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自衛隊が抱える問題(防衛問題)(その3)(現状のミサイル防衛システムは役立たず、海自ヘリ問題での諸悪の根源は「現場の暴走」、自衛隊よ 武士道に入れあげていると破滅するぞ) [国内政治]

自衛隊が抱える問題(防衛問題)については、昨年8月10日に取上げた。今日は、(その3)(現状のミサイル防衛システムは役立たず、海自ヘリ問題での諸悪の根源は「現場の暴走」、自衛隊よ 武士道に入れあげていると破滅するぞ) である。

先ずは、昨年9月13日付け日刊ゲンダイ「防衛省“限界”露呈 ミサイル防衛は1兆5787億円の役立たず」を紹介しよう。
・北の核実験を受け「もっと抑止力強化を」という議論が出ているが、ちょっと待って欲しい。米国に押し付けられ導入した現状のミサイル防衛システムは、迎撃どころか想定通りの警報も出せず、役立たずを露呈。1兆円超が壮大な“無駄遣い”になっていたことがハッキリしたのだ。
・ミサイル防衛システムの限界を指摘するのは、軍事評論家の田岡俊次氏だ。 「8月3日に北朝鮮は弾道ミサイル2発を秋田沖に発射しましたが、日本政府が第1報を発表したのは発射から1時間15分後でした。イージス艦などへ破壊措置命令は出されず、自治体などへの警報『Jアラート』も機能しないノーマーク状態でした。その後、常時『破壊措置命令』を出したままにして政府は警戒を続けていましたが、9月5日に弾道ミサイル3発が北海道沖に発射された際も第1報は1時間32分後。最も早かった警報は海上保安庁から船舶への『航行警報』で、それでも発射から19分後でした。これはミサイル落下の10分後で、警報の意味がなかった。ミサイル発射が探知されれば、その警報を船に伝えるのを意図的に遅らせるはずはない。つまり、日本のミサイル防衛能力の限界を露呈したものと考えざるをえません」
・発射が防衛省の「中央指揮所」や官邸の「危機管理センター」に伝わり、「Jアラート」で住民に屋内避難を呼びかけるまで、本来、「1分間」という瞬時に行われるはずだった。計画は机上の空論だったのである。 ちなみに、去年12月と今年2月に北朝鮮がテポドン2で小型人工衛星を打ち上げた際は、事前通告もあり対応準備ができたため、政府は発射2分後から逐一、飛行状況を発表していた。ところが、移動式の発射機から発射された8月と9月のミサイルにはお手上げ。防衛省は「事前通告がなかった」「移動式の発射機だったので分からなかった」と変な言い訳をした。
・「実戦では相手はミサイル発射を予告してはくれませんし、自走発射機に載せて発射位置をしばしば変えるのが一般的です。防衛省の釈明は、本物の弾道ミサイルには対応できないことを自ら明らかにしたようなものです」(田岡俊次氏)
・ミサイル防衛には今年度予算までに1兆5787億円が投じられている。ドブに捨てたようなものだが、官邸や防衛省は、さらなる増強に躍起。価格2倍のミサイル購入やイージス艦を増やしたり、ミサイル発射探知用に独自の静止衛星打ち上げの話まで出ている。
・「国家財政に響くような大プロジェクトになりかねません。ミサイル防衛の効果や限界を国民に説明せずに巨額の予算をつぎ込むのでしょうか」(田岡俊次氏) 「特定秘密」を盾に“不都合な事実”を隠蔽してこれ以上、防衛費を膨らませるのは許されない。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/189698

次に、1月31日付け東洋経済オンライン「海自ヘリ問題、諸悪の根源は「現場の暴走」だ 訓戒処分を受けたが、海幕長の判断は正しい」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・海上自衛隊のUH-X(次期多用途ヘリコプター)の機種選定をめぐって、海上自衛隊のトップである武居智久海上幕僚長(当時)が訓戒処分を受けた。昨年12月16日のことである。処分の理由は、内部手続きの規定を超え、部下に対して特定の機種に誘導する不当な圧力を加えたからだとされている。
・2018年度までに9機のヘリを調達予定(合計15機)だったが、選定作業に疑義が生じたことから、2016年度は予算計上を断念。来年度の要求も困難な状態となっている。 外形上は確かに、海幕長が不当な圧力を掛けたと断じることはできるし、本人もそれについて認めている。しかし、結論からいえば、この件で海幕長が行ったことは不当な圧力どころか当然のものだ。そもそも原因は海自の最高意思決定会議である海上自衛隊会議が決定した内容を、調達現場が変更したことにある。海幕長は、それを是正しようとしただけだ。ところが内局もこの「下克上」を支持し、防衛監察本部から指弾された。そして、その監察の結果に事務次官も防衛大臣も異議を唱えなかった。これは文民統制上、大きな問題である。
▽本来であればMCH-101の一択
・問題の経緯をトレースしていこう。UH-Xは、事実上のヘリ空母であるDDH(ヘリコプター搭載護衛艦)に主に搭載される。補給艦から護衛艦などへの物資の運搬、護衛艦が沈没、あるいは哨戒機が墜落したときの救難などの任務を想定している。任務の性質上、大きなペイロード(搭載量)が要求される。ヘリの場合、機内に搭載するだけではなく、機体下部に貨物を懸吊(けんちょう)して輸送するが、その能力が大きいに越したことはない。
・UH-X選定に先立って2011年度に開催された海上自衛隊会議において、候補機は大型で、できれば既存機との共用を考慮するという方向性が確認されていた。この会議は海上自衛隊の直轄部隊の長が集まる最高意思決定機関。であれば該当するのは輸送・掃海ヘリMCH-101の一択である。だが、その後の機種選定の過程では、MCH-101だけでなく、三菱重工が製造している対潜哨戒ヘリSH-60Kの改良型、エアバスヘリNH90の3機種が候補とされた。この段階で海幕の検討チームが強引にSH-60Kをベースにした新型機に有利な条件を入れようとした。それに対して武居海幕長は海上自衛隊会議の決定を尊重せよ、と異議を唱えた。そして、これが不当な圧力と見なされたのである。
・まず候補として上がった3機種を見てみよう。 1つ目の候補、MCH-101は海自が輸送・掃海用として使用している機体で、川崎重工がライセンス生産している。全備重量は15.6トンで、機内ペイロード6トン、キャビン容積は27.5立法メートル、武装兵士24名を運べる。懸吊重量は最大5.4トンである。機体後部にランプドアがあり、車両など大型の貨物も搭載できる。
・三菱重工が米シコルスキーのヘリに改良を加えた海自哨戒ヘリ、SH-60Kをベースにした汎用型ヘリが2つ目の候補。SH-60Kはシコルスキーのオリジナル機体をベースに三菱重工が開発した機体で、全備重量は10.65トン、キャビン容積は約9立方メートル、機内ペイロード1.2トン、武装兵士11名が搭乗でき、最大懸吊重量が3.6トンとなっている。
・3つ目はNH90だ。この機体はユーロコプター、アグスタウェストランド、フォッカーが設立したNHインダストリーが製造しており、全備重量が10.6トン、機内ペイロード2.5トンを搭載、懸吊貨物は4トンである。キャビン容積は14.9立方メートル、ハイキャビン型ならば17・6立方メートルで、ほぼ機体規模が同じUH-60よりも大きい。搭載兵員20名である。ランプドアを装備しているので大型の貨物も搭載できる。
・日本におけるNH90のマーケティングはエアバスヘリが担当しているが、同社は以前参加した航空自衛隊の救難ヘリ選定の公平性に疑問を持ち、この競争入札を辞退した。このためMCH-101とSH-60K改良型の一騎打ちとなった。
▽仕様をSH-60Kが入札できるように変更
・ところが仕様決定の段階で、SH-60Kに有利なように仕様が歪められた。まず、救難できる人員が15名から12名に減らされた。救難ヘリは荒れた海でも活動する必要があるが、救難時の海の荒れ具合を示すシーステートも6から2に下げられた。当初はMCH-101のローターブレードが輸送できることも条件として挙げられていたが、これも削られた。ランプドアを持たず、キャビンが狭いSH-60Kには不可能だからだろう。つまり輸送と救難のどちらの任務でもSH-60Kに利するように「改悪」されていたのだ。
・2015年3月26日、武居海幕長(当時)は仕様が変えられたとの報告を初めて受ける。渡邊剛次郎防衛部長(当時)が適宜情報を海幕長に上げていなかったことが原因のようだ。これを受けて武居海幕長はSH-60Kへの偏重を見直すように指導(防衛監察本部によると「不当な圧力」)した。
・その後、内局も含めた課長級会議が6回ほど行われたが、特に武居海幕長の指導による仕様変更にも大きな異論は出なかったという。もし海幕長の指導に異議があるのであれば、これらの会議で述べればよかっただろう。だが、そうではなく、防衛監察本部に「密告」が入ったのだ。 その課長級会議では、内局からSH-60K の採用を強く援護する意見が出た。その中心人物は自衛隊の装備調達に極めて大きな影響力を持つ、当時の中嶋浩一郎防衛計画課長(現沖縄防衛局長)だといわれている。その主張には2つの理由があった。
・第1にSH-60Kが排除され、MCH-101の単独となれば、競争入札が成立しなくなり、建前上の競争原理が働かなることだ。 2007年に発生した守屋防衛事務次官と山田洋行のスキャンダル以降、装備調達の透明性を確保するため、それまで随意契約が主流だったのが原則競争入札に切り替わった。だが競争が成立しない装備、たとえば10式戦車や救難飛行艇US-2のようなものがあるにもかかわらず、形だけの競争入札が行われてきた。つまり今回のヘリ選定でもアリバイづくりのための「形だけの競争入札」を行うことが重要とされたわけだ。だが「形だけの競争入札」であれば、仕様をMCH-101に有利にすればいいだけの話だった。
・第2に調達コストの「安さ」である。大型機のMCH-101はSH-60Kベースの機体よりも1.8倍ほど調達コストが高い。中嶋課長は当時、オスプレイやグローバルホークといった高価な米国製兵器を次々に承認し予算化している。これらの米国製装備の導入は政治決定されたものであり、その調達予算をやり繰りするため、調達コストの低減を図ろうとしたのではないだろうか。
・しかし、運用コストも含めれば、MCH-101のほうがはるかにコストが低く、しかも合理的だ。MCH-101の調達機数は10機(現在8機)、南極観測用に調達された多用途型のCH-101の3機を加えても13機のみ。訓練や維持コストが高くなりがちで、稼働率も低めだ。MCH-101を調達すれば、既存機と合わせて25機を超える。訓練やローテーションの効率が向上し、1機当たりの維持・運用費も大幅に下がることが期待できる。機体の価格が高すぎるのであれば輸入に切り替えればいい。調達コストは3分の2から半分になる。
・また、この調達でSH-60系列の機体が選ばれてしまえば、海自の作戦用ヘリはほとんどSH-60系列になってしまう点にも留意が必要だ。SH-60系列で何らかのトラブルがあれば、すべてが地上待機となるリスクを考えれば、あまりひとつの系列に偏らないほうがいい。あらゆる点で、MCH-101を選定したほうが合理的なのである。 にもかかわらず、防衛監察本部は武居海幕内局に長を処分した。
▽内局よる統制を強めるべきではない
・防衛監察本部の報告書には以下のような記述がある。「特定の機種(MCH-101)を、選定されることが望ましい機種として検討し、その他の機種(SH-60K)が評価を満たすことが困難と推定される要求性能へ変更した不適切な行為について深度あるチェックを行うことができない態勢であったことから、内局が運用要求書等の作成や提案書の評価などに、より密接に関与できるよう、機種選定におけるチェック態勢を見直す必要がある」。  現実はむしろ、内局官僚が調達を歪めようとしているにもかかわらず、さらに内局による統制を強めろというのだ。しかも、筆者の取材によると、この報告書は防衛監察本部ではなく、三貝哲防衛計画課長が書いたとされている。そうであれば防衛監察本部の独立性、中立性が担保されているかどうかも極めて怪しい。
・防衛監察本部は検察の出向者で占められており、軍事的な知識が欠けており、手続きが正当か否かだけでしか判断しない。それまでの調達構想や経緯などを理解できないし、まったく考慮しない。彼らが「手柄」を焦ったことも考えられる。しかもそれを内局や大臣、副大臣ら政治も、手続き上の問題だとして安易に追認した。多額の税金が当初とまったく異なる目的で浪費されても、それを是としているのだ。
・このような「下克上」を許容するようになれば、調達の現場はますます暴走し、自衛隊の装備調達や運用はチグハグなものになりかねない。結果として自衛隊の弱体化を招き、大いに国益を損なうことになるだろう。
http://toyokeizai.net/articles/-/155943

第三に、3月8日付けJBPress「自衛隊よ、武士道に入れあげていると破滅するぞ 自衛隊幹部が勇ましく突撃して討ち死にでどうする」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・一体の亡霊が自衛隊を徘徊している。武士道という亡霊が。 元々、自衛隊の「武士道」好きは旧軍末期以来の伝統的なものであった。それが近年になり、武士道ブームが公的なものとなりつつある。 2000年以降、武士道の重要性を公言する将官が相次いで出現し、各部隊でも「武士道の神髄」云々といった講演が行われるようになった。そして2016年に制定された陸自の新エンブレムには、抜身の日本刀が交差したデザインが採用された。
・しかし、近代国家の国益と名誉を担う軍隊として、それで良いのだろうか。 武士道とは、新渡戸稲造が騎士道を焼き直しした「西洋的武士道」、至上の価値を“死”に見出す「葉隠的武士道」、犬畜生と言われても勝つことに意味があるとする「戦国的武士道」等々の幅広い解釈があり、体系的な思想のないバズワードでしかない。  自衛隊内の言うところの武士道には、「戦国的武士道」の要素はあまり見られない。実質的には、「勇敢」「規律」「正々堂々」といった合言葉のもとに部隊をまとめていくための拠り所という色彩が強い。
・だが、武士道の過剰な礼賛は旧軍末期の軍事的失敗を繰り返すことにならないだろうか。実際、政治学者のサミュエル・P・ハンティントンはこの点を痛烈に批判している。 今回は、自衛隊が武士道をもてはやすことの危うさを考えてみたい。
▽日本の将校は軍人ではなく武人
・ハンティントンは、政軍関係論の古典として名高い『軍人と国家』で日本の将校の特徴を挙げている。 第1に、日本の将校は近代の職業軍人としての指揮官というよりも、中世の一武士に過ぎないということだ。それは、まさに武士道の弊害を指摘していることに他ならない。
・ハンティントンは、ある論者の以下のような論評を引用している。 「日本の将校は素晴らしい人間の指導者である。彼の弱点は欧州の将校のように戦術の熟練者であることを維持することに失敗していることである。彼は戦闘を指揮するよりも、自らそれに入っていってしまう。(中略)日本の将校は、軍人というよりも武人的である。そして、そこに彼の弱点がある。(中略)武人に必須の資質は、勇敢さであるのに対して軍人のそれは修練である」
・そして、ハンティントンは次のように指摘する。日本軍の将校教育では、科学的能力よりも、砲火の下での勇気の重要性が強調される。これにより兵士と将校の間に緊密な連帯が存在する一方、将校は兵士の持たぬ技術と能力をもっているわけではなかった、と。
・実際、よく知られているように、末期の日本軍は一部を除き、長期持久するよりも勇ましく死ぬこと、もしくは精神的価値に意義を見出した。そのため、純軍事的な意義の低い作戦(沖縄戦での5月攻勢や大和特攻)を繰り返したのである。こうした点は、一砲兵将校としてフィリピン戦に参加した、作家の山本七平も「現実を無視した精神性への傾斜」として指摘しているところである。そして、これらの拠り所として、末期の日本軍が縋ったのが「武士道」であった。
・こうした気風は現在でも自衛隊に残っており、幹部が睡眠不足に陥る原因の1つになっている。もちろんその弊害を理解している幹部もいるが、武士道的な“勇気”を見せられる指揮官でなければ部下がついてこないとも嘆く幹部もいる。
・しかし、突撃に意義を見出す文化が、宇宙戦争、サイバー戦争も含めた高度な現代戦に適合しているとは言い難いし、過去の戦争でも役に立たなかったことは間違いない。 例えば、警察予備隊(自衛隊の前身)創設時にはこんなエピソードがある。警察予備隊のある若い中隊長が演習時に、米軍審判から「部隊の3割が喪失したが次の行動はどうするか」と尋ねられた。すると中隊長は「攻撃を続行する」と回答した。しばらくして攻撃は失敗し、頭上に砲弾が落下中、「次の行動は?」と米軍審判に尋ねられた。中隊長はまたもや「戦闘を継続する」と回答した。今度は熾烈な砲火を受け「敵攻撃機接近中」と米軍審判が伝えたところ「現地点で戦死します!」と回答した。これを目撃した対日軍事顧問団のコワルスキー大佐は「武士道を感じた」と回顧しているが、こうした勇ましいだけの将校が指揮官失格なのは言うまでもない。
・また、こんな話もある。警察予備隊のある隊員が兵舎で切腹し、「マッカーサー万歳」と自分の血でシーツに書いた。貧しい家庭に生まれ育った彼は戦後に共産党に入党したが、幻滅して予備隊に入隊したのだった。米軍将兵の指導に感動し、熱心に訓練に励んだが、自分が理想とする立派な兵隊にはなれなかった。また、共産党に入党していたことを激しく後悔していた。彼はそれらの罪を償い、米国と日本、故郷に謝罪するために、武人として切腹する道を選んだのである。
・だが、これが福沢諭吉が言う「権助の死」に等しいことは明白である。権助は、主人の依頼を受けたたった1両のカネをなくしたために死をもって報いた。福沢諭吉は、文明を益することのない無意味な死だという点で、忠臣義士の討ち死にも権助の死も同じだとしている。
▽アカデミックな議論ができない日本の将校
・ハンティントンが指摘する日本の将校の第2の特徴は、ものの見方や判断が客観的ではなく、きわめて「主観的」だということだ。この傾向も、武士道を過剰に評価する姿勢と表裏一体と言ってよい。 ハンティントンは、戦前の日本海軍研究者としては随一の存在であるアレキサンダー・キラルフィの以下のような趣旨の内容を引用している。 「軍事的観点から見れば、日本人の精神は客観的ではなく、主観的である。平時において、英米の評論家や学生は、太平洋や地中海の支配権に関して、フランスとイタリアの対立、ドイツとロシアの対立といった、直接関係ない戦争を詳細に論じることが出来る。しかし、日本人は直接関係ない海洋問題への関心に乏しい。
・西洋の学生が海軍力それ自体に注目して、アカデミックな方向に沿って問題を処理しようとするのに対して、日本の学生は国家政策的なアプローチを排除することが困難である。彼らはグアム島問題について、彼らの国家にとって除去されねばならない脅威であると述べたり、ほのめかしたりせずに議論ができない」
・これは現代にも通じる指摘だろう。実際、グアム島を尖閣諸島や南シナ海に置き換えてみれば、そのまま通じるはずである。日本では尖閣諸島問題や南シナ海問題について論じるとき、アカデミックにその影響を分析するよりも、往々にしてその領有権や日本への直接的な脅威についての戦術的な議論に終始してしまう。ひどい場合は、尖閣諸島を米国が防衛するか、しないかにまでレベルが低下する。
・こうした主観的な議論に欧米の専門家や政策担当者が共感することはないし、主観的かつ近視眼的な議論から賢明な戦略が生まれないのは明白である。
▽現代戦に適合した幹部自衛官像とは?
・自衛隊がいまだに武士道を体現しようとしているのは、世界的にみれば異常である。 例えば「カウボーイ精神の米軍」「ロングボウ自由農民の英国軍」「ユンカー精神のドイツ軍」「重装騎兵精神のポーランド軍」「騎士道精神のフランス軍」「ボヤール精神のロシア軍」などがあり得るだろうか。まともな近代国家で前時代の倫理規範や価値観を大々的に掲げている国など1つもない。
・むしろ、米軍などは、時代や戦略環境に合わせて理想とする幹部像を変えている。第2次大戦までのプロの将校とは戦闘のリーダーであり、冷戦期はマネージャーであり、ポスト冷戦期は学者戦士を意味し、そして、今や、「学者戦士」すらイラク・アフガン戦争時代の遺物として次なる理想像が模索されている。
・そうした現状をみれば、幕府陸軍や明治陸軍の先人たちが懸命に相対化した「中世的な武士道」を、現代の戦略環境や戦略文化に適合するかも考えずに称揚することの愚かさは明らかだろう。 少なくとも明治陸軍が、西郷隆盛率いる「武士団」や清朝軍、帝政ロシア軍に勝利できたのは、武士道精神のおかげではなく、西欧的なプロフェッショナルな軍人組織になろうと努め、その点で上回ったからにほかならない。
・中隊レベルの士気高揚の範囲ならともかく、「武士道」を自衛隊全軍の価値観とすることは無理があり、危険でしかない。むしろ今やるべきなのは、「現代戦で国益を実現するために必要な自衛隊幹部の理想像とは何か」を国民的に議論していくことである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49356 

第一の記事については、北朝鮮の2月、今月のミサイル発射とも、無論、「事前通告」はなく、日本側も破壊措置命令を出さないままだった。移動式発射装置からの弾道ミサイルの発射は、探知が極めて困難である以上、ミサイル防衛も機能しないようだ。にも拘らず、今日の日経新聞では、「迎撃強化へTHAAD導入検討」と報じられている。Wikipediaによれば,THAADは、敵弾道ミサイルが、その航程の終末段階にさしかかり、大気圏に再突入している段階で、ミサイル防衛で迎撃・撃破するために開発された。しかし、探知の問題をクリアしない限り、これも宝の持ち腐れになりかねないのではなかろうか。
https://ja.wikipedia.org/wiki/THAAD%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB
第二の記事にある 『海上自衛隊会議』で決まった方向性を、『海幕の検討チームが強引にSH-60Kをベースにした新型機に有利な条件を入れようとした』、裏に何があったのかは不明だが、検討チームの横車が責任を問われず、それを正そうとした武居海幕長を処分したというのは、腑に落ちない話だ。文民統制は当然としても、内局が余りに強すぎるというのも問題だ。
第三の記事は、自衛隊が今どき 『武士道に入れあげている』、というのは驚きだ。ハンティントン氏の痛烈な批判は当然だ。『日本軍の将校教育では、科学的能力よりも、砲火の下での勇気の重要性が強調される。これにより兵士と将校の間に緊密な連帯が存在する一方、将校は兵士の持たぬ技術と能力をもっているわけではなかった、と』、『第2の特徴は、ものの見方や判断が客観的ではなく、きわめて「主観的」だということだ』、といった指摘を読むと、自衛隊は旧日本軍の失敗を描いた「失敗の本質」などは全く勉強・研究してないとしか思えない。『米軍などは、時代や戦略環境に合わせて理想とする幹部像を変えている』、にも拘らず、自衛隊幹部が現代の戦争でも突撃精神が通用すると信じているとしたら、「お笑い」でしかない。
タグ:今やるべきなのは、「現代戦で国益を実現するために必要な自衛隊幹部の理想像とは何か」を国民的に議論していくことである 「武士道」を自衛隊全軍の価値観とすることは無理があり、危険でしかない 米軍などは、時代や戦略環境に合わせて理想とする幹部像を変えている 現代戦に適合した幹部自衛官像とは? こうした主観的な議論に欧米の専門家や政策担当者が共感することはないし、主観的かつ近視眼的な議論から賢明な戦略が生まれないのは明白 日本の将校の第2の特徴は、ものの見方や判断が客観的ではなく、きわめて「主観的」だということだ アカデミックな議論ができない日本の将校 末期の日本軍が縋ったのが「武士道」 純軍事的な意義の低い作戦(沖縄戦での5月攻勢や大和特攻)を繰り返した 日本軍の将校教育では、科学的能力よりも、砲火の下での勇気の重要性が強調される。これにより兵士と将校の間に緊密な連帯が存在する一方、将校は兵士の持たぬ技術と能力をもっているわけではなかった、と 彼は戦闘を指揮するよりも、自らそれに入っていってしまう 日本の将校は軍人ではなく武人 サミュエル・P・ハンティントンはこの点を痛烈に批判 武士道の過剰な礼賛は旧軍末期の軍事的失敗を繰り返すことにならないだろうか 「勇敢」「規律」「正々堂々」といった合言葉のもとに部隊をまとめていくための拠り所という色彩が強い 自衛隊内の言うところの武士道には 幅広い解釈があり、体系的な思想のないバズワードでしかない 犬畜生と言われても勝つことに意味があるとする「戦国的武士道」 至上の価値を“死”に見出す「葉隠的武士道」 新渡戸稲造が騎士道を焼き直しした「西洋的武士道」 武士道 それが近年になり、武士道ブームが公的なものとなりつつある 自衛隊の「武士道」好きは旧軍末期以来の伝統的なものであった 自衛隊よ、武士道に入れあげていると破滅するぞ 自衛隊幹部が勇ましく突撃して討ち死にでどうする JBPRESS 内局よる統制を強めるべきではない 運用コストも含めれば、MCH-101のほうがはるかにコストが低く、しかも合理的だ 仕様をSH-60Kが入札できるように変更 本来であればMCH-101の一択 海幕長は、それを是正しようとしただけだ そもそも原因は海自の最高意思決定会議である海上自衛隊会議が決定した内容を、調達現場が変更したことにある 海上幕僚長(当時)が訓戒処分 機種選定 海上自衛隊のUH-X 海自ヘリ問題、諸悪の根源は「現場の暴走」だ 訓戒処分を受けたが、海幕長の判断は正しい 東洋経済オンライン 「特定秘密」を盾に“不都合な事実”を隠蔽 移動式の発射機だったので分からなかった 事前通告がなかった 破壊措置命令は出されず、自治体などへの警報『Jアラート』も機能しないノーマーク状態 田岡俊次 1兆円超が壮大な“無駄遣い”になっていた 現状のミサイル防衛システムは、迎撃どころか想定通りの警報も出せず、役立たずを露呈 自衛隊が抱える問題 防衛問題 (その3)(現状のミサイル防衛システムは役立たず、海自ヘリ問題での諸悪の根源は「現場の暴走」、自衛隊よ 武士道に入れあげていると破滅するぞ) 日刊ゲンダイ 防衛省“限界”露呈 ミサイル防衛は1兆5787億円の役立たず
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