に、回答を差し控えるとしています。
・オーナーの方々は、本部との団体交渉が実現した場合、どんなことを要望したいのかというと、例えば具体的にこういったことがあります。 「契約更新の基準を明確にしてほしい」 「近隣への出店を規制」 「ロイヤリティーなどの見直し」といった契約内容の見直しです。
・オーナーの方々が今、労働委員会に救済を求めている背景には、どういった事情がある?
・木村さん:フランチャイズ契約では、本部とオーナーは対等な事業者同士だとされています。 ですが、実際にはどうか。 本部の方は、情報力・資金力・交渉力において、全ての面で加盟店オーナーより優越している。これはまるで、経営者と労働者で言うところの労働者に近い存在だといったことが労働委員会で認められつつあると思います。そこで労働者ということで、加盟店オーナーが団結して自らの要求を本部に言っていい、交渉していいといったことが認められたと考えております。
・── 個人事業主でありながら、労働者の側面もあるというのは、どういうこと?
・木村さん:それは、プロ野球で言うところのプロ野球選手会と球団本部との関係だと思います。プロ野球選手は個人事業主ですが、選手が団結して球団本部と交渉することが認められております。 それに近いということだと思います。
・── コンビニはここ数年、ますます便利になってきていまして、いれたてのコーヒーや荷物の受取り代行などにとどまらず、防犯や買い物弱者対策、災害時の対応など、まさに社会インフラとも言うべき重要な役割を果たしています。  村田さんは、これまで数々のコンビニでアルバイト経験があり、受賞後の今もコンビニのアルバイトは継続されている?
・村田さん:そうですね。はい、続けています。
・── 村田さんにとって、コンビニとはどんな場所?
・村田さん:客としても、店員としても、私にとっては欠かせない場所です。 お客様について言えば、例えばお年寄りのお客様で遠くのスーパーに行くのがつらいというお客様が、お野菜が売っていて、近くにお店があって便利だとお声をかけてくださったりすることもあります。 24時間開いているので、夜中にお店を見るとほっとするとお声をかけて頂くこともあります。
・── コンビニで働いてきて、オーナーも間近で見てきたと思うが、どう見えた?
・村田さん:オーナーさんによって、いろいろ違いがありまして、コンビニを右も左も分からない状態で始めているオーナーさんは、私の目から見ても大変そうに見えました。または、今までいろんなコンビニで働いた経験があって、3店舗くらいお店を持ってオーナーをやっていらっしゃる方は、むしろ人を育てて店長にしてというふうにとてもスムーズにオーナー業務をこなしているように見えました。
・── 今、オーナーたちが団体交渉を求めている訳だが、今後オーナー側の要望が認められるとすると、どういった影響が考えられる?
・木村さん:本部とオーナーとの力関係に劇的な変化をもたらすと思います。 団体交渉が実現することによって、こういったような要求が認められるということになります。 確かに、24時間営業の店がなくなるといったような、消費者にとってのデメリットはあると思われますが、現在は加盟店の犠牲の上で、お店が成り立っているといったような面も私自身はあると考えております。 そういったことがなくなっていくと思います。 フランチャイズ産業、現在こういったコンビニだけではなくて、塾やホテルや介護福祉といったような、さまざまな分野に及んでおりますので今後、日本経済に大きな影響を与える可能性は非常に高いと思われます。
・── 今、本当にさまざまな業種やサービスに拡大しているフランチャイズビジネスなんですが、中には思わぬ事態に巻き込まれるケースも出てきています。
▽コンビニだけじゃない “第二の人生”に人気殺到!
・脱サラや早期退職後の独立を支援するイベントです。コンビニを筆頭に、外食・学習塾・介護など、さまざまな分野に広がっている、フランチャイズビジネス。 40〜50代を中心に人気が高まっているといいます。
・参加者 50代 「定年のない働き方をしたほうがいいんじゃないかと。いろいろ経験してきたことが年齢的にもありますので、それを生かして、何かできればいいかなと。」
・雇用の流動化が進む中、フランチャイズビジネスはその受け皿としても期待され、市場規模は24兆円まで拡大しています。
・主催 リクルートキャリア 編集長 菊池保人さん 「ゼロからビジネスを作る起業というよりは、すでに成功したビジネスモデルがある、そのフランチャイズの本部と契約をすることで、自分が独立した時に成功する確率を高めるという選択をする方々が多い。」
▽第二の人生が暗転! フランチャイズの落とし穴
・一方で思わぬトラブルも起きています。 40代半ばでメーカーを退職し、あるパソコン教室のフランチャイズ店オーナーとなった男性です。 「年収1,000万円取得可能」「経営難で閉鎖した店はゼロ」などと本部から説明を受け、加盟金など、270万円を支払いました。 パソコン教室 フランチャイズ店 元オーナー 「不採算で撤退した店がゼロだということは、みんな黒字で健全に商売をしているんだろうと、自分が、一からやるよりもリスクは少ないだろうと。」 ところが、教室がオープンすると、年収1,000万円どころか、肝心の生徒が集まらず、いきなり赤字に転落。 経営難による閉店がないという情報はうそで、実際には閉鎖が相次いでいました。 ノウハウが詰まっているはずのオリジナルテキストの一部も、ほかの企業の盗用である事が発覚。 結局1年で教室は閉鎖し、600万円以上の負債が残りました。
・パソコン教室 フランチャイズ店 元オーナー 「(私たちが)加盟店にさえなれば、まとまった加盟料が(本部に)入るわけですから、加盟店が生きようが死のうが、関係はなくて、自分たちだけが、よければいいという怒り、憤りを感じますね。」
・フランチャイズ関連の訴訟を数多く担当してきた弁護士は、立場の弱いオーナーを守るために規制が必要だと訴えています。弁護士 中村昌典さん 「詐欺的な本部、あるいは志の低い本部が入ってきて、それが市場から、とう汰されないというのが一番根本的な原因かなと思います。  (オーナーを守る)実効性のある法律というのが、この日本でも必要なんじゃないかと。」
▽第二の人生が暗転 フランチャイズの落とし穴
・── 村田さん、フランチャイズの現状を見て、どう思った?
・村田さん:独立したいというふうに夢を見てフランチャイズ契約をした人が、こういう詐欺のようなトラブルに遭ってしまうというのは、とてもショックなことだと思いました。
・── こうしたトラブルは多い?
・木村さん:どれだけ悪質かはケースごとに違いますが、こういったトラブルは相次いで起きております。 実際、裁判に発展した事件もございまして、その際、本部の責任が認められたといったような事案もございます。ただ、加盟店オーナーは独立した経営者でありますので、発生した損害額の全額が認められるということはまずありません。
・── どうすれば、こうしたトラブルは防げる?
・木村さん:フランチャイズの法整備が必要だと考えます。アメリカの一部の州では、こういったフランチャイズ法がございます。ポイントとなるのは、契約前と契約した後になりますが、契約前に情報を十分開示すると。 中には、本部が隠したくなるような訴訟件数とか、閉店数などが開示されます。その後、契約した後も契約の更新の不当な拒絶を認めない。 正当な理由がなければ、契約更新を拒絶できないよと。あと、契約解除できないといったような法規制がなされています。
・── 今、こうした日本は変わろうとしている時期になっている?
・木村さん:そうだと考えます。フランチャイズ産業なんですが、これからも発展させないといけないと。 社会的インフラとまでコンビニは言われています。そのために、こういった法規制によって、加盟店オーナーが利益を得られて本部、加盟店そして、そこを利用する消費者が幸せになるようなシステムを作り出すことが必要だと考えます。
・── 日本には、こうした法律もなかったということだが、どう思う?
・村田さん:海外でこういう法律があることは存じ上げなかったので、オーナーさんの立場を守るという意味で必要なことかもしれないなと思います。 一方で、こういうふうに団結することによって、コンビニが例えば24時間ではないっていう運営をするオーナーさんがいらっしゃったり、どんどんバラバラになって、コンビニのコンビニらしさが失われたりする可能性があるのではないのかなという、ちょっと不安な気持ちもあります。でも、先ほどのオーナーさんが、コンビニエンスストアは、チェ−ンは好きだとおっしゃっていたのを聞いて、だから何かいい道が見つかるといいなと思っています。
・── 皆さん、コンビニのことは好きで、本当に私たちにとって大事な場所なんですよね。なので、これからいい方向にみんなで進んでいけたらいいですね。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3894/1.html

次に、流通ジャーナリストの森山真二氏が1月17日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「無人コンビニ「Amazon Go」は日本の流通業界を席巻するか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・“アマゾンコンビニ”は日本の流通業にとって脅威になるか――。米アマゾン・ドット・コムはAIを活用したレジで決済不要、買い物のスピード化が図れる新型店「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」の展開を発表した。日本の業界では早くも「黒船来襲か」と戦々恐々としているが、果たしてアマゾン・ゴーは脅威となるのか。日本でも経済産業省が音頭を取る格好でRFID(ICタグ)の実証実験が進んでいる。ICタグの普及が進めばレジは一括で瞬時に済む。一長一短はあるが、果たしてアマゾンはアマゾン・ゴーを日本に持ち込むのか。
▽早くも“脅威論”が広がる アマゾン・ゴーの無人店舗
・アマゾン・ゴーは顧客が専用のアプリを用いて入店。購入した商品をカメラやセンサーなどの情報を通じて、AI(人工知能)で認識し決済する仕組みだ。レジ決済が必要なくなることで、スマートな買い物が可能になるというわけだ。近く米シアトルに1号店を開設する見通しとなっている。
・日本ではAIを駆使したアマゾンコンビニに大騒ぎで、日本にもこのアマゾン方式が導入されるかもしれないという観測が広がっている。早くも、日本の流通は席巻されてしまいそうだという"脅威論"まである。
・確かにアマゾンのレジ決済不要の店舗は種々の可能性を秘めている。まず顧客が入店して何を買おうとしているか、顧客の店内での行動が赤裸々になる。アプリで顧客の属性は明確になっているから、Aさんは何時くらいに来店して、どういったものを購入したか、売り場のどこに滞在時間が長かったか、何を買い何を買わなかったのかが、つぶさに分かる。
・つまりマーケティングの手段として極めて有効なシステムなのである。ネット上で顧客がどこのページを閲覧し、どこのページで購入を決めたのか、回遊状態などEコマースで蓄積したノウハウが実店舗に生かされているといっていい。 しかもアマゾン・ゴー方式は商品の補充や見切り(値下げ)などに威力を発揮する可能性を秘めている。カメラとセンサーで常に売り場を監視しているから、商品量が減ればアラームを鳴らして補充作業が進められる。また、自動発注など業務の効率化にも役立つとみられている。
▽日本でも始まっていた ローソンとパナソニックによる実験
・こうした映像情報を使い顧客の購買動向を知る実験は、すでに国内のコンビニでも行われている。ローソンはパナソニックと組んで、大阪の店舗「ローソンパナソニック前店」でアマゾン・ゴーの実験が始まる2年以上も前から実験を始めている。店内に設置した6台のカメラが、店内における顧客の動向を探り、マーケティングに役立てる実験である。
・ただ未だに普及段階に入っていないところをみると、まだ実験を続けていると思われるが、ローソンの動向はさておいて、このアマゾン・ゴーの凄みは、やはりカメラやセンサーで取り込んだ画像データをAIで処理して、レジによる決済を不要にする機能を備えていることだろう。
・日本ではICタグによる決済の簡素化の実証実験が進められようとしている。コンビニ大手3社でICタグを使い、物流の効率化、店内での購入後の決済の実験を行っている。ICタグはかなり低価格化が進んできたが、依然として1枚10円以上しており、高値に張り付いたまま。コンビニで販売しているような1個数十円から100円前後の商品に張り付けてペイするような局面にまで、まだ来ていない。経産省もそれを見越して、コンビニ大手3社が本格導入を図れば量産効果が出てくるのではないかと、コンビニに活用を促している格好だ。  仮にICタグ1枚数円、数十銭という単位になり、、爆発的に普及が進めば、コストがかかるアマゾンのカメラ、センサー、AIを使ったアマゾン・ゴー方式も日本では意味をなさなくなる。
・日本のガラパゴス的な進化といわれるかもしれないが、ICタグが普及拡大すれば、アマゾン・ゴー的な決済方法は不要なのである。日本の消費者はいまだ現金主義で、少額決済はクレジットカードすら利用しない人が大多数である現状を考えると、国内の流通業は一気に「アマゾン・ゴー」の領域に入りそうもないのである。
▽弁当や総菜を買うのに アマゾン・ゴーを利用するか
・それ以前に流通業というのはドメスティックな産業である。果たしてアマゾン・ゴーはレジ決済がなくて済むからといって、セブン-イレブンの隣にアマゾン・ゴーができたとしたら、わざわざそこにいくかどうかは分からない。もちろん、ナショナルブランドのような商品の質自体が分かっているものならば、アマゾンの店舗で購入するかもしれないが、弁当や総菜はそうはいかないだろう。
・事実、これまで食品を扱ったり、嗜好性の強い日用品や一般用医薬品(大衆薬)を扱う流通外資が相次いで日本から撤退した背景には、日本人の嗜好などを見極めきれずに、自国のやり方を押し付けたからにほかならない。
・日本の消費者は商品の質や商品政策などを抜きにして、「レジでの決済が不要」という利便性だけでは選択しないとみられる。セブン-イレブン・ジャパンとローソン、ファミリーマートでは日販で10万円も差があるが、それは商品力の差である。アマゾン・ゴーが決済手段で利便性に優れているからといって、それだけでは購買動機にはなりにくいのである。
・ただ、アマゾン・ゴー方式の方がコストは少なくて済む。ICタグは一品一品タグを貼付しなければならず、コストが下がったとしてもタグ分については誰かが負担しなければならない。ICタグの活用でレジ人員の削減や、サプライチェーンの効率化で流通の生産性が上がることによって流通側が、そのコストを負担することになれば話は別だが。
▽現時点では流通を席巻するまでにはならないが…
・いまのところ、アマゾン方式もICタグによる決済方法のどちらをみても一長一短がある。現時点ではアマゾン・ゴーが流通を席巻するまでにならないだろう。 しかもアマゾン・ゴーではまだ、解決しなければならない課題は少なくない。 
・例えば、購買の瞬間をどう判断するかの問題である。様々なイレギュラーなケースが考えられるからだ。子ども連がの子どもに商品をとらせて、自らのバックに収納してしまう場合、これはこの親が購入したのかをどう判断するかなど、曖昧な部分が多いとみられている。
・また、現在、スマートな決済方法として米ウォルマート・ストアーズが実用化を進めている「スキャン&ゴー」という方式もある。専用アプリを入れたスマートフォンを活用して、商品のバーコードを消費者がスキャンしてスマホ上で決済する方式だ。これならレジに並ばずに済むが、これとて種々のあい路がある。
・レジ方式はスーパーが出現してから連綿と続く、チェーンストアのオーソドックスなスタイル。しかし、国内では人手不足の昨今、流通業の生産性を上げなければならないのは間違いない。この方式を打破する新しい決済手段に移行する日は、そう遠くはなさそうだ。
http://diamond.jp/articles/-/114392

NHKの解説のなかで、 『全国2,500店の経営状況が最近、初めて明らかになりました。 4割近い店舗の営業利益が、年間400万円を下回っていたのです』、というのは確かに厳しい数字だ。『ドミナント、集中出店戦略』で、本部は既存店と新設店の競合をどうもまともに考慮していないというのは、概ねそんなことだろうと思ってはいたが、廃業に追い込まれたケースをみると改めて酷さを実感した。労働委員会が、 本部とオーナーの団体交渉を認める方向で動いているというのは、当然だろう。パソコン教室のフランチャイズの例も酷い詐欺的ビジネスだ。早急に法整備をすべきだろう。
「Amazon Go」については、森山氏の指摘はさすがに専門家だけあって、説得力がある。「ローソンパナソニック前店」については、初めて知ったが、2年たってもまだ実験段階というのは、示唆的だ。経産省が旗を振っているICタグ方式も、確かに単価が低下しない限りハードルが高そうだ。
コンビニは日本人の消費スタイルに大きな変化をもたらしたが、その背後で苦悩するオーナーがあるようでは、持続性はない。団体交渉で、問題が解決される方向に向かってほしいものだ。
タグ:購買の瞬間をどう判断するかの問題 解決しなければならない課題は少なくない 弁当や総菜を買うのに アマゾン・ゴーを利用するか コンビニで販売しているような1個数十円から100円前後の商品に張り付けてペイするような局面にまで、まだ来ていない 1枚10円以上しており、高値に張り付いたまま ICタグによる決済の簡素化の実証実験 未だに普及段階に入っていないところをみると、まだ実験を続けていると思われるが ローソンパナソニック前店 日本でも始まっていた ローソンとパナソニックによる実験 マーケティングの手段として極めて有効なシステム レジ決済不要の店舗は種々の可能性 RFID(ICタグ) AIを活用したレジで決済不要、買い物のスピード化が図れる新型店「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」の展開 無人コンビニ「Amazon Go」は日本の流通業界を席巻するか ダイヤモンド・オンライン 森山真二 フランチャイズの法整備が必要 第二の人生が暗転 フランチャイズの落とし穴 (オーナーを守る)実効性のある法律というのが、この日本でも必要なんじゃないかと 1年で教室は閉鎖し、600万円以上の負債 パソコン教室のフランチャイズ店オーナーと 思わぬトラブルも フランチャイズビジネス コンビニだけじゃない “第二の人生”に人気殺到 団体交渉 経営者と労働者で言うところの労働者に近い存在 本部の方は、情報力・資金力・交渉力において、全ての面で加盟店オーナーより優越 ロイヤリティーなどの見直し 近隣への出店を規制 契約更新の基準を明確にしてほしい 不服とした大手2社は、中央労働委員会に申し立て再審査が行われています オーナーは事実上、労働者に当たると初めて認め、大手2社に対し、団体交渉に応じるよう命じたのです 本部とオーナーは事業者同士とはいえ、交渉力などに大きな格差 労働委員会 既存店を守る具体的な制約がないため、実効性は乏しかったと 既存店オーナーの「経営努力が著しく損なわれないよう配慮する ドミナント、集中出店戦略 売り上げはみるみる落ち込み、4年でほぼ半減。 去年の秋、やむなく経営から手を引きました 4年前から状況が一変。 ライバル他社のコンビニ3店が近所に次々オープンしました。 時を同じくして、船引さんと同じ系列のコンビニが2店舗、相次いで出店 既存店の来店客数は、7か月連続で減少。 限られた客を奪い合う、激しい競争の時代 50代後半を迎えた今、ほかに転職することは難しく、再契約の基準を明確にしてほしいと本部に要望 実際3割の店が再契約されていない 再契約するかどうかは本部の自由な判断によって決める 現在の有期契約が満了した後、本部に契約を更新してもらえず、職を失うのではないかという不安 この大手チェーンで、酒井さんと同じタイプの契約を結んでいる全国2,500店の経営状況が最近、初めて明らかになりました。 4割近い店舗の営業利益が、年間400万円を下回っていたのです アルバイトの人件費や光熱費などを差し引くと、酒井さんの年収にあたる営業利益は300万円足らず。 ガイドラインで示された700万円の半分以下 50%近くを本部にロイヤリティーとして支払います 1年間の売り上げから原価を引いた総利益4,000万円弱 当初の予測ほど客は集められておらず、特に深夜など、売り上げは想定より大きく落ち込んでいます ガイドラインです。 年収の目安は、2年目で700万円余り フランチャイズ契約 加盟している大手チェーンの本部に最近、異議を申し立てました。  契約内容の見直しなどを求め、交渉を申し入れたのです 村田沙耶香 芥川賞 小説「コンビニ人間」 ライバル店の増加やアルバイトの人件費高騰などで、年々切り盛りが大変になっている オーナー なかなか休みが取れない 年収が300万円未満 社会インフラ 労働委員会に救済を申し立てるオーナーも現れた 疲弊する店のオーナーが少なくない 異変 コンビニ 店舗数5万 「好調」コンビニに“異変”あり NHKクローズアップ現代 小売業(コンビニ) (「好調」コンビニに“異変”、無人コンビニ「Amazon Go」のインパクト)
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0