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米国・中国・日本関係(日米の「対中姿勢」には深刻な温度差、中国がトランプ懐柔攻勢) [外交]

今日は、米国・中国・日本関係(日米の「対中姿勢」には深刻な温度差、中国がトランプ懐柔攻勢) を取上げよう。

先ずは、国際ジャーナリストの高橋 浩祐氏が2月16日付け東洋経済オンラインに寄稿した「日米の「対中姿勢」には深刻な温度差がある トランプ政権は米中融和を目指す可能性」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・日米首脳会談としては近年まれにみる注目度となった安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領の会談は、極めて現実的な成果を生み出した。ふたを開ければ、型破りなトランプ大統領も実にオーソドックスな首脳外交をして見せた。
・トランプ大統領は基本的にオバマ前政権の安保政策を継承し、アジア太平洋での軍事プレゼンスを強化する方針を示した。東アジアの多くの国々は、中国のカウンターバランスとしての米軍の強いプレゼンスを望んできただけに、きっと胸をなで下ろしているに違いない。
▽なぜ東南アジア諸国は中国に歩み寄ったのか
・タイのチュラロンコン大学安全保障・国際問題研究所所長のティティナン・ポンスディラック氏は、オバマ政権時代のリバランス政策が不十分で効果を上げなかったことから、タイをはじめとする東南アジア諸国が中国に歩み寄ったと指摘。そのうえで、「すべての東南アジア諸国は中国に対する防衛策を持ちたいと思い、実際、日本に接近することによってそうしてきた。しかし、日本は中国への対抗勢力としては十分ではない。米国がトランプ政権の下で東南アジアに戻ってくるならば、米国は同盟国と協力して、よりバランスの取れた地政学の環境を東南アジア諸国に提供することができる」と話した。
・日米首脳会談の成果を永田町はどう受け止めているのか。伊達忠一参議院議長は14日、筆者の取材に対し、「2人はあれだけ親密に過ごし、日米同盟の結束を世界中に示した」と満足げだ。 とはいうものの、今後の日米関係とアジア太平洋地域全体を考えれば、手放しで評価できない点がいくつもある。第一に、安倍首相とトランプ大統領の間で早速、対中姿勢に温度差が垣間見られたことだ。
・安倍首相は会見で、「東シナ海、南シナ海、インド洋、いずれの場所であろうとも、航行の自由をはじめ、法の支配に基づく国際秩序が貫徹されなければならない」と述べ、中国の海洋進出を暗に批判した。 ところが、トランプ大統領は会見終了間際に、産経新聞の記者から対中認識を問われると、中国との対話路線の意義を強調した。
・トランプ大統領は「中国国家主席との昨日の電話会談はとても、とても温かい会話となった。私たちはうまくやっていく過程にあると思う。それは日本にとっても利益になるだろう」と指摘。さらに、「私たちは中国のさまざまな代表者たちと対話をしている。このことはすべて、中国と日本、米国、そして、地域のあらゆるものにとっていい結果を生むことになると私は信じている」と述べた。
・このときのトランプ大統領の隣にいた安倍首相の様子について、12日付の朝日新聞朝刊の記事は「首相にしてみれば、はしごを外されかねない展開と言えるだけに、トランプ氏の隣で落ち着かない様子を見せた」と述べた。 トランプ大統領は就任前に「1つの中国」問題で中国に強硬姿勢を見せていた。それが一転し、記者会見では中国への融和的な姿勢を見せた。トランプ政権の対中政策ははたしてどこに向かうのか。
▽トランプ政権は米中融和を目指す?
・トランプ政権内には、新設されたホワイトハウス国家通商会議(NTC)のトップのピーター・ナヴァロ大統領補佐官や、NTCで防衛産業基盤担当の副長官への起用が予定されるアレックス・グレイ氏など対中強硬派が目立つ。 しかし、その一方で、中国との関係改善を図ったキッシンジャー元国務長官のかつての側近、キャスリーン・マクファーランド大統領副補佐官や、次期駐中国大使に起用されたアイオワ州知事のテリー・ブランスタッド氏といった親中派もいる。トランプ大統領は、選挙中からキッシンジャー氏とたびたび会談してきたことから、キッシンジャー外交戦略を受け継ぎ、米中融和を目指すのではないかとの見方もある。
・慶応義塾大学総合政策学部の神保謙准教授は、アジア太平洋の安全保障にとってよくないシナリオの1つとして、トランプ政権が日本といった同盟国の頭越しに、中国や北朝鮮とグランドバーゲン(壮大な取り決め)をしてしまうリスクを挙げる。「こうしたグランドバーゲンが、たとえば日本やフィリピンといった国々が抱える原則的な主権や法の支配といった問題に反する形で行われるとすれば、日米同盟や米比同盟に大きな亀裂が入ることは間違いない」と神保准教授は指摘する。
・米コロンビア大名誉教授のジェラルド・カーティス氏は9日付の朝日新聞朝刊のインタビュー記事の中で、「日本はあまり中国脅威論に傾かない方がいい。トランプ氏は中国との取引がうまくいけば、米中関係を改善させる可能性もある」と指摘している。
・では、日本と中国が関係を改善させるためにはどうすればいいのか。日中では近年、東シナ海と南シナ海をめぐって、エスカレーションゲームが進行している。日中はまずそれを認識する必要がありそうだ。
▽日中が取りつかれる「両海連動」の考え
・そのエスカレーションゲームとは、次のようなものだ。昨年7月にオランダ・ハーグ仲裁裁判所が出した南シナ海での中国の領有権を否定した判決を日本が支持すると、中国は対抗措置として、南シナ海と東シナ海を連動させる「両海連動」の考えの下、東シナ海の尖閣周辺に公船を送り込むようになった。その一方、日本は中国が尖閣周辺に公船や軍艦を送り込むと、その予防策として、さらに南シナ海問題での介入を強めるという悪循環が発生している。日本も中国も東シナ海と南シナ海を連動させて考えているわけである。
・この負のスパイラルをどのように断ち切ればいいのか。 元防衛相で拓殖大学総長の森本敏氏は2月7日夜のBSフジ番組「プライムニュース」で、米軍の「航行の自由作戦」への自衛隊の参加など、南シナ海で中国を挑発するような活動を日本がすべきではないと訴えた。 森本氏は、「(日本が)行動を伴うような活動を南シナ海で行うと、中国が東シナ海の尖閣諸島領海の中にそれを理由に入ってくる。それはいたずらに中国を挑発する。これはやってはいけない」と指摘した。
・さらに「日本の安全保障上のプライオリティは東シナ海であって南シナ海ではない。南シナ海には確かに重要な海上輸送路があるが、南シナ海で中国を挑発するような活動をすることによって、東シナ海をより緊張関係の高い海にするべきではない」と述べた。
・なお、昨年9月21日付の人民網日本語版は、「中国(正しくは日本?)の自衛隊が南中国海で米軍の実施する『航行の自由』作戦に参加した場合、中国の譲れぬ一線を越えるものであり、中国側は断じて容認しない」と述べている。 中国側も東シナ海で軽々しい活動をすべきではないのと同様、日本側も南シナ海での挑発活動をすべきではないだろう。
▽安保条約第5条は金科玉条か
・トランプ大統領はオバマ前政権の安保政策を引き継ぎ、尖閣諸島に日米安全保障条約の第5条が適用されると明言した。しかし、この第5条が尖閣諸島に適用されるからといって、米軍がいつ何時でも助けてくれるわけではない。
・この尖閣諸島への防衛出動が可能となる条件の敵側の「武力攻撃」について、日本政府は「組織的計画的な武力行使」と定義してきた。つまり、中国軍ではなく、偽装漁民などが突如尖閣諸島に上陸するような場合、それが「組織的計画的」と判断するのは難しいかもしれない。そうなると、自衛権の行使ができない可能性がある。
・この点について、民進党の長島昭久衆議院議員は14日の衆議院予算委員会質疑で、「ある国が尖閣に対して、国家として正規軍を使って武力攻撃に及ばないかぎり、わが国の武力攻撃自体を認定できないし、自衛隊が動くこともできない。自衛隊が動かなければ米軍も動けない」と指摘した。
・森本氏も、前述の番組で、「武力攻撃とは何かといえば、計画的、組織的武力の行使とわが方は定義している。そういうことを中国がやるだろうか。やらないだろう」と指摘。「第5条が適用されるから、アメリカがなんでも助けてくれると思っているのは間違い。条約にはそういうことは書いていない」と述べ、日本独自の抑止力の向上や防衛力の整備を説いた。
・ひるがえって、アジア太平洋地域での恒久平和をいかに追求していくか。東アジアでは、挑発が挑発を招き、軍拡が軍拡を呼ぶ「安全保障のジレンマ」に陥り、かえって地域の安定を損なってきた面がある。これを避けるためには、トランプ大統領の会見での発言どおり、事態のエスカレートを止めるべく、やはり日米中の指導者が率直に対話を重ね、信頼を醸成することが鍵だ。ほかのアジアの国々は、日米中が対話を進めることが地域の緊張緩和につながると歓迎している。
http://toyokeizai.net/articles/-/158733

次に、国際関係アナリストの北野幸伯氏が3月8日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国がトランプ懐柔攻勢、日米関係が良好でも気を抜くな」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・大統領就任からわずかな期間でトランプ大統領の言動が変わった。当初は「ロシアを味方にして、中国に勝つ」だったはずが、「ロシアにより厳しく、中国に優しく」になっているのだ。問題は、この変化が中国の工作によって起きていることだ。
▽「イバンカを取り込め!」  中国の対トランプ工作が始まった
・大統領就任前、トランプは、はっきりと「反中」だった。昨年12月2日、彼は台湾の蔡英文総統と電話会談をして大騒ぎになった。 米国は1979年、中国と国交を樹立し、台湾と断交。以後、米大統領は「台湾は中国の一部」とする「一つの中国の原則」を尊重し、台湾総統と話さなかったとされている。ところが、トランプは就任前からこの「伝統」をぶち壊したのだ。そして、「『一つの中国の原則』を認めるかどうかは、ディール次第」と語り、中国を恐怖させた。
・しかしトランプは2月9日、習近平との電話会談で、あっさり「一つの中国の原則」を認めた。翌2月10日、トランプは安倍総理との会談後の記者会見で、米中関係について、「非常にうまくやっていけると思う」と語った。その後、彼から中国に対する挑発的な言動は出ていない。
・問題は、「なぜトランプは変わったのか?」である。 BBCニュースのキャリー・グレイシー中国編集長は2月27日付で、トランプを軟化させた「中国の工作」について、詳しく書いている。いくつか興味深い点をピックアップしてみよう。 中国がトランプを変心させるためにまず行ったのは、「家族を懐柔すること」だった。 <中国政府は、トランプ大統領が過去の大統領のようには政権を運営しないということをすぐに理解した。 そして家族の重要性が目に留まった。 トランプ氏自身や政府高官が中国の主要人物と会談をするより以前、そして中国の新年である春節にトランプ氏が新年の挨拶を公開しなかったとして中国のネット界で不満が溢れるなか、駐米中国大使の崔天凱氏は、トランプ大統領の娘イバンカさんに巧みに手を差し伸べた。>(太線筆者、以下同じ)
・どうやって「手を差し伸べた」のか、具体的には書かれていない。しかし、「工作」がうまくいったかどうかは、「結果」でわかる。結果は上々だった。 <ワシントンの中国大使館で行われた春節の祝宴にイバンカさんが出席した姿は広く報道され、イバンカさんは両政府の分断に橋を渡した。>(同上))
▽孫正義の20倍の雇用を約束した アリババの馬雲会長
・工作の対象は、イバンカだけではなかった。中国は、さらにイバンカの夫、トランプのもう1人の娘も取り込むことにしたのだ。 <イバンカさんの夫、ジャレッド・クシュナー氏もまた、中国事業のパートナーを通じて中国政府につてを持っている。 さらに、トランプ大統領のもう1人の娘ティファニーさんは、ニューヨーク・ファッション・ウィークで中国人デザイナー、タオ・レイ・ウォン氏のショーをあえて最前列で鑑賞した。>(同上)
・このように、中国は「アッ」という間に、トランプの家族を味方につけることに成功した。こうした工作は、中国の「得意技」である。
・アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)は1月9日、トランプと会談。「米国に100万人規模の雇用を創出する」と約束した。 ちなみに、ソフトバンクの孫正義社長も昨年12月6日、トランプと会談して「5万人の雇用を創出する」と宣言した。馬雲の約束は、孫氏の実に20倍。2人の「動機」の違いも重要だ。孫氏は、「自分の金儲けのために」トランプに会った。一方、馬雲会長は「習近平の指令」により、「トランプを懐柔するために」会った。 キャリー・グレイシー氏は、こう書いている。 <中国では民間企業にさえ共産党の末端組織が存在しており、国家の戦略的利益となると政府の命令に従うよう求められる。>(同上) そして、トランプ・馬雲会談についてはこう述べている。 <ジャック・マー氏は任務を背負っており、政府の方針にも沿っていた。ニューヨークのタイムズ・スクエアの屋外広告に、トランプ氏への春節の挨拶を掲載するため資金を提供した他の中国系企業100社も同様だった。>(同社)
・米国では、「金持ちが政治家を支配している」といわれる。つまり「金権政治」である。一方、共産党の一党独裁国家・中国では、2兆円以上の資産をもつ馬雲氏でさえ、習近平の命令に逆らえない。それどころか、「お国のため」には他国の大統領「懐柔工作」もする。これが、中国の「異様さ」であり、「強さ」でもある。
▽1月のダボス会議で習近平は世界のエリートを味方に
・世界中の政界・財界・学会の超エリートは毎年1月、スイスのダボスに集結する。「世界経済フォーラム」(通称ダボス会議)の年次総会に出席するためだ。 今年の「ダボス会議」は、全体的に「暗い雰囲気」だった。理由は、「トランプが米国大統領になった」こと。彼は、「アメリカ第一主義」を掲げる「ナショナリスト」で、「保護貿易主義者」。これは、「グローバリズム」を支持する既存のエリートと「正反対」の考え方だ。
・習近平は、「ナショナリストのトランプが、世界中のエリートから嫌われている」ことを知っていた。そこで、彼は「世界のエリート」を味方につけることにした。習は1月17日、ダボス会議で以下のように演説した。 「世界が抱える諸問題の責任を、グローバル化に転嫁したり、保護主義の殻に閉じこもったりするべきではない」  「中国は今後も『門戸を開き』、新興国がグローバル化の恩恵を受けられるよう後押ししていく」 彼は、「グローバリスト」である「世界のエリート」が聞きたいことを言ったのだ。
・ちなみに1年前、習近平は、「もっともエリートに嫌われる存在」だった。なぜなら、習は「中国の夢」を掲げる「ナショナリスト」だったからだ。それで、ジョージ・ソロスは2016年1月21日、同じダボスで、「(中国経済の)ハードランディングは、事実上不可避だ!」と断言し、中国を見捨てた。 ところが1年後、習近平は「ナショナリスト」をやめ、「俺はグローバリストだ!」と宣言した。この変節、「尖閣・沖縄問題」で中国を警戒する日本人は、「ふざけるな!そんな見え透いた演技には騙されないぞ!」と思うだろう。
・ところが驚くべきことに、エリート達の反応はとてもいいのだ。ソロスは、習近平演説の翌々日(1月19日)、ブルームバーグのインタビューで、中国の未来についてこう語っている。 <習近平国家主席は中国を社会的にもっと開かれた状態にすることも、もっと閉じられた状態にすることも可能だが、中国自体はより持続的な経済成長モデルに向かうだろう。> ほんの1年前の「ハードランディングは不可避」宣言は、どこに行ったのだろうか?「習近平は反省したから、救ってやろう」ということなのだろうか。
・キャリー・グレイシーは、「世界の舞台では、習主席は、自分がドナルド・トランプとは違うということを巧みに示した。ダボスでの世界経済フォーラムで、習主席がグローバル化と自由貿易を擁護したのは有名な話だ」と書き、習の演説がトランプの対中政策軟化に役立ったとの見方をしている。
▽米ロ関係を悪化させる未解決のウクライナ問題
・BBCニュース2月27日付は、「第1ラウンドは、中国の勝利」と書いている。一方、トランプのロシアへのスタンスも変化してきた。 トランプが「親ロシア」「親プーチン」であることは、世界中で知られている事実である。トランプは1月7日、ロシアの「選挙介入」を認めながらも、「ロシアとの良好な関係維持に反対するのは『バカ』で『愚か者』だ」とツイートした。
・とはいえ、トランプ政権における「プーチン」「ロシア」の立場は、悪化しつづけている。主な理由は、「ウクライナ問題」だ。14年3月、ロシアはクリミアを併合した。翌4月、ロシア系住民の多いウクライナ東部ルガンスク、ドネツクが独立を宣言。ウクライナ新政権は当然これを許さず、内戦が勃発した。
・15年2月、ロシア・プーチン大統領、ドイツ・メルケル首相、フランス・オランド大統領の仲介で、ウクライナとルガンスク・ドネツク州の和平が実現した(ミンスク合意)。 ところが、ウクライナと東部親ロシア派の戦闘が再び始まったのだ。「どちらが戦闘をはじめたのか」の真実を知ることは難しい。ウクライナは「ロシアがはじめた」といい、ロシアは「ウクライナがはじめた」と主張している。しかし、論理的に考えれば、「米国との和解による制裁解除」を目指すロシアが、ワザと状況を悪化させるのは不自然だ。
・一方、ウクライナには「トランプがプーチンと和解すれば、ウクライナは捨てられる。対立を煽り、米ロ関係を悪いままで維持しなければならない」という動機が存在する。 真相はわからないが、いずれにしても、ウクライナ情勢が再び悪化した。米国は、これまでウクライナ新政府を支持してきたし、ポロシェンコ大統領を「腐敗したヤヌコビッチ政権を倒した善なる存在」として扱ってきた。だから、ウクライナと東部親ロシア派が戦闘をはじめれば、いかに親ロシアのトランプといえども、ウクライナの味方をせざるを得ない。
・米国のヘイリー新国連大使は2月2日、国連安保理で超重要発言をした。 「クリミアは、ウクライナの一部です!」  「クリミアをめぐり、わが国が科した制裁は、ロシアが同半島の統治権をウクライナに返すまで継続するでしょう」
▽変転激しい中米ロ「三国志」 日本はどうする?
・ロシアは永遠に、クリミアをウクライナに返さないだろう。つまり、ヘイリー国連大使は就任早々、「対ロシア制裁は、永遠に続きます」と宣言したのだ。 ロシアの悪夢は、さらに続いた。トランプ政権・親ロシア派の代表的人物フリン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が2月13日、辞任に追い込まれたのだ。 理由は、同氏がトランプ政権発足前に、ロシアの駐米大使キスリャク氏と「制裁解除」について電話で協議し、その後、政権内で虚偽の説明をしていたこと。さらに、この原稿を書いている最中、セッションズ司法長官が苦境に立たされている。理由は、またも「ロシアがらみ」だ。
・彼も昨年、キスリャク大使と会談したが、承認公聴会では「ロシア人たちとは連絡をとりあっていない」とウソをついたという。このように、「親ロシア」トランプは、追いつめられている。  「ロシアと和解して、中国に勝つ」方針のトランプ。しかし、中国の巧みな工作によって、その大戦略は破壊されつつある。米中関係は好転し、米ロ関係は悪化している。このような状況で、日本はどう動くべきなのだろうか?
・まず、日本はこの「三国関係」で「プレイヤーにならないこと」が重要だ。筆者は自虐史観をもっていないが、日本は、「外交力」「諜報力」「工作力」などで、米中ロに到底及ばない。つまり「三国関係」については、米中ロに勝手にさせておけばいい。
・その上で、日本は、「基本的な戦略」を堅持することが重要である。この戦略は主に3つある。
 1.米国との関係をますます強固にし、中国が尖閣・沖縄を侵略しづらい状況をつくる。
 2.ロシアとの関係をますます改善し、結果的に中国とロシアを分断する。
 3.中国を挑発しない。
・1と2は理解しやすいが、3は説明が必要かもしれない。 日本政府が、「親日トランプが後ろにいるから」と調子に乗って中国を挑発したとしよう。中国は、「米国が日本の後ろにいるから」動けない。 ところが、中国は、さらに工作を続け、ついにトランプを味方にするに至った。その時、日本の挑発で日中関係がひどく悪化していれば、中国は遠慮なく尖閣を奪いに来るし、米軍は動かないだろう。だから日本は、トランプ懐柔外交を続けるとともに、中国に動く(尖閣を侵略する)口実を与えてはいけないのだ。
・今年は、日中戦争開始から80年にあたる。1937年にこの戦争がはじまった時、日本は、米国、英国、中国、ソ連を同時に敵に回していた。つまり日本は、「孤立したから戦争に負けた」のだ。 日本は、歴史の教訓を活かし、「孤立しない外交」を展開していかなければならない。
http://diamond.jp/articles/-/120416 

高橋氏の記事にある、安部首相の米中間にくさびを打つ試みが見事に失敗に終わった記者会見で、 『「首相にしてみれば、はしごを外されかねない展開と言えるだけに、トランプ氏の隣で落ち着かない様子を見せた」』、ということだが、 『トランプ大統領は、選挙中からキッシンジャー氏とたびたび会談してきた』、というのであれば、日本の外務省もこうした展開は予想しておくべきだったのだろう。 『日中が取りつかれる「両海連動」の考え』、は確かに危険なゲームである。森本氏が主張するように、日本も自制が必要だ。
北野氏の記事にある 『中国の対トランプ工作』、で 『中国は「アッ」という間に、トランプの家族を味方につけることに成功した。こうした工作は、中国の「得意技」である』、 さらに、習近平がダボス会議で、『「グローバリスト」である「世界のエリート」が聞きたいことを言ったのだ』、などはあっぱれである。日本の外務省や安部首相も中国のツメのアカでも煎じて飲むべきだ。
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