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東芝不正会計問題(その27)(半導体事業完全売却も否定せず、決算発表延期に至った背景、東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」) [企業経営]

東芝不正会計問題については、2月5日に取上げたが、今日は、(その27)(半導体事業完全売却も否定せず、決算発表延期に至った背景、東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」) である。

先ずは、2月15日付け日経ビジネスオンライン「東芝綱川社長、半導体事業完全売却も否定せず 7000億円減損で債務超過に、志賀会長は引責辞任」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「株式のマジョリティー(過半数)確保にはこだわらない。様々なオファーをいただいているので、柔軟に考えていきたい」 東芝の綱川智社長は2月14日、分社化する予定のフラッシュメモリー事業についてこう話し、2割程度の株式を売却するとしていた従来方針を転換した。記者会見では「100%売却もあり得るか」との質問が飛んだが、綱川社長は「全ての可能性がある」と否定しなかった。
・米原子力事業で巨額の損失を計上する東芝にとって、営業利益の約8割(2016年4~9月期)を稼ぐフラッシュメモリー事業は最後に残された大黒柱だ。スマートフォンやデータセンター向けの需要で、今後も業績拡大が期待できる。だからこそ東芝経営陣は分社化後も株式の約8割を握り、連結子会社として保持する構えだった。自らの手で頼みの綱を切り離さなければならないほど、東芝の経営危機が深刻化していることを意味している。
・東芝はこの日、米原子力事業に関して7125億円の減損損失を計上し、2016年4~12月期の最終損益は4999億円の赤字になる見通しを発表した。2016年末時点で自己資本は1912億円のマイナスとなり、実質的な債務超過に陥った。対策を打たない場合、3月末の自己資本は1500億円のマイナスになる見通しで、事業売却が急務になっている。
・ある証券アナリストはフラッシュメモリー事業の価値を「1兆5000億円程度」と試算する。仮に株式の2割を売却しても3000億円程度にしかならず、税金などを考慮した売却益はさらに目減りする。思い切って過半を売却しない限り「焼け石に水」になりかねないため、方針を転換したわけだ。
・巨額損失の原因は、米原発子会社ウエスチングハウス(WH)が米国で建設中の4基の原発について、コストの見積もりを誤ったことだ。東芝によると、労務費や設備調達費用などの合計が当初の想定より「61億ドル(約6900億円)」も増加した。原子力事業部長を務める畠澤守・執行役常務は「現時点からプラントが完成するまでのコストを保守的に積みあげた」と説明。このコストを損失として計上することで、原発事業が大幅な赤字に転落する。
・WHは2008年4月に「ボーグル3/4号機」、同年5月に「VCサマー2/3号機」を相次ぎ受注した。ところが受注直後から、米当局の規制強化により設計変更や追加安全対策が求められ、コストが見積もりと乖離するようになった。2011年以降は電力会社とWH、そして土木工事を手掛ける建設会社との間でコスト負担を巡る訴訟が発生し、プロジェクトの進捗が危ぶまれていた。
・そこでWHは2015年、建設工事を手掛けるCB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を買収することにした。発注元の電力会社が訴訟を回避する条件として、買収を求めていたからだ。これが巨額損失の直接の原因となった。WHがS&Wの資産価値を検証したところ、「買収時に認識されていなかったコストを見積もる必要性が認識された」(綱川社長)のだ。さらに、建設コストの削減が想定より進まなかった。これらを積み重ねた結果が、前述の61億ドルである。
▽原発推進の旗は降ろさない
・巨額損失の責任を取って、原子力部門を統括する志賀重範会長が取締役と代表執行役を辞任する。WH会長のダニー・ロデリック氏は、東芝社内カンパニーであるエネルギーシステムソリューション社の社長を解職された。両氏は当面、WHで問題解決に専念するという。綱川社長は「経営責任は大変重く受け止めている」と陳謝し、月額基本報酬の削減幅を60%から90%に拡大するとした。
・2016年4~12月期で7125億円の損失を計上することが確定すれば、東芝の原子力事業は過去4年の合計で約1兆円の営業赤字をもたらした計算になる。経済合理性から考えれば、黒字の半導体を残して赤字の原発事業を切り離すのが王道だろう。
・しかし、綱川社長は記者会見で、そうした意見を否定した。損失を生み出す原因となった土木建築事業からは撤退する方針だが、原発事業の売り上げの過半を占める「燃料やサービス事業は収益性がある」(綱川社長)と見ているからだ。WHは中国でも4基の原発を建設しているが、土木建築は含まれておらずリスクは限定的だとした。6基の受注を獲得できる見通しのインドについても、WHは機器供給やエンジニアリングに特化し、土木建築は負担しない方針だという。
・今後は原子力事業を社長直轄にし、綱川社長を委員長とする「原子力事業監視強化委員会」を新設すると表明した。現地駐在員を増やすことなどで情報を収集し、原発建設プロジェクトの進捗とコストを精緻に管理していくという。これだけの損失を出してもなお、原発ビジネスはコントロール可能だと言いたいのだろう。
・だが、そうした主張を額面通り受け取るわけにはいかない。東芝のガバナンスが崩壊しているのは、予定通りに決算を発表できなかった事実からも明らかだ。東芝は2月14日、同日開示する予定だった2016年4〜12月期決算を最長で3月14日まで延期すると発表した。
・延期の引き金となったのは、米国での内部告発だった。東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の経営者が会計処理を巡り、内部統制を逸脱する不適切な行為をした可能性があるという。今年1月、複数の内部通報が東芝の監査委員会に寄せられて、調査が進められていた。
▽WH経営者の「不適切なプレッシャー」
・問題となったのは、前述したS&Wの買収手続きだ。WHは2015年12月末、米エンジニアリング大手のシカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)からS&Wを「0ドル」で買収。WHは買収後、S&Wの資産と負債を評価する「取得価格配分手続」を実施してきた。その結果として今回の巨額損失が判明したわけだが、手続きの過程でWHの経営者が「不適切なプレッシャー」(発表資料より)をかけた可能性があるという。
・内部告発の通りに不適切なプレッシャーがあったならば、WHだけでなく東芝連結業績に影響が出る恐れがある。事態を重く見た東芝の監査委員会は外部の弁護士事務所を起用し、1月下旬から調査を進めてきた。 ところが2月13日までに調査が終わらず、会計処理に関する監査法人との調整も難航した。東芝によると「調査にはさらに1カ月程度の期間を要する」見込みで、2月14日の予定だった決算発表を最長で3月14日にまで延期することにした。
・記者会見に同席した佐藤良二・監査委員長は「現時点では財務諸表に具体的に修正を行うべき重要な事項は認識しておらず、監査法人からもそのような事項の指摘を受けていない」と強調した。
・一方で、東芝が報道陣に配付した資料には次のような注意書きが下線付きで記されている。「財務数値は独立監査人によるレビュー手続き中であり、大きく修正される可能性があります」。監査法人の対応次第では、フラッシュメモリーの売却や原発事業の再建も画餅に帰す恐れがある。3月末に債務超過を回避できるかは極めて不透明で、上場廃止の可能性も高まっている。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/070600052/021400007/?P=1

次に、闇株新聞が2月15日付けで掲載した「東芝が決算発表延期に至った背景」を紹介しよう。
・東芝は本日(2月14日)正午に予定されていた2016年4~12月期の連結決算発表を、その直前になって見送りました。 その理由は「内部統制の不備を指摘する内部告発があり、新たな不適切行為の疑いが浮上したから」などと言われていますが、それは決算発表見送りの理由としては「奇妙」です。決算発表とはその時点で確定した数字をできるだけ早く公表するものであり、仮にあとから不適切行為が発見されればまたできるだけ早く公表すべきものだからです。 
・昨日(2月13日)夕方に配信したメルマガ「闇株新聞 プレミアム」で、東芝は本日の決算発表で昨年末に公表した原子力関連の巨額損失を計上してしまうと2016年12月末時点で債務超過となり、その時点で財務制限条項に抵触して1兆4000億円ある有利子負債の大半が期限前償還を求められてしまうため、東京証券取引所などが「何らかの配慮」をするのではないかと指摘していました。
・昨年末の公表とは、原子力子会社の米ウェスティングハウス(以下WH)が2015年末に買収していた米原発エンジニアリング会社のストーン・アンド・ウェブスター(以下S&W)で数千億円規模の損失が発生するという「奇怪」なものですが、それでも公表された損失はそこから最速の決算で(つまり本日予定されていた決算で)計上しなければなりません。
・東芝は稼ぎ頭の半導体事業を分社化し、その20%未満の株式を第三者に売却して2000~3000億円の資本を増強し、債務超過を解消しようとしていますが、それでも本日(2月14日)に巨額損失を計上してしまうと「いったんは債務超過」となり、財務制限条項に抵触してしまいます。
・そこで金融機関は東芝に期限前償還を求めて回収に走らないと、今度は金融機関に株主代表訴訟のリスクが出てきます。 そこで本日に巨額損失を計上すべきと主張する監査法人と、「3月末までには資本増強で債務超過を回避するので、そこを何とか」と抵抗する東芝との間で、調整がつかなかったと考えます。
・東芝の監査法人は昨年6月に「あの」新日本監査法人からPwCあらた監査法人に交代したばかりで、簡単に譲るわけにはいかなかったのでしょう。 そこで出てきた妥協策が本日の決算発表を1か月延期し、監査証明の必要な四半期報告書の財務局への提出も「許容されている限度いっぱい」の1か月延期し、ともに3月14日としたと考えます。
・たぶんその3月14日までに半導体事業の分社化・一部売却による資本増強にめどをつけ、そこで2016年12月末時点の債務超過回避を再度監査法人に頼むか、あるいは一時的に債務超過となってもまもなく資本増強で解消できるので財務制限条項には目をつぶってくれと金融機関に頼むつもりなのでしょう。
・とりあえずは「時間稼ぎ」しただけです。 いずれにしても資本増強がますます「待ったなし」となるため、本日夕方になってやっと記者会見した綱川社長は「分社化した半導体事業の過半数以上の売却」も言及しました。 東芝の半導体事業にはまだまだ競争力がありますが、支配権のない20%未満の株式売却では買い手にとって魅力が乏しいはずです。しかし支配権を完全に売り渡す過半数以上の売却となると世界中で「奪い合い」となり、かなりの高値(本日は1兆円を割り込んだ東芝全体の時価総額より高値)で売れるはずです。
・ただそれでは東芝は唯一の有望事業である半導体事業を(たぶん)外国企業あるいは外国ファンドに売り渡してしまうことになり、ここからどれだけ損失が積み上がるかわからない原子力事業だけの会社になってしまいます。
・確かに日米原子力協定があるため、東芝は(日立も三菱重工も)原子力事業を切り捨ててしまうわけにはいかず、日本政府も原発を止めてしまうわけにもいかず、結果的に東京証券取引所、(歴代3社長の刑事責任追及を頑として見送った)検察庁も官邸も経済産業省も財務局も、東芝に対しては徹底的に過保護で対応することになります。 そして今度は金融庁が金融機関に対して「東芝に対しては過保護に対応するように」と指導するのかもしれません。
・かくして原子力事業会社となる東芝は、東京電力と同じように国策企業としてゾンビのよう生き残っていくことになりそうです。
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1939.html

第三に、2月16日付け日経ビジネスオンライン「東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」 逃げ道を塞ぐ、7934億円の「債務保証」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「排他的かつ取り消し不能の固定価格オプションが発効したら、EPC(設計・調達・建設)契約が変更され、プロジェクトの残りのコストが確定する」 2016年5月26日、米スキャナ電力が1通のプレスリリースを配信した。同社が発注し、東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)がサウスカロライナ州で建設中の「VCサマー2/3号機」について、一定額以上のコスト負担を拒否するという内容だ。
・具体的には5億500万ドル(約570億円)を支払って「固定価格オプション」を行使することで、スキャナ電力が支払う原発建設コストの総額を最大76億7900万ドル(約8680億円)に固定する。建設工事に関してこれ以上のコスト超過が発生した場合は、スキャナ電力ではなくWHが支払うように契約を変更する。11月に米国の規制当局が承認し、実際にオプションが発動した。
・東芝は本件を開示していないが、広報担当者が上記の内容を認めた。ある関係者は、WHが米ジョージア州で建設中の「ボーグル3/4号機」についても同様の契約になっている可能性を指摘する。 「契約変更の結果、WHは“無限責任”を負わされることになった」と、東芝原子力部門の元幹部は説明する。東芝の米原子力事業における損失が雪だるま式に膨れあがった原因の1つがこれだ。固定価格オプションが発動されたことで、WHはコスト超過分を電力会社に転嫁したり、交渉したりできなくなったのだ。
・東芝は2017年2月14日、WHが米国で建設中の4基の原発について、労務費や設備調達費用などの合計が当初の想定より「61億ドル(約6900億円)」も増加したと発表。この日の記者会見で畠澤守・執行役常務は「現時点からプラントが完成するまでのコストを保守的に積みあげた」と説明し、コスト超過分を含めた7125億円を減損損失として計上した。
・ではなぜ、東芝とWHはこのような契約に苦しめられているのか。原因を探ると2015年12月末の買収劇に突き当たる。キーワードは2つ。「焦り」と「思い上がり」だ。
・WHが4基の原発建設を受注したのは2008年。米国内で約30年ぶりとなる新規建設プロジェクトだったが、受注直後から米当局の規制強化に苦しめられることになる。航空機の衝突対策などの設計変更が相次ぎ、許認可審査もやり直しとなった。これを受け、原発の建設コストが見積もりから次第に乖離するようになっていった。2011年以降は、原発を発注した電力会社とWH、そして土木工事を手掛ける建設会社との間で訴訟が発生するようになった。
▽東芝を追い立てた「焦り」
・東芝とWHはこの訴訟を何としても解決する必要があった。電力会社から損害賠償請求を受けると、WHの収益計画の見直しが迫られるだけでなく、原発ビジネス自体の将来性にも傷が付く。そうなると、東芝が連結決算で計上していたWHの「のれん」、約3500億円の減損処理が現実味を帯びる。粉飾決算に手を染めるほど財務が劣化していた東芝にとっては、絶対に避けたい事態だった。
・そうした「焦り」から、東芝とWHはある解決策に打って出た。建設工事を手掛けていた米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を傘下に収めることで、入り組んだ関係を整理することにしたのだ。訴訟の和解や納期の延長を認める条件として、電力会社がS&Wの子会社化を求めていたからだ。
・2015年12月末、WHはS&Wを「0ドル」で買収して電力会社などと和解。土木建設を含めてWHが責任を持つ一方で、4基の原発の完工期日の延期と、契約金額の増額を認めさせた。この過程で、冒頭の「固定価格オプション」が盛り込まれたとみられる。東芝関係者は「もしS&Wを買収しなければ、東芝は2015年中にWHののれん減損に追い込まれていたかもしれない」と振り返る。
・東芝とWHも、実はS&Wのような建設会社を求めていた。WHは原子炉などの機器製造に強みを持つが、原発建設プロジェクトで大きなカネが動くのはエンジニアリングなどの領域だ。そうした「おいしい部分は米ベクテルなどに持っていかれてしまい、悔しい思いをしていた」(東芝の原子力関係者)。「設計・調達・建設」を意味する「EPC」を手掛ければ原発ビジネスをさらに成長させられると、東芝社内では以前から検討されていた。
・買収の事情をよく知る関係者によると、WHのダニー・ロデリック社長(当時)がS&Wの子会社化を積極的に提案し、原子力を所管する東芝の志賀重範副社長(同)が後押ししたという。この関係者は「資産査定の時間は限られていたが、減損を回避するためには決断せざるを得なかった」と打ち明ける。
・一方でEPCにはリスクがある。建設工事などでコスト超過に陥ると、際限なく資金が流出しかねないからだ。実際に米国の原発建設プロジェクトでは、2015年末の買収時点でコスト超過に苦しんでいた。だが東芝はそのリスクに目をつぶった。「日本で培ったノウハウを注入すれば、WHとS&Wを立て直せると過信していた」(前出の原子力部門元幹部)。
・米国ではスリーマイル島事故の後、原発新設が約30年にわたって途絶えていた。それに対して日本では、福島第1原発の事故が起きるまでは各地で原発建設が続けられてきた。別の原子力関係者はこう断言する。「東芝が本気になればコストを大幅に削減できると思い上がっていた」。電力会社がコストの上限を設定しても、その範囲内で原発を完工できれば損失は出ないと考えていたという。
・原発ビジネスで利益を稼げるのは、運転開始後に手掛ける燃料供給やメンテナンス事業だ。建設過程で多少赤字になっても、完工さえしてしまえばすぐに取り返せるとの意見もあった。
▽「世界一の原発会社」を統治できなかった
・ところが、東芝の目論見通りにはいかなかった。「WHの従業員は自分たちが世界一の原発会社だとのプライドを持っており、日本から来た技術者の言うことなど聞かなかった」(関係者)からだ。WHの現場だけでなく経営陣も、「本社の命令を半ば無視して独立国のように振る舞っていた」という証言もある。
・その結果、買収時に想定したようなコスト削減効果は得られなかった。2月14日に記者会見した東芝の綱川社長は「S&Wを買収したときに、彼らと一緒にやっていけばもっと(工事作業の)効率が上がるだろうと考えていた。30%改善しようとしてやってきたが、できなかった」と述べた。
・「焦って」買収したため、東芝とWHはS&Wが抱えるリスクを十分に精査できなかった。2016年に入って検証したところ、「買収時に認識されていなかったコストを見積もる必要性が認識された」(綱川社長)。 さらに、コスト削減ができると「思い上がって」いたことも裏目に出た。東芝は2015年末にS&Wを買収して契約を見直した時、電力会社との間で決めた建設費用をクリアできると考えていた。しかし、想定通りに効率化が進まずに目論見が狂い、コストのコントロールに苦しんでいる。
・この2つが主な要因となり、4基の原発完工までにかかるコストの見積もりが想定から61億ドル増加。原子力事業全体で7125億円の減損損失を計上する事態になった。
▽東芝が原発から撤退できない理由
・東芝は2月14日に2017年3月期の業績見通しを明らかにし、原子力事業が6995億円の営業赤字に陥る可能性を示した(注:数字は監査法人のレビューを受けていない)。2014年3月期から4期連続の赤字となり、累計で約1兆円の損失を計上することになりそうだ。
・にもかかわらず、東芝は原発ビジネスから撤退するそぶりを見せない。土木建築やEPC契約を控えてリスクを低減する方針だが、燃料とサービス事業には収益性があるとの立場を堅持している。むしろ原発の損失を穴埋めするために、“大黒柱”である半導体事業の完全売却すら検討し始めている。
・黒字事業を売却して赤字事業を継続する。なぜ東芝は原発に関して、非合理的な経営を続けるのか。その理由の一端が、2月14日の記者会見で東芝が配付した資料に掲載されている。WHに対する「債務保証」である。東芝はWHの親会社として、7934億円の債務を保証している(2016年3月末時点)。その90%弱が、スキャナ電力など米国での原発建設の客先に対する支払い保証だ。
・資料には次のように書かれている。「米国AP1000プロジェクト(注:4基の建設計画)において、WHの客先への支払義務(プロジェクトを完工できなかった場合の損害賠償請求を含む)を履行できなかった場合、当社はWHの親会社として、客先にこれを支払うことが要求されている」。巨額減損によって財務基盤が極めて脆弱になった東芝にとって、原発の完工を諦めるという選択肢は存在しない。
・東芝は現在、WH株の87%を保有している。綱川社長は「興味のあるパートナーがいれば一緒にやっていきたい。出資比率は引き下げることを考えている」と話す。だが、これだけ巨額の債務保証を認識したうえで、出資に応じる企業があるかは不透明だ。安全保障の観点からも、WH株を売却できる相手は限られる。
・WHという爆弾を抱えて、東芝は立ち往生しているように見える。2月14日の記者会見で「WH買収は正しい経営判断だったか」と問われた綱川社長は、力の無い声でこう述べた。 「数字を見ると正しいとは言いにくい」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/070600052/021500008/?P=1

第一の記事にあるように、14日の記者発表はとんだドタバタ劇になったようだ。テレビで見ていても、これが、かつての名門中の名門企業になれの果てか、と憐れを催すものだった。これまでは残すつもりだったフラッシュメモリー事業まで、手放さざるを得ないというのは、尋常ではない。WH経営陣への「不適切なプレッシャー」についての内部告発も含めて、延期した1ヶ月で真相が明らかになるのだろうか。
第二の闇株新聞が指摘している  『債務超過となり、その時点で財務制限条項に抵触して1兆4000億円ある有利子負債の大半が期限前償還を求められてしまう』、というのは確かに深刻な事態だ。そこで、昨日、取引銀行に融資継続を要請し、大半の銀行の了解を得たようだ。 『日米原子力協定があるため、東芝は(日立も三菱重工も)原子力事業を切り捨ててしまうわけにはいかず、日本政府も原発を止めてしまうわけにもいかず・・・』、『原子力事業会社となる東芝は、東京電力と同じように国策企業としてゾンビのよう生き残っていくことになりそうです』、などの指摘はその通りだろう。
第三の記事は、東芝がしょい込んだ『「無限責任」』について、詳しく解説している。減損回避のために、さらにケガが大きくリスクを孕む「固定価格オプション」で契約変更を飲まされただけでなく、それを開示しなかったというのは、経営陣の責任は重大だ。EPCのリスクについては、『東芝はそのリスクに目をつぶった。「日本で培ったノウハウを注入すれば、WHとS&Wを立て直せると過信していた」』、とは思い上がりもいいところだ。しかし、現実には、『「世界一の原発会社」を統治できなかった』、とはお粗末の一言に尽きる。
今後は、フラッシュメモリー事業をどこが手に入れるかも問題だ。鴻海など外資系には経産省が回避したいので、政府の言いなりになる産業革新機構などが登場してくる可能性もあるだろう。
タグ:東芝不正会計問題 (その27)(半導体事業完全売却も否定せず、決算発表延期に至った背景、東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」) 産業革新機構 東芝はWHの親会社として、7934億円の債務を保証 燃料とサービス事業には収益性があるとの立場を堅持 東芝が原発から撤退できない理由 「焦って」買収したため、東芝とWHはS&Wが抱えるリスクを十分に精査できなかった 買収時に想定したようなコスト削減効果は得られなかった WHの従業員は自分たちが世界一の原発会社だとのプライドを持っており、日本から来た技術者の言うことなど聞かなかった 東芝が本気になればコストを大幅に削減できると思い上がっていた 日本で培ったノウハウを注入すれば、WHとS&Wを立て直せると過信していた EPCにはリスク 大きなカネが動くのはエンジニアリングなどの領域だ。そうした「おいしい部分は米ベクテルなどに持っていかれてしまい、悔しい思いをしていた WHは原子炉などの機器製造に強みを持つ もしS&Wを買収しなければ、東芝は2015年中にWHののれん減損に追い込まれていたかもしれない WHはS&Wを「0ドル」で買収して電力会社などと和解 東芝を追い立てた「焦り」 「焦り」と「思い上がり」 WHはコスト超過分を電力会社に転嫁したり、交渉したりできなくなったのだ 「契約変更の結果、WHは“無限責任”を負わされることになった 実際にオプションが発動 建設工事に関してこれ以上のコスト超過が発生した場合は、スキャナ電力ではなくWHが支払うように契約を変更 スキャナ電力が支払う原発建設コストの総額を最大76億7900万ドル(約8680億円)に固定 米スキャナ電力 固定価格オプション 東芝の“思い上がり”が生んだ原発「無限責任」 逃げ道を塞ぐ、7934億円の「債務保証」 原子力事業会社となる東芝は、東京電力と同じように国策企業としてゾンビのよう生き残っていくことになりそうです 検察庁も官邸も経済産業省も財務局も、東芝に対しては徹底的に過保護で対応 日本政府も原発を止めてしまうわけにもいかず 日米原子力協定があるため、東芝は(日立も三菱重工も)原子力事業を切り捨ててしまうわけにはいかず、 資本増強がますます「待ったなし」 とりあえずは「時間稼ぎ」しただけです PwCあらた監査法人 金融機関は東芝に期限前償還を求めて回収に走らないと、今度は金融機関に株主代表訴訟のリスクが出てきます 本日(2月14日)に巨額損失を計上してしまうと「いったんは債務超過」となり、財務制限条項に抵触 「何らかの配慮」 債務超過となり、その時点で財務制限条項に抵触して1兆4000億円ある有利子負債の大半が期限前償還を求められてしまう 東芝が決算発表延期に至った背景 闇株新聞 監査法人の対応次第では、フラッシュメモリーの売却や原発事業の再建も画餅に帰す恐れ 決算発表を最長で3月14日にまで延期 WH経営者の「不適切なプレッシャー」 米国での内部告発 東芝のガバナンスが崩壊 原発事業の売り上げの過半を占める「燃料やサービス事業は収益性がある」 経済合理性から考えれば、黒字の半導体を残して赤字の原発事業を切り離すのが王道 東芝の原子力事業は過去4年の合計で約1兆円の営業赤字をもたらした計算 両氏は当面、WHで問題解決に専念 WH会長のダニー・ロデリック氏は、東芝社内カンパニーであるエネルギーシステムソリューション社の社長を解職 志賀重範会長が取締役と代表執行役を辞任 買収時に認識されていなかったコストを見積もる必要性が認識さ れが巨額損失の直接の原因 発注元の電力会社が訴訟を回避する条件として、買収を求めていたからだ 建設工事を手掛けるCB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を買収 VCサマー2/3号機 ボーグル3/4号機 2割を売却しても3000億円程度にしかならず、税金などを考慮した売却益はさらに目減りする。思い切って過半を売却しない限り「焼け石に水」 フラッシュメモリー事業の価値を「1兆5000億円程度」 3月末の自己資本は1500億円のマイナスになる見通しで、事業売却が急務に 2016年末時点で自己資本は1912億円のマイナス 米原子力事業に関して7125億円の減損損失を計上 最後に残された大黒柱 00%売却もあり得る フラッシュメモリー事業 東芝綱川社長、半導体事業完全売却も否定せず 7000億円減損で債務超過に、志賀会長は引責辞任 日経ビジネスオンライン
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